サプリメント通販において、お試し商品広告での効果的な訴求要素については、「サプリメント・カスタマージャーニー・マップ」で詳細にお伝えしました。
本コラムでは、サプリメント通販におけるCRMの成功法則について、弊社独自の調査データを基に解説します。お試し顧客を定期購入へ引き上げるための同梱チラシ、パンフレット、リーフレットやダイレクトメール、メールマガジンなどのCRMツールの効果的な表現、そして顧客育成に繋がる戦略的プログラムを詳しくご紹介します。
サプリメント通販に”効く”CRMツール表現を解明!
大広独自調査の目的
サプリメント通販では、お試し商品の購入のあと、毎月届く定期コースでご購入いただくのが主流のビジネスモデルになります。
ですから、お試し商品購入者に、定期コースに入っていただくことを目的に、ダイレクトメールなどを数回送るのが定石になっています。
また、定期コースに入った後は、商品にさまざまな案内物を同梱することが一般的です。商品と一緒にチラシやパンフレット等を同梱すればその分の配送コストはかかりません。目的は定期を継続して購入し続けていただくこと、自社の他商品をクロスセルしていただくこと、自社を理解し、自社のファンになっていただくことです。
この商品同梱ツールについて、どういうコンテンツを入れれば、お客様は定期に入ろうと決心したり、定期を継続しようと思っていただけるのでしょうか?
レスポンス率(注文率)だけでは、表現のどこが良かったのか、悪かったのかという詳細は分かりません。また、いつDMを送るのが効果的なのかというプログラムについても、お客様の心理を理解するために調査が必要だと考えました。
そのほかにも、お試し商品の価格についてや魅力的なオファーについても調査項目に加えています。
調査対象はサプリメント通販の購入者に絞って行いました。
この調査によって得られた示唆を、大きく「CRMツールの表現」と「CRMのプログラム」に分けてお話していきます。
サプリメント通販 CRMツール表現のマスト要素
サプリメント通販のCRMツール表現において重要な要素を「サプリメント通販CRMツール表現のマスト要素」としてランキング形式で整理しました。
サプリメント通販のCRMツールの表現で最も重要なのは「お得なオファー」、次いで「成分・メカニズム」、3番目は「体験談」、4番目に「原材料」、その他として「開発秘話・製法」となりました。
ひとつづつ、見ていきましょう。
示唆:「割引」は、本品購入においても、魅力のあるキーワード
●表現「定期コースは〇%割引!」 ⇒ 💗インサイト「何となく安く購入してみたい」
●表現「定期購入価格が手頃」 ⇒ 💗インサイト「継続購入ができる」
●表現「期間限定の特別なお知らせです」 ⇒ 💗インサイト「注文したい」
最も効果的なのは「お得なオファー」です。
割引などの魅力的な提案は、購入意欲を大きく高めることがわかっています。サプリメントの場合は特に、継続利用を想定した定期購入割引の訴求が有効です。
たとえば、初回定期コースが半額になるなどの特典があると、消費者は手軽に試してみたいと感じる傾向があります。
期間限定の割引もまた、早めに購入しなければならないという緊急感を与え、購入意欲を刺激します。
示唆:サプリメントでは科学的な説明、数値データが効果に信ぴょう性を与える
●表現「効果のグラフ表示」 ⇒ 💗インサイト「 確かなデータの裏づけがある」
●表現「美の2大成分が同時に!」 ⇒ 💗インサイト「手軽に2つも成分が同時に摂れる 」
科学的根拠や数値データ、グラフで効果を示す、メカニズムを論理的に解説することで、信頼性が高まり期待感が増します。
調査では、成分について詳しく説明したコンテンツが購入の動機となっていることが確認されています。
複数の成分が同時に摂取できるといった具体的な内容も効果的です。
示唆:サプリメントでは、使用者への共感、手が届く憧れの体現が、「自分もなれそう」との期待につながる
●表現「お試しいただいた方々から、よろこびの声を紹介」 ⇒ 💗インサイト「効果ありそう、良さそう」
●表現「利用者の感想文と笑顔の写真」 ⇒ 💗インサイト「本当に体重が痩せる」
●表現「タレントの〇〇るの健康的なイメージ写真」 ⇒ 💗インサイト「効果が高そうだ」
「体験談」は強い訴求効果を持っています。
使用者の喜びの声や同年代の方の生き生きとした姿の紹介は、共感を呼び起こし、自分もその効果を得られるのではないかという期待につながります。
タレントの健康的なイメージを活用することも、効果の信頼度を高める手法として効果的です。
示唆:サプリメントでは、素材の安全性やクォリティが重視される
●表現「ごくごく飲めるおいしい青汁」 ⇒ 💗インサイト「野菜不足が解消できる/大麦若葉の栄養」
●表現「農薬・化学肥料を使っていません」 ⇒ 💗インサイト「安心・安全である」
●表現「原材料の画像、製造過程の画像」 ⇒ 💗「安心して服用できるかな、手間をかけている」
●表現「パッケージに盛りだくさんの野菜や果物画像、裏面には成分書きがずらり」
⇒ 💗インサイト「実際にこれが全部入ってて一日一粒で済むのなら効果をみてみようじゃないか」
「原材料」の紹介も重要です。
素材のビジュアルや、産地、原材料の選定基準、生産者の顔などが、安心感に結び付いています。
また、パッケージデザインに原材料のイメージ写真を用いることも、毎日目にすることで信頼感や効果感を高める効果があります。消費者からは「野菜不足を補える」や「飲みやすく安心して続けられる」といったインサイトが見られます。
示唆:研究開発エピソードや、製法・工程の詳細が、信頼性を高め、 効果感を感じさせる
●表現「素材へのこだわりの説明、製法の写真とコメント」 ⇒ 💗インサイト「安全な材料、手間がかかる製造方法 」
●表現「製品紹介」 ⇒ 💗インサイト「年月をかけて作られている」
●表現「〇〇年間の研究の成果」 ⇒ 💗インサイト「効果ありそう」
「開発費用や製法」の紹介は、研究開発のストーリーや手間暇かけた工程を写真やイラストで伝えることで、商品への高級感や効果の信頼性を醸成します。
また、長年の研究成果や企業のこだわりを訴求することは、消費者に好印象を与えます。
以上が、サプリメントにおけるCRMツール表現の必須要素と言えます。
尚、スキンケアなど他カテゴリーでは異なる要素が重要になる場合もありますが、サプリメントではこのような6つの要素が特に効果的です。
サプリメント通販の戦略的CRMプログラムと価格&オファー
お試しから定期購入へ引き上げる、最も効果的な2つのタイミング
定期購入へ引き上げるプログラムについての調査結果です。
お試し商品を購入いただいた後の定期購入への誘導には、時間的要因と物理的要因の2つが重要です。
時間的要因とは、お試し商品が届いてからのアプローチのタイミングを指します。
調査によると、購入後の関心やインパクトは時間の経過とともに薄れるため、届いてから10日以内に引き上げに向けた施策を行うことが効果的だということがわかっています。
たとえお試し商品が1ヶ月分の内容量であっても、10日以内に接触を図ることが重要です。
物理的要因は、お試し商品が切れかけるタイミングでのアプローチです。
商品がなくなりそうになると消費者のニーズが高まるため、そのタイミングに合わせて本商品への注文を促すことが効果を発揮します。
この二つのポイントをしっかり押さえて引き上げプログラムを設計することが重要です。
お試し商品の価格帯による消費者の印象
お試し商品の価格帯による消費者の印象も調査しています。
無料トライアルは「損をしない」「気軽に試せる」「チャンス・ラッキー」といったポジティブな感情を生み、最も試しやすい価格帯とされています。
価格が1000円前後になると「損をしない」という感覚が薄れ、1500円を超えると「トライアルしやすさ」の印象が減少していきます。
一方で、2000円レベルになると「効果に期待できそう」という印象が強くなる傾向もあります。
しかし、価格が上がるほど消費者の購入抵抗感も高まるため、バランスが求められます。
結果として、500円から1000円程度のお試し価格が最も妥当だと感じり、試しやすさと効果への期待の両立ができると考えられます。
本商品購入への最強オファー3選
本商品へ引き上げる際の効果的なオファーとしては、割引に関する三つの鉄則があります。
まず初回購入割引です。
初回だけの特別割引は気軽に試す動機づけとなり、本商品の購入ハードルを下げます。期間限定割引も有効で、「今だけ」という緊急感が消費者を後押しします。
次に、定期購入割引です。
継続購入によるお得感が強調されることで、ブランドへの信頼度向上や健康意識の促進に寄与します。
例えば定期契約にすると50%オフや15%オフになるといった特典は、購入を促進する大きな要因になります。
さらに、送料無料も非常に強力な訴求ポイントです。
特に定期購入と組み合わせることで、毎月の商品お届けに送料がかからないことは消費者の継続的な利用意欲を支えます。個別購入時にも送料が高いと感じる場合、送料無料は購入決断の後押しとなります。
また、まとめ買い割引や一定金額以上の購入で送料無料といった条件設定は、購入単価の向上と全体の売上増加に繋がりやすいことも確認されています。
定期商品の到着時の消費者の印象
定期商品の到着時の消費者の印象についても注目すべき変化があります。
定期1回目の発送時点では、新鮮さや期待感から「早く飲みたい」という高揚した感情が強くみられます。しかし、定期購入を継続するにつれて、その高揚感は徐々に薄れていき、到着時に特別な感慨を抱かなくなる傾向があるのです。
この現象は、多くの方が経験しているのではないでしょうか。最初の数回は期待感や喜びが強いものの、回数を重ねるにつれて商品が日常化し、感情的な反応が減少してしまいます。
こうした変化を踏まえ、CRMツールに同梱する情報はできるだけ初回や2回目の発送時に集中させることが重要です。
この時期は、顧客の情報収集意欲が高く、商品の魅力やブランド価値をしっかり伝えるチャンスです。商品のこだわりや効果、企業の理念や研究ストーリーなど、ブランドの重要なメッセージは早めに届けることで、顧客の満足度や愛着の醸成につながります。
逆に回数を重ねた後の発送時は、情報の受け取りが薄くなるため、あらかじめ同梱物の量や内容を調整し、顧客に負担を感じさせない工夫が必要です。
これらの施策を組み合わせることで、定期購入者の離脱を防ぎ、継続的なファン育成が可能となります。
以上が、サプリメント分野におけるCRMツールの効果的な表現要素と引き上げプログラムの開発ポイントでした。
お得なオファー、成分・メカニズムの説明、体験談の活用、原材料の安心感、開発秘話・製造、などのストーリーを考慮しツールを制作する。
そして、CRMプログラムとしては、アプローチのタイミングや価格設定まで、多角的に検討することが成功の鍵となります。
まとめ
・CRMツールを制作する際には、「お得なオファー」、「成分・メカニズム」、「体験談」、「原材料」、「開発秘話・製法」が有効で、1つまたは複数使用することが必須。
・定期引き上げにはアプローチするタイミングが重要。また定期は初回の情報発信と割引施策が顧客継続に効果的。
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