サプリメントを1年以上継続購入されているお客様は、すべて 「優良顧客」として一括りにされがちです。しかし、本当にそうでしょうか?長期間にわたって商品をご愛用くださるロイヤルカスタマーの皆様も、その動機や意識、行動は決して一様ではありません。
本コラムでは、我々が独自に実施した定量・定性調査に基づく「サプリメント・ロイヤルカスタマー・マップ」をご紹介します。
このマップを通して、画一的なアプローチでは見えてこなかった、それぞれの顧客タイプが持つ深層心理やインサイトを明らかにし、LTV(顧客生涯価値)最大化のための新たな視点と具体的な戦略を探求していきます。
第2回となる本稿では、第1回で明らかにした5つのロイヤル顧客タイプに基づき、LTV最大化のための具体的な施策を作成しました。クロスセル促進策と離脱防止策に焦点を当て、各タイプへの最適なアプローチを解説します。
サプリメント・ロイヤルカスタマー・マップの各クラスターの特徴
マップをご覧ください。
企業信頼度と商品信頼度という共通の軸で、それらがHIGH、LOW、中間のいずれかによって、各クラスターをマッピングしています 。
企業信頼度も商品信頼度も「HIGH」というのが、クラスター1「これなしには生きられない」です。全体の約4分の1を占めます。ロイヤル顧客中のロイヤル顧客であり、ほとんどが「アンバサダー」と言ってもよいいでしょう。
商品信頼度は「HIGH」だが、企業信頼度は「LOW」というのが、クラスター2「私の元気の源」です。全体の約4分の1を占めます。商品だけに対しては、アンバサダーレベルとも言えます。これは我々の開発した「アンバサダー・ハリケーンモデル」で言うところの商品アンバサダーに近いのかもしれません。
次に中間地点に位置する、企業信頼度も商品信頼度もだいたい中間地点にいる方々は、クラスター3「サプリは未来への投資」です。特に体が不調というわけではないけれども、長く飲み続けていった方が良いのかなと、未来への投資になるなと思っている方々です。
こちらは、全体の約3割を占めるボリュームゾーンです。このクラスターの方々の企業信頼度、商品信頼度 を上げて、クラスター1「これなしには生きられない」に移行させたいところです。
そして、企業信頼度は 「HIGH」 ですが、商品信頼度が「LOW」なのがクラスター4「とりあえずサプリ」です。全体の14%ほどと少数ではあります。「とりあえずサプリを飲んでおけばいいかな」というところで、あまり運動など他のことはしない方々です。そもそも色々なサプリを試しているという点から、この方々はクロスセルを受け入れやすいでしょう。
そして、企業信頼度も商品信頼度も「LOW」なのは、クラスター5「いまだにお試し」です。全体の5%とごく少数です。まだお試し気分が抜けていないので、意識の転換が必要になってきます。「薬ではなくて栄養素なんだ」という意識に転換してもらい、クラスター3、そしてクラスター1に向けて育成していくことが課題となります。
サプリメント・ロイヤルカスタマーマップの各クラスターの特徴を一覧でまとめてみました。

離脱防止企画
5つのクラスターがある中で、最も離脱してほしくないのは、クラスター1「これなしには生きられない」です。また、クラスター3「サプリは未来への投資」もボリュームゾーンですので、離脱は避けたいところです。この2つのクラスターに対して、離脱防止企画を調査結果から検討しました。
「社長からの手紙」
●企画:「社長からの手紙」
●対象:クラスター1「これなしには生きられない」、クラスター3「サプリは未来への投資」
●狙い:企業姿勢を丁寧に継続的に説明し、理解度を深めることで信頼感を強める。また、社長だけでなく社員からの手紙も織り交ぜることで、企業姿勢が貫かれているという認識と親しみを持っていただき、離れ難くする。つまり、会社に対して元々ロイヤリティが高いこれら二つのタイプに対して、それをさらに強化していく
●タイミング:毎回のお届け物の同梱
●コンテンツ:社長の挨拶とお客様への愛、商品への愛、従業員への愛について語る手紙をシリーズ化するイメージです。
また、商品担当者、開発担当者、物流担当者、コールセンターオペレーターなどの社員それぞれの仕事の紹介と、お客様とのやり取りのエピソード紹介などを掲載するコンテンツが考えられます。
これによって、さらにロイヤリティを上げていくことにつながります。
「会員限定連載小説」
●企画:「会員限定連載小説」
●対象:クラスター1「これなしには生きられない」、クラスター3「サプリは未来への投資」
●狙い:ロイヤル顧客だけに向けた特別サービスとして、オリジナルの連載小説を投稿
●タイミング:毎回のお届けの同梱
コンテンツは、ほのぼのとした人の温かみや優しさをテーマにしたオリジナル小説や漫画、あるいは絵本のようなものです。 次回作をまた読みたくなる気持ちにさせることで離脱を防止します。 このような連載ものをすることで、それも楽しみの一つとして継続していただくということがポイントです。
「お客様モニター会員」
●企画:「お客様モニター会員」
●対象:クラスター1「これなしには生きられない」、クラスター3「サプリは未来への投資」
●狙い:ロイヤル顧客だけに向けた特別なお願いとして、商品やサービスの改善のためのモニターを組織。アンケートにお答えいただいたり、サービス改善の具体的な意見を募集し、その意見をもとに改善したことを報告することで、「自分の意見を取り入れてくれる信頼できる企業」ということを意識にしみ込ませていくことになります
●タイミング:商品お届けの同梱
コンテンツとしては、特別に選ばれたお客様をモニター会員として選ばれた旨を告知し、適宜新商品のモニターやサービス改善のご意見などを募集します。
また、グループインタビューを開催してご意見を頂戴することも考えられます。このような形で、お客様を巻き込んでいくことによって、ロイヤリティを上げていく、いわゆるアンバサダー体験をしていただくことになります。
「アンケートDM」
●企画:「アンケートDM」
●対象:クラスター1「これなしには生きられない」、クラスター3「サプリは未来への投資」
(この離脱防止策は、企業の情報を見ていただけるような人たちに対してしか効果がないため、同梱物を送ったりすることが中心になります)
●狙い:継続的に商品を購入していただいているお客様限定のアンケートを行い、意見を聞く場を設けること。回答者に対してはプレゼントを実施
●タイミング:商品お届けの同梱
コンテンツとしては、広告表現アンケート(どの広告表現が良かったかなど)、体験談、商品使用評価、サービス改善を聞くアンケートなどになります。謝礼のプレゼントは、例えば広告表現に使用した商品1本を差し上げたり、1回分の小分けにして商品をプレゼントしたりすることも考えられます。
イベント
●企画:イベント
●対象:クラスター1「これなしには生きられない」
(イベントは、ある程度のロイヤリティがないと参加していただけないので、「これなしには生きられない」タイプが対象になります)
●狙い:ロイヤル顧客に対してイベントにご招待し、参加していただくことで、企業にロイヤリティを感じていただき、アンバサダーになっていただく
●タイミング:商品お届けの同梱で告知
コンテンツは、オフラインの場合、有名人のトークショー、原料の産地や工場、会社訪問、社長のサロン会(社長といろいろ話せる機会)、商品や素材を使った参加型の料理教室などが考えられます。
もしオンラインであれば、オフラインで行っているイベントを中継し、それを見ていただくというようなことも考えられます。
いずれにしても、このような対面またはオンラインのイベントはロイヤリティ向上に役立ちます。
「特別感謝プレゼント」
●企画:「特別感謝プレゼント」
●対象:クラスター1「これなしには生きられない」
●狙い:たくさんお金を使ってくださっている上得意客に対して感謝を込めたプレゼントを送り、パーソナルな特別サービスを提供する
●タイミング:商品お届けの同梱で告知
コンテンツとしては、誕生日プレゼント(サプライズ企画など)、お歳暮や新年のご挨拶などですが、お客様の名前を刻んだプレートの設置を会社で行ったという報告をする、といったことも考えられるでしょう。
このように、元々ロイヤリティの高いお客様に対して、さらにそれを継続してもらい、離れさせないように特別感謝プレゼントを提供することで、「離れがたい」と感じていただけるようになるのではないかと考えます。
クロスセル促進企画
クロスセル促進企画は、DMやEメールなどでのアプローチが中心になります。
若さを保とう(アンチエイジング)
●企画:「若さを保とう」(アンチエイジング)
●対象:クラスター3「サプリは未来への投資」タイプの女性
●狙い:美しく年を重ねたいと思っている女性に、アンチエイジングの視点で商品を訴求し、クロスセルにつなげる
●タイミング:誕生日、季節の変わり目、随時
●コンテンツ:見た目年齢にギャップがある人の体験談や商品の紹介、年を取ってもきれいな著名人のインタビュー(生活習慣や愛用品など)、利用の悩み別に必要な要素の紹介(悩みに直結する商品紹介)など
●オファー:健康体操ブック(ストレッチなどが載っているもの)やスキンケア商品のサンプルなど
「100歳まで生きよう」
●企画:「100歳まで生きよう」
●対象:クラスター3「サプリは未来への投資」
(ボリュームゾーンである「サプリは未来への投資」タイプの方々に、より多く購入していただくことを意識)
●狙い:健康で長生き=未来への投資意識を高めて購入につなげていく
●タイミング:誕生日や年始、年度始めといった区切りの良い時期
●コンテンツ:高齢者で長く飲んでいる人の体験談や、元気な100歳の方へのインタビュー(元気の源、生活習慣などを紹介し、商品につなげていく)、権威者による元気で長く生きる秘訣の紹介(長寿遺伝子のようなものを紹介するなど)など
●オファー:健康体操ブックや商品カタログ付きカレンダー、バインダー(会員誌、ツール保管用)
健康長寿:家族に迷惑をかけない
●企画:「健康長寿:家族に迷惑をかけない」
●対象:クラスター3「サプリは未来への投資」
●狙い:年を取って家族に迷惑をかけたくないという不安を喚起し、商品購入に結びつけていく
●タイミング:敬老の日、酷暑の8月、極寒の2月、随時
●コンテンツ:家族仲の良い著名人のインタビュー(ライフスタイルなどを紹介)、親の介護で苦労した人の体験談(自分もこうなったらどうしようと思わせる)、健康状態別の老後のマネー事情(健康で長生きできるのが一番だが、そうでないとお金がかかることなどを伝える)など
●オファー:健康的に長生きするための脳トレBook 、季節対策グッズ(保温や冷却グッズなど)、健康知恵袋(季節ごとの危機管理・回避マニュアルなど)など
健康貯金キャンペーン
●企画:「健康貯金キャンペーン」
●狙い:年代に合わせたサプリで、年代別に必要な栄養素をテーマにして商品購入につなげる
●タイミング:誕生日、随時
●コンテンツ:権威者による年代別(例えば50代向け、60代向け、70代向け)の補うべき栄養素の紹介、年代別によく摂取されているサプリのデータと解説、利用者の年代別体験談(サプリの紹介)など
●オファー:万歩計、バインダー(会員誌、ツール保管用)
生活タイプ別サプリガイド
●企画:「生活タイプ別サプリガイド」
●狙い:運動の有無、食生活・食習慣(好き嫌い)、体質などをテーマに商品購入につなげていく (「こういうものが食習慣で足りていませんよ」とか、「好き嫌いがあってなかなか食べられないものがありませんか?」といった切り口で、それをサプリメントで補いましょうと提案)
●コンテンツ:権威者による体質別(体型、冷え、便秘、下痢など)に補うべき栄養素の紹介、食習慣別(肉または野菜が食べられない、アルコールやタバコの嗜好品が止められないなど)に補うべき栄養素の紹介、生活習慣別(運動、食事、趣味など)にタイプを分けて体験談を提示
●オファー:体温チェックシート、栄養素ガイドブックなど
以上、1年以上サプリメントを購入している方のインサイトを分析し、現状どのようなタイプのお客様がいるのかを明らかにした上で、すでにロイヤリティの高い方の離脱防止企画やクロスセル販売促進の企画というものを、調査結果から導き出しました。
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まとめ
・企業と商品への信頼度を軸に優良顧客を5つに分類したのが、ロイヤルカスタマーマップ 。
・離脱防止策として、企業との繋がりを強めるコミュニケーションや特別な体験を提供し育成する 。
・クロスセル促進企画として、 DMやEメールを通じ、顧客の「健康への意識」を喚起し、サプリメントの複数購入や長期利用を促す。
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