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―FUNclusion Week特集5―ユニバーサル上映への挑戦。映画の可能性を広げる、異色のコラボレーションが実現!

画像:FUNclusion映画祭でコラボレーションしていただく、シネマ・チュプキ・タバタの平塚さんとシモキタ エキマエ シネマ「K2」の大高さん。インタビュー会場である、K2の入り口で撮影。画像おわり

大広社員の根上小夏が、新しいインクルージョンのカタチ“FUNclusion”(ファンクルージョン)についてお届けする連載、根上小夏のFUNclusion研究所。 “FUNclusion”とは「FUNな入口からはじまるインクルージョン」、その可能性を様々な角度から、みなさんと一緒に見つめていきたいと考えています。
今回は、12/5-6にヘラルボニーと大広で共同開催したイベント「FUNclusion Week 2025」の特集第5弾!『FUNclusion映画祭』について、その裏側をたっぷりとお届けします!7本の映画が特別上映された本企画。私も実際に体験し“ユニバーサル映画”の持つ果てしない可能性に大変驚きました…。 映画館同士の異色のコラボレーションが実現した今回、企画に携わってくださった『CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)』代表の平塚さんと『シモキタ-エキマエ-シネマ「K2」』の大高さんに『FUNclusion 映画祭』の企画背景はもちろん、お二方の映画に対する思いを伺いました。

シリーズ一覧は、記事下部をご覧ください

バリアフリー上映とは―ブラインド・コミュニケーターの石井さんに伺いました―

早速お二人のお話をお伺いするその前に…『CINEMA Chupki TABATA』で音声ガイドの監修も担当されているブラインド・コミュニケーター石井さんから、バリアフリー上映とは?そして、映画館同士のコラボレーションとは?について、まずは前提を教えていただきました!

映画は、耳が聴こえなくても、目が見えなくても楽しめるものです。今だれが話しているのか、今どんな音楽が流れているのか…などが字幕で入った、耳に障害がある人への鑑賞サポート。そして、視覚情報を音≒言葉で補う音声ガイド≒オーディオディスクリプションがあります。通常、配給会社が作っているものは、専用のアプリをダウンロードして、そのアプリを起動しながら映画館で映画を見ると、日本全国どこでも音が勝手に同期してくれて、字幕付き、音声ガイド付きで鑑賞することができます。ただ、見たい!と思った映画に配給会社からの字幕・音声ガイドが提供されていない場合もあるんです。田端にある映画館、『CINEMA Chupki TABATA(シネマ チュプキ タバタ)』では、上映するすべての作品にバリアフリー字幕と音声ガイドがついています。配給会社が作っていなかったとしても、ここで公開する、と決めた映画は『CINEMA Chupki TABATA』が自腹を切って字幕や音声ガイドを制作して載せています。今回の『FUNclusion映画祭』はこれまでは『CINEMA Chupki TABATA』でしか見ることができなかった、バリアフリー版の映画を、『シモキタ-エキマエ-シネマ『K2』』で上映する、というレアな機会です!映画館同士、ミニシアター同士がコラボする、というのもレア。『K2』の代表である大高さんは、MOTION GALLERYというクラウドファンディングの運営もやっていて、ミニシアターの支援もされています。『チュプキ』のことも大高さんはサポートしてくれていて、僕も『チュプキ』で音声ガイドを作る仕事をしているので、字幕を見て、音声を聞いて、いつもと違う映画との出会いを楽しんでほしいな、と思い、今回企画をしました!

画像:ブラインド・コミュニケーターの石井さんの写真。美しい青い空と海をバッグに、白いシャツを着て白杖を持ち柔らかな表情で正面を見つめる。画像終わり

石井健介:ブラインド・コミュニケーター
1979年生まれ。2016年の4月、一夜にしてほぼ全ての視力を失うも、軽やかにしなやかに社会復帰。2021年からブラインド・コミュニケーターとしての活動をスタート。見える世界と見えない世界をポップに繋ぐためのワークショップ/講演活動をしている。TBS Podcast『見えないわたしの、聞けば見えてくるラジオ』パーソナリティ。著書『見えない世界で見えてきたこと』(光文社)

FUNclusion映画祭、発起人のおひとりである石井さんから、ユニバーサル映画について伺えたところで、ここからは、『CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)』の平塚さん、『シモキタ-エキマエ-シネマ「K2」』の大高さん、お二方の対談です!


画像:シネマ・チュプキ・タバタ代表の平塚さんの写真。音声ガイドで使用するマイクの前でほほ笑んでいる。画像終わり平塚千穂子さん
CINEMA Chupki TABATA(シネマ チュプキ タバタ)/バリアフリー映画鑑賞推進団体 City Lights  代表
東京出身。早稲田大学教育学部教育学科卒業後、飲食店や映画館に勤務。チャップリンの『街の灯』を視覚障害者と共に観るバリアフリー上映の企画をきっかけに、2001年 ボランティア団体 City Lightsを設立し、視覚障害者の映画鑑賞環境づくりに取り組み続けている。2016年、日本初のユニバーサルシアターCINEMA Chupki TABATA を設立。その功績が讃えられ、第24回 ヘレンケラー・サリバン賞、2017年 日本映画ペンクラブ賞 特別奨励賞、2018年 バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者 内閣府特命担当大臣表彰 優良賞受賞。2021年『こころの通訳者たち』を製作し、2022年度 山路ふみ子映画賞 福祉賞、文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞(芸術振興部門)受賞。2023年 第21回 読売福祉文化賞受賞。


画像:シモキタエキマエシネマK2の大高さんの写真。大きな木製の本棚の前に佇む。心地良い光が差し込み、木のぬくもりのあふれるお部屋で。画像終わり大高健志さん
MOTION GALLERY.Inc CEO/Founder
米系コンサルティングファームにて、戦略コンサルタントとして事業戦略立案・新規事業立ち上げ等のプロジェクトに従事。その後、東京藝術大学大学院に進学。制作に携わる中で、 クリエイティブと資金とのより良い関係性の構築の必要性を感じ、’11年にクラウドファンディングプラットフォーム『MOTION GALLERY』設立。以降、100億円を超えるファンディングをサポート。'15年グッドデザイン賞「グッドデザイン・ベスト100」受賞 。'20年さいたま国際芸術祭キュレーター就任。 '22年、下北沢駅南西口直結のミニシアター、シモキタ-エキマエ-シネマ『K2』を開館。

FUNclusion映画祭コラボレーションの背景とは!?

根上:まずは、平塚さん、『CINEMA Chupki TABATA(シネマ チュプキ タバタ)』とはどのような映画館で、どんなきっかけで生まれたのか、お聞かせください! 

チュプキ|平塚さん:チュプキは、日本唯一のユニバーサルシアター、どんな障害をお持ちの方も安心して楽しめるユニバーサルデザインな映画館です。もともと、私は2001年からボランティア団体を立ち上げて、目が見えない方をサポートする活動をしてきました。そうした中で、既存の映画館は目の見えない方にとって利用しづらいと感じました。目が見えない方が映画を見るときは、音声で状況・情報を伝える、「音声ガイド」が必要になるのですが、音声ガイドがすべての映画に用意されている訳ではありません。音声ガイドを作成する準備の手順を考えても、自分たちが映画館を作り、音声ガイドの必要性や制作・導入のステップなどを配給会社の方に知ってもらうのがいいのではないかと考えるようになりました。そしてそこから、「いつか自分たちの映画館を作りたい」と、夢見るようになりました。
その夢をかなえたのが『CINEMA Chupki TABATA』です。せっかく作るなら目が見えない人だけなく、他にも障害があって映画が見られない人がいるので、せっかくならみんなが安心して映画を見られるように、と考えた結果、ユニバーサルな映画館、になりました。

根上:今回の、『K2』さんとのコラボレーションのお話をご提案させていただいたときは、どのように感じられましたか。

チュプキ|平塚さん:『CINEMA Chupki TABATA』では、公式で音声ガイドや字幕に対応していないものは、オリジナルで作成させていただき、監督、制作の方にもお墨付きをもらっていました。ただ、作成したオリジナルの音声ガイドや字幕も、チュプキでの上映が終わってしまうと、ほかの場所で日の目を見ない…ということが続いていました。なので、K2さんで上映いただける、と聞いた時は、「これでさらに多くの人に知ってもらえる」と、嬉しくなりました。上映するなら、音声ガイド・字幕としても、聴きごたえ、見応えがあるものを、と思ったのですがどれも捨て難いなと思いました。

根上:平塚さん、ありがとうございます!『FUNclusion映画祭』を構想する中で、議論の序盤で大高さんから『CINEMA Chupki TABATA』との連携を提案いただきましたが、ご提案いただいたきっかけを教えていただけますか?

K2|大高さん: FUNclusion Weekのメイン会場に近いため『K2』で映画祭を、と声をかけてもらいましたが、「それだけでは参加する意味が見出せない」と、率直に感じました。“それっぽい作品”、という単純なことでは観客の方も来てくれないのでは?と。だからこそ、意味のある形にしたいと思いました。「ユニバーサルな上映を体験できる」と言える状態にしたいと考え始めました。K2は新しくできた建物なので、建築上のユニバーサルな環境はできているものの、「ユニバーサルな映画館」と対外的に発信をするほどには、建物環境としても、知見としても、整ってはいませんでした。期間中だけそれを謳うのも違うので、ユニバーサルな上映ができている、と言える状況にしなければと考えたとき、国内で、先陣を切って、活動されているチュプキさんが思い浮かびました。チュプキさんにお手伝いいただき、実際にアドバイスやディレクションを受けて、この体制ならできる、という状況を作れれば、K2としても外に発信してもおかしくないものができる。そして、平塚さん、チュプキにとっても、若い人が来る下北沢で、ユニバーサルな映画館というものがあるんだ、と伝えることで活動自体を広げられる可能性がありますし、FUNclusion映画祭自体の価値も広がるのではないでしょうか?と企画会議に参加していた皆さんにお伝えしました。すると、石井さんが「僕、チュプキで働いていたんです!」とおっしゃってくださって、じゃあやってみようか。となりました。

根上:ありがとうございます。今回、7作品の作品は平塚さんにお選びいただきましたが、『K2』では普段はどのように上映作品を決定しているのですか。

K2|大高さん:『K2』が目指しているところとして、まずは下北沢にきているおしゃれな方々にミニシアター人口、映画人口に入っていただき、映画自体を広げていきたいと思っています。尖った作品や、海外で評価が高いけれど日本のテレビでは放送されない映画を見る人を広げたいと思っています。なのであまり考えずふわっと見られる、でも次につながる可能性がある、そんな作品の上映を意識しています。また、下北沢はやはり演劇や音楽の街でもあるので、そういったバッググラウンドのある作品も選ぶようにしています。また、MOTION GALLERYでは、クラウドファンディングという形で作家のサポートをしているので、そのサポートさせて頂いた作品も積極的に上映し、みんなで制作したものをみんなで観られるあり方をつくっています。あとは、若手の作家を始め短編作品の制作もおこなわれているものの、まだまだ映画館で短編映画が上映される機会は少ない。ただ、劇場で上映が少ないことで短編は興行にならないからと、低予算の中で無理やりにでも長編で撮ろうとして長時間労働になってしまったり、カンヌに行ってもベテランと判断され新人賞に入ることがなかったり、ということが起こっています。そうした理由で長編を撮るくらいなら短編の方がヘルシーだよなと思うので、映画の制作の現場が少しずつ良くなっていってほしいという願いも込めて、短編も多く上映しています。

コラボレーションから見えた、映画とバリアフリー

根上:今回のコラボレーションを通じて、感じたことを教えていただけますと幸いです! 

チュプキ|平塚さん:そうですね。映写の方法から発券の仕組みまで、各映画館ですべてが異なるので、ユニバーサルデザインやバリアフリーというのはとてもハードルが高くとらえられていて。いい加減にやっていい、ということではもちろんないのですが「大変だからやめてしまう」というパターンが多いんですよ。「失礼があったらいけない」とか「事故が起きてはいけないから」と取り組みを辞めてしまう、ということが本当に多いので。「踏み出す」「やってみる」ということがすごく大事で。完璧にはできなかったとしても、「これならやれるよね」というのを探り合って「やる」。そういう経験をするのが良いなと思っています。『K2』でやらせていただいた「どこまでやれるのか」という会議も、この会議自体すごく意味があったな、と思います。

K2|大高さん:それぞれの映画館に、それぞれの場所でのやり方があるので。あとは設備的な問題もありますよね。そういったどうしようもない環境がある中で、どうしていくか。みんながトライしているんだなと思いました。

チュプキ|平塚さん:うんうん。その中で「でも、できるじゃん!」ということを積み重ねていけたらいいな、と思います。

▼『シモキタエキマエシネマK2』のチケット発券機。無人で、タブレットで購入する形を導入。
画像:シモキタエキマエシネマK2の入り口の写真。チケット発券機があるが、無人で、タブレットが置いてある。全体的に木目の落ち着く空間。画像終わり

 

FUNclusion映画祭で上映した作品と、ユニバーサル上映のご感想

最後に、上映自体は終わってしまいましたが、FUNclusion映画祭で上映した作品についても、紹介させていただきます。一部作品については、平塚さん、大高さんからもコメントを頂戴し、さらにそれぞれの作品で実際にユニバーサル上映を体験してくださったお客様のお声もいただいております!皆さんぜひ、ユニバーサル上映をご想像いただきながらお読みいただけますと幸いです!

「こころの通訳者たち」

音を見えるように、光が聴こえるように。本映画祭に協力する「日本で唯一のユニバーサルシアターのシネマ・チュプキ・タバタ」に持ち込まれたある相談から始まる、耳の聴こえない人にも演劇を楽しんでもらうために挑んだ、3人の舞台手話通訳者たちの記録。
https://cocorono-movie.com/

画像:心の通訳者たちの劇中写真。平塚さんがペンを片手に、悩むように目を伏せている。画像終わり

チュプキ|平塚さん:チュプキの音声ガイド制作のプロセスを追ったドキュメンタリーで、チュプキを知ってもらうことができる映画でもあります。1つの作品を見ることで、ろう者に演劇をどう伝えるか、目が見得ない人に映像をどう伝えるかの両方がわかる作品です。私たち、そしてこのFUNclusion映画祭自体を考えていただくためにもピッタリな作品だと思います!


「徒花」

井浦新×水原希子ほか豪華キャストにて現代に解き放つ、命の問題作。甲斐さやか監督5年ぶりとなる待望の長編第二作。井浦 新、水原希子、三浦透子、斉藤由貴、永瀬正敏ら、映画界の「現在(いま)」を感じさせる豪華俳優が集結。
https://adabana-movie.jp/

画像:徒花の劇中写真。メインキャストを演じる井浦新さんが、同じく井浦さんが演じているものの、服装も髪型も違う別の存在とガラス越しに手を合わせている。画像終わり

チュプキ|平塚さん
FUNclusion映画祭のアイデアを最初にくれた石井さんがクオリティチェックをしてくれた作品です。作品の脚本の素晴らしさと、監督の映像演出のこだわりが素晴らしいので。音声ガイドによって映画をより深く見られる、さらに面白くなる、ということを体験いただくのに持ってこいの映画だと思います。

 

「ルックバック」

2021 年に「少年ジャンプ+」にて公開されると、著名なクリエイター陣をはじめとした数多くの漫画ファンの間で話題を呼び、「このマンガがすごい!2022」オトコ編第 1 位にも輝いた作品が豪華スタッフ&キャスト陣によって、みずみずしくも繊細に、スクリーンに映し出される。
https://lookback-anime.com/

画像:ルックバックの劇中写真。2人の女の子が漫画雑誌を真剣に見つめている。冬用の帽子やマフラーで着込んでいるが、興奮のせいか顔は赤らんで、頬に汗がにじんでいる。画像終わり

 

「美晴に傘を」

言葉が心を紡ぐ、家族再生の物語。『底なし子の大冒険』『狼少年タチバナ』などで知られる劇団牧羊犬を主宰し、短編映画では国内外の数々の賞を受賞してきた渋谷悠の初長編作品。
https://miharu-movie.com/

画像:美晴に傘をの劇中写真。夜の街を背景に、升毅さん演じる男性が喪服にも見えるスーツ姿で、何かをこらえるような表情をしている。画像終わり

 

「響け情熱のムリダンガム」

インド伝統音楽の打楽器“ムリダンガム”奏者を志す青年が、 カーストや伝統芸能の承継に伴う軋轢などの困難を情熱で乗り越えていく、青春音楽映画。
https://thendral.co.jp/mridangam-movie

画像:響け情熱のムリダンガムの劇中写真。マーチングのようにスネアドラムを身体の前につけた男性を中心に、若者たちが全身を使って盛り上がっている。画像終わり

K2|大高さん:うちでも上映した人気作品です!ストーリーがいいんです。クラウドファンディングしてもらった映画なのですが、映画会社の方ではなくて、インドの料理屋をやっていた女将の方が、推し活の行き過ぎで映画を買ってやってみるという(笑)。そのストーリーも含めてアツいです!


「とりつくしま」

東かほり監督が、母である東直子さんの小説「とりつくしま」を原作に、脚本・監督を手掛け、小説のファンである小泉今日子が、「とりつくしま係」として物語に寄り添います。
http://toritsukushima.com/

画像:とりつくしまの劇中写真。メインキャストの小泉今日子さんを中心とした登場人物が、学校の教室にも見える、温かみのある部屋に集まり笑い合っている。画像終わり

 

「無名の人生」

"誰にも本当の名前を呼ばれることの無かった男"の、波乱に満ちた100年の生涯を描く、完全オリジナルストーリー。『音楽』『JUNKHEAD』に続く、個人制作の長編アニメーションの新たな傑作が誕生。
画像:無名の人生の劇中写真。教室の中で男の子が卒業おめでとうと書かれた黒板の前に立ち、クラスメイトを見つめている。全体がモノトーンで描写されており、どこか不気味な印象。画像終わり

 

―――鑑賞された方からのご感想――― 
・音声ガイドを頼りに、目を閉じて鑑賞してみた。細やかな情景の描写を頭の中で映像として映し出す作業は少々難しかったが、セリフの息遣いや背景の音など普段は意識しない情報を敏感に感じることができ、新鮮だった。映画館で目を閉じて鑑賞したのは初めてだったので、いい経験でした。

・動きやセリフ、場面の切り替わりが多くない映画だったためか、全く違和感なく聴くことができました。感想をお伝えするのであれば、音声ガイドなしで見てみるべきかも?とも思いましたが、もう一度見るとしてもガイド付きを選ぶくらい、私にとってはあってうれしいシステムでした。

・1度観たことのあるルックバックを今回はバリアフリー上映で観ました。とにかく新鮮。特に音声ガイドでのキャラクターの表情の表現が豊かで、「目の中にはキラキラと星のように輝く光」など、いつもは気が付かないような細かな描写まで拾い上げていて、より登場人物の感情が鮮明に感じられました。情景の説明も、雰囲気を伝えるために計算された順番で説明され、映像を観ながら音声ガイドを聞くことで、作画や細かな動きの意図にまで注意が向き、より作品を深く鑑賞できました。また、目をつぶって音声ガイドを聞くと、セリフや音楽と相まって、いつもよりものびのびとイメージの世界がひらいていく感覚があり、目で見るのとは別の迫力を楽しむことができました。

・ルックバックが好きでたまたま上映あることを知り今回ユニバーサル上映を鑑賞しました。本作で音声ガイド上映があるとの話はSNSで耳にしていましたが観る機会はなく、今回のこのような企画があるとも知らずよいタイミングでした。音声ガイドに字幕もあって、じっくり無心で観る感じではなかったですが、これ迄気付かない分からないことが今回見えてきてよい上映でした。
└音声ガイドを聴きなからの劇場鑑賞は本作が初めてで、FMラジオでミニFM局を受信して聴く方法は意外な感じだった。
└作中の四コマ漫画は画面で読んだことがなかったので、初めてきちんと分かったし音声ガイドの方でも演技している感じで少し驚いた。
└京本が訛っているので何と言っているか分からない所が字幕で分かった。
└エンドロールは音楽と画を自分の想いでじっくり観たいと言うのもあるが、時間と共に変わっていく景色のタイミングで音声ガイドがあると、藤野が描いていくしかないんだという現実をより感じ揺さぶられた。

・ユニバーサル上映というのは初めてだったので一度見たことある&好きな映画なら楽しめるかなと思い観に行きました。音声ガイド自体は不要かなと思っていましたが、目では楽しめない人に映画を楽しんでもらうために取捨選択して説明したり、その説明もちゃんと映画の雰囲気がわかるようにしないといけないので情緒的な表現があったりなど発見がありとても新鮮に見ることができました。

・映画好きを自負していましたが、初めてのユニバーサル上映で意識が変わりました。健常な自分には不要だと思っていましたが、音声ガイドを頼りに情景を想像したり、字幕による描写で理解を深めたりと、普段の鑑賞では見落としていた世界の広がりを実感しました。映画の新たな楽しみ方を知ることができ、とても面白かったです。より多くの映画館で、この鑑賞スタイルが選択できるようになったらとても嬉しいです。

おわりに

  知られざる、映画館とユニバーサル上映の世界の裏側をお伺いした本日。皆さんいかがでしたでしょうか。ミニシアターにあまりなじみがなく、「映画に詳しい人のための映画館」というイメージを持っていた私にとって、お二人のお話を伺い、気づけば「大高さん、平塚さんの選ぶ映画が見てみたい!」という気持ちになりました。そして、ユニバーサル上映を体験し、「この1カットに、こんなにこだわりがあったんだ!」と気づくことができました。映画館で何度も映画を見る、ということはなかなかなかったのですが、1度目は自分の感じるままに、2度目はたくさんの気づきを見つけながら…そんな楽しみ方もあるのだなと実感しました。皆さんの感想コメントにもありましたが、ユニバーサル上映は体験した方の数だけ映画の楽しみ方が広がる、そんな可能性を秘めていると強く感じました。ぜひ、『シモキタ エキマエ シネマ「K2」』と、『CINEMA Chupki TABATA』で、いつもとちがう、映画との出会いを体験してみてください!それでは皆さん、次回のFUNclusion研究所でお会いできること、楽しみにしております。


参考

◆「FUNclusion Week 2025」公式サイト:https://funclusion.jp/ 
◆株式会社ヘラルボニー:https://www.heralbony.jp/
◆「FUNclusion Week 2025」リリース:https://www.daiko.co.jp/daiko-topics/2025/102814003410199
◆「FUNclusion Week 2025」事後リリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000500.000039365.html
◆シモキタ-エキマエ-シネマ『K2』:https://k2-cinema.com/
◆CINEMA Chupki TABATA:https://chupki.jpn.org/


「FUNclusion Week特集 」シリーズ一覧
―FUNclusion Week特集 1―なによりもまずは、ただ楽しんでもらえたら
―FUNclusion Week特集 2―『見えないお花屋』“ブラインド”がひらく、お花の可能性
―FUNclusion Week特集 3―『しずかでうるさい洋食屋さん』“ちがい”をつなぐ、“食”のパワー
―FUNclusion Week特集 4―下北沢を愛するローカルメディア『しもブロ』黒田さんに聞く!FUNclusion Weekがもたらすものとは?
―FUNclusion Week特集 5―ユニバーサル上映への挑戦。映画の可能性を広げる、異色のコラボレーションが実現!

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このコラムの著者

根上 小夏

(株)大広 ソリューションデザイン本部ストラテジックプランニング局

北海道出身、2000年生まれ。 2023年 株式会社大広に新卒入社し、以来マーケティングセクションに所属。 調査を通した市場・顧客分析や事業・ブランド戦略や施策立案業務に携わる。 高校生の時、広告を見て自身が励まされた経験から、“きもちのスイッチ”を発見できるマーケターを目指しています。 忙しなくも、愛おしい日々に、心が前向きになる瞬間を創りだしていきたいです。 日常の彩る瞬間を、増やせますように。そんな気持ちを胸に、日々の業務に向き合っています。