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2024.01.12

ダイレクトマーケティング実践講座〈第4回〉「商品企画」における重要ポイント

【COCAMP】ダイレクトマーケティング実践講座

COCAMPコラムの中でも特に人気のテーマである「ダイレクトマーケティング」。この連載コラム「ダイレクトマーケティング実践講座」では、大広と協働し、様々なクライアントのダイレクトマーケティングやCRMを実行する株式会社クロスエムの中村光輝氏とともに、ダイレクトマーケティングで重要な「事業戦略」「顧客戦略・顧客獲得」「顧客育成」「フルフィル・顧客管理」の4つの領域について、現場の実践に基づき解説していきます。

第4回は、ダイレクトマーケティングにおける「マーケティング戦略」から、「商品」について解説します。

前回の記事はこちら
ダイレクトマーケティング実践講座〈第3回〉「事業モデル」で戦略が異なる

ダイレクトマーケティング実践講座概要

<ダイレクトマーケティング実践講座 講師>

nakamura中村 光輝 
(株)クロスエム 代表取締役
通販会社にて18年間、CRMを中心にマーケティング業務に従事。その後、2014年に独立。主に化粧品や健康食品などのダイレク ト事業を対象に、CRMのプランニングやマーケティング戦略の立案、顧客分析などをサポート。特に、ロイヤル顧客を軸とした戦略・施策のコンサルティングを多数手掛ける。

orihashi折橋 雄一 
(株)大広 顧客価値開発本部 顧客育成局 マネジメントリーダー
メディアバイイング、TV通販会社の営業担当を経て、ダイレクトマーケティング業務に従事。TVインフォマーシャルを中心にしたアクイジション領域から、CRM戦略立案や顧客育成プログラム立案等のクライアントサポートを推進。調査と分析を核としたPDCAと、得られた知見を統合しオジリナルメソッドを開発することに力を注いでおり、通販の顧客インサイトを可視化した「カスタマージャーニーマップ」や口コミ循環のマーケティングモデルである「アンバサダーハリケーンモデル」を開発。

「商品企画」で重要な2つのポイント

折橋
4回からは、事業戦略の中の「マーケティング戦略」に入っていきます。具体的には、マーケティングの4Pである、「商品」、「価格」、「チャネル」、「販促」の4つの要素について取り上げます。

まずは、商品について。商品開発についてではなく、商品企画を考える上でのポイントについてです。

中村
一般的に、ダイレクトビジネスを展開する企業、特にメーカーの場合、商品開発と広告や販促は別々の部署で行われることが多いです。
商品の開発が先行し、商品が完成するまでに広告や販促の検討が始まることも少なくありません。これは少し厳しい表現かもしれませんが、「いい商品が売れる」という発想での物づくりです。しかし、いい商品が必ずしも売れるわけではないという現実もあると思います。

ダイレクトビジネスにおける商品企画の留意点というところでいきますと、2つポイントがあると思います。

1つ目のポイントは、薬機法などの法規制の中で、広告や販促において、商品の特徴をどのような表現で顧客に伝えることができるのかという点です。研究開発段階では社内で高く評価されていても、商品を販売するタイミングで、広告でどのように表現できるか、どのような言葉を使って伝えることができるのか、苦労することがあります。

折橋
これは我々広告会社も常に直面する問題ですね。特にサプリメントや化粧品ですと、広告等で効果効能を暗示するような表現はできません。「~に効く」というような表現は医薬品しかできない。でも、こんな素晴らしい成分が配合されているのを何とかお客様に伝えたい、ということで、広告制作では表現に悩みますよね。
非常に曖昧な表現で広告や販促を行う必要がある場合もあり、結果として、素晴らしい商品であるにも関わらず、なかなか売れないといった状況が生じることがあります。

では、どのようにアプローチすれば良いのでしょうか?

中村
私がダイレクトビジネスをやっていてとても感じることなんですけれども、商品を購入するエンドユーザーは一般消費者であり、その商品カテゴリーに関するリテラシーが必ずしも高いわけではないということです。

折橋
確かに。企業が作成した企画書通りに表現しても、顧客には全く響かないことはよくありますよね。ダイレクトビジネスですから、それはレスポンスですぐ分かります。

中村
ですから、意図は変えずとも、顧客視点の表現を早い段階から取り入れることが非常に重要です。つまり、商品の企画開発のスケジュールと広告や販促のスケジュールがうまく連動することが重要だと思います。

実際、私も通販会社にいたとき、なるべく商品開発と販売促進の担当者がワンチームで動くように進めていました。そうしていかないと、なかなか売れる商品にはならない。自分の反省も含めて、非常に痛感しました。

折橋
なるほど。商品開発の段階から、顧客視点での表現というか「言葉」を模索して、どうやって伝えるか、ということも考えながら商品を完成させていくというプロセスが必要ということですね。

中村
はい。
2つ目は、「顧客は効果を実感できるか?」ということです。健康食品や化粧品のような商品では、効果実感が重要な要素となります。しかし、効果を明確に実感しているのか、という点については疑問があります。私も以前の会社でこの点を考え続けました。

リピートしている顧客と購買をやめてしまった顧客に、効果実感に関するアンケートを行ったところ、ほとんど変わらない結果が出た商品もありました。
要するに、効果実感があるからリピートし、効果実感がないからリピートしないというだけではなく、購買前の期待に対して確認や納得感があり、頭の中で効果実感やその他のベネフィットを高めることでリピートにつながることもあったのです。

折橋
つまり、配合の設定が優れているからと言って必ずしも効果実感やリピートが高まるわけではないということですね。
効果実感と言っても、あくまで人間の感覚ですからね。どこで自分が確信をもてるのかということを考えると、「納得感」って大切ですね。情報がちゃんと染み込んでいると、納得感のレベルが違ってくると言えばいいんでしょうか。

中村
逆に言うと、顧客が納得感を持ちやすい情報を提供することが重要ですね。文字情報を含め、確認しやすい情報を整備することで、顧客の納得感を高めることができます。商品の企画開発においても、この視点は非常に重要です。機能性が高いからと言って必ずしも効果実感が得られ、リピート率が高まるとは限らないのです。

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商品企画から「商品の意味」を意識する

中村
商品の企画において、ターゲットセグメントを考慮することも重要です。
企業のブランドコンセプトや価値をどのように反映するかは、商品開発において必要な要素です。新規顧客獲得を目的とした商品や、クロスセルを促したい商品も存在します。
商品企画の段階で、どのようなターゲットにどのような購買方法を促したいのかを明確に設定することは非常に重要です。

例を挙げます。
私の経験ですが、特定の商品が企業のブランドコンセプトを象徴しているにもかかわらず、価格が高くて、売り上げが伸びていないということがありました。売上数量が少なく、ABCランクで言えばCランクに位置する「売れていない商品」でした。
しかし、その商品を購入している顧客を分析してみると、実はロイヤル顧客が大半を占めていたんです。
さらに、アンケート調査を行ったところ、購入している顧客は非常に満足度が高く、喜んで商品を購入していることがわかりました。
売上数量の観点から見ると、終売を検討してもよいほどの売り上げでしたが、この商品はロイヤル顧客が購入し、大変喜んでいる商品です。そのため、簡単に終売にすることはできません。
つまり、売り上げが低い商品でも、ロイヤル顧客にとっては、非常に価値の高い商品だったのです。

このような商品は、簡単に終売にするのではなく、むしろ売り上げを高めるための方策を検討するべきです。これによって、商品企画における課題の捉え方も変わってきます。
つまり、商品企画において、RFM(Recency, Frequency, Monetary)の視点でターゲットセグメントや商品購買分析を行うことが非常に重要な要素となるわけです。

折橋
「どの顧客層ならこの商品を喜んで買っていただけるのか?」「この商品はどの顧客層にどのタイミングで買っていただくとロイヤルティが上がるのか?」といったことを、戦略的に考えていくことができればいいですよね。事業全体の中で、商品の役割というか、意味づけをすることで、全体的にLTVを上げていければ良いですね。

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販売拡大のための“攻め”の「商品リニューアル」戦略

中村
商品についてもう一つ話をします。商品の企画開発において、ダイレクトマーケティングの特徴を生かす視点が、「商品のリニューアル」です。長年の愛用者を大切に考えるダイレクトビジネスだからこその重要な施策と言えます。
商品のリニューアルですから、既存の顧客がすでに存在します。既存の顧客の購買実態を基に、商品の顧客セグメントを明確化し、そのセグメントにおける課題を把握するための調査を行います。そして、どのようなリニューアルを行い、どのような結果を期待するのかを整理することが商品リニューアルの企画になります。

折橋
商品のリニューアルは、ある成分が使用できなくなったり、古くなってパッケージを刷新したり、というようなもので、やむにやまれずというのが多いのかなと思いますが、既存購入客のセグメントを明確にし、調査をして、より販売を拡大するための攻めのリニューアル企画もあるということですね。

中村
そうです。
一般的なセグメントの方法として、以下の3つのグループに顧客を分けることができます。1つ目は、現在利用している顧客のグループ。2つ目は、過去に利用していたが現在は使わなくなってしまった顧客のグループ。そして、3つ目は、今まで一度も利用したことがない未利用の顧客のグループです。

現在利用している顧客に対しては、不満要因を正確に把握することが重要です。これは、顧客の継続率を高めるためにも必要な要素です。
また、調査に参加していただいたり、お客様の声を活かしたりすることで、顧客のアンバサダー度を高めることができます。商品のリニューアルは、このようなアンバサダー育成の施策にもうまく適用できるため、非常に効果的な施策と言えます。

折橋
アンケートに答えたり、自分の意見を取り上げてもらったりすると、企業やブランドに対するロイヤルティは上がりますよね。商品リニューアルにおいても、既存のお客様にいろいろ聞くことで、不満要因の把握という有益な情報が取れると同時に、アンバサダー育成にも直結した施策になっているということですね。
企業に対して何かしらの行動をしてもらうことは、アンバサダー育成の重要な要素ですから。

中村
一方で、現在利用している顧客の不満だけに焦点を当てていても十分ではありません。継続要因も同じくらい重要、もしくはそれ以上かもしれません。
そのためには、変えてはいけない要素を明確に把握することです。変えてはいけない要素と、変えるべき要素を整理し、それぞれを考慮したリニューアルの設計を行うべきです。

折橋
考えてみれば、ごく当たり前のことですが、意外とおろそかにしがちということで、このような取り組みを適切に行うことが非常に重要ですね。

中村
次に、2つ目の過去利用顧客についてです。
この顧客に対しては、利用しなくなった理由や、満足できなかった要因を正確に把握することです。これは休眠顧客の活性化やクロスセルに繋がるポイントとなります。

最後に、未利用顧客についてです。なぜこれまで利用しなかったのかをしっかりと踏まえたうえで、クロスセルの施策を検討することが重要です。

それぞれのケースにおいて、どこに重点を置いてリニューアルを行うかを明確にする必要があります。具体的に言うと、現在利用している顧客の継続率をさらに向上させたいのか、それとも未利用顧客に新たに買っていただきたいのか、といった点を見極める必要があるということです。 これらの目的は、KPIとしてどのように設定されるかも重要です。

具体的なリニューアルのポイントを明確にするために、ターゲットセグメントを考慮しながら商品リニューアルを設計していくことが大切です。

折橋
まとめると、商品を適切にリニューアルする際には、以下の3点に注意を要します。

  • 長期愛用者の獲得:リピート購入を促進することで長期的な利用者を増やし、その継続性を確保。
  • 顧客参加:商品リニューアルにおいて顧客の参加を促すことで、アンバサダー体験を増やし、顧客のロイヤルティを高める。
  • CRM施策との連携:商品の開発だけではなく、CRM施策としても取り組むことが重要。

中村
私が以前勤めていた会社では、顧客参加型の商品リニューアルを重要な施策と位置づけていました。商品リニューアルはマーケティング戦略において非常に重要な施策だといえます。

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次回は、「マーケティング戦略」の「価格」についてお話していきます。

ダイレクトマーケティング実践講座〈第5回〉安定した利益を生み出す「価格」設定とは?

この記事の著者

COCAMPダイレクトマーケティング部

(株)大広が培ってきたダイレクト・マーケティングの知見やノウハウを発信するチーム。 通販の初期から今に至るまで、変化する時代と顧客を見続けてきた第一線のプロデューサーやスタッフをメンバーに、ダイレクトビジネスの問題や課題を、顧客価値の視点から解いていきます。