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2023.12.26

成功するCRMの基本~顧客をセグメントして施策を構築する

企業と顧客との関係性を管理するCRM。広い意味では「顧客と良好な関係性を築き、継続していくための施策」のことです。LTVを向上させることがビジネスに欠かせないと言われる昨今、その重要性が増してきています。このコラムではダイレクトマーケティングビジネスにおける健康食品などのリピート型定期モデルのCRM施策構築の基本をわかりやすくお話します。

顧客は同じではない。だから、セグメントして管理する。

顧客とは誰なのか?ChatGPTに聞いてみたら「顧客とは、商品やサービスを購入する人や団体のことです」とのこと。辞書では「ひいきにしてくれる客、得意客」などと書かれています。こういう説明だと、購入する人は等しく顧客であるように思いますが、実は顧客はさまざま。

必要に応じてご自身のタイミングで購入してくださる顧客もいれば、定期購入の仕組みで購入してくださる顧客(=定期顧客)もいます。定期顧客の中には一品だけ定期購入してくださる顧客もいれば、複数の商品を定期購入してくださる顧客もいます。過去には購入してくださっていたのに今は購入してくださらない顧客(=離脱顧客)もいますし、明日にも購入してくれそうな未来の顧客もいます。CRM施策は顧客をステータスごとにセグメントして構築することで、より有効なものになります。では、どのように顧客をセグメントすればいいのでしょうか。

CRMの基本-顧客の分類(図1)顧客の分類

顧客は、現在進行形で商品を購入してくださっている〈アクチュアル顧客〉と商品に興味を持っているであろう〈見込客〉、過去に商品を購入してくださっていた〈離脱顧客〉の3つに大別します。ビジネスにおいて大切にしたい〈アクチュアル顧客〉は、さらに「非定期顧客」「単品定期顧客」「複数定期顧客」に細分化します。このようにセグメントすると、CRM施策が構築しやすくなります。

定期顧客を増やし、LTVを向上させるための7つのCRM施策。

新たな顧客を獲得することも大切ですが、人口が減少していく日本国内で顧客数を増やし続けるのは難しくなっています。ビジネスの成長を考えるなら、商品を購入し続けてくださる顧客や別の商品を買い足してくださる顧客を増やすべきです。CRM施策は〈アクチュアル顧客〉の中でも、たくさんの商品を継続購入してくれる「複数定期顧客」を増やしていくことを目指して構築します。顧客セグメントごとに構築すべき、基本の7つのCRM施策について説明します。

①定期引上&都度購入促進フォロープログラム~「非定期顧客」を「単品定期顧客」に。

「非定期顧客」は必要な時だけ商品を都度購入してくれる顧客です。放っておくと商品の本当の良さや効果を実感しないまま離れていってしまうかもしれません。そこで、商品がなくなりそうなタイミングで、次の購入や定期購入コースへの申し込みを促すことを目的に「①定期引上&都度購入促進フォロープログラム」を構築します。

CRMの基本-定期引上&都度購入促進フォロープログラム

(図2)定期引上&都度購入促進フォロープログラム

 

健康食品なら約1か月分の容量ですから、購入日から30日が過ぎる前後から電子メールやダイレクトメールなどで次の購入を促す案内を届けます。

(施策実施のタイミング)
CRMの基本-施策実施のタイミング

案内は一度届けて終わりではなく、デザインや体験を語る人物、メッセージを変えて、継続することで得られる効果や配合成分の機能を繰り返し伝えます。また継続して使用いただくことの重要性を繰り返し伝えつつ、便利でお得な定期購入コースを紹介することで、再購入、定期購入コース申し込みへ導いていきます。

②定期離脱防止プログラム~「単品定期顧客」に継続を促し離脱を防ぐ

「単品定期顧客」は、放っておいても継続購入してくれる顧客でしょうか?顧客は、次々と発信されるさまざまな商品情報に囲まれています。テレビやSNSで新しい商品の情報に触れたときに「あっ、こっちの方がいいかも」と他の商品やサービスに目移りするかもしれません。特に購入初期の顧客は商品の絶対的信者ではありませんから、離脱してしまうかもしれません。離脱を少しでも防ぐために商品への信頼、愛着を高めるための「②定期離脱防止プログラム」を構築します。

CRMの基本-定期離脱防止(図3)定期離脱防止プログラム

商品の機能や成分の作用機序を易しく丁寧に伝えるためのツールを制作し、商品とともに届けます。登場人物やデザインを変え、続けることのメリット(商品の機能)を繰り返し伝え続けることが大切です。商品のお届けタイミングとは別に、成分の研究成果などを紹介する特別なダイレクトメールを送り関心を高めることも効果があります。

定期顧客の離脱を防ぐためには、商品の機能を伝え続けるだけでなく商品や企業への愛着を高める情緒的なアプローチも必要です。多くの企業が会報誌やメルマガを活用し、生活を彩る情報を届けています。顧客の誕生日にプレゼントを贈るのもいいでしょう。

③アップセル・クロスセル施策~「単品定期顧客」を「複数定期顧客」に

顧客一人当たりの購入単価向上を目的に、単品定期顧客に対して「③アップセル・クロスセルプログラム」を構築します。LTV(顧客生涯価値)を上げるために欠かせない施策です。

CRMの基本-アップセル・クロスセルプログラム(図4)アップセル・クロスセルプログラム

「アップセル」は、顧客が購入しているものより上位の商品を買ってもらうことを目的に「もう少し出費すれば、より満足のいく結果が得られる」「上位の商品のほうが、結果的にお得になる」という体験談や配合成分などの情報を同梱チラシやダイレクトメールで届けます。お試しキャンペーンでお得感を出すのもいいでしょう。

「クロスセル」は、別の商品を買い足してもらうために、購入中の商品を補助する効果がある商品や関連した悩みを解決する商品を、同梱チラシやダイレクトメールで提案します。アップセル同様、お試しキャンペーンでお得感を出すことも考えたいところです。

④本購入促進フォロープログラム&⑤本購入促進キャンペーン~〈見込客〉を〈アクチュアル顧客〉に

無料サンプル・お試し品を申し込んでくれた人たちは、商品に関心を持った〈見込客〉です。この人たちを〈アクチュアル顧客〉にするために行うのが「④本購入促進フォロープログラム」です。

CRMの基本-本購入促進フォロープログラム&本購入促進キャンペーン(図5)本購入促進フォロープログラム/本購入促進キャンペーン

「④本購入促進フォロープログラム」は、「①定期引上&都度購入促進フォロープログラム」のように、申し込み日から起算して試用が終わるタイミングにダイレクトメールなどで本商品の購入を促す施策です。商品理解を高めるために、商品機能と成分、製法などを丁寧に伝えます。定期購入申し込みで初回無料などのオファーをつけることが有効な場合もあります。

「④本購入促進フォロープログラム」で引きあがらない見込客に対して実施するのが「⑤本購入促進キャンペーン」です。この人たちは、商品への興味関心が低いかもしれません。年に数回ほど割引やプレゼントキャンペーンをダイレクトメールなどで案内して購入を促します。キャンペーン対象者は直近のレスポンスを見て検討したほうがいいでしょう。顧客にはならない人たちであると見限る前に、ひとつでも商品を購入してもらうために行う施策です。

⑥定期復活促進施策&⑦復活促進キャンペーン~離脱顧客の復活を促す

離脱顧客には、1回購入してやめてしまった人、定期購入していたがやめてしまった人がいます。このうち定期購入していたがやめてしまった人には、早めの対応が必要です。

CRMの基本-定期復活促進施策復活促進キャンペーン(図6)定期復活促進施策/復活促進キャンペーン

「⑥定期復活促進施策」は、離脱後1週間以内に「これまでの感謝」と「いつでも復活できる」ことを手紙で伝え関係性の維持を図り、再度商品に興味を持っていただくために購入時のお悩みに対するユーザの声などを年に数回ダイレクトメールで届け、もう一度買ってみようという気持ちを引き出すことを目的に構築します。

「⑥定期復活促進施策」で復活しない離脱顧客に対して「⑦復活促進キャンペーン」を行います。一度やめてしまった人に何度もダイレクトメールを届けると逆効果になるかもしれませんから、割引やプレゼントキャンペーンを実施して単発での売上を目指します。年に数回、割引やプレゼントキャンペーンの案内をダイレクトメールで届けます。

LTVを向上させるCRMがビジネスを左右する。

顧客をセグメントし、顧客毎にメッセージを開発し、発信タイミングとメディアを設定し、何度も商品の価値を伝え続けるのがCRM施策の基本です。構築・実施には労力がかかりますが、顧客の声を聞き、結果を見ながらメッセージやタイミングを改善し続けることで成果を上げることができます。

CRMの基本-施策全体(図7)CRM施策全体

日本国内においては、人口減少により新規に顧客を獲得することが難しく、顧客と継続的につながりLTV(顧客生涯価値)を向上するCRMは、これからのビジネスに欠かせません。ダイレクトビジネスだけでなく、あらゆる事業でCRM施策の成否がビジネスを左右することになるはずです。

まとめ

LTV(顧客生涯価値)向上のためにCRMは欠かせない。

■ 顧客をアクチュアル顧客・見込客・離脱顧客の3つに大別して管理する。

■ ビジネスにとって大切なアクチュアル顧客は、非定期顧客、単品定期顧客、複数定期顧客の3つに細分化して管理する。

■ 定期顧客を増やすために、顧客セグメント毎にCRM施策を構築する。

■ 基本となる7つのCRM施策がある。

CRM施策の成否がビジネスを左右する。

この記事の著者

COCAMPダイレクトマーケティング部

(株)大広が培ってきたダイレクト・マーケティングの知見やノウハウを発信するチーム。 通販の初期から今に至るまで、変化する時代と顧客を見続けてきた第一線のプロデューサーやスタッフをメンバーに、ダイレクトビジネスの問題や課題を、顧客価値の視点から解いていきます。