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2025.01.21

生成AIで実現する、 One to Oneの「対話」が広げるビジネスの可能性とは?

スマートフォンのメッセージに笑顔になる女性

24時間365日、顧客とのきめ細やかな「対話」を行いブランドのLTV向上に寄与する生成AIエンジン「Brand Dialogue AI(以下:BDAI)」がリリースされ、実証実験が進んでいます。 企業やブランドの人格を学習し、顧客ごとにパーソナライズされた「対話」を実現するBDAI。AIであれば生身の人間が向き合うよりもコミュニケーションがうまくいくこともあると聞きます。BDAIはソリューションツールとして、どんな課題に向き合うことができるのでしょうか。開発当初からこのシステムを育てている(株)大広WEDOの鷲北さん、(株)大広の岡本さんにお話を伺います。

<インタビュイー>

鷲北 雄介
(株)大広WEDO テクノロジーディビジョン開発チーム リーダー

岡本 祐希
(株)大広 マーケティングデザイン本部  ストラテジックプランナー

ブランドと顧客との「対話」から、顧客価値をつかむOne to OneコミュニケーションAI

――はじめに伺いますが、BDAIはどのような背景から生まれたのですか。

鷲北
大広はダイレクトマーケティングに強みがある広告会社です。私たちが得意先のビジネスをサポートさせていただくときはカスタマー、顧客を主語に「顧客価値」を一番大切にしており、顧客との対話から価値共創する仕組みを追求しています。しかし「顧客価値」と言っても、顧客が本当に求める価値はなかなか気づけないものです。大広ではこの顧客価値を追求するために、Deep Dialogue デザインを標榜していますが、これは顧客の本音にたどり着くために対話を掘り下げていくメソッドです。そのメソッドを応用して開発したのが、AIとの対話で「顧客価値」を追求するツール群である「DDDAI:Deep Dialogue デザイン AI」です。BDAIはツール群の中で、顧客ひとりひとりとブランド人格を持って対話を行うOne to OneコミュニケーションAIになります。

――従来のチャットボットとはどんな違いがあるのでしょうか。

岡本
従来のチャットボットは、あらかじめ設定されたシナリオに沿って会話を進めるルールベース型ボット(シナリオ型チャットボット)が一般的かなと思います。ユーザーに選択肢を提示し、選ばれた選択肢に応じて回答を提示するエンジンですね。そのルールベース型ボットとの比較になりますが、質問者の言葉、自然言語の「揺らぎ」に対応できます。例えば「クレジットカード使えますか?」であっても「クレカ使えますか?」であっても、そういった日本語的な揺らぎに対応できます。「揺らぎ」に対応することはChat GPTでもある程度できるのですが、BDAIは、データベースと連携することで固有の商品情報やドメイン情報を参照し柔軟な回答もできる。Chat GPT で問題にされているハルシネーションも極力なくすことができます。また、質問に答えるだけでなく、発話機能によりBDAIから顧客に話しかけ、質問することが実現できています。

※ハルシネーション:人工知能(AI)が事実とは異なる情報や、存在しない情報を生成する現象。

――BDAIの特徴はどんなところにありますか?

岡本
3つの要素に整理できるかなと思います。

設計思想になりますが、カスタマーサポート(CS)の側面で言うと、今までよりも圧倒的に守備範囲広く、かつ柔軟に対応できますし、先ほど出たハルシネーションのような間違いもなくせるということでしょうか。

顧客体験(CX)的な側面では、BDAIはコンシェルジュみたいな存在になり得るので、BDAIといろいろ相談しながら「自分が欲しいものはこれかも」という商品選びだったり、化粧品であれば化粧品のカテゴリーについての悩みの相談とかもできたり。その悩みに沿って「私にはその商品のほうが向いているかも」というような対話を通した顧客体験が提供できます。

そしてマーケティングの側面で言うと、対話履歴がデータとして蓄積されます。従来、もしリアルな店員との対話であれば、その対話内容はその店員の属人的な情報となるわけです。BDAIであれば集約したデータを分析にかけることで顧客理解やマーケティングに活かすことができるというメリットがあると考えています。

ブランド人格を持つBDAIは、どんな課題に向き合えるのか。広がる可能性

――BDAIはデータベースと連携しながら、どんな対話を行えるのでしょう?

鷲北
企業が目指すOne to Oneコミュニケーションは、その企業、あるいは商品のブランドの個性に立脚したブランドオリジナルな対話であるべきです。つまりブランド人格を理解した上での対話です。大広はこのブランド人格を反映させることのできる生成AI エンジンとしてBDAIを開発しました。
ブランド人格を構成する要素を「ミッション、バリュー、ビジョンなどの精神」と「企業や製品、サービスなどの知識」に分類したデータベースとしてBDAIと連携しています。加えて顧客ごとのパーソナルデータ(対話履歴)を付与することで対話のパーソナライズ化を実現。BDAIはブランド人格を学習し、企業やブランドと顧客との対話を最適化する大広独自のマーケティングツールなのです。

(図)Brand Dialogue AI とは?

――ブランド人格を有することで、BDAIはどんな課題に向き合えそうですか?

鷲北
業種を問わず、様々な利活用のシーンがあると考えています。BDAIならでは、と考えている優位性を少し整理してみましょうか。

BDAIにできること(その1):企業・ブランドの文化背景を理解した対話が可能に。

鷲北
BDAIはブランド人格を持ち、かつ顧客ごとのパーソナルデータと連携できる生成A Iエンジンであることを先ほどお話ししました。このことは対話サービスの品質向上に寄与できると考えています。例えば、ダイレクトマーケティングのコールセンターでは、電話応対するコミュニケーターが自社の社員だけではないケースも多くあります。なので、商品情報の説明に加えて、企業が大事にしているビジョンを全員が意識した上で、ある一定の品質で応対することが難しいと聞いています。BDAIであれば、企業のバリューやビジョンなど、優秀な社員と同等に理解した上で顧客との対話ができると考えています。

――言い換えれば優秀な社員を配置することと同じ、と言えるかもしれませんね。

鷲北
コールセンターでは応対するコミュニケーターによってレベルが違うとか、どうしてもサービスの品質が属人的になってしまう。顧客と向き合う品質にバラツキがあることは、どこの企業さんもお悩みだと思っています。ECサイトのチャットサービスにも同じことが言えると思うのですが、BDAIであれば会社の文化とブランド知識も豊富な優れた社員として振る舞うことができる。このことは従来のチャットボットとは大きく違うところかなと思っています。

――うまく対応できなかったらその商品から離脱される可能性も出てくるわけですよね。

岡本
コールセンターの中でも優秀な人が応対する場合とそうではない場合で、業務効率や顧客のLTVが変わってくるという課題感にも応えられそうだと感じています。

鷲北
コールセンターのコミュニケーターの方や店舗で応対する店員さんは、最大の顧客接点みたいな存在だと思うのです。アパレルショップのカリスマ店員や家電流通店のスーパー営業マンは、その人=ブランドの代表、ブランドそのもですよね。「対話」AIエンジンであるBDAIは、ブランド人格を備えることで属人化しがちな顧客との対話品質を変革することが可能だと考えます。

BDAIにできること(その2):顧客を理解し、商談の心理的ハードルを下げる。

――例えば投資信託の商品を購入したい方がいるとします。でも商品知識がないこともあり、証券会社の窓口は敷居が高く、WEBサイトで相談することもためらってしまう。BDAIが相手なら、対人では言えない本音まで伝えられそうに思いました。

鷲北
そうかもしれませんね。BDAIの利活用はライフスタイルやライフプランに合わせた商品を探しにこられるようなカテゴリーに向いているように思います。たとえお客さまに商品知識はなくても、なんらかの課題を抱えて相談に来られるわけですよね。その課題がなんなのかを対話から引き出すことは、BDAIなら可能だと思います。コスメであれば、抱えている肌悩みであるとか。ファッションであれば使用シーンごとのコーデであるとか。商談の心理的ハードルを下げるには、まずはお客さまを理解しようとする対話が大切です。商品知識がない、のではなく、自分の課題を解決する術を知らないお客さまとの対話から商談を進める。お客さまは気になることを遠慮なく入力できて、気持ちよく商品やサービスの理解を深めていただける。そんな接客がBDAIは得意です。

岡本
BDAIが介在するメリットが大きい業界は、お客さまに対してOne to Oneで商品を説明する対話が必要な分野でしょうか。他にもお客さまとの対話を代替したり、人によるリアル販売と併用したりしてサポートしていく利活用もあると考えられます。金融業界もそうかなと思いますね。正しい情報をお届けするだけじゃなくて、そのお客さまが共感するポイントを作ることもできますから、  顧客のロイヤリティ向上という課題感に対してもアプローチできるかなと思います。

BDAIにできること(その3):顧客ごとにパーソナライズした「おすすめ」ができる。

――話は変わりますが、対話履歴を蓄積できるということでした。顧客の欲求を学習した上でリコメンドができる、そんなイメージで合っていますか?

岡本
そのイメージであっていると思います。例えばアパレルであれば、お客さまがリアル店舗で「きれいめな洋服を探しているのですが…」みたいな相談をしてこられた際に、「ではこういうものはどうですか?」といった対話が続いていくと思うのですが、それに近いフローをチャット上でもBDAIは実現できるようになります。従来のチャットボットだと、「①②③のうち、どういうデザインがいいですか?」のような診断の選択肢から選ぶという、ルールで決まっている解答しか返せなかったと思います。BDAIはリアルの対応に近いものができるというのが特長かなと思いますね。

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――顧客と対話するたびに、その人専属のコンシェルジュになるようなイメージでしょうか。旅行会社のような、たくさんの商材を扱っている業界ではどうでしょう?

鷲北
そうですね。旅行会社のようにたくさん幅広い商材を扱っている業界では、従来のツリー構造のチャットボットだと「この3つのうちどれが良いですか?」みたいな選択肢から選ぶことになってしまって、提案の幅が限られてしまうでしょうね。対話からその人に合わせた、あなたに合わせた「おすすめ」であれば、お客さまも「自分の意見を聞いてレコメンドしてくれた」という満足感が生まれると思いますし。対話からレコメンドできることは、BDAIの大きなポイントなのかなと思っています。

BDAIにできること(その4):カウンセラー的に「寄り添う」ことができる。

――対話から「おすすめ」を提案できるということは、つまり顧客に寄り添い、満足度を高めることができるということでしょうか?

岡本
BDAIは顧客との対話からユーザーの好みや想いなどを傾聴し、顧客一人ひとりに合わせた雑談やお悩み相談、商品のレコメンドなどを行うことができます。BDAIの提供する「寄り添い」はパーソナライズな対話体験から生まれる価値です。例えば、BDAIの実証実験で実際にあった会話を事例として紹介させてください。アパレルのECなのですが、お客さまがクリスマスにお出かけする際の装いについて相談してこられた。ところが当日、熱を出してしまい、BDAIに「風邪を引いてしまいました。今日は残念だけれど家で寝ています」という入力をされたそうです。そのお客さまの入力に対して、BDAIからは全くファッションの話とは関係ないのですが「残念ですね」という応対があって、なおかつ「風邪を直すにはこうした方がいいですよ」という返答をしたそうなのです。ブランド人格をどう設定するかによりますが、「その人を肯定してあげる」優しいキャラクターとすることもできますし、「気になることがあったらとことん質問されても付き合うよ」みたいな人格に設定することも可能になります。求められる「寄り添い方」に合わせられるというメリットなのかなと思います。

鷲北
よく聞く話ですが、年配の方がコールセンターに電話してきて、商品と関係ないお話をされるケースもあるそうです。健康のお悩みから始まって、いつの間にか「うちの嫁がね」というような話になってしまうとか。でもそういう対話に付き合える、いわば聞き上手なコミュニケーターの方は、ブランドへのロイヤルティーにすごく貢献していると思うのです。しかし教育として考えると、どうしても時間がかかるし、そうそう人も増やせない。企業としてはなかなか解決しにくいところだと思います。BDAI であれば聞き上手なコミュニケーターの代わりができます。お客さまにとって聞き上手な相手になれれば、AIが「寄り添える相手」になれるのでは、ついつい長話したくなる気の置けない相手になれるかもしれないと思っていて。そういう関係が作れることが「寄り添い」なのかなと思っています。

BDAIにできること(その5):商品やサービスへの問い合わせの初動を担える。

――B to CでのOne to One ではなく、B to B 領域の利活用は考えられますか?

岡本
B to B領域のWEBサイトやECサイトでは目的や用途に合わせて商材も多種多様あって、商材によっては問い合わせが捌ききれないほどあり、応対が困難ということもあるようですね。BDAIの利活用のイメージとして、WEBサイトへの多種多様な問い合わせをBDAIがまず受ける、人間の代わりに一次対応し捌くことができると思います。商品やサービスの開発は社内のひとつのセクションだけで開発しているわけではないと思いますし、関わったセクションの全ての担当者が一人ずつ対応を考えて煩雑な問い合わせに応えるって現実的ではないと思いますから。BDAIなら、WEB問い合わせへの一次対応というかたちで、B to B領域での利活用ができます。

鷲北
Web 接客は、もっときめ細かく対応できますよということですね。商品のWEBサイトはきっちりと作られているのに、サーバーに置かれたままというケースもあって。問い合わせボタンもあるけれど、UIが悪くて往訪した人が探しづらいとか。サイトを往訪したお客さまが質問したいことがあったとしても、面倒になって問い合わせボタンを押さないまま離脱してしまうとか。そんなふうに機会損失してしまうがケースが多いかもしれません。そういった時にBDAIを活用し、きちんとWEB接客できる一次受けのお店番として往訪した人と対話し、問い合わせに誘導する機能を持たせることができるんじゃないかなと思っています。

――今日は具体的な業界ごとの利活用のイメージができました。BDAI、かなり可能性の幅が広がっているように感じます。

鷲北
BDAIとの対話を体験できるデモアカウントがありますので、ぜひ体験してみてください。

BDAI-LINE-QRコードBDAIを紹介するAI 「D-AI-kichi」

※BDAIのセールスマンとして、企業の課題を掘り下げ、BDAIがどのようにお役立ちできるのか説明します。

岡本
BDAI はいろんな業界の「お客さまとの対話」ソリューションとなる、生成AIエンジンです。大広としては今後、良い顧客体験を作るための仕組みづくりにこの生成 AIを活用していきたいと思っています。また、対話内で得た趣味嗜好などの情報を抽出し顧客データベースに返すことでその情報を使っ他のマーケティング施策を実行するといった実装ができれば思っています。

――今日はありがとうございました。


まとめ

BDAIは、ブランド人格を持つOne to OneコミュニケーションAIであり、顧客ごとのパーソナライズされた対話を実現します。BDAIは、以下のような特長を備えています。

自然言語の揺らぎへの対応:従来のチャットボットとは異なり、自然言語の揺らぎに柔軟に対応できます。
オリジナル人格:その企業ならではの「ブランド人格」を纏うことができます。
顧客体験の向上:顧客とのパーソナルな対話を通じて、より良い体験を提供し、満足度を向上させます。
多様な業界での可能性:多様な業界での実装が期待され、広範な適用が可能な汎用性を持ちます。 


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この記事の著者

岡本 祐希

新卒でWeb広告代理店入社後、ナショナルクライアントのSNSマーケティングに従事。 大広中途入社後は顧客データ、アクセスデータ、調査データの分析と戦略、戦術のフルファネルのプランニングを担当。 2023年よりBrand Dialogue AIの開発メンバーとしてジョインし、現在は兼務としてAI開発・実装・運用についても担当。