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2024.02.02

ダイレクトマーケティング実践講座〈第7回〉「顧客戦略」は顧客ステージで変える

COCAMPコラムの中でも特に人気のテーマである「ダイレクトマーケティング」。この連載コラム「ダイレクトマーケティング実践講座」では、大広と協働し、様々なクライアントのダイレクトマーケティングやCRMを実行する株式会社クロスエムの中村光輝氏とともに、ダイレクトマーケティングで重要な「事業戦略」「顧客戦略・顧客獲得」「顧客育成」「フルフィル・顧客管理」の4つの領域について、現場の実践に基づき解説していきます。

第7回からは、ダイレクトマーケティングにおける「顧客戦略・顧客獲得」に入ります。
今回は「顧客戦略」の中の「顧客構造」、「顧客ステージ」について解説します。

前回の記事はこちら
ダイレクトマーケティング実践講座〈第6回〉ロイヤル顧客を生みだすための「チャネル」「販促」の考え方

ダイレクトマーケティング実践講座概要の図解

<ダイレクトマーケティング実践講座 講師>

中村 光輝さんのプロフィール写真中村 光輝 
(株)クロスエム 代表取締役
通販会社にて18年間、CRMを中心にマーケティング業務に従事。その後、2014年に独立。主に化粧品や健康食品などのダイレク ト事業を対象に、CRMのプランニングやマーケティング戦略の立案、顧客分析などをサポート。特に、ロイヤル顧客を軸とした戦略・施策のコンサルティングを多数手掛ける。

 

折橋 雄一さんのプロフィール写真折橋 雄一 
(株)大広 顧客価値開発本部 顧客育成局 マネジメントリーダー
メディアバイイング、TV通販会社の営業担当を経て、ダイレクトマーケティング業務に従事。TVインフォマーシャルを中心にしたアクイジション領域から、CRM戦略立案や顧客育成プログラム立案等のクライアントサポートを推進。調査と分析を核としたPDCAと、得られた知見を統合しオジリナルメソッドを開発することに力を注いでおり、通販の顧客インサイトを可視化した「カスタマージャーニーマップ」や口コミ循環のマーケティングモデルである「アンバサダーハリケーンモデル」を開発。

顧客構造:単品定期モデルとクロスセルモデル

折橋
前回までは、事業戦略の話でした。事業戦略のポイント、マーケティング戦略のポイントについてお伝えしました。
今回からは、パート2の顧客戦略・顧客獲得ということで、顧客戦略のポイントと、その次に顧客獲得からリピーター化するまでのポイントについて話していきます。

今回は、顧客戦略のポイントの中で、「顧客構造」「顧客ステージ」についてになります。

顧客戦略・顧客獲得の内容

中村
第3回の事業戦略、マーケティング戦略のところでも「単品リピートモデル」「クロスセルモデル」というお話をさせていただきました。今回は、また改めて整理をしつつ話を始めたいと思います。

以下の図をご覧下さい。

単品定期モデルとは

これは、単品定期モデル(=単品リピートモデル)です。
このマトリクスは、縦軸は年間購入金額、横軸は累計購入回数や顧客の継続期間となっています。
お試し購入から「単品定期モデル」に移行するという流れを示しています。
最初に商品をお試し購入していただき、定期購入への引き上げと初期の定期離脱防止が課題となります。
これは通販業界に特化した内容になっています。通販業界では、定期購入・定期お届けをメインとする単品定期モデルが主流になっています。

折橋
お試し商品の購入から、定期購入へと「引き上げ」て、定期コースに入ってもらうという2ステップ型ですね。定期購入で継続率が高く安定化するところが、ほぼこの単品定期モデルのゴールということになりますね。

中村
単品定期モデルを採用している企業では、クロスセルがうまくいかないという問題をよく聞きます。多くの場合、複数の商品を購入する顧客は全体の中では少数派です。
結局、定期購入で顧客化し、それを継続化させるというのが、この単品定期モデルを採用している企業の特徴になります。
  
多くの企業が単品定期モデルを採用する際に直面するもう一つの問題は、初期段階に焦点を当てすぎてしまうことです。その結果、長期リピーターに対するサービスが疎かになり、企業からのコミュニケーションが減少する傾向があります。これにより、自身が放っておかれていると感じる顧客も少なくありません。結果的に、長期リピーターは、商品を購入し続けるメリットが少ないと感じることが多くなってしまいます。これは単品定期モデルでの課題と言えるでしょう。

折橋
多くの企業が、単品定期モデルを採用していますが、課題もまた抱えてしまっており、そこでうまくいかないと悩んでいるとお聞きします。
繰り返しになりますが、単品定期モデルでは、継続購入率が一定のレベルに達することが顧客のゴールになりますね。

中村
はい。一方、クロスセルモデルは、基本的に定期購入か都度購入かは大きな違いはないですが、お試し購入から始まり、その後に本品を購入する顧客へと引き上げる。そして、都度単品購入をしている顧客を継続させることは、単品定期モデルと同様ですが、その過程でブランドの啓蒙も含めて、顧客を育成していきます。顧客を育成していくと、単品の継続購入率が一定のレベルを超えたあたりで、クロスセルが機能し始めます。そこが違いですね。

折橋
クロスセルモデルは顧客の累計購入回数が増えるほど、クロスセルの成功率が上がり、結果的に顧客一人当たりの年間購入金額が増加する展開になりますね。
そして、年間購入金額が最大化されるロイヤル顧客をいかに作っていくかということが、クロスセルモデルの大きな特徴ですね。

中村
はい。
以前は通販業界で成功していた企業の多くがこのクロスセルモデルを採用していました。しかし最近では、新規顧客の獲得効率や初期段階の継続率が悪化したこともあり、早期に収益を確保するために、多くの企業が単品定期モデルを採用するようになっています。

折橋
ダイレクトビジネスの特性と強みは、主にロイヤル顧客をいかにきちんとリスト化して持つことができるのか、ということですよね。
年間購入金額を最大化するロイヤル顧客を増やすことが、クロスセルモデルだと。

クロスセルモデルとは中村
上位20%の顧客が売り上げの80%を占めるという「パレートの法則」がありますよね。実際の割合は、30:70 や 25:75 など様々ですが、上位20%から30%ほどの優良顧客やヘビーユーザー、ロイヤル顧客などで売上の大部分を占めるというものです。
上位20%の顧客をどのように作るかは、どんなモデルであれ、重要なポイントです。
アクティブ顧客全体を増やすことよりも、この上位20%〜30%の顧客を作り出すための顧客戦略の考え方が重要です。

折橋
そうですね。様々な企業様の売り上げを分析すると、少数の顧客が売り上げの大半を作っているというのは事実ですよね。
だからこそ、どうやって利益の源泉である、上位20%の顧客を作るのかが重要な戦略になりますね。これは単品定期モデルでも、クロスセルモデルでも同じですね。

パレートの法則

顧客ステージ:各顧客ステージの特徴

折橋
では、次に、顧客ステージという話にいきましょう。
「ダイレクトビジネス」は、顧客を理解することが最も重要とされています。
「顧客=買ってくれる人」というような、ざっくりとしたとらえ方ではだめですよね。
様々な顧客データを元に顧客のセグメンテーションを行い、それぞれのステージごとに顧客の特徴や課題を明確にすることで、戦略を立案し、施策を実施していくことができます。
具体的には、初回購入客からロイヤル顧客までのいくつかのステージに分けますよね。

中村
そうですね。ダイレクト業界でもそれ以外でも、およそ5つの顧客ステージが存在すると思います。
1つ目は「初回顧客」。これは初めて自社商品を購入する顧客のことを指します。
2つ目は「リピーター」。これは自社商品を複数回リピート購入した顧客のことを意味します。
3つ目は「安定リピーター」。これは継続的に購入し、継続率が高く安定している顧客を指します。ここが第一段階のゴールになります。
さらに、4つ目は「クロスセル顧客」。これは2点目、3点目の商品も継続購入し、年間の購入金額が上がる顧客のことを指します。
5つ目は「ロイヤル顧客」。これが最終的なゴールであり、これら5つの顧客ステージが考えられます。

顧客ステージ

折橋
先ほど話ししたように、ダイレクトビジネスをうまく運用するには、顧客ステージごとの特徴や課題を理解することが重要となりますよね。

中村
全体の顧客像を把握することも大切ですが、施策を行うには、顧客ステージごとの特徴や課題を定期的にアップデートし理解することが必要です。これがダイレクトビジネス成功への鍵となると私は考えています。

この5つの顧客ステージがある中で、顧客育成の3つの「壁」が存在していると言えます。

一つ目の壁は初回顧客からリピーターへの移行です。つまり、一度購入した顧客が二度目の購入に進むかどうかが一つ目の大きな問題となります。

どんな業界でも、新規顧客を獲得しても、二回目の購入に移行する顧客は約30%程度です。逆に言えば、70%の顧客が再購入せず、そのまま去ってしまうという状況です。
多額の投資をして新規顧客を獲得しても、再購入しない顧客の方が圧倒的に多いというのが、様々な業界を見ても共通することだと思います。

折橋
そうなんですよね。業界によって多少の違いはあるでしょうが、顧客データ分析をすると、およそ70%~75%くらいが初回の1回の購入で終わっていますよね。

中村
この初回から2回目の購入への「F2(購入2回目)の壁」をどう乗り越えるかは、ダイレクトビジネスにおいて共通の課題で、そのため「F2転換」、すなわち2回目の購入に移行させるための施策を充実させています。

折橋
まさにそうですね。お試し商品であれ、本商品であれ、2回目購入は非常に難しい。だからこそ、本商品や2回目購入への「引き上げ施策」で、DMやステップメールを何回出すとか、アウトバウンドを組み合わせるとか、とにかく初回顧客に何回もアプローチして、一生懸命引き上げようとしますね。

中村
一方、それだったら、継続しやすい顧客を最初から獲得しようという考え方もあります。これについては、顧客獲得のパートでお話しします。
まずは、F2の壁をどう乗り越えるかが大きな課題になるということです。

次に直面する壁は、リピーターが安定リピーターになり、継続率が高くなるものの、クロスセル購入に進まない状況です。これは現在の通販業界でよく見られる現象で、顧客が一種類の商品をリピート購入するだけで、顧客単価が高くならない状態が続くことになります。
これを乗り越えられないため、多くの企業は新規顧客を一定数獲得し続けないと収益が上がらないという状況に直面しています。

折橋
「クロスセルの壁」ですね。一つの商品の継続率が高いのは良いけど、クロスセルはしてくれないと。
これは顧客が企業・ブランドに目が向いていないからなんですよね。今買っている商品しか見ていないので、他の商品のことには関心が低い。よく知らないから、他の商品も買ってみようとは思いませんね。

中村
そうですね。
最後の壁は、「ファン化の壁」です。これは、お客様が二つ目や三つ目の商品を継続購入する、つまりクロスセルが起こるにもかかわらず、自社のブランドに対して信頼や愛着が低い状況を指します。

大手企業のダイレクトビジネスなどで、この課題を見かけることがあります。お客様は、商品やサービスの機能や効果を認識していますが、企業との深いコミュニケーションがないため、ブランドへの強い想い入れが生まれにくいのです。
単に商品をリピートしたり、購入量を増やしたりするだけで、企業自体を愛するファンにはなってもらえていない。

これが「ファン化の壁」であり、ロイヤル顧客を作れないという問題です。

折橋
我々が開発した、「アンバサダーハリケーンモデル」では、顧客が「商品が大好き」という状態から、企業やブランドを深く知ることによって、「企業が大好き」という状態に至り、その企業を応援したいというマインドが高まると、アンバサダーになると考えています。
大事なことは、商品ではなく、企業に対してロイヤルティを感じていただかないと、クロスセルは生まれにくいし、LTVも上がらないということです。

コラム参照:口コミ循環の購買モデル「アンバサダー“ハリケーン”モデル」“売れ続ける”企業は何が違うのか。

中村
D2Cのようなビジネスモデルを考える場合、顧客数はそれほど多くなくても、非常に熱い想いを持った顧客の構成を高めることによって効率的にビジネスを展開すること、ロイヤル顧客を増やすことがとても重要です。

折橋
「ファン化の壁」を乗り越えることは、ダイレクトビジネスを成功させるために極めて重要ですね。

この3つの壁をどう乗り越えるかが、CRMの重要な課題ですね。

3つの壁

次回は、ダイレクトマーケティングにおける「顧客戦略・顧客獲得」のパートの「顧客戦略」の中の「顧客ステージ」の続きからお話していきます。

ダイレクトマーケティング実践講座〈第8回〉戦略のベースとなる5つの「顧客ステージ」とその特徴

 

この記事の著者

COCAMPダイレクトマーケティング部

(株)大広が培ってきたダイレクト・マーケティングの知見やノウハウを発信するチーム。 通販の初期から今に至るまで、変化する時代と顧客を見続けてきた第一線のプロデューサーやスタッフをメンバーに、ダイレクトビジネスの問題や課題を、顧客価値の視点から解いていきます。