COCAMPコラムの中でも特に人気のテーマである「ダイレクトマーケティング」。この連載コラム「ダイレクトマーケティング実践講座」では、大広と協働し、様々なクライアントのダイレクトマーケティングやCRMを実行する株式会社クロスエムの中村光輝氏とともに、ダイレクトマーケティングで重要な「事業戦略」「顧客戦略・顧客獲得」「顧客育成」「フルフィル・顧客管理」の4つの領域について、現場の実践に基づき解説していきます。
第6回は、ダイレクトマーケティングにおける「事業戦略」の「マーケティング戦略」から、「チャネル」と「販売促進」について解説します。
シリーズ一覧は、記事下部をご覧ください
<ダイレクトマーケティング実践講座 講師>
中村 光輝
(株)クロスエム 代表取締役
通販会社にて18年間、CRMを中心にマーケティング業務に従事。その後、2014年に独立。主に化粧品や健康食品などのダイレク ト事業を対象に、CRMのプランニングやマーケティング戦略の立案、顧客分析などをサポート。特に、ロイヤル顧客を軸とした戦略・施策のコンサルティングを多数手掛ける。
折橋 雄一
(株)大広 顧客価値開発本部 顧客育成局 マネジメントリーダー
メディアバイイング、TV通販会社の営業担当を経て、ダイレクトマーケティング業務に従事。TVインフォマーシャルを中心にしたアクイジション領域から、CRM戦略立案や顧客育成プログラム立案等のクライアントサポートを推進。調査と分析を核としたPDCAと、得られた知見を統合しオジリナルメソッドを開発することに力を注いでおり、通販の顧客インサイトを可視化した「カスタマージャーニーマップ」や口コミ循環のマーケティングモデルである「アンバサダーハリケーンモデル」を開発。
通販チャネル、リアル店舗、そのメリット・デメリットは?
折橋
今回は、マーケティング戦略の中の「チャネル」についてです。
ダイレクト事業のチャネル展開としては、通販チャネルをイメージすることが多いと思いますが、自社でリアル店舗を運営することもダイレクトマーケティングと言えますね。
中村
通販事業の展開において、通販チャネルのみか、リアル店舗との並行展開か、どちらを選ぶかは重要な選択となります。どちらにもメリットとデメリットがあり、一概にどちらが良いとは言えません。
リアル店舗を持つことには、さまざまなメリットがあります。ただし、その場合、マルチチャネル展開をするのか、オムニチャネル戦略をするのかによって、サービス施策も含めて影響してくることになります。これはチャネル戦略を考える上で重要です。
折橋
マルチチャネルは、単に複数のチャネルを用意することで、オムニチャネルはチャネルが統合され、購入経路を意識させない販売戦略を行うということですね。
中村
はい。私は、通販のチャネルだけでなく、リアルの店舗も並行して展開するかどうかについて相談を受けることがあります。この場合、通販顧客と店舗顧客、それぞれどちらが優良顧客になるのかを検証したことがあります。
一般的に、チャネル別の顧客の特徴として、店舗を利用する顧客は購買単価や顧客単価がやや低い傾向があります。一方、通販利用顧客は単価が高い傾向があると言えます。
折橋
店舗では、店舗目的で来る顧客だけでなく、何か買い物ついでに立ち寄るという顧客もいますよね。また、購入した商品を持ち帰ることが多く、一度に多くの商品を持つことができないから、単価が低くなる傾向がありますね。
一方、通販では、配送料やオファーなども含めて、まとめ買いを促進する傾向があります。自分で持ち帰る必要がないため、単価が高くなる傾向がありますね。
中村
もう一つ、店舗利用顧客には、初期段階でのロイヤルティ形成が早く進むという特徴があります。初期のロイヤルティ形成には、人との接触や店舗の世界観を体感するということが非常に重要だということが、調査結果からわかりました。
顧客対応する販売員と直接触れ合うことで、顧客の中で未充足だった要素が解消されると、その場でロイヤルティが高まる傾向があるということがわかっています。
折橋
なるほど。店舗利用顧客は早い段階でロイヤルティが形成される傾向があるということですね。
では、通販利用顧客はどうですか?
中村
通販利用顧客は、長期的な視点で見るとLTV(顧客生涯価値)が高まる傾向があることがわかりました。これは、顧客が気になったタイミングで、商品をじっくり検証し、調べることができるからです。要するに、自分で納得感を高めながら購買を進めることができるため、最終的にLTVが高くなる傾向があります。
店舗チャネルで利益を出しにくいという側面も影響しますが、短期的なロイヤルティと長期的なロイヤルティをどのように考えるかによって、チャネル戦略や顧客戦略が異なってくると考えられます。
ちなみに、店舗で初期の顧客育成を行い、その後通販に移行させてLTVを確保するというアプローチも実際に行ってきました。このような顧客育成の手法も、生かしていくことができると思います。
折橋
まとめますと、店舗では、販売員や店舗の雰囲気が初期のロイヤルティ形成に非常に影響を与えやすい。短期的なロイヤルティ形成が特徴。
一方、通販では、顧客が興味のある情報を自分のタイミングでじっくりと読み込むことができるため、納得感が高まりやすく、それがロイヤルティの向上につながるという、長期的なロイヤルティが特徴。
そして、店舗で初期のロイヤルティ形成を行い、その後は通販でLTVを確保するというやり方も可能ということですね。
オファーの活用と、そこに潜む落とし穴
折橋
それでは、「販売促進」に移りましょう。
中村
販売促進における要素のうち、特にダイレクトマーケティングに関連する「オファー」についてお話したいと思います。
下図は、ダイレクトビジネスでよく利用されるオファーの種類です。その中でも最も代表的なものは値引きオファーや割引オファーです。オファーと言えば値引きや割引を思い浮かべることも多いかと思います。ネットクーポンなども含まれ、直接的に購入金額や支払い金額から値引きや割引を行います。
折橋
値引きや割引はレスポンス効果が非常に高いことは間違いありませんね。もちろん、その効果は値引きや割引の幅によっても異なりますが、顧客にとっては直接的で分かりやすいものなので、レスポンスが高まりますね。
中村
はい。次は、ポイント値引きです。
これは値引き割引オファーとほぼ同じと考えてもいいですが、ポイント制度において獲得したポイントを値引きとして利用するというオファーです。ただし、直接的な値引き割引とは異なり、ポイントは一度貯める必要があるため、初回顧客やライトユーザーの段階では反応が得られにくい場合もあります。
一方で、商品やブランドを継続的に購入する顧客にとっては、値引き割引とほぼ同じ意味を持つことから、非常に効果的です。特に、顧客の継続化を促す狙いにおいては、直接的な値引き割引に比べて、より効果的な施策となる場合もあります。
三つ目は、増量販売オファーです。
これもよく使用される方法で、ある商品の内容量を増やして販売することを指します。価格自体は変えずに、例えば商品のサイズを10%増量したり、通常3本セットで販売したりしている商品を1本追加して4本セットで提供するなどの方法があります。これはある意味で値引き割引と同等の効果を持ちます。リピーターにとっては値引き割引と同じくらい魅力的なオファーとなるため、リピーターに対して非常に効果的です。
増量販売オファーの利点について事例をお話しします。
以前、5本セットで販売していた商品を増量し、1本追加して6本セットで販売しました。その1本をどのように活用しているのかを調べてみると、リピーターの顧客は、購入サイクルがそれほど大きく変わらないことがわかりました。その追加の1本を、いつもより多く使用したり、知り合いにプレゼントしたりしている顧客もいることが分かりました。詳しく実態調査を行ったところ、ロイヤル顧客の3分の1近くの顧客は、知り合いにプレゼントした経験がある事例もあったくらいです。
折橋
そんなこともあるんですね!アンバサダーの顧客は、口コミを広めてくれる存在ですが、強力なオファーなどは口コミの促進にも役立ちますよね。口コミ効果によって、単なる売り上げ向上だけで終わらず、新規顧客の獲得にも間接的に影響を与えることもあるでしょう。こんな意味でも、オファーは効果を発揮するものとなりえますね。
中村
はい。四つ目はセット販売です。
商品Aと商品Bをセットにしてお買い得価格にすることで、主にクロスセル効果を狙ったオファーです。商品Aを購入している顧客に対して、今なら商品Aと商品Bをセットでお得な価格で提供していますよ、といった形で促進することが多いです。目的としては、商品Aの購入者に商品Bの購入を促すことになります。
折橋
これも、まとめ買いの要素を含んでいますよね。まったく興味のない商品は別ですが、単品で買うより、2つの商品をセットで買った方がお得になる、連続して使用するものや、関連性のあるものをセットにできれば、なおさら魅力的になりますね。
中村
五つ目はサンプリングです。
これは、多くの企業で行われている施策です。具体的には無料サンプルやミニサイズのプレゼントなどが含まれます。さまざまな顧客セグメントや商品の特性に応じて、パターンが存在します。
サンプリングは非常に重要であり、効果がある施策です。特にクロスセルをしやすいようなターゲットセグメントにおいては非常に効果的と言えます。
折橋
サンプルは実際に手に取って試すことができるので、施策としては強力ですよね。現物は強いです。
中村
最後にプレゼントオファーです。何かを購入すると、あるものをプレゼントするという施策です。特に、ヘビーユーザー層やロイヤル顧客層に対しては効果のある施策となります。
これらのオファーはよく使われますが、特に値引き割引には注意が必要です。レスポンスが高いのは良いことですが、気を付けないといけません。一般的に、値引き割引は「麻薬」と言われることがあります。10%オフに慣れてしまうと、その10%オフが普通の価格になってしまい、20%オフというさらに強い訴求にしか反応しなくなるということです。
折橋
顧客が、商品の価値ではなく、「値引き」という価値で購入してしまうことに慣れると、「安くないと買わない」ということになってしまいます。また、安ければいいので、他社にも流れやすい。そういう顧客を企業自らが作ってしまうということになりかねない危険なものでもありますね。
大広では、最もLTVが高くなるのは「クロスセルしてくれる顧客」であり、その「クロスセルに至った顧客」の インサイトとそのプロセスを明確にした「クロスセルカスタマージャーニーマップ」というものを作って、CRM施策立案の基礎資料としているので、ちょっとその中の、値引き割引オファーの怖さを示したものをご紹介します。
折橋
「お得感の荒野」と名付けているんですけど、「値引きオファー」のデメリットを表しています。ここでは、顧客は、お得感に惹かれているだけなので、CRMでも常に「お得感」のあるオファーでないと反応してもらえないのです。企業や商品よりも、お得感。
まるで「購買欲の酒場」でお得感に酩酊している状態なのです。当然LTVは低いまま。
また、安ければいいので、他社にも流れやすいのです。まさに荒れ地ですね。
CRM施策をあまり行わなかったり、安易に安売りに走ったりすると、「お得感の荒野」に落ちてしまう。
※クロスセルカスタマージャーにマップの詳細は、下記コラムで解説しています。
LTVを向上させたい!カスタマージャーニーマップから施策を考える| COCAMP 顧客と共創するマーケティングポータル
中村
私は、値引き割引オファーは極力使わなかったですね。
基本的には値引き割引以外の売り方というのを何か選択しながら、顧客の育成というのを考えていく方が、結果的にロイヤル顧客を生むんじゃないかなと。値引き割引オファーというのは、短期的な効果は高いけど落とし穴でもあるということが言えます。
折橋
先ほどの「クロスセルカスタマージャーニーマップ」も同じことを表現しています。まさに「安売りの落とし穴」だと。この落とし穴に落ちた先は、「お得感の荒野」なのです。
最適なオファーは顧客セグメントごとに異なる
中村
次に、顧客セグメント別のオファーということについてお話していきます。
オファーは顧客セグメントごとに有効なものが異なることがあります。具体的な例として、以下の表にまとめられます。
例えば、新規顧客獲得の場合、お試し商品を特別価格で提供したり、初回の定期購入を半額で提供したりするなどが該当します。初めて商品を購入した顧客に対して、お試し商品から本品への移行を促す施策や、本品の初回購入を割引価格で提供する施策も該当します。
また、クロスセルの場合、商品と一緒にサンプルを同梱したり、ミニサイズのプレゼントをしたりするなどが効果的です。ヘビーユーザー層に対しては、ポイントやブランドのオリジナル品のプレゼントなどが有効です。一方で、ブランドオリジナルの商品をF2(2回目購入)やF3(3回目購入)の段階で提供しても、あまり興味を示さない場合もあります。つまり、ターゲットセグメントごとに適切な商品やオファーが異なるということです。
折橋
確かに、長い間購入しているロイヤル顧客なら、ブランドオリジナルのプレゼントはこの上なくうれしく感じますね。しかし、まだロイヤルティが育っていない購入歴の浅い顧客は、そこまで価値を感じはしないでしょうね。
中村
こういった顧客セグメントの課題に適したオファーを選択することによって、ロイヤル化を促進することが重要です。逆に言えば、オファーを適切に設定しないと、なかなかロイヤル化が進まないということになります。
折橋
新規顧客に対しては、まだその商品や企業の価値が分かっていないので、価格的なオファーを出して購入のハードルを下げるのが有効でしょう。
逆にロイヤル顧客は、商品や企業の価値を理解しているので、価格的ではないオファー、限定品とか、特別提供品、非売品等の方が効果がありますね。
ポイント制度も顧客ステージに応じて設定する
折橋
次に「ポイント制度」についてです。
ポイント制度はフリークエンシープログラムとして一般的によく知られていますが、直接的な値引き割引を避け、商品価値を低下させずに既存顧客を囲い込む方法として使用されますね。
中村
ここで重要なのは、ポイント制度によるポイントの付与です。年間の購入金額や顧客のステージなどを考慮して、ポイントの付与率を設定することが一般的です。RFMという顧客分析を基に、適切な顧客のセグメント化が重要です。
ただし、単純にポイント制度を作って値引きを行うだけでは、利益が減るだけということもあります。売り上げを維持または向上させるため、クロスセルなどの施策を効果的に取り入れないといけません。
ポイント制度にはメリットとデメリットがあり、適切な顧客セグメントを行い、それに基づいて「顧客ステージ」を設定することが最も重要。そして、それに基づいてクロスセルを中心とした施策を最適化していく必要があります。
折橋
ポイント制度を導入すれば売り上げが上がるのかというと、そうではなく、制度を導入しただけではむしろ利益を下がるということになりかねない、ということですね。継続して買い続けると、お得なことがある、特典がある、と顧客に思っていただけるかどうかが重要ですね。
サービスでは、商品ではなく良い体験を提供する
中村
値引き・割引オファーには頼らない方がいいというところの裏返しとして、サービス施策が、ダイレクトマーケティングにおいてとても重要だと思います。
例えば、ある商品を何ヶ月か継続して購入するということは、購買前に期待した商品の機能や価値を認めているということですよね。その結果、継続率が上昇していく。
ただし、継続して購入しているからと言って、必ずしもクロスセルが行われるわけではありません。クロスセルやアップセルを促進するためには、サービス施策も重要な要素となります。
折橋
サービス施策というと、商品以外の付加価値サービスですね?
中村
はい。例えば、値引きや割引のオファーで強引にクロスセルを行っても、商品を継続的に購入するわけではありませんし、顧客のロイヤルティも向上しません。
製品の機能的価値だけでは競合他社との差別化が難しい現状の中で、顧客のロイヤルティを獲得できない。そこで、商品購入ではなく、良い体験を提供するサービス施策が重要になります。これはダイレクトマーケティングにおいて大切な視点です。
サービス施策の役割
中村
下の図をご覧ください。顧客がブランドAとブランドBを選択する際、商品の製品機能の価値がほぼ同じである場合、どちらを選ぶかはサービスや企業ブランドなどの差になります。特に若い世代になるほど、企業ブランドなどの要素が重要視される傾向が年々高まっているようです。
折橋
製品の機能以外で商品を選択することは、今では珍しい現象ではないと思います。顧客のロイヤルティを高めるためには、サービス施策による顧客体験が重要だと私も思います。顧客インタビューなどをやっていると、よくそういう話が出てきます。
中村
特にロイヤル顧客は一般的にそのブランドで良いサービス体験をしていることが多いですね。
サービス施策の肝はインナーブランディングと従業員満足度にある
中村
ダイレクトマーケティングにおけるサービス施策の例をいくつか紹介します。ダイレクトマーケティング、特に従来の電話注文などの方式を採用している通販会社では、コールセンターを運営しています。この顧客対応窓口は、先ほどの店舗におけるロイヤリティとも関連しており、顧客との接客によってロイヤルティに大きな影響を与えます。
顧客に対して「お客様の場合、この商品は必要ないと思いますよ。」というようなアドバイスを電話対応で行い、非常に喜ばれたというケースがありました。このような事例では、コールセンター部門において、顧客に喜んでもらうことを目標に、顧客の対応に徹底して取り組むというような姿勢が必要です。
具体的には、インバウンド時のセールスをKPIとするのではなく、顧客に喜んでもらえることを目標に顧客の対応を行います。対応に非常に感激して、その結果購入金額が増えてロイヤル顧客となっていった事例もありました。
折橋
今、売らないことで、後に売り上げになるということですね。このようなサービス施策は、長期的にみると、大きな売上促進につながりますね。
中村
はい。二つ目は、年間のご愛顧に対するプレゼントです。通販会社がよくやる施策ですけれども、これもやはりライトユーザー段階だとなかなか反応しない、オリジナルアイテムには興味を持たない顧客が多いのも要因です。
しかし、ロイヤル顧客に近づくにつれて、そのブランドへの好感度が高まります。そのため、ブランドオリジナルのアイテムがプレゼントされるなら、ちょっとまとめて買い物をしたり、いつも買わない商品を試してみたりすることで、単価が上がることもありました。そのため、商品とは直接的に関係のないプレゼント品を提供することも、サービス施策の一つと言えます。
商品同梱に、手書きのおはがきを書いたりする会社もありますが、これも一つのアプローチと考えられます。
ただ単なるセールスツールではなく、特にロイヤル顧客を意識したパーソナルメッセージというものは効果があります。手書きかどうかは作業効率も関わってくるため、選択ですが、顧客を具体的に意図したメッセージを届けることは非常に重要です。特に商品購買とは直接関係ないお手紙を書くだけで、NPSの向上や年間購買金額の増加といった効果が出たこともありました。そう考えると、このようなサービス施策は、オファー施策以上に効果的なのかもしれません。
これらのサービス施策を展開する上で、インナーブランディングや社員教育、そして従業員の満足度といった要素が非常に重要です。セールスをKPIとするのか、顧客の喜びをKPIとするのか、このような選択も従業員の満足度に大いに関わってきます。会社全体の取り組みに通ずる重要な要素と言えるでしょう。これらが実現できると、ロイヤル顧客を育成することにもつながると思います。
中村
最後に、アメリカの通販靴屋であるザッポスのCEOが言った言葉を紹介します。「お客様は何をしてくれたかは覚えていないかもしれない。でもどんな気持ちにさせてくれたかは決して忘れない」というものです。私自身もこの考え方が、サービス施策を考える際に重要だと感じています。
この言葉を胸に、顧客がどんな気持ちになるかを常に意識することは、サービス施策の構築において役立つでしょう。大切なのは、顧客に対してどんな感情を与えるかということです。これを心の底に置いて、サービスを提供することが良い結果を生むと考えています。
折橋
最後にまとめると、マーケティング戦略では商品、価格、チャネル、販促という項目が重要です。また、商品や顧客においてはRFM(Recency, Frequency, Monetary)という視点も欠かせません。
価格設定においては、単純な市場価格だけでなく、オファーや配送料なども考慮する必要があります。また通販のみの展開か、店舗も含む展開かによって、顧客育成の考え方も変わるでしょう。
販促に関しては、値引き割引オファーに頼らず、むしろサービス施策を重視することがマーケティング戦略において大切です。特にダイレクトマーケティングにおいては、サービス施策にきちんと取り組むことがとても重要です。
次回は、「顧客戦略・顧客獲得」の「顧客戦略」 についてお話していきます。
ダイレクトマーケティング実践講座講師の中村・折橋へのご質問やご相談は、こちらへお寄せください。
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