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2024.04.12

ダイレクトマーケティング実践講座〈第21回〉コンタクトセンターの「インバウンド」と「アウトバウンド」とは

COCAMPコラムの中でも特に人気のテーマである「ダイレクトマーケティング」。この連載コラム「ダイレクトマーケティング実践講座」では、大広と協働し、様々なクライアントのダイレクトマーケティングやCRMを実行する株式会社クロスエムの中村光輝氏とともに、ダイレクトマーケティングで重要な「事業戦略」「顧客戦略・顧客獲得」「顧客育成」「フルフィル・顧客管理」の4つの領域について、現場の実践に基づき解説していきます。

第21回は、ダイレクトマーケティングにおける④「フルフィル・顧客管理」の「フルフィルメント」の「コンタクトセンター」について解説します。

シリーズ一覧は、記事下部をご覧ください

ダイレクトマーケティング実践講座概要の図解

<ダイレクトマーケティング実践講座 講師>

中村 光輝さんのプロフィール写真中村 光輝 
(株)クロスエム 代表取締役
通販会社にて18年間、CRMを中心にマーケティング業務に従事。その後、2014年に独立。主に化粧品や健康食品などのダイレク ト事業を対象に、CRMのプランニングやマーケティング戦略の立案、顧客分析などをサポート。特に、ロイヤル顧客を軸とした戦略・施策のコンサルティングを多数手掛ける。

 

折橋 雄一さんのプロフィール写真折橋 雄一 
(株)大広 顧客価値開発本部 顧客育成局 マネジメントリーダー
メディアバイイング、TV通販会社の営業担当を経て、ダイレクトマーケティング業務に従事。TVインフォマーシャルを中心にしたアクイジション領域から、CRM戦略立案や顧客育成プログラム立案等のクライアントサポートを推進。調査と分析を核としたPDCAと、得られた知見を統合しオジリナルメソッドを開発することに力を注いでおり、通販の顧客インサイトを可視化した「カスタマージャーニーマップ」や口コミ循環のマーケティングモデルである「アンバサダーハリケーンモデル」を開発。

「インバウンド業務」は戦略的に利用する

折橋
次に、コンタクトセンターの話に移ります。コンタクトセンターとは、電話、メール、FAX、webサイト、SNSなど複数の手段で顧客対応を行う窓口のことです。ここでは、主に電話対応について話をしていきます。

コンタクトセンターでの電話対応には「インバウンドコール」(以下、インバウンドと表記)と「アウトバウンドコール」(以下、アウトバウンドと表記)があります。「インバウンド」とは、顧客から企業にかかってくる電話に対応する業務を指します。また「アウトバウンド」とは、企業から顧客に電話をかける業務を指します。

中村
インバウンド業務は大きく分けて4種類あります。まず1つ目は、新規顧客からの注文や資料請求の対応です。2つ目は、既存顧客からの注文や再注文の受付です。3つ目は、既存顧客からのさまざまな問い合わせ対応で、定期購入の解約や配送先変更、商品の返品交換、配送物やDMの未到着などに関する対応が含まれます。
最後の4つ目は、既存顧客からの相談業務で、商品の適切な使い方や健康・美容などの相談対応などを扱います。これらがインバウンドで扱う主な業務内容です。

特に、4つ目の顧客からの相談というのは、商品の使用方法や特徴、留意点などの情報を顧客に正確に伝えることで、顧客の商品に対する満足度を高め、その結果として顧客のロイヤルティを高めることにつながる、重要な役割を果たします。

インバウンド

折橋
商品の機能面だけでは他社との差別化がなかなか難しくなっていますので、サービス面で他社との違いを出すことが求められています。“サービスの質を向上させて、顧客から選ばれるブランドになりたい”という意味で、インバウンド業務における顧客対応のクオリティを高める取り組みをされている企業もあります。

中村
インバウンド業務に専門性を持たせるため、業務を内製化する企業も一部ありますが、多くの企業ではアウトソーシングに頼っています。専門性を高め、ノウハウを蓄積するには手間もコストもかかるため、コストとのバランスを考えながら、インバウンド業務を戦略的に利用することが求められます。
例えば、専門性がそれほど必要ではない①のような業務は外部に委託し、専門性が求められる③や④の業務を自社内で行うといった棲み分けをすることです。つまり、インバウンドの業務内容種類に応じて、自社内で対応するかアウトソーシングするかを選択している企業もあります。

折橋
「インバウンド業務」と一口に言っても、業務のアウトソーシングを行うか、またはどの程度自社で担当するかは、企業の戦略や考え方によって異なりますね。

「アウトバウンド業務」は顧客情報管理とターゲットに即したスクリプトが重要

次にアウトバウンド業務に話を移します。
アウトバウンドの例としては、ダイレクトメールを送った後のフォローアップの電話や、電話でのアンケート調査などが挙げられます。

中村
アウトバウンドは、休眠状態に入っている顧客を活性化させるためにも使用されます。いわゆる「休眠顧客の掘り起こし」ですね。これは、特に通販会社でよく採用される方法です。ただし、アウトバウンドを行う際には、顧客にとって予期せぬ電話とならないように注意が必要です。可能であれば、ダイレクトメールを送って事前に告知し、顧客に電話をかける可能性があることを知らせておくと良いでしょう。不快に思う顧客もいるため、そのような場合は事前に許可を取るなどの配慮が必要です。

折橋
お客様が話しやすい状況を作ることは大切ですね。企業から突然電話がかかってくると感じさせないように注意すべきですね。

中村
またアウトバウンドの際は、顧客との会話をスムーズに進めるために、事前にダイレクトメールやチラシを顧客に送り、双方がそれを見ながら会話することが有効です。顧客と同じ資料を見ながら電話で話をすることで、お互いに別の場所にいても、比較的スムーズにコミュニケーションが取れます。そういう意味でも、アウトバウンド施策では、ダイレクトメールやチラシに関するフォローコールという形をとることも多いです。

折橋
ダイレクトメールやチラシを「お届けしているかと思いますが、ご覧いただけましたか?」というきっかけでお話ができますからね。そして実際に、ダイレクトメールやチラシを見ながらフォローの説明をしたり、質問にお答えしたりということができるので、顧客の理解も早くなりますね。

アウトバウンド

中村
そして、アウトバウンドの重要なポイントは、コールする顧客リストの精度です。顧客リストから一回だけ連絡を試みて終わりということではなく、複数回試みて初めて顧客との会話が実現することが多いです。そのため、どの程度の頻度で連絡を試みるか、あまりにも短期間に連絡を取ると顧客に悪印象を与える可能性があるため、リストの管理が非常に重要です。したがって、適切なコールリストの管理という点では、システムによる管理も重要であると思います。

折橋
いつ、何回、電話を掛けたかなどをきちんと記録して管理しておくことは大切ですね。架電する際は、その記録を見て顧客の都合を考えないといけませんね。

中村
アウトバウンドを成功させるためには、顧客の特性に合わせたトークスクリプトを作成することも大切です。トークスクリプトというのは、トークする内容の流れのことです。
顧客が新規購入者なのかヘビーユーザーなのかによっても、スクリプトの内容を変える必要があります。
一方、オペレーターも担当者によってクオリティが異なります。
ですので、顧客リストに合わせたスクリプトや、それに適したオペレーターで対応することが求められます。

折橋
現状では、いろいろな社会的な問題もあって、電話がかかってくることを好まない人が増えていますよね。特に小さな子供がいる家庭では、電話は嫌がられることが多いです。そのため、顧客からアウトバウンドコールを希望しないという要望があった場合は、その顧客情報を正確に管理し、要望を尊重することも非常に重要です。こういうことも顧客リストで管理しておかなければなりませんね。

中村
アウトバウンドコールを拒否している顧客に対して、間違ってアウトバウンドをしてしまったということを、まだまだ耳にすることがあります。顧客との良質な関係性を構築していくためには、このような基本的な顧客情報管理が不可欠であり、それを実現するためのシステムサポートが欠かせません。

次回は、ダイレクトマーケティングにおける④「フルフィル・顧客管理」の「フルフィルメント」の「コンタクトセンター」続きを解説します。 

「ダイレクトマーケティング実践講座」シリーズ一覧
ダイレクトマーケティング実践講座〈第1回〉「ターゲット」を見極める
ダイレクトマーケティング実践講座〈第2回〉コンセプトづくりのコツ
ダイレクトマーケティング実践講座〈第3回〉 「事業モデル」で戦略が異なる
ダイレクトマーケティング実践講座〈第4回〉「商品企画」における重要ポイント
ダイレクトマーケティング実践講座〈第5回〉安定した利益を生み出す「価格」設定とは?
ダイレクトマーケティング実践講座〈第6回〉ロイヤル顧客を生みだすための「チャネル」「販促」の考え方
ダイレクトマーケティング実践講座〈第7回〉「顧客戦略」は顧客ステージで変える
ダイレクトマーケティング実践講座〈第8回〉戦略のベースとなる5つの「顧客ステージ」とその特徴
ダイレクトマーケティング実践講座〈第9回〉収益化はロイヤル顧客がカギを握る
ダイレクトマーケティング実践講座〈第10回〉顧客獲得に向けた商品選定と戦略思考
ダイレクトマーケティング実践講座〈第11回〉最初のハードル「F2転換の壁」をどう乗り越えるか
ダイレクトマーケティング実践講座〈第12回〉リピーターを育てるコミュニケーションの要諦
ダイレクトマーケティング実践講座〈第13回〉ブランドへの信頼を築きクロスセルに導く
ダイレクトマーケティング実践講座〈第14回〉第2のハードル「クロスセルの壁」をどう乗り越えるのか
ダイレクトマーケティング実践講座〈第15回〉 徹底した顧客の理解がクロスセルを促進する
ダイレクトマーケティング実践講座〈第16回〉アップセルの成否は顧客のロイヤルティの見極めにある
ダイレクトマーケティング実践講座〈第17回〉 「ファン化の壁」を乗り越えて、ロイヤル顧客を作る!
ダイレクトマーケティング実践講座〈第18回〉 ロイヤル顧客を維持するには?
ダイレクトマーケティング実践講座〈第19回〉ロイヤル顧客の育成で直面する3つの課題
ダイレクトマーケティング実践講座〈第20回〉商品配送における顧客価値を見極める
ダイレクトマーケティング実践講座〈第21回〉コンタクトセンターの「インバウンド」と「アウトバウンド」とは
ダイレクトマーケティング実践講座〈第22回〉コンタクトセンターにおける「VOCの価値」と「顧客対応品質」
ダイレクトマーケティング実践講座〈第23回〉顧客管理の基礎はデータ分析にある

この記事の著者

COCAMPダイレクトマーケティング部

(株)大広が培ってきたダイレクト・マーケティングの知見やノウハウを発信するチーム。 通販の初期から今に至るまで、変化する時代と顧客を見続けてきた第一線のプロデューサーやスタッフをメンバーに、ダイレクトビジネスの問題や課題を、顧客価値の視点から解いていきます。