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2024.10.17

シリーズ「今こそ、インフォマーシャル!」③ 勝つ!メディアバイイング

今こそ、インフォマ―シャル!③

TVインフォマーシャルの効果的な実施に欠かせないのが、放送枠を確保するメディアバイイングです。どの放送局で、いつ、どのくらいの時間を確保するのか。それをどう組み合わせるのか――そこには、多角的な視点からの高精度な分析と、蓄積したノウハウがありました。メディアバイイングのエキスパートとして数多くの企業の成功を支えてきた株式会社ディー・クリエイトの戦略に迫ります。

[インタビュイー]

宮入穂高_500宮入 穂高 
(株)ディー・クリエイト カスタマ―ビジネスプロデュース局 CBP部 部長
2010年ディー・クリエイト入社。メディアの買付セクションを経て、現在は営業チームでメディアプランニング、レスポンス分析、インフォマーシャル制作などに従事。これまで担当してきたダイレクト系企業は30社以上。

 

折橋雄一_500折橋 雄一 
(株)大広WEDO プロデュースDivision プランニングチーム
TV通販枠のバイイング、TV通販会社の営業担当を経て、ダイレクトマーケティング業務に従事。TVインフォマーシャルを中心にした企画・制作・メディア運用から、CRM戦略立案や顧客育成プログラム立案等のクライアントサポートを推進。

 

膨大なデータの蓄積をベースに、放送枠を「買い切る」強み

――ディー・クリエイトは、今回のテーマであるメディアバイイング部門が中心になって設立されたとのことですが…。

宮入
そうですね。今ではTV通販にかかわる事業に加えて、TV以外の媒体やクリエイティブ制作、コンタクトセンターのコンサルティングなど、TV通販枠のメディアバイイングは2000年の会社設立当初からのコアな事業です。長年にわたって、「買い切り」で大量かつ継続的に放送枠を購入してきましたが、それが当社の強みのひとつだと考えています。

 

――買い切りとはどうすることを指すのですか。

宮入
あらかじめ様々な放送局から放送枠を購入し、ディー・クリエイトが保有している状態にしておくことです。

 

――買い切りにすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

宮入
私たちは、予算や商品特性、クライアントのご要望などに合わせてクライアントごとに最適な放送枠の組み合わせをご提案するのですが、その放送プランをより確実に、しかも短期間でご用意できるというメリットがあります。通常は、クライアントとの取引が決まってから放送枠を買い付けるので、希望する枠を買えない場合もあるし、数カ月先の枠しか買えない場合もでてきます。

折橋
ここはとても重要です。A社にはA社用の枠を、B社にはB社用の枠をそれぞれ個別に交渉して局から買うという通常の手法では、人気の枠は競争率が高くて簡単には買えませんから。それに、大量かつ継続的に購入することで、テレビ局との価格交渉がしやすくなるというメリットもあります。放送枠を買い切るからこそ、強い交渉力を持ってクライアントに提案できる。ディー・クリエイトはこの手法をTVインフォマーシャルの分野に持ち込んで、TVインフォマーシャルのビジネスモデルを転換した先駆者と言っていいと思います。

 

――あらかじめ大量の放送枠を買ってしまう、ということにリスクはないのでしょうか。

宮入
私たちは、数多くのクライアントから情報をフィードバックいただき、それを集約・分析できる立場にあるので、どのような業種・商品で、どのような枠が高いレスポンスを得たか、効果的に売れたか、といった情報、判断材料をたくさん持っています。それをもとにレスポンスが期待できる良枠を見極めて買い切っているので、リスクが全くないわけではありませんが、メリットの方が格段に大きいと思いますね。

折橋
どの放送枠でどれだけ商品が売れたか、というようなレスポンス情報は、放送局でも把握できません。ディー・クリエイトは、そのレスポンスデータを放送局や企業を横断して把握しているわけで、この情報力は大いに頼りになります。

 

「だけ」ではない多角的視点でPDCAを回すことが必要

――前回TVインフォマーシャルではテストをしながら放送枠を組み替えていくとお話しいただきました。そこにはどのようなノウハウがあるのでしょうか。

宮入
いわゆる「PDCAを回す」ということをやっていきます。まずはリスクを最小限にした放送プランの設計を行い、テスト的な放送を実施します。その結果をもとに放送枠の効果を分析・検証し、必要な組み替えを行います。それを繰り返していくのが基本です。

メディアバイイングPDCA

[放送枠組み換えのPDCA]

 

――PDCAを回すにあたって、ディー・クリエイトの特長とはどのようなものでしょうか。

宮入
やはり、放送プランの設計をクライアントごとに最適化できる情報力と分析力ですね。また、分析から放送までのタイムラグを極力少なくすることができるのは、買い切りの強みだと思います。新たに放送枠を確保するためには、放送予定の前々月の中旬ごろが発注のタイミングになります。つまり、10月に放送するためには、8月の中頃には放送局とやり取りを始める必要がある。すると、新たなプランには8月の上旬ごろまでの情報しか反映できません。しかし、放送枠を買い切っていると、9月初旬くらいまでの状況は反映できる。スピードが大切なTVインフォマーシャルの世界において、この差は大きいと思います。

折橋
ディー・クリエイトは、常に大量の放送枠を持っているので、商品や状況に合わせて様々な枠を組み合わせられるし、状況の変化とともにそれを変えていけます。クライアントにとっての力の入れ時、ここでアクセルを踏むぞ、というときに集中的に放送する、といったことにも柔軟に対応できるんです。また、インフォマーシャル番組はテレビ局に事前に考査をかけてOKをもらわないと放送できませんが、放送局との交渉のノウハウも蓄積されています。さらに、レスポンスを予測し、コールセンターの人員配置の確実性も高めます。総合的に、質の高いTVインフォマーシャル展開の実現につながるのです。

 

――分析をするにあたって、ネックになることはありますか。

宮入
そうですね。TVインフォマーシャルは、波種や地区、曜日や時間、放送回数といった条件と、受注件数やレスポンス数など様々な要素の掛け合わせで分析することが重要なのですが、どうしても、表層的な指標で評価されるクライアントもおられます。下図をご覧ください。

たとえば、KPICPO1注文あたり費用)10000円の商品のTVインフォマーシャルをA枠、B枠のふたつで放送し、図のような結果が出たとします。「6か月間の累積CPO」で表層的な評価をすると、A枠がKPI達成、B枠がKPI未達となります。

枠の優劣をどう判定するか[実施結果の検証]

 

しかし、単月CPOで見ると、A枠はKPI達成が2回、B枠は3回で、しかも各月効果のブレが少なく、実はB枠の方が良枠である、という評価が成り立ちます。累積CPO「だけ」を見て未達の枠をやめてしまう、ということを繰り返すと、分析上の運用可能枠がどんどん減少し、売り上げ減少・新規顧客獲得活動のシュリンクにつながってしまいます。私たちはこれを「ミクロ視点型」と呼んでいますが、正確な分析・評価を行うには先ほど申し上げたような多くの要素を加味した多角的視点を持つことが非常に重要だと考えています。

 

――他にも、陥りがちな考え方・方法はありますか。

宮入
はい。KPIに合わせた単価で放送枠を確保していく「単価補正型」と呼ばれるバイイングには欠点があります。このような買い方は、言ってみれば大きな値引きによってKPIを成立させようとすることです。そのため、放送枠の正確な評価ができないばかりでなく、放送局が値引き価格で放送枠を提供できなくなった時点でTVインフォマーシャルの活動自体ができなくなってしまいます。

また、希望枠のみを複数の代理店や放送局支社から買い付ける「複数社運用型」は、クライアント自身で複数の代理店や放送局に対応する負担が生じるというデメリットがあるだけでなく、放送局の内規に抵触する場合も多く、放送実施上の問題が生じえます。

クライアントへのご提案の際には、こうした失敗に陥らないよう、私たちの徹底した分析をもとに正攻法のPDCAを回すことが成功への近道だ、ということをご説明しています。

 

獲得効率×獲得件数という「実績」ベースで最適化

――クライアントごとにプランをつくって提案されるとのことですが、どのようなことがポイントになるのでしょうか。

宮入
あくまでも、これまで蓄積してきた情報、放送枠の実績に基づいてプランをすることですね。クライアントと話していても、「人気番組の後が効果が高いのでは?」「シニア向けの商品に、深夜枠は向いていないのでは?」というような「印象」で考えておられる方は少なくありません。しかし、実施結果の蓄積からは、視聴率や前後の番組内容はTVインフォマーシャルの結果に大きく影響しないし、高齢者向け商品の深夜の放送が特別不利になるわけではない、ということもわかっています。

ディー・クリエイトが指標として重視しているのは「獲得効率」と「獲得件数」です。

そのデータを得るために、放送後の結果を「放送局」「時間」「予算配分」「シーズナリティ」「受注推移」…といったカテゴリ別にクラスター化して検証し、「獲得効率(CPOの良さ)」「獲得件数(獲得力の高さ)」の軸で放送枠を分類します。

枠の効率をプロットした図[放送枠効率のプロット図]

 

宮入
その上で、予算とすり合わせながら、放送枠の組み合わせをプランニングしていきます。単純に考えれば、図の①にあたる「良効率」「高受注」という枠だけで構成できれば最良、ということになりそうですが、そうした枠は価格も高く、枠の量も限られているため、それだけでは大きな「獲得件数」は見込めません。そこで、不採算な④を除く①~③の放送枠に未実施の枠も組み合わせて、その商品に最適化したプランをご提案しています。

折橋
TVインフォマーシャルのレスポンスは、さまざまな要因によって変化します。放送局や時間帯、曜日、季節だけでなく、天候や社会的な出来事にも影響を受けます。ですから、同じ放送局、曜日、時間の枠でも最低3回くらいは同じインフォマーシャルを放送してみないと判断できないのも事実です。そうした特性も熟知した上で放送結果を分析し、次の月にはよりよいプランを提案することができるのが、ディー・クリエイトのノウハウだと思います。

 

――TVインフォマーシャルの可能性が新しい商品分野に広がっている、というお話がありましたが、メディアバイイング、メディアプランニングの面からは、どのようなことを考えておられますか。

宮入
いま、ディー・クリエイトでは、AIでレスポンスを予測するシステムを構築しようとしています。枠の分類、商品ジャンルや単価といった条件から、どのくらいのレスポンスが見込めるかを予測して、プランニングに活かそうということです。放送枠が販売に及ぼす影響というのは、実際には20%から30%程度だと思います。商品特性に加えて、映像素材のつくり方、コールセンターの体制などによっても結果は変わってきますから。だからこそ、放送枠のプランの部分の確実性を少しでも高める努力をしていきたいと考えています。

折橋
前回もお話しましたが、旅行とかリフォームとか、新しい分野のTVインフォマーシャルがどんどん誕生しています。アメリカでは投資のノウハウを教えるといった、いわゆる金融教育サービスのインフォマーシャルもあります。

宮入さんの話を聞いていても、日本でも企業がTVインフォマーシャルを実施するための仕組みが整ってきているということがわかると思います。繰り返しになりますが、サービス分野ではTVインフォマーシャルはこれからますます強力な販売チャネルになるでしょうし、乗り出した企業から新たなチャンスをつかめるのではないかと思います。

 

――ありがとうございました。

まとめ

■放送枠を買い切る手法だからこそ、多様なクライアントに柔軟に対応できる。

■様々な要素が影響するTVインフォマーシャルでは、多角的視点での分析が重要。

■膨大なデータの蓄積と正確な分析によって、最適な放送プランの立案が可能に。

この記事の著者

宮入 穂高

2010年ディー・クリエイト入社。メディアの買付セクションを経て、現在は営業チームでメディアプランニング、レスポンス分析、インフォマーシャル制作などに従事。これまで担当してきたダイレクト系企業は30社以上。