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2023.08.02

顧客が求めているブランドの価値を「ロイヤルカスタマー」に聞く――ホンネを探索する「対話会」という手法【後編】

生活者視点、顧客基点って言うけれど、顧客が求める価値を見つけるにはどうしたらいいのだろう?顧客を知るためにリサーチはやっている。でも、わかりきった答えしか出てこない。これ、リサーチの失敗あるあるです。実は、顧客のホントを知るための、いい方法があるのです。それが「対話会」。商品ブランドを愛してくれるロイヤルカスタマーの話をじっくり聞く会を開催するのです。

【後編】では、『対話会』効果をイメージしていただける事例をご紹介します。
『対話会』とはどういう活動なのか?については【前編】をご覧ください。

前回の記事はこちら
顧客が求めているブランドの価値を「ロイヤルカスタマー」に聞く――ホンネを探索する「対話会」という手法【前編】

【ケース1】大阪ガス[プリゼロ]

https://home.osakagas.co.jp/search_buy/prizero/

プリゼロ画像[プリゼロ]は、子どもが毎日持ち帰る小学校や習い事のプリントを、スマホで管理できるアプリサービスです。家族単位で管理できるスケジュール機能やTo Doリストなども付いています。[プリゼロ]のブランドビジョンには、単なるスマホサービスにとどまらない、子育て世帯のニーズや悩みにお応えできるサービス事業の構築を掲げています。

――『対話会』を実施した理由・きっかけは?

事業構築や広告向けの予算に限りがあり、類似のサービスを展開する競合のアプリもありました。そこで、大阪ガスならではの事業構築とは何か?ローンチ後、拡大していくにはどうすべきか?を検討し、大阪ガスで働くママ社員・パパ社員と私たち(大広)と一緒にサービスを開発しよう!と決めたのが「対話会」開催のきっかけです。

ローンチ前でしたが、ここにロイヤル顧客候補がいるのだから、まず話を聞いてみようと。なんと150名のママ社員・パパ社員がサービスの開発に協力してくれました。[プリゼロ]ローンチ後は、ブランドの味方(ロイヤルカスタマー)をユーザーから発見し、共創活動を実施することによって[プリゼロ]ブランドの魅力を高めています。

――『対話会』の様子や『対話会』で発見、再認識したことは?

ローンチから2年の間に4度の『対話会』を開催しました。毎回感じるのが、主催(企業)側が想定する以上にロイヤルカスタマー参加者が積極的に発話されて楽しんでいらっしゃることです。(時間切れになって、主催側が謝るというのが恒例に!)

[プリゼロ]提供側が想像しなかったアイデアのある使い方をされている方、提供側が言語ではなくデザインや機能に込めた想いを感じ取って評価されている方などがいらっしゃいます。この事業のやりがいをダイレクトに感じることができるのです。

参加者の質問に、開発メンバーよりも細かな機能をご存じの参加者がすぐに返答されるような参加者同士の交流もあり、ホントの価値は“顧客の中にあること”を再認識させられます。

――『対話会』の後で生まれたもの、生まれようとしているものは?

アプリサービスの細かな機能の改善は、挙げ切れないくらい『対話会』での発言をもとに進めてきました。そして大きな成果は、ユーザーのママ・パパはスマホアプリを使って賢く子育てをしたいと思っているのと同じくらい、子育ての悩みを共有したり一緒に悩んだりできる“仲間”を欲しがっていることの発見です。その相手がブランド(企業の中の人)なのか、プリゼロ仲間なのか、まだ見極めが必要ですが、ゆくゆくはユーザーのインサイトに応えられるソリューションを提供するべく活動を続けています。

【ケース2】TAKEYA「フレッシュロック」

https://takeyajp.com/series/freshlok/

TAKEYA[フレッシュロック]は調味料や食品を保存する容器です。高気密・高耐久性といった機能面だけではなく、シンプルなデザインや容器の洗いやすさなど、ユーザー視点の細かやかな商品設計にも定評があります。

――『対話会』を実施した理由・きっかけは?

TAKEYAはSNSを中心にロイヤルカスタマーの存在を把握し、UGC(ユーザー生成コンテンツ)活用などのコミュニケーションはやっていました。しかし、ロイヤルカスタマーと顔を合わせて生の声を聞き、商品開発にファンの声を生かしたい!という社長の思いがあって。

――『対話会』の様子や『対話会』で発見、再認識したことは?

集まったのは、整理収納をアドバイザーとして自分の職にするほど、人生の価値をそこに見出している4人の女性です。TAKEYA[フレッシュロック]はそんな彼女たちの価値観に応える優れたプロダクトであることが、『対話会』の白熱ぶりの熱量から伝わってきました。さらに商品の機能に込められた魅力は十二分に伝わっているのですが、その商品を届ける情報の設計に不備不足があることがロイヤルカスタマーの生の声を通じてわかり、今後のコミュニケーション課題が明確になりました。

――『対話会』の後で生まれたもの、生まれようとしているものは?

まずは、既存のコミュニケーションツールで顧客接点の情報改良を行っています。タイミングを見計らって新たな接点開発の検討を進めていこうとしています。

【ケース3】mighty(マイティ)「オシャレウォーカー」

https://www.osharewalker.co.jp

mightymighty(マイティ)は、レディース・メンズ衣料品、衣料雑貨から生活雑貨までを扱い、ECサイト「osharewalker(オシャレウォーカー)」の運営や、直営店舗の運営を行っています。商品企画・販売・配送を自社内で対応し、「ありそうでなかった、ここにしかない商品」をモットーに、オシャレでありながら、着やすさにもこだわった妥協しないモノづくりで多くのお客さまから支持されてきました。

――『対話会』を実施した理由・きっかけは?

創業から20年以上、ECモールが主戦場ということもあって、直接お客さまの声を聴く機会がなかなかありませんでした。そこで自社のEC強化をきっかけに、ロイヤルカスタマーの重要性を相互認識したことから、大広からお客さまの声を聞きましょうと提案したこともあって『対話会』が実現しました。

――『対話会』の様子や『対話会』で発見、再認識したことは?

実際に、強い熱意のあるロイヤルカスタマーがいることが分かりました。『対話会』に参加されたのは年間購入回数が12回を超えるお客さまで、彼女たちの生活だけでなく人生を輝かせるファッションECサイトとして「osharewalker」が存在していることを発見できました。さらに、デザイナーも改めて重要なポイントを再認識することができ、プロモーション担当も発信するコンテンツのアイデアを参考にすることができました。
普段からご愛用している商品の担当デザイナーなどと会話ができたことで、お客さまも非常に満足感を得ていただけたと思います。

――『対話会』の後で生まれたもの、生まれようとしているものは?

当日参加したマーケティングやデザイナー担当者は”感激”していました。ロイヤルカスタマーの存在や発言がインナーにもやりがいを与えたと思います。『対話会』から生まれる商品やコミュニケーションはもちろん重要です。ただそれより、自分たちが作っているブランドが、誰に愛されて、どんな風に生活を豊かにさせているのかを知ることができたのは、非常に有意義な時間でした。「対話会」を通じて、ブランド価値を再確認することで、今後の分析・調査から施策立案に至るまで、参考となる有益な情報を取得できたと思います。
業種によって違いはありますが、ロイヤルカスタマーと顔を合わせて話を聞く『対話会』によって、顧客が商品やサービスに求めている価値をより深く知ることができます。それは、これからのビジネスの成長に必要不可欠なプロセスだと思います。

まとめ

・商品やサービスに対して顧客が求めているブランドの価値は、ロイヤルカスタマーがいちばんよく知っている。

・『対話会』は、企業とロイヤルカスタマーが語り合う理想の場、顧客のホンネを発掘する場となる。

・『言葉化ミーティング』で顧客のホンネを整理し、ブランドに関わる全員の共通語とする。

・『対話会』の実施と『言葉化ミーティング』で見つけた言葉がインナーモチベーションを上げ、新製品開発、販促・広告PR戦略の再構築につながる。

この記事の著者

岡嶋 瞳

(株)大広 顧客価値開発本部 顧客育成局

営業・マーケティング・プロモーション職にて、各種カテゴリーの店販および通販事業のマーケティングサポートを経験。2016年より、顧客育成領域に特化したコミュニケーションプランナーとして、顧客と直接つながる仕組みや絆を作るコミュニケーションの構築に従事。「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ。」がモットー。大広初代SNS中の人・さとなおオープンラボ関西3期卒業。