一緒につくろう、顧客価値のビジネス。

お役立ち資料 相談する
お役立ち資料 相談する

2025.02.28

前略 企業様、なんとかなんない?<第5回>注目不満ワード「強風」

株式会社Insight Techが運営する「不満買取センター」には日々、世の中のトレンドや社会情勢を反映した不満の声が寄せられています。
Insight Tech代表伊藤友博氏とCOCAMPとのコラボレーション企画「前略 企業様、なんとかなんない?」では、そんな「旬な不満」を皆さんにお届けしています。生活者の日常生活で生まれる「ちょっとした不満」に注目し、そこから「生活を素敵にするヒント」を見つけ、解決できる企業に届けようという連載です。
不満買取センターの広報部長「ふーまん」がナビゲーターとなり、その月の注目不満から「こんなのあったらいいのに!」「どうにかなんない?」を紐解いていきます。

今月の注目不満ワードは「強風」です。

202411-05

2025年2月のトレンドワード

2025年2月10日~2025年2月16日週に投稿が増加したトレンドワードです。

20250210-20250216 上昇語 全体

 

この週の213日には、全国的に風が強まり、特に関東では、今シーズン1番の強風が続出しました。同日11時までの最大瞬間風速は、千葉・東京の八王子・栃木県の奥日光などで、25メートルを超えるほどでした。

この週の強風は「春一番」ではありませんでしたが、強風に伴い生活の様々なシーンで「不満」がうまれたようです。どんなシーンがあるのか、そこにあるビジネスチャンスは?早速、見ていきましょう。

今回は「強風」に関わる直近1年間の不満(約4,000件)を対象に、Insight Tech独自の文章解析AIアイタス」を用いてトピックを抽出した結果から、AIによって特にネガティブな感情の度合いが強いと判断された「強風にまつわる不満トピック」をご紹介します。

セットした髪型が台無し

強風に関する不満のうち、「ネガティブ度が強い」とAIに判断されたトピックの1つ目は「髪型が台無しになる」との不満です。強風によって、「身体の一部」に影響が出ている不満と言えます。

せっかくセットしたのに強風のせいで髪型が乱れてしまうことで憂鬱になっている様子がうかがえます。特に前髪の影響を気にする不満も聞かれ、髪型がその日の気分を大きく左右することが分かります。

  • 強風のせいで髪のセットが崩れてしまったことが不満。ガチガチにセットを固めたくないけど、セットを崩したくもない。悲しい。

  • 強風のせいでせっかくキレイにセットした髪がぐちゃぐちゃになった。 それが不満。

  • 風が強い上に冷たすぎる。 寒いしせっかくセットした髪もボッサボサになるし憂鬱すぎるんだが。

  • 強風が吹き荒れるとヘアスタイルがめちゃくちゃになるのが不満。特に額の皮脂に擦れた前髪がサラサラを保てないのが不満。手拭きサラサラシートみたいに前髪サラサラシートを販売して欲しい。

一方で、ガチガチに固めたくはない、という声も聞かれ、強風である程度髪型が乱れることはやむを得ない前提を考えると、むしろ、「強風で乱れた髪型を外出先でリカバリーできる」ことが新たな価値をもたらすかもしれません。

コンタクトレンズが痛い

2つめのトピックスは「強風でコンタクトレンズが痛い」という不満です。こちらもAIによってネガティブ度合いが強いと判断された不満です。「髪型が台無し」との不満と同様に強風によって「身体の一部」に影響が出ている不満です。

  • 外に出たら空が茶色い💦目が痛くなりそうで今日はコンタクト無理💦出かけられないわ💦

  • 強風すぎて、眼にゴミが入って、痛かった。 コンタクトは、風大敵なのが不満。

  • 強風が吹くとコンタクトレンズにゴミが入って凄く目が痛くなるので本当に困る。

  • 強風になるとコンタクトレンズが痛くて目が開けられない。強風の中でも潤うようなコンタクトレンズがあったらいいのに。 

強風によって目が乾燥することで、裸眼や眼鏡の方よりもコンタクトレンズを装着している方が痛みを感じやすいようです。日本眼科学会では「コンタクトレンズ装用人口は全国で1,500万~1,800万人ともいわれ、国民の10人に1人がコンタクトレンズを装用している」と推計しており、この影響は多くの方が被っていると言えそうです。

根本的な解決は難しいかもしれませんが、強風に伴う突発的な乾燥への対応ができるようなコンタクトレンズのサポート機能・付加価値が期待されています。

傘がさせない、壊れてしまう

続いては「傘がすぐに壊れてしまう」という不満です。台風など強風と共に雨が降る場面で多く発生する不満です。こちらもAIによって強いネガティブな感情を伴う不満として抽出されました。強風に伴い持ち物などが「物理的」に影響を受けているタイプの不満です。

  • 強風の度に傘が壊れて使えなくなってしまい困るので、風に強い傘がほしい。

  • 昨日のゲリラ豪雨と強風で傘が壊れて骨丸出しになりものすごい角度で骨が折れてしまった。もっと丈夫に作ってほしい。

  • 雨と風で傘が風に持って行かれて、バン!と飛ばされてしまった。その衝撃で傘が壊れてしまった。姉からもらったお気に入りの傘だったのに悲しい。直せるのか分からないけど、直して使い続けたいな。

  • 強風でまた傘が壊れた。子供よ、何個目ですかと言いたい。風が強い日は、傘をひらかないでほしい。 

すでに「耐風傘」といったようなカテゴリにて風に強い設計・素材の傘は発売されており、これらで解決する不満のように見えます。一方で、不意の雨の際に利用する「折り畳み傘」や「ビニール傘」においても「耐風性」が求められている可能性があります。単に雨風をしのぎたいという気持ちだけでなく、大切に使いたい、という期待の高まりも背景にありそうです。

自動車のドアが勢いよく開いてしまう

強風は生活シーンの意外なところにも影響をもたらしているようです。

「駐車場で自動車のドアを開けるときに強風で勢いよく開いてしまう」「隣の車にドアパンチしそうで怖い」という不満です。特定のシーンにおける不満ですが、AIで判定した通り、怖い、危ないといった「強い不安」が背景にある注目すべき意見です。「傘」と同様に強風に伴い「物理的」に影響を受けているタイプの不満と言えます。

  • 強風で車のドアが持ってかれて危うく隣の車にぶつけるところだった。難しいだろうが、前方の車のドアもスライドドアになったらこういうこと起きないんだろうなと感じた

  • 強風の日に自動車のドアが風に持っていかれないようにドアを開ける時に10㎝程度開いて一度止まるようにして欲しいです。隣の車にドアパンチしてしまいそうで怖いです。

  • 車のドアが強風で一気に開いてしまい、となりの車にぶつかりそうになるのが、怖い。 防止装置が欲しい

  • スーパーの駐車場で車に乗ろうとしたら強風で車のドアがもっていかれて怖かった 強い力でドアを持っていないと隣の車に当たる 春の風はほんとに嫌だ 

自動車のドアを開けるシーンは様々あるなかで「強風対策」だけに注目することは難しいのかもしれませんが、「顧客に安心をもたらす」ことにつながる付加価値アイデアとなりそうです。

風の音がうるさくて不安

最後にこんな意見もAIによって「ネガティブ度が強い」トピックとして抽出されました。

「風の音がうるさくて眠れない」「風の音で不安になる」という強風に伴う「音」に関する不満の意見です。「怖い」「辛い」と強い不安や嫌気の感情が表明されており、解決の必要性が高い意見群と言えます。

  • 風の音がうるさくて寝付けない。時折ドアが揺れて、家ごと揺れるような感覚すらある。不満を言ってもどうしようもないことだけど。なんか怖い。

  • ものすごい強風。あまりにも、風の音がうるさくて 目が覚めてしまった。 いい加減にしてほしい。

  • 洗濯物を夜干ししようとしたけど、風が強過ぎて諦めた。風が強いと洗濯物同士が擦れる音や洗濯ハンガーがガチャガチャする音で、気になって眠れなくなる。今も近くの民家からそう言った音がしててうるさくて辛い。

  • 風が強すぎてうるさい。 こういう音が遮れる技術が開発されたらいいのに、ストレス。

窓や扉の防音性・防風性の向上で対処できる課題となりそうですが、一方で、窓や扉を付け替えるには大掛かりな工事が必要であり、且つ賃貸住宅では対処しにくい課題です。例えばヘッドホンなどに用いられているノイズキャンセリング機能を活用するなどして、強風の音に伴う不安を和らげることができたらいいですね。

202411-03

不満の声のまとめ

2025年2月の注目不満である「強風」について生活者の不満の声を見てみました。

今月は直近1年分の「強風」不満に注目し、AIによって特にネガティブな感情の度合いが強いと判断された「強風にまつわる不満トピック」をご紹介しました。

その結果、大きく、「身体への影響(セットした髪型が台無し、コンタクトレンズが痛い)」、「モノへの影響(傘がさせない・壊れてしまう、自動車のドアが勢いよく開いてしまう)」に加え「心への影響(風の音がうるさくて不安)」が存在することが分かりました。

<身体への影響>
セットした髪型が台無し
コンタクトレンズが痛い 

<モノへの影響>
傘がさせない、壊れてしまう
自動車のドアが勢いよく開いてしまう 

<心への影響>
風の音がうるさくて不安

それぞれ、「強風時」という限られた場面での影響(不満)ではありますが、だからこそこの不満に丁寧に対応して「気の利いた先回り」をすることで生活者から「分かっているね!」と共感を得られる可能性があります。

強風に限らず、大雨、酷暑、大雪などの「天候への対応力」を高めたブランドをカテゴリやメーカーを横断して分かりやすく展開することで、新たな市場を創出しそうです。

“強風”への不満を解消したい! なんとかなんない?

不満買取センタ―に寄せられた「強風」に関する不満。そこにはいろいろな「なんとかなんない?」が隠れているようです。今月も「ふーまんの提案コーナー」でご紹介!

202502イライラ

 

ふーまんの提案コーナー

 

前略 自動車業界様
天候に応じて色々な機能の作用の仕方をコントロールして「安全・安心」を高めてくれる自動車を開発してくれませんか。強風時にはドアが勢いよく開かないように制御してくれる機能、強風の際のハンドル操作が安定するようサポートしてくれる機能などがあると安心です。強風時だけでなく、雨天の乗り降りの際に濡れないようにサポートしてくれる折り畳みルーフ機能など、いままで仕方がないと諦めていたことも解決してくれませんか。

前略  美容サロン業界様
外出先で乱れた髪型をクイックに直してくれるサービスを提供してくれませんか。お店だけでなく、オフィスビル内に出張対応してくれたりすると、大切なプレゼンや会議の前に髪型をキメられて気分もアガります。企業(あるいはオフィスビルオーナー)とサロンが予め天候が乱れそうな日にサービスを提供してもらう契約をすれば、荒天の際の美容サロン側の稼働向上にもつながってWin-Winな話になるかも。

前略 気象庁・自治体様前略 宅配総菜提供社×配送業者様
金管楽器に似せて風が通るときに音を出すニュータイプの風速計を作って、駅前等の人の集まるエリアに設置してもらえませんか。そよかぜにはそよかぜなりの、強い風には強い風なりの、風速に合わせた心地の良い音色を出す風速計。あまりに強い時には、アラームに変わるようにすれば防災にも役立つし、ちょっと風の強い日でも、音がみんなの心を和ませてくれるように思います。

 

06

 

この記事の著者

伊藤 友博

株式会社Insight Tech代表取締役社長CEO。「声が届く世の中を創る」ことをVISIONに「不満買取センター」を運営。文章解析AI「アイタス」をエンジンとしたSaaS「アイタスクラウド」「不満ファインダー」を提供。VoC(Voice of Customer)からアイデアやイノベーションの種を洞察し、多くの新商品開発・新規事業開発をサポートしている。