一緒につくろう、顧客価値のビジネス。

お役立ち資料 相談する
お役立ち資料 相談する

2023.02.02

LTVって? なぜ重要?これからの事業に欠かせないキーワード

ライフタイムバリューは、今、なぜ注目されているのか。

通販事業に関わったり、新たな事業を検討されたりしている方なら、何度か耳にされているのではないでしょうか。略して、LTV(顧客生涯価値)と言われます。簡単にいえば、「お客様(顧客)が、長年にわたってどれぐらいの利益(売上)をもたらしてくれるか」ということになるのですが、このキーワードが今とても注目されています。なぜなら、これを無視しては、事業の成功はおぼつかない状況になっているからです。ぜひ、これを機に、LTVをしっかり頭の中で整理してみませんか。

事業者にとってのライフタイムバリューの重要性

 LTVは前段にも書いたように、顧客が一回きりの購入ではなく、続けて何回も何回も購入してくれることによる、いわば一生涯にわたる利益(売上)金額のことです。現在の通販事業では、一回だけの購入では赤字になることが多い。新規顧客を獲得するのにかなりのコストがかかるからです(このコストをCPOと呼びます)。しかしその顧客に、二回、三回・・数回と買い続けていただければ、黒字に転じます。つまり、このCPOとLTVが釣り合えばいいのです。例えば、一年間でのLTVを算出し、それを超えないCPO(=限界CPO)で新規顧客を獲得すれば年単位で黒字化が可能となります。通販事業、とりわけ定期購入モデルでのメリットは、これらCPOやLTVという指標を管理できれば、事業計画が出来上がるところです。特に、利益(売上)となるLTVの向上がカギを握っています。そのためには、LTVの要素を把握して、それぞれに対策を施していくこと。「LTV(売上)=購入金額×購入回数」ということにまず着目してください。そして、さらに「購入回数=継続者数×頻度」、「購入金額=注文点数×商品単価」となっています。

LTV(売上)の構成要素例

LTV_cut_03

定期購入モデルの台頭

 ここで、私が経験した出来事をご紹介します。まだネットが台頭する以前のこと。私は、キッチン用品や布団などの雑貨を扱うTV通販会社の営業担当をしており、売り場である「TV通販枠」の購入をしていましたが、あるときから、思うような値段では買えなくなったのです。雑貨系の通販なので1回のTV通販の販売で媒体費の約3倍の売上が必要と言われ、その枠の予測売上で購入価格をTV局に提示していました。ところが、欲しいと思った枠が他の通販会社に“競り負ける”のです。しかも、はるか上の金額で!まさにボロ負けです。

調べてみると、その競り勝つ通販会社は、健康食品の定期コース販売というビジネスモデルでした。継続購入による一定の利益が見込めるため、新規顧客獲得費(CPO)がある程度高くても採算が取れるというのです。1回売り切り型で単価が数千円の雑貨通販と比較すると、まさに「LTV」が高い=CPOも高くてもよい、ということであり、当然TV枠も高値で購入できる。1回売り切り型通販は、その顧客からの継続購入はほぼ望めないので、販売は一発勝負のリスクが高くなるというデメリットもあります。LTVという概念がいかに重要か、ということを痛感しました。

その後、定期購入を前提にしたビジネスモデルに大勢がシフトしていきました。
LTV_cut_02_0123

 

既存顧客の維持が事業成長の柱となる

現在では、競争激化によるコスト高に加えて、薬機法やメディアの表現規制によって広告表現にも苦慮しており、新規顧客獲得効率が落ちてきました。一般的に、新規顧客獲得のコストは、既存顧客の維持の5倍のコストがかかるといわれています。そんな環境下ですから、継続顧客、特にLTVの高い顧客を増やすしか方法がなくなってきました。

つまり、顧客との長期にわたるお付き合いを重視しなければならないのです。お付き合いが長く、その企業に愛着を抱いている顧客をロイヤルカスタマーと呼びますが、ロイヤルカスタマーになると継続率は90%をはるかに超える水準になるので、多くの利益はそこから得られることになります。さらに、ロイヤル顧客は、企業を応援したいというマインドを持ったアンバサダーにもなりえます。アンバサダーは、ブランド共創の協力者となり、良質な口コミの拡散や、知人を紹介してくれる最高の存在です。アンバサダーの口コミや紹介によって、優良で見込みの高い新規顧客獲得につながるという素晴らしい循環も生まれます。

このようなアンバサダー育成を見据えた適切なCRMを行えば、新規顧客が少なくても、十分に事業は成り立つのです。私たち大広も、事業を安定成長させる指標であるLTVを見据えながら、CRM戦略の提案を実践しています。

「通販事業シミュレーター」で事業計画を

これまでお話させていただいたように、通販事業や定期購入事業ではCPOやLTVといった指標を管理して事業を計画します。大広では「通販事業シミュレーター」を使用し、まず、事業を始める前にどのような全体計画で進めていくのか、商品の単価や原価、さまざまなコストを変数として入力していきます。また、「残存カーブ」という既存顧客の継続率想定を入力することで、LTVにどれほどの影響を与えるのかが一目で分かるような機能も装備。

例えば、弊社がECサイトを含めた事業全体をご支援する場合は、顧客の動きを管理し、顧客の将来を予測し、事業のボトルネックはどこにあるのかを検討します。事業の成長に何ができるのか、どのような施策ができるのかについて、クライアント様と一緒に考え、常にPDCAを行っていきます。

さて、今回は初歩的でありながらも、とても大切な基礎の部分をご説明しましたが、お役に立てたでしょうか。近年、CRM施策をおろそかにしているために顧客の離脱を招き、それを挽回するため仕方なく無理な新規顧客獲得を目指してCPOが高くなり、利益が出ないという、負のスパイラルに陥っているケースも聞きます。そんな悪循環を断ち切るにはどうすればいいのかと悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。あるいは、LTVを改善したい、本格的に事業をスタートさせたいと考えている企業様もいらっしゃると思います。

まずは一度ご相談ください。ヒアリングをさせていただいた上で、この「事業通販シミュレーター」を使った事業計画、再事業構築を含めてご提案、サポートさせていただきます。

通販事業シュミレーターの資料ダウンロードはこちら

この記事の著者

折橋 雄一

メディアバイイング、TV通販会社の営業担当を経て、ダイレクトマーケティング業務に従事。TVインフォマーシャルを中心にしたアクイジション領域から、CRM戦略立案や顧客育成プログラム立案等のクライアントサポートを推進。調査と分析を核としたPDCAと、得られた知見を統合しオジリナルメソッドを開発することに力を注いでおり、通販の顧客インサイトを可視化した「カスタマージャーニーマップ」や口コミ循環のマーケティングモデルである「アンバサダーハリケーンモデル」、顧客育成のプロセス全体を描いた「CRMサクセスマップ」を開発。