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2026.05.08

Vol.4 ユニバーサル上映体験レポート~「伝える」を諦めない挑戦を描く、映画『こころの通訳者たち』

大広社員の根上小夏が、新しいインクルージョンのカタチ“FUNclusion”(ファンクルージョン)についてお届けする連載、根上小夏のFUNclusion研究所。 “FUNclusion”とは「FUNな入口からはじまるインクルージョン」、その可能性を様々な角度から、みなさんと一緒に見つめていきたいと考えています。
今回は“FUNclusion映画祭”で実施したユニバーサル上映を大広のオフィスで体験するイベントの様子をお届けします。ユニバーサル上映(ユニバーサルシアター)とは、日本語字幕と音声ガイドを標準装備して視覚・聴覚障害の有無、年齢、国籍にかかわらず、誰もが一緒に映画を楽しめる上映形式(シアター)のことです。目で聴く、音で見る、いつとは少しちがった映画体験がもたらしてくれた温かな雰囲気を、感じていただけますと幸いです。

※「FUNclusion!研究所Vol.1」のコラムはコチラ

写真:このコラムFUNclusion!研究所の著者の根上小夏根上小夏
株式会社大広ソリューションデザイン本部​ 
ストラテジックプランニング局第3グループ​

 北海道出身、2000年生まれ。​2023年 株式会社大広に新卒入社し、以来マーケティングセクションに所属。​調査を通した市場・顧客分析や事業・ブランド戦略や施策立案業務に携わる。​高校生の時、広告を見て自身が励まされた経験から、“きもちのスイッチ”を発見できるマーケターを目指しています。​忙しなくも、愛おしい日々に、心が前向きになる瞬間を創りだしていきたいです。​日常の彩る瞬間を、増やせますように。そんな気持ちを胸に、日々の業務に向き合っています。

誰もが映画を楽しめる、ユニバーサル上映に取り組むお二人。

 今回のイベントでは、ブラインド・コミュニケーターの石井健介さんと、日本初のユニバーサルシアター『シネマ・チュプキ・タバタ』の代表、平塚千穂子さんにもゲストとしてご登壇いただきました。お名前を言ったあと少し間を作り、「今の間は拍手を求めての間です(笑)」と、お得意のジョークで会場を笑顔にしてくださった、石井さんの自己紹介で、ユニバーサル上映会は幕を開けました。画像 赤と黒と白の3色を基調としたチェックシャツに黒いカーディガン、白のハンチングをかぶり、マイクを持つ石井さん。 画像終わり2016年4月17日の朝、目を覚ますと目が見えなくなっていたという石井さん。見えなくなったからこそ見えてきたこと、そこから 感じた面白さから、ワークショップの制作や企業研修を展開しているそうです。本研究所にも何度もご協力いただいています。特に、昨年ヘラルボニーさんと共催した、FUNclusion Weekではたくさんの企画でご一緒させていただきました。石井さんは、本日のユニバーサルな映画体験の目玉の一つ、音声ガイド(オーディオディスクリプション)の制作にも携わっていらっしゃいます。

石井さんのご挨拶に続き、平塚さんのプロフィールもご紹介。25年前から、目の見えない人に“言葉で映画を届ける”活動を始めたそう。「奇しくも石井さんの画像 シネマチュプキタバタのロゴが入った白いTシャツで、微笑みながらマイクを持つ平塚さん。 画像終わり目が見えなくなった2016年、東京の田端でユニバーサルな映画館を始めました」と平塚さんからもお話をいただきました。FUNclusion Week特集でも取り上げさせていただいた、“ユニバーサルシアター”。ユニバーサルシアターとは「誰もが安心して映画を楽しめる環境を整えた劇場」のことです。シネマ・チュプキ・タバタでは全ての座席にイヤホンジャックが設置されており、お手持ちのイヤホンを挿すだけで、上映するすべての映画を音声ガイド付きで鑑賞することができます。さらに、日本の映画も含め、全ての作品を字幕付きで上映。そのほかにも、車椅子の方が心置きなく使用できる劇場設計、お子さん連れや大きな音が苦手でも楽しめる個室なども完備しているのが、日本初のユニバーサルシアター、シネマ・チュプキ・タバタです。

今回は、シネマ・チュプキ・タバタでは当たり前、しかし、一般的な映画館ではなかなか体験できない、音声ガイド&字幕付き上映を大広で再現いただきました。

▼会場で貸し出しいただいた音声ガイド用FMラジオ。FM電波で音声ガイドが発信され、手元のラジオからイヤホンで、映画と同時に聴取できる。
画像 会場内のテーブルに、複数並んだ黒い携帯型ラジオ。各ラジオには片耳用のイヤホンがついている。画像終わり

ユニバーサル上映を堪能する、事前ワークショップ

  今回のイベントでは、映画上映の前に、石井さんと平塚さんから音声ガイド・字幕付きのユニバーサル上映をより楽しめる、映画ワークショップを実施いただきました。

ワークショップは以下の順番で行われました。
①    映画本編の一部を音声のみで上映
②    同じ部分を音声+音声ガイドつきで上映
③    同じ部分を無音で映像のみ上映

ワークショップでは、今回の上映会で上映予定の『こころの通訳者たち』の冒頭3分間の部分を使用しました。『こころの通訳者たち』は、平塚さんが代表を務める映画館「シネマ・チュプキ・タバタ」の取り組みを描いたドキュメンタリー映画。この映画は、「凛然グッドバイ」という舞台劇において、耳の不自由な方に向けて同時手話通訳に挑んだ3人の方の姿を追いつつ、さらにそれを目の不自由な方にも鑑賞してもらえるよう音声ガイドをつけるシネマ・チュプキ・タバタの挑戦を描いたドキュメンタリー作品です。

①冒頭3分間の劇中音声のみを聴く

ワークショップではまず、画面に何も映っていない状態で、冒頭3分間の劇中音声だけが流れました。出演者一人の方が盲導犬と一緒に合気道教室を訪れる様子がナレーションをベースに語られたあと、手話通訳者が出演する舞台『凛然グッドバイ』の舞台音声と、舞台について説明するナレーションが流れていきます。ここで、会場の皆様へ石井さんから「劇中の音声だけで、分かったことを教えてください」と問いかけが。参加者の皆さんからは、「三軒茶屋で合気道をやっている」「パンチのような音がした」「BGMの時間が長く感じた」という回答が続きました。私も実際に体験し、映画の音声だけでは得られる情報が限られていることを実感しました。ここで、今度は映像の内容を音声で補完する、“音声ガイド付き”で聴いていただきます、と石井さんがワークショップを進行していきます。

②    劇中音声と音声ガイドを聴く

次に流れた音声は、先ほどの劇中音声と音声ガイド。1度目同様、画面は真っ暗なままですが、
・映画の制作「シネマ・チュプキ・タバタ」
・盲導犬と歩く様子
・どのような動きで合気道に取り組んでいたのか
・『凛然グッドバイ』の舞台の様子
こうした内容が、音声で情報が次々と補完されていきました。
ここで、再び石井さんから映像の印象についての質問が投げかけられました。会場の皆さんからは、「情景が分かった」「どの地域が舞台だったかが、音声ガイドで読み上げられたことで理解できた」という声が上がります。石井さんからも「先ほどBGMが長い、と感じられたところでタイトルが出ていたことがわかりましたね」との言葉が重ねられました。

③    無音で映像だけを見る

ここで、ワークショップの進行が平塚さんにバトンタッチ。「ここからは、無音。映像だけで見ていただきます。聴こえない人が映画を見ているときどんな形なのか、体験いただきます。」との呼びかけで、本日はじめて、スクリーンに『こころの通訳者たち』の映像が映し出されました。約3分間、静かな会場の中で、映像が広がっていきます。
3分間の冒頭映像が終了し、「ありがとうございました。」と告げた平塚さんの言葉にすかさず、「本当に映像が流れていたんですか!?」という石井さんのブラインドジョークが。和やかな雰囲気の中、参加者の方からも「何歳くらいの出演者の方かわからなかったが、やっと年齢が分かった。」「合気道をなぜ始めていたのかわからなかったが、映像を見ると背景が分かった。」という声が次々に飛び出します。一方で、「映像だけでは、私たちに何を伝えようとしているのかわからなかった。」という意見も上がりました。最後に平塚さんから、『こころの通訳者たち』の内容について、簡単にご紹介いただきました。「この映画では、演劇を、耳の聞こえない人に届ける「舞台手話通訳者」を追いかけたドキュメンタリー映像を、目の見えない人達にどう伝えるか、がポイントになっています。」と平塚さん。続けて、「音声ガイドのみでは、舞台手話通訳者の方々の映像は頭に浮かんできていないのではないでしょうか。」という投げかけがありました。確かに、音声ガイドのみで鑑賞した際は舞台役者の方のセリフが印象に残りましたが、映像だけで見ると、フォーカスが当たっていたのは舞台手話通訳者の方々でした。「この“手話表現”が、聴こえない人にとって言語としてどれほど大切か、ということはお感じ頂けたかと思います。」と平塚さんは続けます。「見えない人、聴こえない人の感覚を少しインプットいただけた状態で、映画をご覧いただけたらと思います。」そんな平塚さんの言葉とともに、いよいよ本編が始まりました。

▼ほほえみながらマイクを持つ平塚さんと、平塚さんのお話に耳を傾ける石井さん。

画像 シネマチュプキタバタのロゴが入った白いTシャツで、微笑みながらマイクを持つ平塚さんと、赤と黒と白の3色を基調としたチェックシャツに黒いカーディガン、白のハンチングをかぶり平塚さんのお話に真剣に耳を傾ける石井さん。 画像終わり

 

立場が違う相手をつなぐ、“リスペクト”と“コミュニケーション”。

  本編が終わったあとは、余韻をそのままにトークセッションへ。冒頭、平塚さんから、『こころの通訳者たち』の鑑賞会後に“見えない・聴こえない世界”に普段関わりのない方から一番よく聞かれる質問をご紹介いただきました。その質問とは、「どうやったらこんな風に話し合いを進められるのか」というもの。『こころの通訳者たち』の中では、“ろう者の方の文化である手話”を“目が見えない方にどう音声で伝えるか”が議論されています。音声言語を、手話通訳の方が手話に変換している様子を、音声ガイドで描く…複数の言語・感覚をまたぐ構造自体がとても複雑です。そして、音声ガイドの内容を話し合う検討会には、異なる背景を抱えた様々な方が参加されています。音声ガイドのクオリティをチェックする役割を担う、石井さんをはじめとして目の見えない方々。手話の訳に問題がないかの確認を担当する、耳の聞こえない方と手話通訳の方。そして、そうした過ごしてきた背景が全く異なる参加者の皆さんの中心に立ち、映画を届けるプロとして議論を主導する平塚さん。映画を見ていると、平塚さんは、関わる全ての方を大変リスペクトされ、心の底から向き合ってらっしゃることが伝わってきました。ただ、ここで平塚さんから、「『凛然グッドバイ』の音声ガイドを作るまで、手話の世界のことは全く知りませんでした。」と、とても意外なお話が飛び出しました。音声ガイドの作成に取り組むまで、「日本語を手話に変換するだけなんだろうな」と思っていた、という平塚さん。劇中でも手話通訳の方が、「そうじゃない。手話は全く違う言語なんだ」と平塚さんに訴えるシーンがとても印象的に描かれていました。「何もわからない子どもに、大切なことを教えてくれたようだった。」と、平塚さんは続けます。だからこそ、何を伝えないといけないのか、どこを大切にすると実現できるのか、を考えながら歩み寄ることができたそうです。平塚さんはさらに、「相手をリスペクトし、相手にわかるように自分の意見を伝える、それはどの世界でも大切」という言葉を続けてくださいました。ここで、ファシリテーターから、「平塚さん、結構無茶ぶりされているんだなと感じました(笑)」との投げかけが。石井さんも「僕らの中では、無茶ぶりの平塚。無茶ぶりの千穂子ですもんね(笑)」と応戦します。「平塚さんはあきらめない。ゴールがない、道がない中に、平塚さんは道を作ってくれます。福祉っぽい映画なんでしょ?と言われることもありますが、監督がこれは人と人とのコミュニケーションを描いた映画なんだという言葉があり、その通りだなと感じています。」と石井さんは続けます。『こころの通訳者たち』の中で皆さんが議論されていた過程そのものが、コミュニケーション。この事実には、鑑賞する中で私も最も強く心を揺さぶられました。

▼今回上映した映画『こころの通訳者たち』の黒板アート。映画の中でも印象的な、舞台を終えた3人の手話通訳の皆さんが感極まって抱きしめ合うシーンが描かれている。

画像 会場に設置された映画『こころの通訳者たち』の黒板アート。タイトルとともに、「音が見えるように、光が聞こえるように」という映画のコピーと、舞台の衣装を着たまま抱きしめ合う手話通訳の3人が、大きく描かれている。イラストの脇には、3人が抱き合いながらつぶやいていた「ガンバッタ」という言葉と、舞台『凛然グッドバイ』で印象的なセリフ「What a Wonderful World」という言葉が。 画像終わり

分からないことばかり。でも、だからこそ、伝えたい。

  石井さんの言葉に重ねる形で平塚さんから、「諦めないコツ、諦めなかった要因が、実はあって…」と、ある映画の音声ガイド制作にトライしたご経験を教えてくださいました。まだシネマチュプキを始める前、ろう者の方の文化を描いた映画に、音声ガイドをつける挑戦をしたことがあったそうです。しかし、映画の制作に関わった方から、「聴者には理解できない世界だから」との意見があり、音声ガイドの制作は叶わなかった。それからずっと「ろう者と聴者の世界は“わかり合えない世界”なのか?」と疑問が残っていたという平塚さん。そんな平塚さんの気持ちを動かしたのが、『凛然グッドバイ』の音声ガイド制作の過程で、ろう者の方が、「手話にもバリエーションがある」と手話表現を見せてくれた瞬間だったそうです。「同じ言葉でも別のニュアンスで表現する。これは声の演技でもやっているな」、「音の世界と見せて表現する世界がちがうだけかもしれない」。そう思ったとき、「人に伝えたい」「一人で生きていたくない」という気持ちが人間の根本であり、そこを諦めてはいけない、そんな思いが平塚さんの中に生まれたといいます。
石井さんからは「文化が違うからこそ、同じ時間が過ごすことが重要」というお話がありました。いま、ろう者のクリエイターの方とも一緒に働かれている石井さん。石井さんは“手話を見る”ことはできないけれど、「この人達の言語で伝えたい」という想いで、手話を使ってコミュニケーションをとっているとお話してくださいました。手話で伝える中で、石井さん持ち前の“ブラインドジョーク”を、手話で表現することも自然と生まれていったのだとか。「これは手話を第一言語とする人と、目が見えない人がコミュニケーションをとらなかったから生まれていなかった冗談だった」と語ってくれた石井さん。こうしたコミュニケーションが当たり前にできている社会こそ、真に“ダイバーシティーとインクルージョン”が実現された社会なのでは、と話してくれました。「僕のブラインドジョークは、笑っていいのかな?とよく迷われるのですが、その迷いがなくなるといいよね?と平塚さんといつも話しています(笑)」。

『こころの通訳者たち』で描かれた音声ガイド制作が行われたのは34日間。「限られた時間の中で、文化が異なる方々がなぜここまで本心で語り合うことができたのか。」ファシリテーターから質問がありました。この質問に対し石井さんから、「FUNclusion Weekでもそうでしたが、インクルーシブや障害について取り組む中で、当事者がいないのはもちろんよくない。そして、会議室で肩肘をはって、というよりも、たのしい、一緒にいたい、という気持ちから始まるのが一番いいのではないかと思います。」とのお答えが。「食べ物の好き嫌いがある友人とご飯に行くとき、その方の好みに合わせてお店を選ぶように、車いすの方とご飯に行くときはバリアフリーのお店を選ぶ。それと同じなのではないかと思います。」石井さんはそう続けます。平塚さんからも「“FUN”って大事ですよね。面白がるって。」とのお言葉が。歴史が紡がれる中で、失敗も繰り返され、なかなか発明が生まれにくくなっていると感じながらも、平塚さんの中では「無茶なほど面白い」という気持ちがあるそうです。みんな「未知なものを見てみたい」という気持ちを持っているからこそ、“未知”を面白がれたらいい。“チュプキ”はアイヌ語で“自然の光”を指すそうで、「もっと多様なのが本来の世界、自然なのでは」と平塚さんは続けます。健常者しかいない、世界のほうが不自然で、多様な人がいるからこそ大変だからこそ心地よいし面白い。そして楽しい。そんな、“インクルーシブ”の軽やかな解釈ともいえる言葉をいただきました。

想像力の分だけ広がる、ユニバーサル上映の可能性

最後に、上映後の感想も会場の皆さんから頂戴しました。
・ユニバーサル上映は、情報過多になってしまうのではと思っていたが、もっと映画を深く知れた。
・手話を見えない人に伝えるというのが今までなかったんだ、と思うと興味深く面白かった。
・聞こえていて見えていると、自分に都合よく情報を解釈していると認識できた。
・「見えない人の世界は目がつぶった世界、と言われるとちげーし!と思う」という劇中の言葉にはっとした
こうしたご感想に、平塚さんから、「見えて聴こえることが100%、見えない・聞こえない人は“欠けていてかわいそう”という感覚があるからはっとしたのではないでしょうか。それはとても大きな気づきだと思います。」とお言葉がありました。石井さんからは、子ども向けのアニメや特撮モノなどで、登場人物が多かったり変身後に名前が変わってしまったり…、そういうものには音声ガイドがつくと、“見えている人”の助けにもなる、とお話がありました。ドキュメンタリーなどでは音声が聞き取りにくく、字幕がとても助かる、という声もあるのだとか。平塚さんも、「実は映画で見るべきところもみられていないことが多い」と重ねます。シネマチュプキでは、「映画を届ける責任がある」という信念のもと、音声ガイドを制作する際は監督の方やプロデューサーの方に、可能な限り確認しながら作っているそうです。映画は観客の解釈が作る部分も大きいため、監督の中には、「自分はこう考えていなかったけれど、音声ガイドの原稿を見るとそうかもしれない」と新しい気づきを得る方もいるのだとか。
一連の会話を通じて石井さんからは、「音声ガイドにはエンターテイメントの可能性がある」というお話も飛び出しました。例えば、ホラー映画の音声ガイドで「目の前にだれかが通りすぎる」という描写があるが、スクリーンにはなにも映っていない…スクリーン上の行動が音声ガイドによって全く違うものに見えてくる…そんなお話を伺っていると、音声ガイドはまだまだ可能性にあふれる映画表現の一つであると感じました。「人の想像力の可能性は無限。」そんなお言葉でトークセッションはクロージングに向かっていきました。
最後に平塚さんからは、「ぜひシネマチュプキタバタにいらっしゃってください。様々な障害を持つ方が自然といらっしゃり、これまでにない映画体験ができる場だと思っています。」とコメントをいただきました。石井さんからも、「あまり難しく考えず、FUNclusion。楽しく、一緒に仲良くなれることが大事。障害のあるなしに関わらず、新しい関係性や可能性が広がっていくと実感しているので、こんな風にこうした輪が広がっていくといいなと思っています。」とコメントをいただき、温かく穏やかでありながら、強さを感じるお二人とのユニバーサル上映会は幕を閉じました。

▼映画祭のあと、平塚さん、石井さんの著書を購入する参加者の皆さん。
画像 平塚さんと石井さんの著書を笑顔で手に取る参加者の皆さん。対応に追われる平塚さんと、微笑みながら見守る石井さん。 画像終わり

おわりに

  今回、私は二度目の『こころの通訳者たち』ユニバーサル鑑賞でした。一度目の鑑賞後は、「音声ガイド、すごい!」という感動が最大の気づきでした。ただ二度目の今回は全く違った感想を抱きました。これまでの自分の生活の中にあるコミュニケーションがいかに人任せだったか、鑑賞しながら気づけば反省していました。「きっと伝わるだろう」と怠けてしまう、「なぜわかってくれないんだ」という一方的にイライラしてしまう…忙しない日々の中で、ついつい自分がないがしろにしてしまっていた、たくさんの瞬間が思い浮かびました。平塚さんがトークセッションの中でお話になっていた「人間の根本にある、人に伝えたいという想い」と、「そもそも人はもっとずっと多様であること」というとてもピュアな事実に向き合うことを避けていたことに気づき、とても恥ずかしくなりました。同時に、これから変えていかねば…とこっそり決意していました。もし今、私と同じような気持ちを抱いている方がいらっしゃいましたら、きっと『こころの通訳者たち』が「きっと伝わるよ」と、勇気をくれるはずです。障害があるとかないとか、立場が同じとか違うとか、そんなことをぴょんと飛び越え、「伝えたい」という気持ちを羅針盤に進む皆さんの姿に、私もとても励ましてもらいました。
  さて、本日もお付き合いいただきありがとうございました。今後も、FUNclusionなテーマを扱ってまいります。また、次回のFUNclusion研究所でお会いできますこと、心待ちにしております。


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この記事の著者

根上 小夏

(株)大広 ソリューションデザイン本部ストラテジックプランニング局

北海道出身、2000年生まれ。 2023年 株式会社大広に新卒入社し、以来マーケティングセクションに所属。 調査を通した市場・顧客分析や事業・ブランド戦略や施策立案業務に携わる。 高校生の時、広告を見て自身が励まされた経験から、“きもちのスイッチ”を発見できるマーケターを目指しています。 忙しなくも、愛おしい日々に、心が前向きになる瞬間を創りだしていきたいです。 日常の彩る瞬間を、増やせますように。そんな気持ちを胸に、日々の業務に向き合っています。