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2024.06.17

UGCとは?今注目されている理由やマーケティングに活用する際のポイント、事例を分かりやすく解説

UGCは、近年マーケティングで重視されている、企業のみでは生み出せないコンテンツです。この記事では、UGCのメリットやマーケティングにおける具体的な活用方法、UGCマーケティングの注意点まで分かりやすく解説します。企業の活用事例も併せて紹介するので、ぜひご覧ください。

UGCとは

UGCとは「User Generated Contents(ユーザー生成コンテンツ)」の略称で、消費者である一般のユーザーが自発的に作るコンテンツのことです。具体的には、消費者個人のInstagram(インスタグラム)やX(旧:Twitter)での投稿、情報サイトで寄せられる口コミや商品レビューなどが挙げられます。形式はテキストに限らず、画像(写真)や、YouTubeのような動画サイトで配信された動画などもUGCになります。

企業やサービスへの評判がビジネスに与える影響が大きくなっているなかで、UGCは今や重要なマーケティング手法の1つとなりました。近年では、UGCを駆使して目標達成のための分析・改善・施策を行う「UGCマーケティング」に取り組む会社が増えています。

UGCが重要視されるようになった理由

UGCが企業のマーケティング活動において重要視されるようになった理由には、まず「情報に対する消費者の意識変化」が挙げられますSNSの普及に伴い、情報があふれ飽和状態となっている現代社会において、「間違えた」「最悪な思いをした」といった、ネガティブな体験をしてしまうリスクを少しでも回避したいと考える消費者が増えているのです。そのような意識変化のなかで、「既に体験している人の声」であるUGCを活用すれば、商品購入後のイメージがしやすくなり、ネガティブな経験を回避しやすくなることから、重要視されるようになりました。

加えて、多くの消費者からUGCが情報として信頼されやすくなったことも大きな理由です。近年では、企業よりも第三者である一般消費者が商品やサービスを紹介するほうが公平性があり、信頼できる(失敗しない)と考える消費者が増えているのです。PR Newswireが公開した海外の大手ソーシャルコンテンツプラットフォームの「TINT」によるレポート※1では、消費者の多くは企業が生成するコンテンツよりも、実際の顧客によるレビューを信頼していることが分かりました。

UGCの重要性と消費者の意識変化が顕著に現れるビジネスには、オンラインショッピングが挙げられます。直接商品を手に取って確かめることができないオンラインショッピングでは、消費者は実際に購入した人のリアルな意見を参考にして商品を見極めたいと考えます。従って、オンラインショッピングで使われるECサイトやECモールなどでは、購入者のレビューに対する価値が特に高まる傾向にあるのです。

このような考えを持つ消費者の代表例には、1990年代後半から2000年代前半に生まれた「Z世代」が挙げられます。Z世代は、商品を購入する際に情報収集としてInstagramをはじめとするSNSを参考にすることが多くあります。たとえばECサイトで洋服の購入を検討するとき、企業が用意したモデルが服を着ている写真より、自分と同じくらいの世代や体格の人が実際に商品を日常で着ている写真を参考にするのです。幼い頃からインターネット社会で育ち、1020代はスマホを片手に過ごしてきたZ世代ならではのUGCの活用方法ともいえるでしょう。

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なお、経済産業省※2が行った調査によると、2022年における物販系分野BtoCECの市場規模は、前年度比5.37%増加の139,997億円と、毎年拡大していることが明らかになっています。インターネットが密接にかかわる社会傾向からも、今後市場が拡大していく可能性は高く、そのなかでUGCはより重視されるでしょう。

UGCとIGC・CGMとの違い

UGCと混同されやすい言葉に、「IGC」と「CGM」があります。

IGCとは「Influencer Generated Contents」を略した言葉で、インフルエンサー(周囲への影響力を持つ人)によって作られるコンテンツを指します。多くは企業からの依頼で制作されるもので、たとえば、YouTuberがプロモーションマークを表示して商品紹介をする動画もIGC1つです。制作にあたっては、インフルエンサーへの依頼料や商品の無料提供など、コストがかかる場合が多いのがUGCと異なる点です。

CGM(Consumer Generated Media)とは、口コミやレビューといったUGCそのものではなく、それらのUGCによって成り立つWebメディアのことを指します。口コミサイトや質問投稿型サイト、ネット掲示板などがその例です。

005-1

(UGCと似た言葉の違い)

UGCを活用するメリット

企業がUGCを活用するメリットとして、以下のようなことが挙げられます。

  • ユーザー目線のクリエイティブとニーズを知ることができる
  • 体験者発信の情報で、説得力と信頼性が形成される
  • ターゲットに情報を届けやすい
  • ECサイトやLPのCVR向上につながる

ユーザー目線のクリエイティブとニーズを知ることができる

UGCを活用することで、企業のみでは気付けないユーザー目線の意見を反映したクリエイティブの商品開発や、新たなニーズを知ることができます。商品改善や新商品の開発に役立て、他社との競争優位性を高められるだけでなく、企業規模でユーザーの声を取り入れることで、ブランド力の強化や企業方針の改善もできるでしょう。

体験者発信の情報で、説得力と信頼性が形成される

UGCには、ユーザーからの信頼や顧客価値を高めやすいメリットがあります。基本的に企業が作るコンテンツは、商品のよい部分のみを紹介しがちです。企業の一面的な情報発信が続くと、ユーザーは徐々に不信感を抱くようになることがあります。UGC実際に商品を使った人の声なので説得力があり、悪い面も含めて商品をよりリアルにイメージできます。結果として、購入後も期待とのギャップが生じにくく、商品満足度を高めやすくなるのです。

ターゲットに情報を届けやすい

企業の商品やサービスに肯定的なUGCSNS上で拡散されれば、企業側が集客に関与しなくともターゲット層に情報を届けられるメリットがあります。企業がマーケティングを行う場合、施策を打つ期間や範囲が定まっていることが一般的ですが、UGCの場合はユーザーが発信したコンテンツが別のターゲットを引き付け、期限なく、より広く情報を拡散できる可能性があります。自社のマーケティング活動のみでは届かなかった層にも情報が伝われば、新たなターゲット層の獲得も期待できるでしょう。

ECサイトやLPのCVR向上につながる

ECサイトやLP内にUGCを設置することで、CVRの向上が期待できます。企業による商品紹介のみのページよりも、消費者目線での感想が書かれたUGCを一緒に掲載しているページのほうが、ユーザーの商品購入に対するハードルが下がりやすいためです。

ユーザーは、共通のニーズを持っていると感じた既存購入者のコメントに親近感を抱きます。UGCがあることで「ほかの人も満足しているなら、私も購入してみよう」という気持ちが生まれやすく、購入への後押しとなるのです。

UGC創出を促すためのマーケティング施策

UGCは、以下のような方法で生成を誘発できます。

005-2(UGC生成の誘発方法)

ハッシュタグを使う

ハッシュタグ(#)とは、X(旧:Twitter)やInstagramなどで使われている、話題を分類できるタグのことです。自社に関するUGCを見落としにくくなり、ユーザーにとっては情報収集がしやすくなったり、欲しい情報が速やかに得られたりするメリットがあります。

公式アカウントで引用する

商品やサービスのよさが伝わるUGCを見つけたら、公式アカウントで引用し、拡散しましょう。一般ユーザーのアカウントのみで投稿を完結させるよりも、閲覧数の増加が期待できます。また、公式アカウントをフォローしているユーザーは、既にその企業や商品に対して興味を持っているため、フォロワーに向けてUGCを定期的に発信することで、関心低下の抑止につながります。

ユーザーが楽しめるキャンペーンを打つ

企業の投稿に対し、引用やコメントをすることで特典がもらえるといった内容で、ユーザー参加型のキャンペーンを打つのもおすすめです。また、オフラインのキャンペーンも、参加したユーザーが感想のUGCSNS上で発信することが多く、効果的といえます。

UGCを活用したキャンペーンは、参加したユーザー同士のエンゲージメントを向上させる効果も期待できます。エンゲージメントが高まると、ユーザー同士の共通の話題として、商品やサービスについてのUGCをより発信してくれるようになるため、企業にとってのメリットも大きくなります。キャンペーンの際はハッシュタグを忘れずに使いましょう。

UGCマーケティングの活用事例

ここでは、UGCマーケティングの活用事例をご紹介します。

  • 株式会社再春館製薬所
  • 株式会社ヤッホーブルーイング

株式会社再春館製薬所

ドモホルンリンクルで有名な再春館製薬所では、会社の公式サイトにUGCを掲載しています。ドモホルンリンクル商品購入のページ内にInstagramを掲載し、購入者の投稿を簡単に見られる仕様にしているのが特徴です。UGCは、商品が届いた直後の心境や、一定の期間使用してからのレビュー、キャンペーン当選についてなど、購入前のユーザーにとってニーズが高い内容が多く、ページまで来たユーザーに購入を決意してもらうための後押しとして、UGCを役立てています。購入者側の意見を掲載し、企業のみで作られる商品ページでは得られない安心感を与えている事例です。

株式会社ヤッホーブルーイング

ヤッホーブルーイングは、「よなよなエール」や「水曜日のネコ」などで有名なクラフトビールのメーカーです。X(旧:Twitter)を利用して、ユーザーが楽しめるハッシュタグキャンペーンを定期的に開催しており、新商品を出した際には、商品の感想をハッシュタグ付きで投稿した人のなかから抽選景品を送るキャンペーンを実施しました。キャンペーンに参加するユーザーの投稿(UGC)が宣伝となり、なかには期間限定の企画で使われたプレゼント商品がSNSやメディアで反響を呼び、商品化されたケースもあります。情報の拡散やニーズの情報収集に活用するだけでなく、UGCを通じて顧客価値を高め、商品展開も実現した事例です。

UGCマーケティングの注意点

さまざまな効果が期待できるUGCマーケティングですが、施策を打つにあたっては以下のような注意点もあります。

  • 著作権に注意する
  • 薬機法に注意する
  • UGCのみで商品紹介しない
  • ステルスマーケティングへの対策

著作権に注意する

UGCは原則、コンテンツを作成したユーザーに著作権があります。一般ユーザーのUGCを許可なく転載してしまうと、場合によっては違法行為となる恐れがあります。ユーザーのなかには不特定多数の人に発信する意識を持たずに、何気なくコンテンツを投稿している人もいるでしょう。投稿を引用する場合はDMやメールで掲載許可を取り、アンケートや口コミを収集する場合は、掲載する旨を利用規約に記載し、同意のチェック項目を設置するようにしましょう。

薬機法に注意する

薬機法とは、人々の健康のために医薬品、医薬部外品、化粧品などにおける誇大広告を抑止するための法律です。この法律は企業の広告やコンテンツだけでなく、UGCにも適用されるため、引用の際には注意が必要です。

たとえば、「肌が白くなった」という記載は、本来の肌の色そのものが変化する表現になってしまいます。たとえユーザーが体感したという事実に基づいていたとしても、薬機法の承認を受けた効果ではないため、違反と見なされます。

UGCのみで商品紹介しない

UGCはユーザーの顧客価値を高めるのに有効ですが、UGCに商品紹介を全て担わせると、商品の本当のよさが伝わらない恐れがあります。商品を製造した企業だからこそ伝えられるアピールポイントは、積極的に発信しましょう。過剰な宣伝はネガティブに捉えられる場合もありますが、商品に対する思いや他社と差別化できる強みを伝えるのも、消費者への有効な訴求方法です。

ステルスマーケティングへの対策

ステルスマーケティング(ステマ)とは、消費者に気付かれないように企業が自社の商品やサービスを宣伝したり、推奨したりすることです。主には、一般消費者になりすましてUGCを装った投稿をしたり、芸能人やインフルエンサーが行うIGCであるのにもかかわらず、広告だと気付かれないように宣伝したりすることが挙げられます。

信頼性が高まりやすいUGCを利用し、企業が第三者を装って商品やサービスの宣伝をすることは、消費者が誤認するコンテンツとして景品表示法違反となる場合があります

また、IGCのように消費者やインフルエンサーに商品の宣伝を依頼する際には、企業から依頼を受けたことを発信者(インフルエンサー)がPR表記で明示することも義務付けられています。

まとめ

消費者の声が大きな影響力を持つ近年、UGCは企業のマーケティングにおいて重要な役割を担っています。宣伝広告だけでなく、ユーザーニーズを捉える目的でも、企業にとって有益となるUGCマーケティングを始めてみてはいかがでしょうか?

「顧客価値を意識したマーケティングをしたいけど方法が分からない」「自社サービスのよさがなかなかユーザーに伝わらない」などの課題をお持ちでしたら、ぜひ大広にご相談ください。

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※1出典:「New Report Finds Authentic User-Generated Content Most Trustworthy」、PRNewswire
https://www.prnewswire.com/news-releases/new-report-finds-authentic-user-generated-content-most-trustworthy-301729865.html
(最終確認:2024年5月13日)

※2出典:「令和4年度電子商取引に関する市場調査」、経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf
(最終確認:2024年5月13日)

この記事の著者

COCAMP編集室

「ビジネスは、顧客価値でおもしろくなる」をコンセプトに、ビジネスにおける旬のキーワードや課題をテーマに情報発信しています。企業の大切な資産である「顧客」にとっての価値を起点に、社会への視点もとり入れた、事業やブランド活動の研究とコンテンツの開発に努めています。