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2025.12.16

【サイト運営者必見】もはやAI対策なしにオウンドメディアの成功はない、AI時代のサイト最適化AIO(AI Optimization)とは?

AI時代のサイト最適化AIO(AI Optimization)とは何か解説する記事のサムネイル画像

コーポレートサイトやオウンドメディアの運営に携わる人にとって、これまで、検索上位を狙うためのSEO(Search Engine Optimization)は不可欠でした。しかし、生成AIの普及に伴い、「検索する」から「AIに聞く」へと生活者の行動変化が起こる中で、対AIを想定した最適化「AIO(AI Optimization)」の重要性が急激に増しており、AIOへの対応は急務な状況です。

そもそもAIOとは何かという基礎的なことから、今すぐに対応できることは何かという実践的なことまで、各種AIソリューション開発を行う大広WEDOの原田信宏氏に解説してもらいます。

生成AIが一般ユーザーにも当たり前に使われるようになった今、「検索して、リンクをクリックして、サイトを読む」というこれまでの前提が変わりつつあります。Gartnerの予測によると、2026年までに従来型検索エンジンの検索ボリュームは25%減少すると言われています(※1)。背景にあるのは、「検索結果から情報を探す」のではなく 「AIに聞く」 ことを起点とした情報探索行動の変化です。

こうした環境変化の中で注目されているのが、AIO(AI Optimization)=AIに対する最適化 という新しい視点です。

なぜ今「AIO」が必要なのか – 4つのポイント(TL;DR)

本記事のポイントを、先に4つに整理しておきます。

Gartnerの予測
生成AIAIチャットボットの普及により、2026年までに従来型検索エンジンの検索ボリュームは25%減少すると予測されている(※1)。

ユーザー行動の変化 
 ユーザーは「検索結果から情報を探す」のではなく、「AIとの対話の中で完結させる」行動へシフトしており、ゼロ・クリック検索が増加している。 

AIOの重要性
Ahrefsによる75,000のブランドを対象とした分析では、GoogleAI回答(AI Overview)との相関が最も強かった指標は、「Web上のブランド言及数(相関 0.664)」 だった(※2)。被リンク数やドメインパワーよりも、「どれだけネット上で語られているか」が重要になりつつある。

結論
もはやSEOだけでは不十分な時代に入っている。「AIOAI Optimization)=AIへの最適化」 を組み込んだ、SEO × AIOの戦略が求められる。

生成AIの普及がもたらす検索行動の変化

近年の検索体験は、大きな転換点を迎えています。これまでは

キーワードを入力検索結果一覧を眺める興味のあるリンクをクリックする

という「リンク前提の検索」が主流でした。
しかし今、多くのユーザーはこう感じ始めています。

AIに聞けば、だいたいのことは要約して教えてくれる」「必要なら、そのあとでリンク先をいくつか確認すればいい」

つまり、
AIとの対話が起点となる「AIファースト検索」 が、静かに日常の行動として広がっています。これは決して、「SEOはもう意味がない」という話ではありません。むしろ「AIが情報探索の入口として台頭し、検索エンジンだけに頼る時代ではなくなる」という状況変化のシグナルと言えます。

「検索」から「対話」へ。AI時代の新しい行動モデル「ADEAS」

従来モデル AISAS の限界

インターネット時代の代表的な購買行動モデルのひとつに、AISASAttention → Interest → Search → Action → Shareがあります。しかし、生成AI登場後のユーザー行動を観察すると、いきなりAIに相談する、AIから提案された選択肢を比較しながら検討する、必要なときだけサイトに飛んで詳細を確認する、といった 「対話と検討を往復するプロセス」 が目立つようになりました。もはや「Search(検索)」の一回きりのフェーズでは説明しきれません。

AI時代の行動モデル「ADEAS」

そこで本記事では、AI時代の行動モデルとして、

ADEAS
Attention(注意) → Dialogue(対話) → Examination(検討) → Action(行動) → Share(共有)

というフレームを仮に定義します。なかでも企業が注目すべきは、2つ目のフェーズである 「Dialogue(対話)」 です。ユーザーがAIに質問を投げかける、AIが商品やブランドをいくつか候補として提示する。その中で「比較対象の一つとして挙がるかどうか」ここで AIに名前を挙げられないブランドは、そもそも検討の土俵にも上がらない可能性があります。 

つまり、AIとの対話の場で「話題に上るブランド」かどうかが、その後のExamination(検討)やAction(行動)に大きな影響を与えるようになってきているのです。

AI最適化の定義とSEOとの違い

あらためて、AIOという概念を“辞書的”に整理します。

What is AIO?】AIOAI Optimization)とは?

**AIOAI Optimization**とは、生成AI(例:ChatGPTGeminiClaudeなど)の回答において、自社の情報が正確かつ適切な形で引用されるように最適化する取り組みを指します。

従来のSEOと比較すると、次のような違いがあります。

SEO検索エンジン(クローラー)への最適化

  • HTML構造・メタ情報
  • 被リンクやドメインパワー
  • ページ速度やモバイルフレンドリーなど

 AIO大規模言語モデル(LLM)への最適化

  • テキストの意味・文脈のわかりやすさ
  • ブランドや商品情報の一貫性・網羅性
  • 信頼性の高い情報源からの引用・言及

AIOは、LLMOLarge Language Model Optimization)、AEOAnswer Engine Optimization)、GEOGenerative Engine Optimization)といった概念とも近しい関係にありますが、本記事では、AI時代におけるブランド/自社メディアの「理解されやすさ・引用されやすさ」を高める総合的な取り組みとして AIO という用語を用いています。

AIOの「重要指標」

AIOの重要性を象徴するデータとして、Ahrefsによる75,000のブランドを対象とした分析結果があります(※2)。

AI Overviewに影響する指標は何か?
Google AI Overview(検索結果上部に表示されるAI生成回答)にブランドがどれくらい登場するかを分析したところ、各種指標との「相関」が以下のように整理されました。 

最も強い相関を示した指標Web上のブランド言及数(相関係数 0.664。このことは、「AIにとって重要なのは、どれだけWeb上で自然に語られているかであり、単に強いドメインを持っているかどうかだけではない」という方向性を示していると言えます。

もちろん、これは相関関係であり、因果関係を断定するものではありません。しかし、「被リンクを集める」だけでなく「ブランドとして、生活者の会話の中で語られる状態をつくる」という視点が、AIOを考えるうえで重要になっていることは間違いありません。

企業が取り組むべきAIO 3ステップ

 AIOは、一つのテクニックで完結するものではなく、「現状把握情報整備対話実装」までを含む総合的な取り組みです。ここでは、実務で取り組みやすいように、3つのステップに整理します。

Step1:現状の可視化(AIO診断)

 最初のステップは「現状を知ること」です。具体的には、以下のような観点で診断を行います。

  • 生成AIにブランド名を尋ねたとき、どのように説明されるか?
  • 主要な商品やサービスが、正しく理解・分類されているか?
  • 競合ブランドと比較して、AI上での存在感はどうか?
  • 事実と異なる説明や誤解を生む表現など、ハルシネーションは発生していないか? 

この段階の目的はAIにとってのブランド像」を定量・定性の両面から把握することです。

どこに歪みがあり、どこが不足しているのかを知ることで、次のステップで行う情報整備の優先順位がはっきりしてきます。

 Step2:AIへの情報最適化(構造化・言及獲得)

現状把握ができたら、次はAIが理解しやすい情報環境を整えます。

①構造化データ(JSON-LD)の整備

  • 企業情報・ブランド情報・商品スペックなどを構造化して公開

  • FAQセクションをFAQ Pageとしてマークアップする など

②ブランド情報の体系的な公開

企業サイトやブランドサイトで、「どんなブランドなのか」「何を大事にしているか」を明文化

  • プレスリリースや特設ページで、商品/サービスの位置づけを明確に説明

  • 用語集やQ&Aコンテンツで、専門用語やブランド独自の概念を整理

AIは「散らばった情報」よりも、一貫して整理された情報を好みます。

③Web上の言及数を増やす(PR・SNS)

Ahrefsの調査が示す通り、Web全体でのブランド言及数はAI Overviewとの相関が高い指標です。

  • メディア露出やプレスリリース

  • SNS上での公式アカウント発信・UGC施策

などを通じて、単なる被リンク獲得ではなく「生活者の文脈の中で語られるブランド」を目指すことが、AIOの観点でも重要になってきます。

Step3:自社サイトでの対話実装

最後のステップは、自社サイト側の体験をAI時代仕様にアップデートすることです。AI時代のユーザーは、サイトに来訪したときでさえ、「サイト内検索で探すより、AIに聞いたほうが早い」と考えるケースが増えています。そこで有効なのが、

ブランドを語ることができるAIチャットを自社サイトに実装することです。これにより、サイト来訪者が抱える具体的な疑問に即時回答できる、一人ひとりの状況に応じたレコメンドやナビゲーションが可能になる、対話ログを分析することでニーズ・インサイトの発見やコンテンツ改善に活かせる。といったメリットが生まれます。

大広ではブランド人格を保有するAIチャット「Brand Dialogue AI」を開発していますが、このようなAIチャットを導入することは、当たり前の時代になっていくと考えられます。

(参考記事)

生成AIが顧客対応を変えていく。 究極のOne to Oneコミュニケーションを可能にする「ブランドダイアログAI」|COCAMP


生成AIで実現する、 One to Oneの「対話」が広げるビジネスの可能性とは?|COCAMP

外部のAI(検索・チャット)へのAIOに加えて、自社サイトの中にも 「ブランドを代表するAIの窓口」 を持つことが、中長期的なブランド価値形成において重要になっていくでしょう。

【FAQ】AIOに関するよくある質問

最後に、私が企業のAIO対策の相談の中でよくいただく質問について、回答とともにQ&A形式でまとめておきますので、ぜひ参考にしてみてください。

Q1. AIO(AI Optimization)とは何ですか?

AIOとは、生成AIChatGPTGeminiなど)の回答において、自社の情報が正確・適切に引用されるように、情報の整備や構造化を行う取り組みです。SEOが「検索エンジンのクローラー」に最適化する考え方であるのに対し、AIOは「大規模言語モデル(LLM)」に最適化するという視点で捉えることができます。

Q2. SEOはもう不要になるのですか?

いいえ、不要にはなりません。現在の検索結果は、AIによる回答(AI Overviewや生成サマリー)従来型の検索結果(10本の青いリンク)が混在している状態です。 

そのため、今後はSEOで従来検索からの流入を確保しつつ、AIOAIからの「指名・引用」を増やすという マルチエントランス戦略が必要になります。

Q3. ゼロ・クリック検索とは何ですか?

ゼロ・クリック検索とは、ユーザーが検索結果画面(AI回答や検索結果スニペットなど)の情報だけで満足し、個別のWebサイトへ遷移せずに検索を終了してしまう行動を指します。

AIによる要約や回答が充実するほど、「クリックする前に答えが出てしまう」 ケースが増え、ゼロ・クリック検索の割合は高まっていくと考えられています。

Q4. AI時代にもAISASは有効ですか?

AISASの行動モデル自体は、今でも有効なフレームです。ただし、AI時代のユーザー行動をより具体的に説明するためには、対話(Dialogue)と検討(Examination)という要素を明示した (仮)ADEASモデル(Attention → Dialogue → Examination → Action → Share) のような視点も有効だと考えられます。AISASをベースにしつつ、AIとの対話プロセスをどう設計するか、という観点を加えることがポイントです。

Q5. GoogleのAI Overviewに表示されるにはどうすればいいですか?

まず前提として、GoogleAI Overviewに確実に表示させる「裏技」のようなものは存在しません。そのうえで、Ahrefsの分析では、Web上のブランド言及数が、AI Overviewでの可視性と最も高い相関(0.664)を示したとされています(※2)。従って、実務としては、

  • 自社サイトでの情報整備・構造化データの充実

  • SEOを通じたウェブ上の露出向上

  • PRSNS施策によるブランド言及の増加

といった取り組みを組み合わせることが有効だと考えられます。
(※これらはあくまで相関に基づく示唆であり、因果関係を保証するものではありません)

 AIに「信頼される」ブランドへ

AIOは、一時的なテクニックではなく、「AIにとって信頼できる情報源をつくる」ための、長期的な取り組みです。情報の正確性/Web上での言及の広がり/構造化されたコンテンツ設計/サイト内での対話導線。これらを総合的に整備することで、AI時代におけるブランド価値は、これまで以上に高めることができます。

大広・大広WEDOでは、 

AIO診断情報整備コンテンツ最適化対話型AIソリューション実装 

まで、企業のAIO取り組みを総合的に支援しています。「自社はAIからどう見られているのか?」を知るところから、ぜひ一緒に始めてみませんか。

AI時代のオウンドメディア戦略を実現する「AIO対策」
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まとめ

  • 検索行動の変化:生活者は「検索」から「AIとの対話」へシフトし、ゼロ・クリック検索が増加。
  • AIOの重要性:SEOだけでは不十分。AIに正しく引用されるための最適化(AIO)が必須。
  • 重要指標:AI回答に影響するのは「Web上のブランド言及数」。被リンクよりも“語られる状態”が鍵。
  • 新行動モデル ADEAS:AI時代は「Dialogue(対話)」フェーズが購買検討に大きく影響。
  • 企業が取り組むべき3ステップ:
    ①現状診断:AIにブランドがどう認識されているかを把握。
    ②情報整備:構造化データ・ブランド情報公開・Web言及増加。
    ③対話実装:自社サイトにAIチャットを導入し、顧客体験をアップデート。
  • 長期戦略:AIOは一過性の施策ではなく、AIに「信頼されるブランド」を築くための継続的な取り組み。

※1 参照:https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2024-02-19-gartner-predicts-search-engine-volume-will-drop-25-percent-by-2026-due-to-ai-chatbots-and-other-virtual-agents

※2 参照:https://ahrefs.com/blog/ai-overview-brand-correlation/


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この記事の著者

原田 信宏

(株)大広 デジタルソリューション本部 データドリブンプランニング局 チーフディレクター

新卒で博報堂DYグループのデジタルソリューション会社に入社後、DX業務を中心とし様々なクライアントを支援。大広に中途入社後は顧客データ分析を中心に、 クライアントに蓄積されたデータの利活用を軸としたデータマネジメント推進として活動。2024年4月より、大広WEDOに出向しAI開発・実装・運用を現職にて実施。