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2023.09.20

ChatGPT × ブランド人格 で顧客対応を変える!  新しいOne to Oneコミュニケーションを可能にする「ブランドダイアログAI」開発者座談会

まったく新しい顧客対応を可能にする「Brand Dialogue AI(ブランド ダイアログ エーアイ)」。顧客価値向上をミッションに掲げる株式会社大広と、独自のアイデアでAIソリューションを提供する株式会社Laboro.AIがタッグを組み、One to Oneの「対話」から質の高いCRMを実現します。「ブランドダイアログAI」がどのように開発されたのか、どのようなビジネスに繋がっていくのか、開発チームに聞きました。

Brand Dialogue AIについて、「AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議」で紹介されました。

言語生成AIで実現するOne to Oneの顧客コミュニケーション | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
https://www.advertimes.com/20240130/article443832/

 

【座談会参加者】

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(写真左から)

株式会社 Laboro.AI
ソリューションデザイン部
シニアソリューションデザイナ

中野 達之

ソリューションデザイン部
プリンシパルソリューションデザイナ
小橋 淳一

株式会社 大広
顧客育成局
チームリーダー
鷲北 雄介

顧客育成局
ディレクター
内田 徹

 

 

AIによる顧客対応が、新しい次元に進化した。

――まず、「ブランドダイアログAI」とはどのようなものなのか、簡単にご説明ください。

大広(以下、D)鷲北:ひと言で言えば、「企業やブランドに合わせて最適化した人工知能」です。大広とLaboro.AIが協力し、企業やブランドの考え方、商品知識、顧客データなどを反映しつつ、相手に合わせて臨機応変に対話できるChatGPTのシステムを独自に開発しました。24時間365日、One to Oneのきめ細やかな顧客対応が可能になる画期的なシステムです。

a04――広告会社である大広がAIを使ったシステム開発を行ったのはなぜでしょうか。

D鷲北:人口減少が続くこれからの時代、企業の成長にとっては、顧客のロイヤルティを高め、長く顧客でいていただく――LTVを向上させることが一層大事になります。そのために不可欠なのがコミュニケーションですが、すべての顧客とOne to Oneのコミュニケーションをすることは現実的には難しい。その課題をテクノロジーによって解決したいと考えたのがプロジェクトの始まりでした。いわば、「究極のデジタル接客 です。

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ChatGPTの可能性と難しさを痛感しながらプロジェクトが進行。

――ChatGPTを使った取り組みとのことですが、最初からうまく進んだのでしょうか。

D内田:プロジェクトが始まったのは2021年ですが、当初は自然な対話も「企業としての発言」をすることも難しく、一時はGPTによるシステム構築を諦めようとしていました。

――その状況が、Laboro.AIさんと組むことで大きく変わったんですよね。

D内田:はい。202211月にLaboro.AIさんにお声がけしたのですが、「そのシステムを構築するならGPT-3が最適です」と言われて驚いたことを覚えています。つくっていただいたデモの性能もすばらしく、Laboro.AIさんとなら、当初思い描いていたサービスが実現できる、と確信しました。

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Laboro.AI(以下、L)小橋:タイミングもよかったんです。ChatGPTも進化を続けていますが、ちょうどGPT3の新しいモデルがリリースされて、「すごいのが出たぞ」と、一部の人の間で話題になっていた時期でした。せっかくのチャンスなので、この技術を使ってチャレンジしたい、と、ご提案したんです。でも、オリエンがその3カ月前だったら実現していませんでした。

――Laboro.AIさんは、このプロジェクトを進めるにあたっての自社の強みをどう考えておられますか。

L中野:私たちはテクノロジーの会社なので、日進月歩のテクノロジーの最新のところをキャッチアップしてご提供できることは強みのひとつです。それに加えて、「どんなものをつくるとクライアントの役に立つのか」を考え抜く、というところも強みだと思っています。弊社のミッションに「テクノロジーとビジネスを、つなぐ。」があり、クライアントのビジネスにとっての最善を実現するために意識しています。それは「ブランドダイアログAI」の開発にも大いに生きていると考えています。

L小橋:AI技術に関しては、私たちは少なからず自信をもっています。でも、それを使ってお客様のハートに届くコミュニケーションをする、という部分は大広さんの専門分野。互いの専門性を組み合わせることで、これまでにない仕組みをつくれるのではないかと考えました。

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――「ブランドダイアログAI」についてのリリースが7月と8月に出されました。反響はいかがでしたか。

D鷲北:問い合わせはたくさんいただきました。ChatGPTを使って何かしたい、できるんじゃないか、と考えている企業がとても多いことを実感しました。でも、なかなか具体的になっていないのが実情のようです。その点、「ブランドダイアログAI」はできることが明確で具体的です。実際にどんな価値を生み出せるのか、ということも含めて、地に足のついた提案ができると考えています。

L小橋:私たちのところにも、ChatGPTを使って顧客対応をしたい、という話は来ています。そのときに「ブランドダイアログAI」の話をすると、「まさにこういうことがしたかったんだ」と言われました。

L中野:エンジニアたちの間でも、ChatGPTの本来の得意分野を活かしたプロジェクトということでしばしば話題になっています。最先端の技術を使って開発に携われることがうらやましい、という声もあるんですよ。

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ここが新しい! 企業・ブランド「らしい」会話を可能にする「ブランド人格」と「ダイナミックプロンプト」

――「ブランドダイアログAI」は、ChatGPTのこれまでの課題を解決したシステムだということですが、どんなところが新しいのでしょうか。

D内田ChatGPTは知識が幅広く対話も上手ですが、人格や深い知識がなく、画一的な回答しかできないことが課題でした。我々が目指すのは、企業やブランドごとの考え方に基づいた対話であり発信です。そこで、「ブランドダイアログAI」では、大広独自のメソッドによる「ブランド人格」ChatGPTに反映しました。それが、今回の取り組みの新しさのひとつです。

――ブランド人格とはなんでしょうか。

D鷲北:企業や事業の「成長意志」と「独自要素」を、ひとつの「人格」として描き出したものです。ブランドの独自要素は、さらに「ミッション」「バリュー」「ビジョン」という視点で読み解き、それらを、個性をもったひとりの人間の自己紹介ストーリーにまとめます(下図参照)。このブランド人格をChatGPTに付与することで、「企業らしさ」「ブランドらしさ」を体現した対話が可能になるのです。

a02L中野:その上で、我々はChatGPTへプロンプトとして付与する「人格」の構成要素を、さらに「精神」と「知識」という風に分類しました。精神は、さきほど鷲北さんがおっしゃった「ミッション」「バリュー」「ビジョン」にあたる部分。それによって、企業・ブランドの特徴を踏まえて自然に対話することが可能になります。「知識」は、企業や製品、サービスなどの知識で、それをもとに正しい情報を発信することが可能になります。さらに、対話する顧客ごとにパーソナライズされた対話をするために、その顧客のパーソナルデータや過去の対話履歴も付与する必要があります。
しかしここで、別の課題が発生します。個々の商品情報や顧客情報は膨大にあって、あらかじめそのすべてを教え込むことは、プロンプトの量的な制限があって難しいのです。

L小橋:そこで、顧客との対話の内容に応じて、必要な知識を必要なタイミングで「取りに行く」という、動的なプロンプトのシステムを新たに考案しました(下図参照)。それが、「ダイナミックプロンプト」(特許出願中)です。ChatGPTChatGPT3.5)の生成技術に、このダイナミックプロンプトを組み込むことで、膨大な商品情報、顧客情報やこれまでの対話履歴などもきちんと踏まえた対話が可能になりました。企業ごと、顧客ごとに変わる要素を反映できることで、きめ細やかなOne to Oneコミュニケーションが可能になり、様々な企業への汎用性も生まれました。

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まるで「自分専属の社員」。その対応が、顧客の心をとらえる。

――実際の顧客対応のイメージはどのようなものでしょうか。

D鷲北:顧客にとっては、自分の好みやこれまでに購入したもの、以前どんな話をしていたか、ということをきちんと把握した上で対応してくれるわけですから、いわば、企業やブランドの「自分専属の社員」と話をしているようなイメージですね。発言のひとつひとつに、企業・ブランドとしての考え方が反映されていて、なおかつ、ひとりひとりの顧客に合わせたOne to Oneの対話を実現できる。だからこそ、企業に対する顧客のロイヤルティを高めることができ、LTV向上につながると考えています。

――企業やブランドの社員のように対話するためには、新たな工夫も多かったのではないでしょうか。

D内田:対話のベースになるインプットをどのように行えばいいか、というところは試行錯誤の連続でした。企業・ブランドとしての精神を表現する重要な部分ですから。また、AIは完璧ではないので、間違ったことを言わないように制御することにも工夫を重ねました。このあたりは、自由に回答できるChatGPTの強みでもあり課題でもありますね。

L小橋:さらには、対話に意志を吹き込む――顧客の心をとらえて引き込む対話とか、適切なタイミングでの提案、といった部分をどうインプットするか、といったことがとても重要で、これらはAIに任せ切るのではなく、AIをガイドする必要があるのですが、そこは大広さんの真骨頂というか、さすがだなと思っています。

L中野:その点で言えば、従来のChatGPTは、技術的に受け身のもの――何かを聞かれてそれに答えるという技術なわけですが、「ブランドダイアログAI」の場合は、むしろ自分から顧客の情報を引き出していく、コミュニケートし、リレーションを深めていくという点が、これまでにはないシステムだと思っています。

また、顧客に何かをご提案する時には、きちんと対話をする中で、商品なりサービスをしっかりとレコメンドする。そして、なぜその商品・サービスが優れているのかという説明もする。「対話の成立」と、「適切なレコメンド」「正しい説明」を両立することは、苦労する点であり、かつChatGPTのユースケースとして先進的な部分だと考えています。

13f9d87d-2e03-4b78-aad7-047be524656bL小橋:当初、鷲北さんは、「このブランドダイアログAIでお客様も気づいていない悩みを引き出したい」とおっしゃっていましたね。そんなことどうやってできるんだろう、と思っていましたが、まだ100点ではないけれど、一定程度できそうな仕組みになってきたと思っています。

ブランドダイアログAIの対話は、顧客の声の宝庫。

――このブランドダイアログAIは、具体的にどのような活用ができると想定していますか。

D内田:たとえば、実証実験にご協力いただくカスタムオーダーのアパレル企業の場合は、顧客のパーソナルデータを把握した「ブランドダイアログAI」が、顧客に応じたスタイル提案や商品の紹介、ファッションのお悩み相談などを行います。異なる顧客から、同じ「クールビズスタイルを提案してほしい」という要望があった場合にも、これまでの購入履歴や対話履歴などから、顧客ごとにふさわしい商品を抽出し、最適化した提案を行うことができるのです。顧客にとっては自分専属のコーディネーターがいるような感覚で対話ができ、気軽にファッションに関する会話できます。

a05L中野:金融機関の場合を想定してみます。たとえば、資産運用で悩みを持つ顧客がいたとして、実際に銀行員とか証券マンに相談するのはなかなかハードルが高いわけです。相談するだけでは済まないかもしれない、とプレッシャーを感じる。そこに、「ブランドダイアログAI」が頼れる相談員のように存在すれば、安心して聞きたいことを聞ける。その上でなら、一歩踏み込んだ詳しい相談へと進むハードルも下がるし、その金融機関への信頼も生まれるでしょう。「ブランドダイアログAI」は、そんな役割を担えると思います。

D鷲北:顧客との接点がどういう立場の人なのか、ということは、業種によっても企業によっても様々だと思います。その点「ブランドダイアログAI」は、「ブランド人格」と「ダイナミックプロンプト」の仕組みがあることで、どんな業種でも、どんな立場でも、柔軟に設定することが可能になる。この対応力は大きな強みだと思います。

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D内田:企業にとってのメリットはほかにもあります。これまでにない大量の対話を通して、顧客の声をたくさん聞けることです。そこには潜在的なニーズがあり、知らなかったインサイトがある。顧客と直接つながりを持ちたいと思っている企業には、すごく有意義なサービスだと思います。

L小橋:「ブランドダイアログAI」の対話履歴は宝の山だと思いますね。バリエーション豊かで内容も相当深くなるはずだし、量も豊富に集まる。そこで得られるインサイトは、グループインタビューを100回するより示唆に富んでいるんじゃないでしょうか。企業は、たくさんの対話の中から示唆を引き出して、次の施策につなげられると思います。

D鷲北:顧客の声を聞くことが企業やブランドのファンを増やし、LTV向上に結びつくことは、多くの企業が認識していると思います。その意味でも、「ブランドダイアログAI」は大いに貢献できますね。

――このプロジェクトは今後、どのように進展していくのでしょうか。

L中野:企業によって顧客との窓口は様々ですが、「ブランドダイアログAI」は、その窓口の一角に「理想の社員」がいるというようなイメージです。従来、人の手が届きにくかった多くの顧客と接点をつくり、企業やブランドを体現して対話をし、顧客の声を聞く。人と役割分担をしながら、新しい顧客対応の形をつくっていくと思います。

L小橋:家電メーカーのスーパー営業担当とか、量販店のカリスマ店員とか、そんな社員がAIとして顧客窓口にいる、ということですよね。イメージはどんどん膨らみます。

技術的には、顧客との大量の対話履歴を余さず利用できる仕組みを開発したいですね。事業への示唆を容易に抽出できるとか…。さらに、テキストだけでなく画像を取り入れての対話ができるようになると、活用の幅がさらに広がると思います。

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D鷲北:また、対話から得られた顧客の声、インサイトに対して、企業としてどう反応していくか――様々な方法が考えられるので、あわせて実現していきたいですね。

D内田:これまでChatGPTをはじめとするAIは業務の効率化の側面が強く打ち出されてきました。「ブランドダイアログAI」も、AIが顧客対応の一端を担うという意味では効率化でもあるのですが、顧客ひとりひとりとのコミュニケーションをよりきめ細かく行えるという部分は、CRMの強化だと思っています。これから、多くの企業にご提案していきたいと思います。

D鷲北:「ブランドダイアログAI」は、企業・ブランド「らしさ」の実現が特徴ですが、その手前には、自社のブランドの明確化が必要になります。サービスに大きな差を感じにくい時代だからこそ、どの業種の企業でもブランドの重要性が増している。企業に伴走して、明確なブランドをつくるところからお手伝いできることも、私たちの強みのひとつです。どんどんご相談いただければと思います。

――今後、実証実験から本格稼働へと、また新しい展開が続きますね。まったく新しいAIによる「対話」が、様々な企業で新たな価値を生み出すことを期待したいと思います。本日はありがとうございました。

 

Brand Dialogue AIについて、「AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議」で紹介されました。

言語生成AIで実現するOne to Oneの顧客コミュニケーション | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
https://www.advertimes.com/20240130/article443832/

 

まとめ

■「ブランドダイアログAI」はChatGPTに独自の技術を付与した新たな顧客対応サービス

■人では対応しきれない多くの顧客とOne to Oneコミュニケーションを可能にする

■顧客との大量の会話は、見えなかったインサイトや新たなニーズを顕在化する

この記事の著者

COCAMP編集室

「ビジネスは、顧客価値でおもしろくなる」をコンセプトに、ビジネスにおける旬のキーワードや課題をテーマに情報発信しています。企業の大切な資産である「顧客」にとっての価値を起点に、社会への視点もとり入れた、事業やブランド活動の研究とコンテンツの開発に努めています。