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2025.07.17

カスタマージャーニー・マップで顧客心理が見える!サプリメント通販【第3回】定期3回目、定期4回目、5回目以降のインサイトと対策

サプリメント通販において、お試し商品広告での購入、定期コースへの引き上げ、さらに定期購入後の定期の回数ごとに継続・離脱の顧客の心理を可視化し、「サプリメント・カスタマージャーニー・マップ」 として、1枚のイラストで表現しました。

サプリメントの定期通販という領域を絞ることによって、顧客インサイトがよりクリアになっています。

第3回目では、定期コース3回目、4回目、5回目以上の顧客インサイトを解説します。サプリメントカスタマージャーニーマップの「薬館」から「価値の転換」の渡り廊下を進んで、「栄養素」に入ります。

定期3回目は「価値の転換」が勝負の分かれ目 

 定期3回目:価値の転換 

 定期3回目について説明します。定期3回目のインサイトでは「価値の転換」が大きなテーマとなります。   

マップをご覧ください。 

定期3回目

この定期3回目では、「もう少し我慢して、続けてみよう」というインサイトがあります。効果感はあまりなく、躊躇しながらも続けている方がいる一方で、「健康でいたいし、現状を維持していきたいので、体に必要な栄養素だから飲み続けていこう」と考えるようになった方は、商品への認識が「不満を解消するための商品」から「健康生活の必需品」へと価値が転換しています。

これが価値の転換の決定的瞬間となります。 

決定的瞬間こうした価値の転換が起こることで、継続利用へとつながっていきます。定期3回目で「栄養素館」に入って、「ちゃんと飲み続けて良かった」と感じている方は、4回目のエスカレーターに乗っています。 

このため、定期3回目では「健康生活の必需品」であることや「体に必要な栄養素」であることといった情報を強調し、価値の転換を促すことが重要です。   

一方、離脱してしまう方のインサイトとしては、「飲んでもお金の無駄だ!」「さすがに我慢の限界!」といった、これまでと同じような、「効かないから」という理由でやめてしまう傾向があります。定期三回目までは、「効かないな」と思ってはいたが、期待もあり、続けてきたが、この時点でこれ以上は続けられないという気持ちになってしまうのです。  

この「価値の転換」がサプリメント通販における最大のポイントです。
ここで、「薬としての飲用」から「栄養素としての愛飲」という価値の転換がなされ、「不調を治す商品」ではなく、「健康生活の必需品」になれば、その後は継続する方が多くなり、離脱率は低くなります。 

逆に言えば、累積の離脱率がピークになるのが、この定期3回目なのです。  

定期3回目のインサイト

定期3回目のインサイトをより詳しく見ていきます。  

定期3回目のインサイト

定期3回目で継続する意思がある方のインサイトです。 

健康実感:広告等で訴求されており、購入者が興味を抱いていた改善効果に関して、明確な効果を感じる。 
価値の転換:「健康でいたいし、現状を維持していきたいので、体に必要な栄養素だから飲み続けていこう」と、効果意識から健康に必要だという意識へと価値転換をしています。 
もう少し我慢:「まだはっきり効果を感じないが、初めから長く続けないといけないと思っていたので、もう我慢して少し続けてみよう」 

定期3回目で継続意思がある人の中に、価値転換をして、効果意識より健康意識の比重が高い人達が出現してきます。 

逆に、定期3回目で離脱する方のインサイトも見てみましょう。 

我慢も限界:「効果が出ないが我慢して飲んできたけど、さすがに我慢も限界」 
お金の無駄:「効果が無いのに飲んでいても、お金の無駄」 

定期3回目で離脱する人は、我慢も限界になるため、3回目が離脱の大きな山場となります。 ここを乗り越えることが重要です。   

定期3回目で効果感がない人の離脱を防止するためには、

「薬」から「栄養素」
「効果」から「生活必需品」

へと、定期開始時から徐々に意識をスライドさせることが重要です。  



顧客インサイトを踏まえた定期3回目の施策の具体例

顧客インサイトを踏まえた定期3回目の施策の具体例としては、

この栄養素が健康を作るという愛用者の声:定期3回目同梱チラシで栄養を摂り続けているから健康でいられるという視点で長期愛用者の声を発信する 
定期1回目からの「継続」刷り込み:定期3回目で効果が無くても続ける人は、最初から長く続ける意識があった人。よって、離脱防止には最初から「長く続ける重要性」の刷り込みが重要
体に必要な生活必需の栄養素であることを訴求:体に必要で摂りにくい栄養素がこれなら簡単に摂れると、栄養素アピールを徹底実施する
価値転換促進グッズのプレゼント:万歩計などのグッズをプレゼントし、体に必要な栄養素として価値の転換を促進 


こうした施策で、飲み続けることそのものに価値があることを理解していただきやすくなります。つまり、「飲み続けることで健康を維持できる」「毎日の習慣として取り入れることが大切である」というメッセージを繰り返し伝えていくことが非常に重要です。 
 

定期4回目で定着化!安心感と継続意欲の高まり  

定期4回目:定着化   

定期4回目について説明します。

マップをご覧ください。 

定期4回目定期4回目になると、継続が定着化する段階となります。 

「なんだか安心できるのよネ」「健康のため続けますよ」「確かに会報誌に書かれていた通りだ!」といったインサイトが出てきます。多くの方が継続の意思が強まって、上りのエスカレーターに乗っています。 

 一方、定期4回目で出口からエレベーターで離脱する方は、「飲み忘れちゃうんだよね」と言っています。定期3回目までは、「効果がないと思うからやめる」という方が離脱していましたが、定期4回目からは、そういう人はいなくなっています。「効くか効かないか」の二元論の世界である「薬館」からは出て、「栄養素館」に入っているので、離脱理由の理由が変わっていることに注目してください。効かないからやめるのではなく、当該サプリに関心がなくなって、飲まなくなってしまったと考えられます。 

 

定期4回目のインサイト  

定期4回目のインサイトをより詳しく見ていきます。

定期4回目のインサイト

定期4回目で継続しようと考えている方のインサイトです。 

健康実感:広告等で訴求されており、購入者が興味を抱いていた改善効果に関して、明確な効果を感じており、信頼感や安心感も醸成されている
値の転換:「効果は感じていないが、そもそもそんな効果を期待していないし、健康のためなので続けていこう」 
定着化:「身近にあるものとして定着しているし、このサプリがあることで気持ちも落ち着く」 

まず、健康を実感している方が挙げられます。このような方は、もともと興味を持っていた改善効果に対して効果を感じているため、信頼感や安心感が醸成され、継続の意思がより強くなっています。   

価値の転換をした方も継続しています。効果自体は感じていないものの、そもそも劇的な効果を求めていないため、健康のためにコツコツと続けていこうという意識で利用を続けている状況です。 

また、この段階では、効果や効能から離れて「身近にある存在」として定着しています。サプリメントがあることで気持ちも落ち着き、「なくてはならない存在」「お守りの役割」といった印象に変わっています。   

一方、4回目で離脱の意思を表明する方のインサイトです。
意識外へ:「飲み忘れるし、効果も感じないし、止めよう」 
サプリ信奉者:「効果もないし、他にもいいサプリがあるので乗り換えよう」(普通なら3回目で離脱。サプリにポジティブなので4回目まで来てしまったと考えられる) 

商品が意識の外に行ってしまい、飲み忘れることが増えたり、効果も感じなくなってやめるケースが見られます。また、「他に良いサプリが見つかったので乗り換えたい」といった、いわゆるサプリメント自体には肯定的だが、この商品には満足せず乗り換えるというパターンも一部にあります。こうした方々は通常、3回目で離脱する傾向ですが、4回目まで続けた後に乗り換える場合もあるようです。   

定期4回目で継続意思のある方の中から、「効果がなくても我慢して続ける」というタイプの方がほぼいなくなる、もしくは価値転換していると考えられます。

反対に、4回目で離脱する方は、続けても効果がないことで、商品への意識が薄れてしまった状態にあります。  

定期4回目以降に離脱防止の施策を打っても効果は限定的であり、定期3回目までが施策のピークとなるため、定期4回目は継続意識をさらに強化する施策が効果的です。   


顧客インサイトを踏まえた定期 4回目の施策の具体例

顧客インサイトを踏まえた定期 4回目の施策の具体例としては、 

この栄養素が健康を作るという愛用者の声の発信:栄養を摂り続けているから健康、という視点で長期愛用者の声を発信。定期3回目以降は継続的に発信する
体に必要な生活必需の栄養素であることを訴求:この段階で効果がなければ普通は離脱。定期2回目から効果ではなく生活必需の栄養素という訴求にシフトしていく
定着化促進グッズのプレゼント:お守りやキーホルダーなどいつも身に着けるようなグッズを進呈し、定着化をさらに醸成する
毎日必要な栄養素であることの刷り込み:パッケージに毎日必要な栄養素だから毎日飲もうと書いてある等、ダブつきを防ぐ工夫。また、ダブついた際は、休止などの対応を実施する
自社の他商品推奨:自社の他サプリへ、商品同梱カタログなどで誘導する

「この栄養素が健康を作る」という愛用者の声を紹介したり、「体に必要な生活必需の栄養素」というメッセージを訴求することが挙げられます。 

健康維持を実感している利用者の体験談や、長期継続しているユーザーのストーリーを紹介することも重要です。これによって、「自分も続けていこう」「健康のためにこの商品が欠かせない」といった共感や安心感を醸成できます。     

また、定着化の促進グッズとして特別なグッズをプレゼントする、「毎日必要な栄養素」という習慣化を促す訴求を行うことも有効です。   

飲み続ける習慣を支援するリマインダー機能やカレンダー、アプリの活用も検討できます。これによって「飲み忘れ」を防ぎ、日常のルーティンに自然に組み込むことができます。     

さらに、自社の他商品へと誘導するカタログや情報提供などの施策も考えられます。たとえば、定期便に同封するカタログやDMなどで自社の関連商品を案内することで、継続的に自社ブランドに興味を持っていただく取り組みは有効です。   

定期4回目以降は、すでに商品の価値や役割への理解が深まっているお客様が多いため、商品そのものの機能訴求に加え、「続けることの意味」や「健康維持への貢献」を再認識してもらう情報発信が効果的です。   

このように、定着化したお客様には引き続きポジティブな体験や利便性、他の商品との相乗効果などを提案しつつ、飲み忘れやマンネリ化による離脱を防ぐフォローを継続していくことが重要となります。 

 定期5回目以降は「継続の意識」をさらに強化する! 

定期5回目以降:毎日の習慣化 

このカスタマージャーニーマップでは、最後になりますが、定期5回目について説明します。ここでは「毎日の習慣化」という点がテーマとなります。   

定期5回目定期5回目以降で象徴的なインサイトとしては、上りのエスカレーターに乗っている「体の調子がいいわね」と効果を感じている人がいます。効果を感じる人は、当然継続の意思が強くなっています。 

フロアにいる人は、「健康のために続けよう!」「毎日の習慣になっている」といったインサイトがあります。いずれも効果は感じていないようですが、商品に対して価値は感じているので、継続に対してポジティブで、満足感も感じられます。 

一方で、定期5回目以降で離脱する方のインサイトは、「ズルズル続けちゃった。ハァー」です。これまでのように「効果がなかったからやめる」というものではなく、「ずるずると続けてしまったが、そろそろやめよう」といったものになっています。 

定期5回目以降では、定期4回目と同様、離脱防止の施策を打っても効果は限定的であり、継続の意識をさらに強化するための施策を継続していくことがポイントになります。健康生活の必需品として、引き続きご利用いただけるよう、訴求していくことが重要です。   
    

定期5回目以降のインサイト  

定期5回目以降のインサイトをより詳しく見ていきます

定期5回目以降のインサイト
定期5回目で継続意思を持つ方のインサイトです。 

健康実感:「体の調子がよい」、といったように健康に向かっているという効果を感じている 
価値の転換:「効果はないが、食事ではとりにくい栄養を取れているので、健康の為に続ける 
毎日の習慣化:「効果はないが、毎日の習慣になってしまっている」 

体調が良いと実感している方は、今後も続けていく意欲が高いです。また、「価値の転換」を果たした方も同様に継続されます。さらに、5回目ともなると「効果はよくわからないが、毎日の習慣になってしまった」という方も見受けられ、その場合も継続が期待できます。   

一方で、定期5回目で離脱意思を持つ方のインサイトです。 

ズルズルと:「意志が弱いので効果もないのにズルズルと続けてしまったが、やっぱり止めよう 
強くやめる意思もなく続けてしまったが、やっとやめる気になった、という印象です。 

 このように、定期5回目以降は毎日の習慣として生活に定着している方が中心となります。また、定期5回目以降で離脱する人は、それ以前にやめていてもおかしくない層の方が、何かのきっかけでここまで残ったケースが多いです。そのため、定期5回目以降で離脱防止の施策を行っても、あまり効果は見込めません。定期4回目に引き続き、継続の意識を一層強化するための施策を行うことが重要です。   
  

顧客インサイトを踏まえた定期 5回目以降の施策の具体例 

顧客インサイトを踏まえた定期 5回目以降の施策の具体例 です。

この栄養素が健康を作るという愛用者の声の発信:栄養を摂り続けて健康という視点で 
長期愛用者の声を発信していく。定期3回目以降は継続的に発信していくべき 
体に必要な生活必需の栄養素という発信:この段階で効果がなくて続けている人は、生活に必要な栄養素を摂取していると認識している人のため栄養をアピールしていく。 
飲用のタイミング訴求:定期1回目から、朝食後に取るなど、習慣性を生み出せる飲用タイミングを自分で決めようとアピールする。 

CRM施策としては、「この栄養素が健康をつくる」といった愛用者の声や、「体に必要な生活必需の栄養素」という点を訴求することが有効です。また、定期1回目から摂取タイミングを自分で決めるようなフォローを行い、習慣化をサポートすることも大切です。

サプリメント通販における「表現・施策の一覧表」 

サプリメント表現・施策一覧表
サプリメント通販における表現と施策を一覧表にまとめました。 

各タッチポイントごとに、有効な表現を俯瞰で見ることができますので、広告だけでなく、CRM施策でも同梱物などのツールの要素やコールセンターでの受け答えなどに活用できます。 

お試し商品の広告では、「成分のストーリー」「成分の量・多さ」「原材料」「愛飲者」「愛飲タレント」「摂取しやすさ」「飲みやすさ」「データ」「実績・受賞歴」「研究・開発秘話」「お得感」「続けやすい定期価格」「悩みシーン」という訴求ポイントがあります。  これらの訴求ポイントを組み合わせると、効果的な広告の制作が可能になります。 

定期の申し込み時には、定期コースに入りやすい価格設定や、お得なキャンペーンを訴求します。また、いつでもやめられたり、休止ができることも不安の払しょくになりますので、コールセンターでも積極的にお話しすると良いでしょう。DMやメールでのコンタクトでも企業力や愛用者のコメントなどで、詳細な情報や安心材料を提供していきます。 

定期1回目には、商品同梱ツールで「体のために継続することの大切さ」や、「継続しやすさ」「飲みやすさ」といった要素を分かりやすく伝え、定期2回目には効果以外の価値や、健康維持に貢献する栄養素に関する情報などを訴求します。これにより、お客様の意識を「効果」だけでなく、「習慣化」「日常生活への定着」へとシフトさせていくことが狙いです。   

サプリメント通販で特に大切な価値転換については、「継続」をブリッジにして、訴求ポイントを変えていくことが必要です。定期の申し込み時、定期1回目では、同梱ツールで、続けることで効果が期待できるという「継続の重要性」を強調します。しかし、定期2回目以降は、「毎日必要な栄養素だから続けましょう」と体に必要な生活必需の栄養素といった内容に訴求ポイントを変え、価値観の転換を促します。   

そして、定期3回目では、価値転換を促進するような特典や情報提供を行い、お客様が「続けることの価値」に気づけるような施策を実施します。 

定期3回目や4回目には、商品の継続利用が日々の健康維持につながることを、実際の愛用者の声で伝えていくことも効果的です。   

定期の回数に関わらず、商品同梱チラシでは、長期にわたり愛用し続けているお客様の体験談を毎回掲載することで、継続を後押しすることができます。 

さらに、商品のパッケージに「毎日必要な栄養素」というメッセージを明確に記載することで、日々の生活の中に自然と組み込めるようなイメージを作り出しすことも可能です。 

このようにして、サプリメント通販では、お客様が「効果」を求めて利用を始めた段階から、「生活必需品」として日々の習慣に落とし込めるような価値観に移行できるよう情報発信・施策を計画し、実施展開していくことが重要です。   

 

「サプリメント・カスタマージャーニー・マップ」の資料ダウンロードはこちら

 


まとめ 

・定期3回目では「健康のための必需品」と認識が変化し、継続につながる価値の転換を促すことが重要。 

・定期4回目では商品が生活に定着し、継続の意識をさらに強化する施策が効果的となる。 

・定期5回目以降は、体調の良さや生活必需品としての価値実感が継続を後押しする一方、習慣化のサポートが必要となる。 


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この記事の著者

折橋 雄一

メディアバイイング、TV通販会社の営業担当を経て、ダイレクトマーケティング業務に従事。TVインフォマーシャルを中心にしたアクイジション領域から、CRM戦略立案や顧客育成プログラム立案等のクライアントサポートを推進。調査と分析を核としたPDCAと、得られた知見を統合しオジリナルメソッドを開発することに力を注いでおり、通販の顧客インサイトを可視化した「カスタマージャーニーマップ」や口コミ循環のマーケティングモデルである「アンバサダーハリケーンモデル」、顧客育成のプロセス全体を描いた「CRMサクセスマップ」を開発。