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2025.07.31

通販CRM戦略の成功へ!失敗事例と顧客3分類で学ぶ顧客維持施策の鍵

通販ビジネスにおいて、「CRMが重要」だと言われ続けています。その理由の一つは、昔と比べてメディア効率が悪化したことにあります。現代において、通販ビジネスをより成長させるためには、新規顧客を獲得することと同等に、既存顧客にいかに長く商品やサービスを買い続けてもらうか、つまり「顧客維持施策」が重要になっています。
 また、通販ビジネスは、商品を通して顧客と直接つながっていくものでもあります。例えば健康食品であれば、長く愛用してもらうことは、その人の健やかな人生に伴走することに他なりません。CRMを通して顧客との関係性を紡いでいくことは、通販ビジネスにおいてはそれほどまでに重要なことなのです。
 とはいえ、CRMは口で言うほど簡単なことではありません。多くの企業がCRM失敗事例を経験しています。
 そこで今回のコラムでは、多くのCRM失敗事例から得た、CRMの成功確率を上げる方法、そして効果的な「通販CRM戦略」についてご紹介します。高騰する顧客獲得コストを抑え、顧客のLTVを最大化するための具体的な対策として、顧客3分類の活用、最適な顧客維持施策、そして成果を出すためのリテンションクリエイティブの設計について解説します。

なぜ効果が出ない?「CRM失敗事例」から学ぶ3つの教訓

「CRMで良い感じのツールを導入したのに効果が出ない…」「様々なCRM施策を何年もやっているのに、継続率が上がらない…」通販ビジネスの現場では、そんな声をよく耳にします。

そこで、過去に失敗した様々なCRM施策をもとに、効果が出なかった理由を探ってみました。あなたのビジネスは、下記の「CRM失敗事例」に当てはまっていませんか?

失敗事例① CRMのターゲットを“難しい人”と認識していなかった!

CRMの効果が出ない場合、“ターゲット設定が間違っている”ことがほとんどです。以下は、通販ビジネスの顧客を3つのタイプに分けた「顧客3分類」ですが、この中でCRMのコアターゲットはどれか分かりますか?

【顧客3分類】
•    マジメさん:放っておいても継続購入してくれるロイヤル顧客
•    マヨイさん:一度購入したが、継続するか迷っている顧客
•    サボリさん:お試し感覚で一度購入したものの、継続意欲が低い顧客

結論からいうと、CRMでまずターゲットにすべきなのは、真ん中の“マヨイさん”です。

“マヨイさん”は、一度は期待して商品を購入・試用してみたものの、「これを続けて意味があるのかな、やっぱりやめようかな…」と迷っている顧客層です。実は、“マヨイさん”は一度商品を使った上で迷っているため、対応施策の難易度はかなり高くなります。

新規顧客獲得では、興味を持っている人の背中をポンと押すだけで購入につながる場合がありますが、“マヨイさん”はそう簡単に継続購入してくれません。つまり、CRMは難しい人たちに向けてのコミュニケーションが必要だと認識し、リテンションクリエイティブを設計しなければならないというわけです。

ちなみに、“サボリさん”は『初回お試し500円』などにつられて購入した層です。ボリュームが多いので狙いたくなりますが、そもそも続ける気がなく意欲も低いので、説得する余地が少なく、ここを攻めても成果は期待できません。

失敗事例② 放っておいても続けてくれる人にメッセージしていた!

“マジメさん”をCRMのターゲットにしてしまうのも、よくありがちな失敗事例です。

“マジメさん”は、商品を「すごく良い!」と感じ、真面目に利用してくれる、いわゆるファンです。CRMツールなどに対しても一番反応(リアクション)をくれるため、企業としては“マジメさん”の声を拾いたくなるし、もっとコミュニケーションをとりたくなります。

しかし、それがCRM失敗の元。“マジメさん”は放っておいても買い続けてくれるため、継続率を上げるという視点では、費用対効果は高くありません。なぜなら、“マジメさん”はすでに購入可能な範囲で最大限購入してくれているからです。例えば健康ドリンクの場合、1日3本ずつ真面目に飲んでいる“マジメさん”が、急に1日10本飲んでくれるようにはならないでしょう。

また、“マジメさん”とのコミュニケーションを大切にしすぎると、「パッケージの色が気に入らない」「ネーミングを変えて」というような、本来のCRMの目的とは関係のない要望をされる場合もあります。

このような“マジメさん”が重要になるのは、ファンマーケティングや口コミを増やすといった場合です。大切な“マジメさん”には、離脱を防ぐというスタンスではなく、アンバサダーになってもらおう!という気持ちで関係性を考えていきましょう。

失敗事例③ 動画や最新ツールを使っていた!

CRMの効果を出したいがために、インパクトのある動画や最新ツールを積極的に使った…なんてことはありませんか?

一見目を引くツールは効果がありそうに見えますが、CRMの最も主要なターゲットである“マヨイさん”には、ほぼ効果がないと言えます。

なぜなら“マヨイさん”は、もう商品のことを十分に知ってくれている人だからです。

“マヨイさん”は、

  • 購入前の情報収集: 最低限の商品情報は調べている。
  • 利用経験: 実際に使ってみて、良い点も悪い点も理解している。
  • 情報への飽和: もう情報はいらない(お得情報なら見るけど)

つまり、“こんなにスゴイ商品なんです!”という動画があっても、“マヨイさん”は「もう知っているから見なくていいや」という気持ちになります。皆さんもそうだと思いますが、やらなくても良いと分かっていることをやるのは面倒ですよね。だから、クリックもQRコードを読み込むのも面倒、たった1分だとしても動画を見るのは面倒…となるわけです。

実際の現場でも、何度試しても動画再生率が低く、費用対効果も悪かったというケースは少なくありません。世間ではDX(デジタルトランスフォーメーション)が推奨されているのに、通販ビジネス業界であまり浸透していないのは、こうした背景があるからだと考えられます。

CRMにおいては、いきなりデジタルツールに飛びつくのではなく、顧客を深く理解した上で、アナログツールも含めて冷静に判断することが重要です。これが効果的な「通販CRM戦略」を立てる上での重要な対策となります。

勝てる「通販CRM戦略」のコツとは?「欲張らないこと」が「顧客維持施策」の鍵

通販ビジネスにおいてCRMは非常に重要だと言われています。そのため、手っ取り早い方法で、大きな効果を上げたいと思ってしまいがちです。

しかし、CRMの効果はすぐには分かりません。ある顧客が3か月継続したことは、3か月経たないと分からないからです。今日行った施策が、1年後や2年後に影響する場合もあるでしょう。

長いスパンで考える必要があるCRM、その成功確率を上げるためには「欲張らないこと」が肝心です。では、具体的にはどうすればいいのでしょうか?
前段で紹介した「CRM失敗事例」を踏まえ、勝てるCRMのポイントを3つ挙げてみました。

  1. ターゲットの再設定
  2. ターゲットの再理解
  3.  リテンションクリエイティブの再設計

上記の3ポイントについて、詳しく解説していきます。

① ターゲットの再設定~「顧客3分類」から「マヨイさん」に集中する

CRMで効果を上げたい!というとき、どうしてもボリュームの多い“サボリさん”を狙ってしまいがちです。また、反応の良い顧客である“マジメさん”にアプローチしたくなることもあるでしょう。

しかし前述の通り、“サボリさん”は継続意欲が低く、“マジメさん”は放っておいても買い続けてくれるため、費用をかけても意味がありません。

ターゲット設定においては「欲張らず」に、最もCRMの効果が表れる“マヨイさん”を「顧客3分類」の中から見つけ出し、そこに照準を合わせていくのが、成功する「通販CRM戦略」の正解です。

② ターゲットの再理解~迷いの要因を徹底的に深掘りする「顧客維持施策」

次に大切なのは、一度は商品を購入・利用してくれた“マヨイさん”が、どんな理由で継続を迷っているのかを徹底的に理解することです。

とはいえ、“マヨイさん”は迷っている理由をうまく言語化してはくれません。そこで、まずは以下の手法で様々な声を集めていきます。

  • アンケート
  • 電話での聞き取り調査
  • お客様からのお手紙
  • 座談会

次に、その声をもとにワークショップを開き、迷っている理由を細かく分析していきます。例えば、「面倒くさい」と感じた人たちをグループにし、何が面倒くさいのかを話し合ってもらうのです。

そうすると「面倒くさい」と思う理由にも様々な種類があることが見えてきます。

  • 「続けても効果がないから面倒くさい」
  • 「忙しくて時間がないから面倒くさい」
  • 「飲む(使う)のが面倒くさい」
  • 「パッケージを開けるのが面倒くさい」 …etc

このように1つ1つの声をブレイクダウンしていく作業は非常に地味です。しかし、ここを怠ると中途半端なCRMツールや施策しか作れず、失敗事例に陥ってしまいます。

逆に言えば、“マヨイさん”が迷っている理由を正しく分析・理解できれば、どのように態度変容を促すかを考えることができ、継続購入に繋がるコミュニケーションが自然と見えてくるということです。これは効果的な「顧客維持施策」の基盤となります。

③ 「リテンションクリエイティブ」の再設計~顧客の心に寄り添うメッセージ

“マヨイさん”をターゲットとしたクリエイティブは、“揺れている気持ちを翻す”設計が重要です。

“マヨイさん”の気持ちを整理してみると、

  • 効果期待からの購入:効果を期待して、一度購入した。だから、効果を再度強調されても響かない。
  • 継続への迷い:一度使ったが、続けるか迷っている。でも、続ける理由が欲しいわけではない。

上記のような“マヨイさん”に対して、

  • 正論をズバリと言うコピー
  • 積極的に購入を迫るコピー
  • インパクトのあるビジュアル

…などでコミュニケーションをとろうとしても、効果は期待しにくいでしょう。

そうではなく、CRMにおけるクリエイティブは、顧客が迷っているポイントに共感し、「こういうことってありますよね」というメッセージを、楽しくデザインしていくイメージです。

例えば、結婚式場のプランナーさんや車のディーラーの営業さんを思い浮かべてみてください。顧客に無理強いせず、「こんな曲をかけることもありますよ」「こういうパターンもありますよ」と、顧客の迷う気持ちに寄り添ってくれます。彼らのコミュニケーションのとり方は、CRMのリテンションクリエイティブの参考になるのではないでしょうか。

CRMのクリエイティブに絶対的な正解はありません。ターゲットに徹底的に寄り添い、その気持ちを考え抜き、クリエイティブを制作する。世に出した後も、何度も微修正を重ねていく。

迷っているターゲットに対し、CRMを実施するこちら側も迷いながら試行錯誤を繰り返し、着実に進めていく必要があります。


まとめ:愚直な「通販CRM戦略」で「顧客維持」と事業成長を

通販ビジネスの経営者に向けて「CRMをやれば事業は成功する」という話を聞くことがあります。しかしCRMの攻略は、そんなに安易なものではありません。「新規顧客を獲得するための広告予算をCRMに回せば売り上げを伸ばせる」といった単純な話ではないのです。

CRMは、顧客を深く知り、その声を一つひとつ精査し、それに基づいたコミュニケーションを組み立て、積み上げていくことで、ビジネスをより成功に近づけるものです。特に「顧客3分類」を理解し、“マヨイさん”に焦点を当てた「顧客維持施策」を継続的に実行し、顧客に寄り添う「リテンションクリエイティブ」を設計することが重要です。

顧客と直接やりとりする通販ビジネスにおいて売り上げを伸ばしていくためには、顧客と愚直に向き合うCRMが、今後もずっと大切な施策であり続けるでしょう。


CRMのターゲット設定に役立つフレームワークシートもご用意しています。ぜひご活用ください。

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この記事の著者

COCAMPダイレクトマーケティング部

(株)大広が培ってきたダイレクト・マーケティングの知見やノウハウを発信するチーム。 通販の初期から今に至るまで、変化する時代と顧客を見続けてきた第一線のプロデューサーやスタッフをメンバーに、ダイレクトビジネスの問題や課題を、顧客価値の視点から解いていきます。