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2025.06.18

CRMの全体像と戦略が見える・伝わる「CRMサクセスマップ」 【第4回】 企業への応援マインドを育成し「ファン化の壁」を乗り越える

この連載では、CRMサクセスマップを活用して、顧客育成を妨げる「3つの壁」を乗り越え、「落とし穴」を回避し、企業の応援者となるロイヤル顧客やアンバサダーを育成するためのポイントについて詳しく解説していきます。

CRMの全体像をつかみ、皆で共有できる戦略立案ツール「CRMサクセスマップ」。前回は、「リピーター」の特徴とインサイトについて解説しました。また、「安売りの落とし穴」や「クロスセルの壁」とその攻略法についてもお話ししました。

第4回は最終回となります。「クロスセル顧客」と「ロイヤル顧客(アンバサダー)」の特徴とインサイトについて解説し、マップを確認していきます。

 


前回の記事はこちら
CRMの全体像と戦略が見える・伝わる「CRMサクセスマップ」 【第3回】 企業への興味関心の扉を開けて「クロスセルの壁」を突破する

 

CRMサクセスマップの概要

CRMサクセスマップ 低解像度

CRMサクセスマップは、城下町をモチーフにしていますので、城下町をイメージしていただければ直観的に理解しやすくなっています。 

まず、城下町の外にいるのが「見込み顧客」です。まだ商品を購入していない、検討中の段階です。 
商品の購入に至ると、城下町に入り、「初回顧客」のゾーンに入ります。このゾーンでは「F2(リピーター)の壁」が立ちはだかっています。石垣のように表現したこの壁を突破するためには、「実感への期待の扉」を開けなければなりません。 

リピーターになるのは全体の30%に留まっており、大きなハードルとなっています。この最初の壁を突破して、「リピーター」ゾーンに入ります。ここでは、「安売りの落とし穴」「クロスセルの壁」が現れます。「クロスセルの壁」を突破するには、「企業への興味関心の扉」を開けることが必要です。「リピーター」から「クロスセル顧客」に進むと、顧客は様々な商品を買うようになります。ロイヤルティが高まっていくので、頭の上のハートマークが増えています。 

「クロスセル顧客」には、「ファン化の壁」が立ちふさがり、その壁を越えることで「ロイヤル顧客」へと進んでいきます。

「ロイヤル顧客」は企業と一体化した存在となり、企業の中枢のようなお城の中に例えられるゾーンに入ります。ここにはホームページ、ファンコミュニティーサイトがあります。また、「顧客データの泉」があり、顧客データが集約されています。 

 

クロスセル顧客の「企業への応援マインドを育成し「ファン化の壁」を乗り越える   

クロスセル顧客の特徴

クロスセル顧客は、一般的に企業にとって良い顧客であると考えられます。多くの企業では、自社の優良顧客としてクロスセル顧客が指されることも多いです。しかし、CRMサクセスマップの視点で見ると、最終的なゴールはもう一段階先にあります。 

パレートの法則(2:8の法則)でいうと、上位2割の顧客がこのクロスセル顧客に該当します。クロスセル顧客は、企業やブランドに関する商品情報に詳しく、サービスの利用に関しても上手に行っている場合が多いです。継続率や年間購入金額も比較的高いですが、ロイヤル顧客と比較すると、マインド面の安定感が欠けることがあります。 

安定感が欠けるとは、例えば、何かのきっかけでその顧客のマインドが崩れ、翌年の購入金額が下がってしまうことなどを指します。それが、ロイヤル顧客が増えない要因ともなります。 

クロスセル顧客の課題としては、マインドの高さを安定させることです。クロスセル顧客は、商品への満足度は高いのですが、企業との関係性が崩れることがあります。たとえば商品がリニューアルされた際、今まで気に入っていた要素が変わってしまったりすると、顧客のマインド面が揺らいでしまうこともあります。 

また、コンタクトセンターでの対応が期待を超えられないと、顧客の満足度が低くなることもあります。クロスセル顧客なのでたくさんの商品を購入し、サービスを体験している分、接点も多く、一部でミスマッチがあるとマインドの安定感が揺らぐことがあるということです。 

このような状況を改善するためには、アンバサダー体験のトライアル機会を促進することが重要です。アンケート回答や共創活動に参加することで、企業と絆を深め、仲間になっていただくということが戦略となります。 

クロスセル顧客の前に立ちはだかるのが、ファン化の壁です。
の壁を越えるためには、安定したマインドロイヤルティの高さが必要となります。 
そこが、ロイヤル顧客とクロスセル顧客との違いになります。 

ファン化の壁

ロイヤル顧客は、購買行動(アクション)、ロイヤリティ(マインド)、そしてコンタクト(企業との接触)といった三つの要素が高いレベルでバランス良く組み合わされて、高ロイヤルティが築かれていきます。 

ここで重要なのが、「応援マインド」です。企業のファンになり、企業を応援したいという気持ちが強いかどうかが、ロイヤルティを高める鍵となります。アンケートに答える、商品開発の共創活動に参加するといった方法で、企業と絆を築いていくことが応援マインドを育てます。 

例えば、「こうなってほしい」「良くなってほしい」と思ったことを実際に実現してもらう、あるいはアンケートなどを通じて自分の意見を取り入れてもらうことで、「自分の意見を聞いてもらえた」という実感が得られ、ロイヤルティは高まります。商品開発に関与し、自分の意見が反映された商品が誕生すると、その商品への愛着も深まります。このようにして、企業へのロイヤリティはさらに高まっていくのです。 

 

クロスセル顧客への施策とインサイト

それでは、CRMサクセスマップの「クロスセル顧客」ゾーンを見ていきましょう。 

「企業への興味関心の扉」を開けて入ってきます。 

クロスセル顧客のステージ

クロスセル顧客_1

「いつもありがとうございます。他のサンプルもぜひお使いください」と企業がクロスセルのお誘いを行うと、「この商品、前から気になっていたんだよね」と商品購入のきっかけになることがあります。 

 

クロスセル顧客_2そして、ファンコミュニティーサイトや会報誌、DMなど、様々な場所で商品の情報や企業の情報を発信することが大切です。
「ここを定期的にチェックしよう」と思ってもらえるようにしていきます。 


企業や社員の人柄など、人間的な側面を伝えると、「社員が誠実で、楽しそうで好感を持てる」という印象を与え、企業ロイヤルティが向上します。

 

クロスセル顧客_3さらに、「あなたならこれがおすすめですよ」といったアプローチを行い、おすすめの商品を提示します。

現在使用している商品と関連性が高いものであれば、「今使っている商品と同じ特徴ならきっと良いはず」と認識していただけます。

こうした提案が成功すると、「良いものを薦めてくれた。このブランドは私に合う」と感じ、ロイヤルティを高めることができます。 

 

クロスセル顧客_4

 

 

さらに、「ご意見聞かせてもらえませんか?」とアンケートをお願いし、その意見への回答や実践結果などをフィードバックすると、「私の意見を反映してくれた嬉しい」とロイヤルティを育むことができます。 

 

 

 

クロスセル顧客_5

クロスセル顧客の後半では、ブランドとの長い関わりを持つ顧客が多く、イベントやキャンペーンを楽しみにしていることから、毎年楽しんでもらえるような施策を用意して「今年も感謝の福袋を用意しました」など、きちんと情報を届けることが大切です。
顧客に楽しんでもらうことで、製品の機能だけでなく、喜びを感じてもらうことができますので、「楽しみに待ってたわ!」など、顧客のロイヤルティ向上につながります。 

 
クロスセル顧客_6

 


「ためになる情報が多いし、楽しい企画が盛りだくさん」という印象を持ってもらうことで、企業との絆を深め、企業と一体化していくための布石となるでしょう。 

 

 

ロイヤル顧客はファンコミュニティーサイトで企業と一体化

ロイヤル顧客の特徴

ロイヤル顧客(企業アンバサダー)の特徴についてみていきます。 

ロイヤル顧客(企業アンバサダー)は企業の最終的なゴールとなります。彼らは単なるお客様であるだけでなく、社員のような存在と言えるかもしれません。このブランドが目指すペルソナ像であり、顧客期間も長く、愛用歴が10年、20年さらに30年という方々です。彼らは商品だけでなくサービスや企業自体についても非常に詳しい方々です。 

特徴としては、継続率や年間購入金額は高く、その企業・ブランドの商品ならば何でも購入したいと思っています。信者客と言われるような状態です。 

さらに、ロイヤル顧客・企業アンバサダーは、クチコミや紹介活動をしていただける、直接的な売り上げだけではなく、間接的な効果も生まれます。企業やブランドを「応援したい」という強い気持ちから、社員のように、企画なども考えていただけます。 

ロイヤル顧客はLTV(ライフタイムバリュー)の高い指標を持ち、長年にわたる購入から高い累積購入金額と利益をもたらしてくれます。ただし、顧客数としては少数で、全体の3%、多くて5%程度が一般的です。 

ロイヤル顧客に対する戦略としては、ロイヤル顧客の維持が重要です。購買金額をさらに増やすアプローチではなく、彼らのマインドを維持し、継続的な口コミを期待します。口コミや紹介で生まれる、新しいお客様の売り上げを増やしていくことができます。 

 

顧客を理解する

ロイヤル顧客・アンバサダーは、良質なクチコミを発信したり、友人や知人を紹介してもらえるなどの、非常に重要な役割を果たしてくれます。 

そのような大切な顧客ですから、ロイヤル顧客を理解することが一番重要です。購買履歴だけでは判別が難しいため、アンケートデータやコンタクト履歴などの意識情報を統合してインサイトを把握することが必要です。 

ロイヤル顧客が抱える不満は、企業の本質的な問題を示していることが多いため、迅速に解決すべき課題になります。

そうして、次に各セグメント顧客のデータ分析を通じて特徴を見つけ、それを基に深い分析を行い、施策の精度を高めていきます。 

注目すべきなのは、購買データ自体は比較的容易に取得できますが、それだけでは不十分だということです。ダイレクトマーケティングに取り組んでいなくても、購買データはある程度収集可能です。しかしながら、重要なのは顧客の意識・マインドの部分をどのように捉えるかという点です。 

加えて、コンタクト履歴といった情報も含めた管理と運用が必要になってきます。購買データ、顧客の意識データ、履歴データをしっかりと把握し管理することが、非常に重要なポイントとなります。 

顧客を理解する
ファンコミュニティーサイト

ホームページとファンコミュニティーサイトの役割についてお話しします。

ホームページでは、商品の正確な情報を提供し、公式情報としての役割を果たします。これにより、企業や商品について正確に知ることができます。 

一方でファンコミュニティーサイトは、顧客がブランドに関する経験や意見を共有したり、他のファンと交流する場です。企業と顧客が集まり、情緒的なコミュニケーションや親しみを育むことができます。 

ホームページとファンサイト

企業の成長戦略において、ホームページとファンコミュニティーサイトの併用は非常に重要性を増しています。ファンコミュニティーサイトの存在により、顧客を商品開発や企業活動に巻き込むことが容易になります。また、それを見せることで、ロイヤルティの高い顧客基盤の拡大に欠かせない要素となります。 

 

ファンサイトとロイヤル顧客の維持と育成

 ファンコミュニティーサイトを活用することで、CRMを推進していくことが重要だと考えています。 

ポイントは3つあります。 

一つ目は、コミュニティでの総合的なコミュニケーションを通じて顧客ロイヤルティを向上させ、推奨者への育成を目指します。 

二つ目は、顧客に企業やサービスの魅力を深く理解してもらうことです。 

そして3つ目は、顧客を巻き込んだ商品・サービスやコミュニケーション開発により、顧客に刺さるアウトプットを実現していくことです。お客様の声を聞いて開発した商品やサービスだからこそ、きちんとお客様に刺さります。 

 

ファンサイトとロイヤル顧客の育成と維持

 

ファンコミュニティーサイトの意義

そして、ファンコミュニティサイトの意義としては、顧客が能動的に声を発信し、それに企業が応えることでコミュニケーションを深める場ということです。 

ここもポイントが3つあります。 

まず、企業の想いやこだわりを企業が発信するのではなく、顧客から発信できることが非常に重要です。顧客の言葉によって伝えられることで、より受け入れられやすく信頼されます。 

二つ目は、顧客のレビューや意見は他の顧客層の商品選定や購入促進に活用できる点。ファンコミュニティーサイトを持てば、ロイヤル顧客だけでなく、全ての顧客セグメントに対して展開され、商品選定や購入促進に役立ちます。ファンコミュニティーサイトはロイヤル顧客だけでなく、すべての顧客セグメントに有効なのです。 

最後に、顧客の情報発信やファンコミュニティサイトでの盛り上がりを商品開発に活かすことができます。特にロイヤルティの高い顧客ほど、「自分の意見を伝えたい」という熱意があり、企業に協力したいと思っています。顧客とのこうした共創活動に取り組むことで、顧客のマインドロイヤルティを確立することができます。こうした取り組みはファンコミュニティサイトでは非常にやりやすいのです。 

 ファンサイトの意義
しかし、顧客の声を活用しきれていない企業様も多いというのも実態です。ホームページでは制約があってやりづらいのですが、独立した場(ファンコミュニティーサイト)を設けることで、共創施策を運用しやすくなり、デジタルならではのプラットフォームとして活用することが可能です。 

ファンコミュニティーサイトは顧客が集まり、感想や意見を共有できる場です。企業もこの場で顧客とコミュニケーションを行い、盛り上げることでロイヤルティが高まります。タイムリーにお客様の意見を聞き、一緒に商品開発を行うことで、顧客に喜ばれる施策になります。 

また、ファンコミュニティサイトは口コミの発生装置として機能します。口コミは自然に発生することがありますが、その場を提供することでSNSなどへも広がる可能性があります。こうした口コミの発生装置があることで、顧客数がある程度少なくても、効果をもたらすことが可能です。 

 

ロイヤル顧客(企業アンバサダー)ステージ 

ロイヤル顧客についてCRMサクセスマップを見ていきましょう。 

ロイヤル顧客ステージ

 

ロイヤル顧客_1

ロイヤル顧客に対して「長年支えてくれて感謝しています」というメッセージを伝えることが重要です。長く続けてくれることを褒め、感謝の意を示すことで、「長年続けてることを褒めてくれて嬉しい」と、顧客に大きな喜びを与えることができます。逆にこうした感謝を示さないと、残念な体験になってしまいます。 

 

ロイヤル顧客_3

 

ロイヤル顧客(企業アンバサダー)には、専用の窓口や特別待遇、先行予約販売などの施策が重要です。こうした施策をしっかり行うことで、ロイヤル顧客を維持することができるのです。 

「特別な皆様に先行してサンプルをお送りします」というような対応はロイヤル顧客にとっても嬉しいものです。 

 

 

 

12_座談会「新商品の開発に協力してもらえませんか?」という問いかけを通じて顧客を巻き込むと、「ブランドに貢献できてうれしい!」とブランドへの貢献感を与えることができます。
さらに、「私も開発に関わった商品が発売されるのは楽しみ」、「こんなにこだわって商品を開発してるんだ、感激」という気持ちを引き出します。
また、「一般のお客さまよりも、一足早く新商品の情報をお知らせします」と告知することで、特別扱いにもなります。
丁寧な対応で「私の要望に沿った提案をしてくれる」と感じたりもします。

 

ロイヤル顧客_2

一方、「些細なことでも社長が返信してくれる」というような、直通のコミュニケーションは、顧客のロイヤルティを大きく高める要因です。これが応援マインドを育て、友人に勧めるという行動にもつながります。 

 

ファンサイト

ロイヤル顧客_6
ファンコミュニティーサイトの塔には、熱心なアンバサダーがいます。これがロイヤル顧客の一つの特徴でもあるわけですが、「ブランドの商品は何でも欲しい」という信者客とも言えるインサイトが出てきます。また、「私が応援しないとな」といった使命感も持つに至っています。 

 

ロイヤル顧客_4




さらには、「この会社で働きたい」「息子を働かせたい」などの願望を持つアンバサダーも登場します。

 

我々の調査でも、意見として現れることがよくあります。


ロイヤル顧客_5


また、「会社の株を買う」という顧客も出てきます。購入だけではなく、企業を応援する行動が見られます。 



「私の会社(ブランド)」という意識が強くなって、「私のブランドを広めたい」という気持ちに至ります。これがアンバサーという、お客様を超えた存在です。 

 

 

 


こうしたアンバサダーの良質な口コミは広がり、新しい顧客を招く力となります。 

これがCRMサクセスマップの全体像であり、アンバサダーが口コミを通じて新たな顧客を呼び込む仕組みを形成しています。 

 

自社CRMサクセスマップがもたらすCRM改革 

企業アンバサダーを増やすための課題

最後に、企業アンバサダーを増やすための課題です。 

企業を応援してくれるアンバサダーを増やすことを阻害している課題が三つあります。 

一つ目は、顧客に企業ブランドの価値を十分に届けていないことです。
企業側では、ブランドブックを初回の注文に同梱するなどして、ブランドの価値を伝えているつもりかもしれません。しかし、重要なのは「伝えているかどうか」ではなく、「届いているかどうか」というところです。お客様がわかる言葉で、伝わる表現で、定期的に顧客に届けるアプローチが必要です。 

二つ目は、顧客とのコミュニケーションが少ないことです。
セールスはしているかもしれませんが、マインドを高めるコミュニケーションが不足していることが多いです。特にリピーターなど、ある程度売り上げが安定している顧客に対して、コミュニケーションをしていないこともあります。きちんとコミュニケーションを図ることが重要です。 

最後に三つ目は、顧客のことを深く把握していないことです。
売り上げや利益が優先されるあまり、顧客の行動や意識を深く理解することが後回しになってしまうことがあります。特にロイヤル顧客の不満は、ブランドの健康診断のようなものであり、早期に発見することによって、ブランドの価値低下を抑えることが重要です。 

以上の三点について、きちんと対応することで、企業ブランドの価値を維持しながら、企業アンバサダーを増やすことが可能になると思います。 

 企業アンバサダーを増やすための課題

CRMサクセスマップの活用

このCRMサクセスマップは、我々の経験や調査を集約したものとなっていますが、自社顧客の構造と特徴を理解し、新たな戦略を立案するために、自社独自のCRMサクセスマップをぜひ作成していただきたいと思います。 

自社のCRMサクセスマップを作る
購買データや顧客の意識情報を収集・分析して、これらを白地図のようなマップに落とし込んでいくことが非常に効果的です。これによって自分たちが行っているCRM活動を俯瞰的に捉えることができます。 

どの段階で何を行っているのかが明確になり、手厚くやっているつもりのところがうまくいっていないなど、「三つの壁」や「落とし穴」をクリアする方法を見つけやすくなります。 

また、重要なことは、関係者間でこのマップを共有することにより、顧客育成の成功に向けた取り組みができるようになるのではないかと思います。自社のCRMの施策の棚卸を行い、状況を全体的に把握するためにも、このマップを用いることをお勧めします。 

特に日々のCRM施策運用で全体を見失いがちな部分を、自社のCRMサクセスマップを使って確認することができます。 

そして、自社のCRMのゴールが現実的にはどこになっているのか、ロイヤル顧客を見定めているのか、CRMの目標が正しく設定されているかを確認する機会にもなります。  

以上がCRMサクセスマップの解説になります。

 


ワークショップで自社CRMサクセスマップを作る

このCRMサクセスマップの活用について、最後にお話しします。


自社のCRMサクセスマップを作成するのです。独力で行うのは、なかなか難しいかと思います。こで、この自社のCRMサクセスマップを作るためのステップをワークショップとして開発致しました。

ステップは全部で7つあります。

ワークショップのステップ

各ステップの概要です。

Step1でまず、自社の顧客の実態を確認します。顧客セグメントごとに、顧客の購買行動や意識のの特徴などを確認していきます。

Step2で、顧客セグメントごとに自社ブランドの差別優位性を確認します。自社ブランドの価値やこだわりなどです。

Step3で、顧客セグメントごとに自社が行っている施策を確認します。  

Step4で、顧客セグメントごとに施策に対する顧客の評価を確認します。事実が分からない場合は仮説でも構いません。

Step5で、顧客セグメントごとに顧客の課題を書き出し、自社のCRMの課題を設定します。       

Step6で、顧客セグメントごとに施策を検討します。       

最後に、Step7で、CRM全体としての目標を設定します。            

このようなワークショップを、お一人でもいいですが、複数人で行うことをお勧めします。様々なデータを棚卸し、また、わからないところは仮説で書き出していきますと、自社CRMの現在の実態について「できていること」、「できていないこと」がクリアになります。そのうえで、では、これからどうしていけばよいのか?優先順位はどうするのか?を皆さんで検討できます。

そして、CRMサクセスマップの白地図にそれを落としていくと、CRM全体としてやるべきことが明確になり、かつ、自社の社員と意識の共有ができるようになると考えます。

 

このCRMサクセスマップの説明会や、ワークショップの開催については個別に対応致しますので、是非、お声がけいただければと思います。 

「自社CRMサクセスマップ」ワークショップ用のCRMサクセスマップの白地図のダウンロードはこちら

まとめ

・クロスセル顧客は購買多いがロイヤルティは不安定。接点強化と共創で応援心を育みロイヤル化し長期関係を築く。

・ロイヤル顧客は長期的かつ高LTVが特徴で、企業への応援マインドが強く、アンバサダーとなり、自発的に口コミを発信したり、紹介活動をしてくれる。ロイヤル顧客には特別待遇でロイヤルティを維持する。

・企業アンバサダーを増やすには顧客を深く把握し、自社の価値を届けることが課題。自社のCRMマップ作成でCRM戦略の立案と社内共有が可能。


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この記事の著者

折橋 雄一

メディアバイイング、TV通販会社の営業担当を経て、ダイレクトマーケティング業務に従事。TVインフォマーシャルを中心にしたアクイジション領域から、CRM戦略立案や顧客育成プログラム立案等のクライアントサポートを推進。調査と分析を核としたPDCAと、得られた知見を統合しオジリナルメソッドを開発することに力を注いでおり、通販の顧客インサイトを可視化した「カスタマージャーニーマップ」や口コミ循環のマーケティングモデルである「アンバサダーハリケーンモデル」、顧客育成のプロセス全体を描いた「CRMサクセスマップ」を開発。