TVインフォマーシャル全般におけるレスポンス向上のための表現・演出、構成に不可欠な要素についての解説に加え、本シリーズでは「サプリメント」、「スキンケア」「食品」ジャンルの表現ノウハウを取り上げてきました。
今回はその第4弾として「短尺」に焦点を当てます。
このノウハウは、実際の購入者やモニターの方々へのアンケート調査を行い、効果的な表現を探索した結果に基づいています。
実際の事例に基づいたシーンについて、新たに生成AIを活用して特徴が分かりやすいように画像を作成しました。
参考:シリーズ「今こそ、インフォマーシャル!」⑤良いインフォマーシャルはこうつくる!|COCAMP 顧客と共創するDAIKOのマーケティングポータル
シリーズ「今こそ、インフォマーシャル!」⑥ レスポンスがとれる制作ノウハウ全公開! 【表現・演出編】
シリーズ「今こそ、インフォマーシャル!」⑦レスポンスがとれる制作ノウハウ全公開! 【マスト構成要素編】
【成功ノウハウ】売れるインフォマーシャルの作り方①|サプリメントジャンルの6大マスト要素
【成功ノウハウ】売れるインフォマーシャルの作り方②|スキンケアジャンルの5大マスト要素
【成功ノウハウ】売れるインフォマーシャルの作り方③|食品ジャンルのマスト要素
短尺インフォマの3つの制作視点
短尺インフォマーシャルとは
ここで言う短尺インフォマーシャルとは、2分から5分程度の尺のものを指します。特に2分から3分程度のものが主流になるかと思います。これまでは様々なジャンル別のインフォマーシャルのノウハウを書いてきましたが、そちらは29分のものを対象にしていました。29分よりも尺が短い短尺インフォマーシャルについては、独特のノウハウが必要となるため、今回はそちらを解説いたします。
まず、短尺インフォマーシャルの使命は、短い時間内で購入の意思決定をさせることに尽きます。そのために必要な短尺インフォマーシャルの3つの制作視点があります。
●構成
●表現要素とその見せ方
●オファー要素

短尺インフォマーシャルは、その短い時間内で、購入の意思決定をしていただかなければなりません。そのため、実際にレスポンスを取るものを制作するという意味では、29分より短尺の方が難易度が高いと考えています。
短尺インフォマーシャルは、実際には、スポットCMとして放送されます。番組中または番組と番組の間に他のCMと一緒に流れます。そのため、コンテンツを見ていかに納得して購入していただくかが重要になります。
短い時間で高額商品の決断はなかなかできないため、オファーとしても、なるべく低価格なものにしないとレスポンスは獲得できません。
では、構成のポイントから詳しく見ていきましょう。
こちらも参考になる実例画像から、特徴を捉えた画像を生成AIで作成しています。
構成のポイント
構成には3つのポイントがあります。
1.短い放送時間なので、伝達要素を絞る
2.情報量とシーンの要素は絞り、一つ一つの要素はきちんと見せる
3.CTAは1回よりも2回の方が有効 
1.短い放送時間なので、伝達要素を絞る
絞るべきコンテンツは、以下の3つです。
①ベネフィットを体現した体験談
②原材料や商品の一発ビジュアル
③成分の作用説明
2.情報量とシーンの要素は絞り、一つ一つの要素はきちんと見せる
3.CTAは1回よりも2回の方が有効
CTAとはコール・トゥ・アクション、つまり商品の価格、受注の電話番号の案内をしてお客様の行動を促進させる要素を指します。
1.短い放送時間なので伝達要素を絞る
ベネフィットを体現した体験談
短い時間内で購入の意思決定をさせるためには、ベネフィットを体現した体験談を入れることが重要です。
愛用者の方のことば、表情がストレートにベネフィットを表しています。 「きれいな肌を保てる」、「肌がきれいだと自信が持てると思える内容だった」といった感想があがっています。
もう一つは71歳の愛用者です。「きれいに保てるんだな」という声があがっています。
愛用者の年齢(若いのか年配なのか)などによって、疑似体験でき、「自分もこうなれそう」と思えるような体験談を入れていくのが鉄則です。
②原材料や商品自体の一発ビジュアル
ベネフィットやUSPは言葉による説明だけでは魅力的には思われません。
言葉による説明なしに、映像で瞬時に納得させることができれば、感情が動きます。そして、人は感情が動かなければ行動(購入)しません。
そういう意味で、映像を一目見たら一発で「わかる」ビジュアルというものを「一発ビジュアル」と呼んでいます。
泡が特徴の洗顔料を、手のひらの上に泡を乗せて、その弾力などを見せています。「すごい弾力の泡」という声もあがっており、商品特徴が一発で伝わるビジュアルになっていると言えます。
見てすぐわかる成分作用説明
短い時間内での購入の意思決定をさせるために、見てすぐわかる成分名や作用成分を入れること。

浸透スピード比較の例です。肌に水と商品を乗せた時に、どのくらいの速さで浸透するのかを表現したものですが、商品の方が早く浸透していく様子が表現されています。このシーンでは、「肌に入っていくところで肌が潤うかもしれない」や「浸透力がすごい」という声があがっています。この商品は浸透が早いし、肌が潤いそうということが、一発で見てわかります。
ここで、短尺での悪い例も挙げます。
研究者などの理論的な情報は、29分の長尺インフォマーシャルでは購入意欲に強く結びついていました。
研究者による解説シーン、特に研究所で研究者が自分の研究を自分の言葉で話すのは非常に評価が高かったのですが、短尺ではシーン自体を短くしなけばならないため、印象が弱くなってしまいます。
短い時間なので、より強力な体験談だったり、作用機序のCGだったり、実験映像だったり、商品USPがわかる一発ビジュアルのようなものを優先すべきです。
29分と4分の素材で同じ研究開発シーンを入れたところ、調査では、29分では「このシーンが良い」と回答した人の想起率が14%だったのに対し、4分では6%と非常に弱くなってしまいました。
シーンの尺が短いと十分に見せることができず、印象が弱くなってしまうということです。
2. 情報量とシーン要素を絞り、一つ一つの要素はきちんと見せる
短い時間で画面が切り替わりすぎると理解ができないため、買いたい気持ちが高まりにくいケースが出てきます。そのため、短尺といえども、見せたい要素はきちんと時間を取って理解を促すことが重要です。
4分のインフォマーシャルでのシーンの切り替わり数の比較とレスポンスを調べたところ、シーンの切り替わり数が少ないほうが評価が高く、レスポンスも良好でした。
・4分のインフォマ―シャルでシーンの要素数は量的には同じで、両方とも19シーン
・シーンの切り替わり回数は、商品Aは37回、商品Bは29回
・印象は、切り替わり数が多いと、関連性がなく切り替わる感じが非常に強くなります。それに対し、切り替わり数が少ないと、流れの中で切り替わる感じになります。
結論として、シーンの切り替わり数が多いと、「せわしない」「落ち着きがない」「コロコロ変わる」といったネガティブな印象を与えてしまい、購入意欲に影響を与えると考えられます。
情報量とシーンの要素を絞り、一つ一つの要素をきちんと見せていくという取捨選択を、短尺の場合は厳密に行う必要があります。
3. CTAは1回よりも2回の方が有効
これも何回も検証をしてきましたが、短尺では、CTAは1回よりも2回の方が良いという結果になっています。
1回のCTAでは、理解できない人や印象に残らない人もいるためです。
例えば、CTAについて聞いたアンケート項目の結果では、CTAが1回の場合は、「思っていたより短い」「印象に残らなかった」「はっきりわからなかった」といった感想があがってきました。
CTAが2回になると、「繰り返される親切な案内」、「注文の番号がわかりやすい」「何度も耳と目で入ってきたので電話番号はわかりやすかった」といった感想があがってきました。
このように、CTAは1回よりも2回の方が有効なので、基本的には、冒頭あるいは中間で1回、そして最後に1回、合計2回入れるのが短尺におけるセオリーになるでしょう。
表現要素とその見せ方のポイント
表現要素とその見せ方のポイントは、6つあります。
1.ベネフィットを体現した体験談を見せる
2.誰のための商品なのかを明示する
3.複数の成分をまとめてネーミングすると印象に残る
4.成分のメカニズムや作用(CGなど)は、ベネフィットに直結させる
5.効果を連想させる映像、原材料が山盛りの映像を見せる
6.即決しなければならないため、「安心・安全」を感じさせることが重要
1. ベネフィットを体現した体験談を見せる
スキンケアでは、ひとめで目を引く、「顔のアップ」「すっぴん」などのインパクトとともに、商品の効果感がわかるアクションやオノマトペコメント」が有効です。
例えば、「しっとり」や「ぷるぷる」といった言葉でインパクトを強め、ベネフィットを体現した体験談として見ていただきます。

また、サプリメント商品では、商品の効果感がわかるアクションの方が有効です。
例えば、目の関係のサプリメントの場合、男性がメガネなしで新聞を読むアクションで効果があると感じていただいています。
また、膝関節関連の商品の場合、男性が膝を屈伸するアクションで「これは効きそうだな」という感想が出ています。このように、アクションが非常に有効です。
サプリメントの効果感としては、何らかの「できるようになった」アクションや変化を見せることが重要です。
2. 誰のための商品なのかを明示する
サプリメントは、薬機法などの法規問題があり効果感を伝えにくいので、ターゲットが誰かすぐにわかると買いやすくなります。
ナレーションなどで年代を呼びかけたり、テロップで対象年代を表記していくと、自分ごと化しやすくなります。
例では、「40代から50代の方におすすめと紹介されていたので、ちょうど自分の年代だと思った」という感想があがっており、見る姿勢が強まるというところです。
自分ごととして捉えられると、ぐっと理解力が増していくので非常に重要です。
スキンケアの場合は、ターゲットが幅広い方が買いやすい傾向があります。特にターゲットが広いスキンケアや洗顔料などの場合は、幅広い年代を登場させた方が幅広くアピールでき、買いやすいと思わせることができます。
母と娘のシーンでは、二世代で使える=年齢を重ねた方にも効果があるということが伝達されています。
「お嫁さんからお姑さんまでの範囲の化粧品だと、私もまだ期待できるかなと思った」という声があがっています。若い人から年配の方まで使っていることで、自分が年を取ったときでも効果があると感じています。
もう一つの例では、20代から60代の3人の愛用者が登場しています。「万人向けのスキンケアのCMだと、登場人物の年齢が幅広い」という声があがっています。
3. 複数の成分をまとめてネーミングすると印象に残る
まずサプリメントです。
含有成分をネーミング化していくことが重要です。成分の他社との違いや、良い成分がたくさん入っていることによるサプリメント自体の質の良さ、すごさ、コストパフォーマンス感を強調することが重要です。
例えば、5つの成分が入っている場合、成分名を並べるだけでなく、それらをまとめて「5大注目成分」のようにネーミング化されていると、覚えやすく価値も高まります。
「5大注目成分」という表示があることで、すごさが伝わります。
また、「W〇〇パワー」のように、成分をまとめてネーミングし、目に鮮やかな色で訴求することで、他商品との違いが伝わりやすくなります。特に、よく知られている成分では、その差別化を瞬時に理解させないと、「他社と同じならこれでなくても良い」と思われてしまいます。
次にスキンケアです。
スキンケアの場合、一つでも何か特別な成分名があると印象が強くなります。
「プラセンタ」のように、ピンポイントで言及・説明する方がわかりやすく覚えやすいということになります。
スキンケアの場合は、一つの成分説明を詳しく紹介していくと、「良い成分なんだろうなぁ」「特殊な成分が入っているんだな」と感じていただけます。
サプリメントとスキンケアでは見せ方が違ってくるのは面白い点です。
4. 成分のメカニズムや作用(CGなど)は、ベネフィットに直結させる
最も伝えたいベネフィットがすぐにわかるCG(アニメCG)や実験映像で訴求すると強くなります。
本来のベネフィットである「潤い成分」が浸透するということが、このようなビジュアルで表現されると非常に伝わりやすくなります。まさに一発ビジュアルです。
このような強いシーン、映像を持っていると、非常にインパクトの強い、訴求能力の高いシーンとなるため、このようなものを開発していくことが非常に重要です。
5. 効果を連想させる映像、原材料が山盛りの映像を見せる
効果を連想させる映像として、メガネなしでパソコンを使っている様子を見ると、「目が良いんだ」「メガネなしでできるんだ」という印象を与え、「良さそう」「びっくりした」「メガネいらなくなった」といった声があがっています。「目が疲れない」という効果を連想させています。
また、原材料のブルーベリーが山盛りになっている映像で、「たくさん入っている」ということを示唆しています。
サプリメントでも何でもそうですが、やはりたくさんの成分が含有されている、たくさんの原料を使って商品が作られているということは価値が増します。
6. 即決しなければならないため、「安心・安全」を感じさせることが重要
短尺は即決させなければならないので、端的に安心・安全を感じさせるということは意外に重要です。
これはサプリメントの例ですが、やはり商品への不安が少なからずあるため、安心できるサポート制度がある、安心できるメーカーですというところを、積極的にアピールすると良いでしょう。
専門スタッフが色々な相談に乗ります、お答えしますという例では、「安心感があるな」という声があがっています。研究所での研究シーンでは、「メーカーの技術力が高くて安心できる」という感想があがっています。
「安心・安全」と言葉では言えないので、効果的な表現となります。
オファー要素のポイント
オファー要素のポイントは、6つあります。
1.1000円以下、50%オフなどは強い「お買い得感」になる(長尺以上に重要)
2.980円より780円の方が強い
3.どんなオファーでも送料無料は魅力大
4.「半額」は魅了することば。安さやお得を直感させる
5.「限定」は魅力的
6.「返品OK」は商品への自信や安心を感じさせ、背中を押す要因になる
1. 1000円以下、50%オフなどは強い「お買い得感」になる(長尺以上に重要)
価格の安さについてですが、1000円以下はお買い得感の引きは非常に強いです。
・サプリメントの例では、1000円以下でも980円と780円では780円の方が購入意欲に強い結びつきがあります。
・スキンケアの例では、1050円と1890円と比較すると、1050円の方がお得感が感じられています。
次にパーセンテージ、割引率についてです。
10%オフだと「たったそれだけ」という印象を与えがちです。
やはり値引き感が大きいのは半額程度のところです。
2.980円より780円の方が強い
780円の場合は、「購入に結び付いたシーン」としてあがってきています。
また、オファーの印象としても「700円台の安さ」、「価格が手頃でちょうど良い」という声があがってきました。
それに対して980円の場合、購入に結びついたシーンとしては、値段はあがってきていません。オファーの印象は「通常の半額以下の試しやすさ」というのはあったものの、やはり700円台に比べると、その出現が少ないため、インパクトとしては劣るということがいえます。
3. どんなオファーでも送料無料は魅力大
安い価格に送料無料というのは当然魅力が大きいです。高い価格の場合にも購入を後押しする要因になるため、送料無料は強く訴求すべきです。

通販の場合は、送料無料を採用されているところも多いかと思いますが、送料無料は非常に強い要素になるので、積極的にアピールしていくことが重要です。
4. 「半額」は魅了することば。安さやお得を直感させる
半額くらいになればインパクトは非常に強いので、強く押し出していくべきです。 
このように「半額」という文字を大きくしたりすることも含めて、どんどん前に出していくことでインパクトをつけ、購入意欲に直結させていきましょう。
5. 限定は魅力的
「今しか買えない」「今だけ」「ここだけ」といった「限定」は非常に重要です。
「初回限定」(初めての方限定)は非常にお得感があります。
また「通販限定」も、お店では買えない特別感のようなものがあったりするので、このような何らかの限定というものは積極的に作ってきちんとアピールするべきです。
6.「返品OK」は商品への自信や安心を感じさせ、背中を押す要因になる

短尺は即決しなければならないので、「返品OK」は「商品への自信や安心」を感じさせ、背中を押す要因になります。積極的に訴求しましょう。
最後に、繰り返しになりますが、短尺のインフォマーシャルは、2分、3分、4分といった短い時間で購入を決定させ、注文電話をかけさせなければならないので、表現は取捨選択をして研ぎ澄ますことが必要になってきます。
長尺の29分以上に、制作としては難易度が高く、難しいものになります。
私は、まず29分を制作し、良いシーンが分かった後で、短尺を制作するのがリスクが少なくなり、また、成功確率を上げると考えています。
まとめ
・短い尺で購買意思決定を迫る短尺インフォマ。構成、表現、オファーの3要素を磨き、高いレスポンスを目指しましょう。
・短尺インフォマの構成は、伝達要素の絞り込み、シーンの見せ方、CTAの頻度が重要。体験談や一発ビジュアルで購買意欲を高める。
・即決を促す短尺インフォマでは、体験談・ターゲット・ネーミング・メカニズム・連想映像・安心感を効果的に見せることが重要。
・短尺インフォマのオファーは、1000円以下や半額、送料無料、限定が効果的。さらに返品保証で購買促進と安心感を高めることも。
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