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2024.03.29

LTVとは?重視すべき理由や計算方法、改善施策を具体的に解説

LTVは「顧客生涯価値」の略語で、1人のユーザーが、ある企業に対して一生涯の期間で生み出す利益の大小を示す数値のことです。この記事では、LTVを向上させるための方法やポイント、計算方法などを解説します。

LTV(ライフタイムバリュー)とは?

LTV(Life Time Value)とは、1人のユーザーが一生涯に一企業へもたらす利益の大小を示す数値のことで、「顧客生涯価値」と訳されます。一方で、顧客視点では企業が一生涯のうちに個人へ提供する価値の総量を表します。

LTVを数値化して把握することは、顧客との関係性を把握したり、利益の質を検証したりすることにつながるため、企業活動やマーケティング施策では目標値として設定される重要な指標です。

LTVにおける数値の高低は、顧客それぞれの単価やリピート率、契約期間などによって判断されます。たとえ1回の顧客単価が高くても、リピート率が低かったり、短期的な利益だったりするとLTVは低く、1回の顧客単価が低くても持続的に利益を出す顧客であればLTVは高いということになります。このLTVの仕組みを図に表すと、以下の通りです。

LTVにおける数値化の高低

(LTVにおける数値化の高低)

LTVが重要視される理由

顧客一人ひとりのLTVが高いほど、企業にもたらされる利益は大きくなりますが、なぜLTVはこれほど重要視されるようになったのでしょうか?その背景には、主に3つの社会変容が挙げられます。

ロイヤルカスタマー獲得の重要性の高まり

ロイヤルカスタマーとは、企業や商品、サービスなどに対して強い愛着を持つユーザーのことです。近年では、このロイヤルカスタマーを獲得し、既存顧客に商品やサービスを継続的に利用してもらうことの重要性が高まっています。

ロイヤルカスタマー獲得の重要性が高まっている背景にあるのは、新規顧客獲得の難しさです。類似商品・サービスが市場にあふれ、競合他社と価格以外の部分で差別化を図ることが難しくなった昨今、企業は新規顧客を獲得するための価格競争に陥りやすくなっています。加えて、少子高齢化による人口減少も、需要減少や母数の少ない顧客の争奪に拍車をかける要因となっているでしょう。

さらに、新規顧客を獲得するには既存顧客維持の5倍ものコストがかかるという「1:5の法則」は、よく知られている通りです。特にリソースや認知度が大手企業と比較して不足している中小企業では、新規顧客の獲得の難易度は高い傾向にあります。

1対5の法則

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上記の事情を踏まえると、売り上げを上げるには新規顧客よりも既存顧客から利益を得るほうが効率的といえるでしょう。ロイヤルカスタマーによる継続率は90%以上といわれており、定着率の高さはもちろん、カスタマーシェア率も高くなる傾向にあります。さらに、ロイヤルカスタマーは商品の認知拡大を手助けするアンバサダーにもなり得るため、新規顧客獲得にもつながる好循環の発端にもなります。

こういったメリットから、ロイヤルカスタマーの育成、また顧客との継続的な関係構築を目的として行うOne to Oneマーケティングやファンマーケティングも注目度を高めており、その指標としてLTVが重要視されているのです。

●ロイヤルカスタマーの定義と見つけ方について詳しくはこちら
ブランドの命運を握る「ロイヤルカスタマー」とは? 定義と見つけ方を解説

●ロイヤルカスタマーを獲得するメリットについて詳しくはこちら
LTVって? なぜ重要?これからの事業に欠かせない知識


サブスク型モデルの隆盛

近年では、商品を都度購入するのではなく、定額で一定期間利用するサブスクリプション型のサービスが広く浸透しています。ユーザーのリピート利用を促しやすく、継続的に購入し続けてもらうことが収益に直結するサブスクリプションは、LTVが重要視される市場です。サービスや商品の質を高め、利用者にとって魅力的なプランを提供するといった方法で、LTVを最大限に高めることが求められます。

Cookie規制による新規集客難易度の上昇

これまでは、インターネット上でのユーザーの行動・閲覧・検索履歴などが分かるCookieによって、各個人に合わせた興味関心が高い広告を出すことが可能でした。しかし現在では、個人情報保護のために3rd Party Cookieを規制する動きが進んでいます。Cookieが規制されることにより、広告での外部集客の難易度は上昇するでしょう。そのため、既存顧客からの収益アップとともにLTVが注目されているのです。

LTVの計算方法

LTVの計算にはさまざまな方法がありますが、一般的には以下の計算式で算出されます。

LTV = 平均購入単価 × 粗利率 × 年間購入回数 × 継続期間

さらに、新規顧客獲得や既存顧客維持にコストを要する場合は、以上の式からそのコスト費用を差し引きます。

たとえば、平均購入単価10万円、粗利率40%、年間購入回数4回、継続期間5年で、既存顧客の維持コストに30万円かかっている場合、LTVは以下の式で算出されます。

10万円(平均購入単価) × 40%(粗利率) × 4回(年間購入回数) × 5年(継続期間) - 30万円(顧客維持コスト) = 50万円

LTVと合わせて確認したい指標

LTVへの理解を深めるうえで、併せて知っておきたいマーケティング指標は以下の表の通りです。

言葉 意味
ARPA Average Revenue Per Accountの頭文字を取った言葉で、1アカウント当たりの平均売り上げのこと。サブスクリプションビジネスや通信事業でよく用いられる指標。
CAC Customer Acquisition Costの頭文字を取った言葉。広告費、マーケティング費用、人件費などの顧客獲得のためにかかるコストのこと。
MQL Marketing Qualified Leadの頭文字を取った言葉。マーケティング活動によって創出された、商品へのニーズが高いと判断された(見込み)顧客のこと。
SQL Sales Qualified Leadの頭文字を取った言葉。MQLのなかでも特に購買意欲が高く、積極的にアプローチをすべきと営業部門が判断したリード(見込み)顧客のこと。
チャーンレート 解約率。
ユニットエコノミクス 顧客1人を獲得するために費やしたコストと、その顧客から得られる利益とのバランスを示す指標。

 

LTVの変動要素と向上させる施策

先ほども述べたように、LTVは「平均購入単価 × 粗利率 × 年間購入回数 × 継続期間」で求められます。ここでは、平均購入単価、粗利率、年間購入回数、継続期間の項目ごとに、LTVを向上させるためのマーケティング施策や注意点について解説します。

平均購入単価を上げる

平均購入単価を上げるには、アップセル、クロスセルなどの施策が効果的です。それぞれの違いは以下の通りです。

アップセル
アップセルとは、顧客が購入した・購入しようとしている商品よりも単価の高い上位商品を購入してもらう施策のことを指します。たとえば、ドリンクSサイズを購入しようとしている顧客に対して単価の高いLサイズを勧めて購入してもらうことがアップセルです。

アップセルの具体例には、以下のような施策が挙げられます。

  • 購入商品をアップグレードすることへの価値提供
  • 長期コース契約の特典提案
  • 最低購入単価・購入ロットの改定

クロスセル
クロスセルとは、顧客が購入した・購入しようとしている商品に関連する商品を併せて購入してもらう施策のことを指します。たとえば、ドリンクのみを購入しようとしている顧客に対して食べ物を勧めてセットで購入してもらうことがクロスセルです。

クロスセルの具体例には、以下のような施策が挙げられます。

  • レコメンド機能による関連商品表示
  • 複数購入者限定のクーポン提示
  • 商品のバリエーション拡充
  • 最低購入単価・購入ロットの改定

●クロスセルを生み出すための考え方詳細はこちら
LTVを向上させたい!カスタマージャーニーマップから施策を考える

粗利率を上げる/コストを下げる

商品単価は同じでも、原価削減・間接コスト削減などで粗利率を上げれば、収益性は高まります。商品を売り出すまでの工程を見直し、削減できるコストがないか確認してみましょう。また、前章のアップセルと同じ考え方ですが、原価や間接コストを削減するのではなく、商品に付加価値を付けて単価を上げることによっても粗利率は上がります。

具体的には、以下のような施策が挙げられます。

  • 原材料のコスト見直し
  • 配送会社の変更
  • 生産ラインの見直し
  • 商品の差別化要素の強化と単価引き上げ など

年間購入回数/購入頻度を上げる

顧客の購入頻度を上げ、年間購入回数を増やすには、顧客一人ひとりに合わせたカスタマーサクセスでのアプローチやインセンティブ(購入意欲を促すこと)を与える機会を設けることが重要です。

たとえば、商品購入による顧客の成功体験を実現させるために個別サポートを行ったり、顧客一人ひとりが特別感を感じる演出をしたり、企業や商品との接触回数を定期的に持たせることが愛着心を強め、リピーターの育成につながります。

購入頻度を上げる具体的な施策例は以下の通りです。     

  • 商品購入者へのクーポン配布
  • イベントの開催
  • ファンサイトの運営やイベントの開催
  • メールやSNSでのターゲットに沿ったメッセージ配信 など

また、顧客一人ひとりに合わせたアプローチをするにはCRMが重要です。CRMとは、Customer Relationship Managementの頭文字を取ったもので「顧客関係性マネジメント(顧客関係管理)」とも呼びます。顧客との関係性を購買データで管理し、顧客一人ひとりのニーズを把握することで、既存顧客を「リピートしてくれるファン」へと育成するのが目的です。

CRM施策では、実際に商品を購入しているアクチュアル顧客、見込み客、離脱顧客の3つのセグメントに分類して、それぞれに対して施策を講じることが効果的です。セグメントごとに接触タイミングや手段を設定し、何度も商品の価値を伝え続けることで関係性の確立につながるでしょう。

●CRM成功のための施策構築の基本について詳しくはこちら
成功するCRMの基本~顧客をセグメントして施策を構築する

継続期間を延ばす/解約率を下げる

リピート率を高めたり、契約を継続してもらったりするためには、ユーザーを飽きさせないコンテンツを提供することも重要です。また、解約を引き止める施策も強化することで、顧客の解約率を下げることにもつながります。

継続期間を延ばして解約率を下げる施策には、以下のような例が挙げられます。

  • 利用継続による特典の増加
  • 頻繁な商材の入れ替えと案内
  • ユーザーの意向に沿った商材レコメンド
  • 解約申し出時の特典配布
  • 解約申し出時の理由深堀り・データ取得 など

これまでご紹介したLTV向上施策を行っている例に、プロ野球球団のファンクラブが挙げられます。ファンクラブには、非会員よりも有益な情報を得られたり、優先的にチケットの購入ができたりするメリットがあります。さらに、会員のグレードによって得られる特典が異なるため、上位グレードへの移行増加によりアップセルに成功するケースや、継続期間を延ばせるケースがあるようです。

顧客満足度を上げてLTVを最大化するポイント

最後に、LTVを最大化するために押さえておきたいポイントを解説します。以下のポイントを意識しながら、LTV向上のための施策を行ってみましょう。

顧客の心をつかむ口コミ戦略で、好感度を上げる

企業側からの購買促進に向けた発信のみでは、これまで以上の売り上げアップは難しいでしょう。近年はインターネットの発達・普及により情報過多となっており、企業からの発信情報が埋もれてしまい、ユーザーに届きにくいためです。

そこで、企業からの発信だけでなく、ユーザー目線の口コミを活用し、情報の種類を増やすことが効果的です。特にロイヤルカスタマーは商品やサービスのよさを自身で発信してくれる傾向にあるため、広告費の削減や新規顧客の獲得も期待できるでしょう。

また、企業ブランドを応援・紹介してくれるロイヤルカスタマーを育てることで、LTVの高い顧客がさらに増えていくという好循環も確立されます。

●「ファンコミュニティサイト」でLTVを向上させるコツはこちら
良質な口コミの宝庫「ファンコミュニティサイト」の効果的な運用が、LTVを向上させ事業活性化を実現する!

●顧客の口コミを最大限に活用するアンバサダー発想のCRMのコツはこちら
アンバサダー発想のCRMで、優良顧客を生み出すプラス・スパイラルの嵐を起こす!

顧客が求めているブランド価値を知る「対話会」

顧客満足度を高め、末永く継続してもらうためには、自社のブランド価値を認識し直すことも重要です。そのためには、ロイヤルカスタマーに対して自社に求めている本当の価値を聞く「対話会」の実施をおすすめします。企業側では得られなかった視点や、良質なフィードバックをもらえることがあるため、思いがけぬ施策改善の糸口を発見する機会にもなるでしょう。

また、顧客の声を聞く際には「何が悪いか」という意見ももちろんですが、それ以上に「何がよいか」に重点を置いて耳を傾けることが重要です。何が響き、何がよいと思っているのか、また、どのような価値を与えられているのかというロイヤルカスタマーの口コミを知ることも、マーケティングの1つになります。

●「対話会」の具体的な実施例はこちら
顧客が求めているブランドの価値を「ロイヤルカスタマー」に聞く――ホンネを探索する「対話会」という手法【後編】

まとめ

LTV(顧客生涯価値)は、1人の顧客が一生涯のうちで企業に対して生み出す利益の総額のことを指します。ロイヤルカスタマー獲得の必要性が高まっていること、サブスクリプションビジネスの台頭などから、既存顧客と親密な関係を作りLTVを最大化することはマーケティング施策において重要です。

この記事を参考に、LTVの理解を深め、マーケティングを行ううえでの1つの指標として活用してみましょう。

●LTVを向上させるためのカスタマージャーニーの作り方について詳しくはこちら
LTVを向上させたい!カスタマージャーニーマップから施策を考える

●顧客価値指標の分析ソリューションはこちら
顧客価値指標

この記事の著者

COCAMP編集室

「ビジネスは、顧客価値でおもしろくなる」をコンセプトに、ビジネスにおける旬のキーワードや課題をテーマに情報発信しています。企業の大切な資産である「顧客」にとっての価値を起点に、社会への視点もとり入れた、事業やブランド活動の研究とコンテンツの開発に努めています。