株式会社Insight Techが運営する「不満買取センター」には日々、世の中のトレンドや社会情勢を反映した不満の声が寄せられています。
Insight Tech代表伊藤友博氏とCOCAMPとのコラボレーション企画「不満の声に顧客価値のタネがある!不満買取センターの<不満ワード探索>」では、そんな「旬な不満」を皆さんにお届けしています。生活者の日常生活で生まれる「ちょっとした不満」に注目し、そこから「生活を素敵にするヒント」を見つけ、解決できる企業に届けようという連載です。
不満買取センターの広報部長「ふーまん」がナビゲーターとなり、その月の注目不満から「こんなのあったらいいのに!」「どうにかなんない?」を紐解いていきます。
不満ワード探索>
今月の注目不満ワードは「日傘」です。
2025年6月のトレンドワード
2025年6月16日~2025年6月22日週週に投稿が増加したトレンドワードです。
この週は、東京都心において46年ぶりに6月に8日連続真夏日を記録するなど各地で真夏のような気温となり、暑さにまつわる不満が多く寄せられました。「夏」のような天気となり「エアコン」への不満が増えたり、「熱中症」への心配が多く寄せられたりと梅雨時らしくない気候に戸惑う生活者が多かったことがうかがえます。
そんな暑さ対策として引き続き期待されている「日傘」への不満も増加しました。今月はこの「日傘」に注目し、涼しく穏やかに過ごすためのヒントを探っていきたいと思います。
日傘は黒ばかり。涼しげな透明色や素材の日傘がほしい
まず目立ったのが日傘のデザインや色合い、素材についての不満です。遮熱性・遮光性といった観点から黒系でしっかりとした布地の日傘が多い中で、もう少し涼しげな素材や色合いの日傘が欲しいという声が多く寄せられました。
「透明な素材で涼しげな日傘」「サングラスみたいな透明」といった具体的な要望も聞かれました。また、「透明にすれば周りが見えるようになるのに」と日傘を差すときの周りへの影響を配慮する声も聞かれました。
- 透明な素材の日傘がないことが不満。内側が黒で暑苦しくて、ビニールみたいな涼しげな素材で涼しくなってかつUVカットできたら最高だと思う。開発してほしい。(30代・兵庫県)
- 日傘がなんだか暑苦しい色味で持つことに躊躇することが不満。サングラスみたいな透明とかにならないのだろうか。検討してほしい。(30代・兵庫県)
- 日傘を差すと、前の方が見えにくくなるので日差しは防げるけど周りの景色は見えるような日傘があったら安全で嬉しい。(20代・千葉県)
透明で涼しげな色合いで周りの様子も確認でき、かつ遮熱性・遮光性が高い日傘が開発できたらより涼しげで安全な日傘として注目を集めそうです。
子供の日傘利用を促してあげてほしい
続いて、子供の日傘利用についての不満も多く寄せられました。
子供が「使いたい!」と思うようなデザインや形状の日傘を増やしてほしいという意見に加え、「学校のルールで使ってよいかどうか分からない」「通学時の日傘利用をOKにして」など通学時の日傘利用を学校側が促すことを期待する声も多く寄せられています。地域や学校によってルールや実態が異なるようで、その違いに保護者が戸惑っている様子がうかがえます。
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子供用の日傘が全然ないのが不満。美容とかそんなんじゃなく、ここ数年の日差しは健康に悪くて子供も通学時にささないと倒れてしまう。キャラクターもので子供向けの日傘をもっと作って欲しい。(30代・東京都)
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子供用の折りたたみ傘で日傘用の販売があまりない(40代・埼玉県)
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学校の通学、日傘くらいOKにしてあげなよかわいそうに。(30代・大阪府)
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校則がわからず、登下校での日傘が使用できない。いいのか悪いのか誰がみてもわかるようにしてほしい。(40代・埼玉県)
また子供に関しては「子連れシーン」での日傘の使いにくさへの不満も寄せられました。ベビーカーを利用しているとき、子供を抱っこしているとき、など子連れシーンで保護者と子供の両方の日焼けを防ぐことができる日傘への期待が存在するようです。
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日傘をさしたいけど、ベビーカーの時は使いにくい。手を使わなくても使える日傘がほしい。(40代・神奈川県)
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暑すぎて外出したくない。赤ちゃんや子連れだと抱っこでの日傘も大変(20代・神奈川県)
子供世代の日焼け対策・紫外線対策への関心の高まりに伴い、日傘への期待も高まっています。
日傘の紫外線カット効果が2~3年しか持たないなんて知らなかった
続いて、日傘の紫外線カット効果についての不満。日傘に期待する「コアバリュー(本質的な価値)」に関わる意見です。
一般的に日傘のUVカット効果は2~3年程度で低下すると言われています。日傘の布地に施されたUVカット加工が、使用や経年によって劣化し、剥がれてしまうためです。
このことが各種メディアで報道・発信されたことに伴い、そのことに初めて気づいた生活者の嘆きの声が多く寄せられました。
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傘にもUVをカットできる寿命があると初めて聞いた。2,3年おきに買い替えるのがベストらしい。もっと早く知りたかった(30代・埼玉県)
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日傘が2~3年で劣化して、すぐにUVカット効果が低下してしまうことが不満。使用するのって主に夏場だけなのに寿命が短すぎ。買い替えるのにお金掛かるし、もっと寿命を長くして欲しいが、そうすると日傘メーカーの儲けが減るから無理なのかな?(50代・大阪府)
「2~3年で劣化していたなんて知らなかった」といった不満が寄せられただけでなく、「そもそも自分が持っている日傘がまだ効果が残っているのかどうかわからない」ことへの不安が広がっています。紫外線カット効果は日傘に期待するコアバリューだけに戸惑いが隠せない生活者は一定存在する可能性があります。
- 日傘って紫外線を防ぐ効果が無くなってもわからないから使い続けちゃう。日傘売り場に自分の傘をもっていったら、効果ないのか調べられたらすぐ買い替えるのにね。販売方法が下手。(50代・東京都)
ものを大事に使いたい、という意識が高まるなかで、紫外線カット効果がなくなった日傘を捨てなくないとの思いもあり、「傘用のUVカットスプレーがほしい」といったアイデアも寄せられています。お気に入りの日傘を末永く効果的に活用したいとの期待がありそうですね。
- 日傘の寿命について。晴雨兼用だと、UVカット機能も撥水加工も2~3年が寿命と聞いた。そんなに使い捨ての様に傘を買い替えたくないから、不満。撥水加工の部分は、撥水スプレーを自分で吹き掛ける方法が取れるが、UVカットの部分はどうにもならない。
気に入った日傘を長く使えるよう、傘用UVカットスプレーが欲しい。(40代・新潟県)
日傘の効果を維持し正しく活用することで効果を享受できるような仕組みや工夫が求められています。これらが十分でないと「期待していたのに」という失望から「日傘離れ」につながってしまう可能性もあります。
日傘を使う側のマナー、周りのマナー
今年の夏も酷暑となることが予想される中で「日傘」そのものに対する理解は浸透しつつありますが、依然として「マナー」に関する不満やもやもやの声も寄せられています。
具体的には男性が日傘を利用することを珍しがったり、冷笑したりするような雰囲気がまだあることを嘆く声が寄せられました。日傘については熱中症対策としての効果も期待できることを踏まえると、利用している方に対するマナーにはまだ課題が残っているようです。
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日傘男子を笑う風潮にイライラする。厚生労働省に熱中症予防で推奨してほしい。(40代・埼玉県)
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熱中症対策として日傘を愛用しているが周りからは「おじさんが日傘なんて差して」というような態度で接せられてしまう。多様性とはなんなんだろうか(50代・東京都)
また、日傘を利用している人のマナーについても多く不満の声が寄せられています。
日傘を利用すること自体に批判的な意見はない一方で、「歩きスマホしながらの日傘利用」や「周りへの配慮に欠ける日傘利用」が周囲に迷惑や気遣いをもたらしていることを憂う声です。
- 日傘を差しながら前方も後方も不注意な人がいるのが不満。日差しが眩しいのは仕方ないけど日傘を傾けて前方がほぼ見えてないとかその日陰で歩きスマホとか危機感なさ過ぎる。人が近付いて来てから「びっくりした!」みたいな顔をしないで欲しい。(40代・東京都)
- 今や日傘をさす人が多いけど、雨傘と違ってみんながみんなさすものではないから日傘を近くでさしてる人がいると邪魔でしょうがない。日傘を推奨するなら国として自転車ルールみたいに迷惑にならない歩きというのをさせてほしい。(30代・東京都)
日傘は透明でないことが大半であるため差している本人が周りの様子が分かりにくくなることや、雨と違い「差す人と差さない人がいる」ことが影響している可能性があり、日傘を利用する際のマナーや気遣いについての周知が求められているといえます。
不満の声のまとめ
2025年6月の注目不満である「日傘」について生活者の不満の声を見てみました。
生活者は日傘の機能性(遮熱・遮光・UVカット)とデザインの改善を求めています。特に、涼しげで透明な素材を使用した日傘や、子供向けの魅力的なデザイン、子連れでの使いやすさを重視した製品の開発が期待されているようです。
また、UVカット効果の持続性向上や効果確認の仕組み、買い替えの負担軽減策が求められており、これらがさらなる日傘利用を促進するカギとなり得ます。
さらに、日傘の社会的受容を高めるため、男性利用への偏見解消や使用マナーの周知、ルール整備が必要とされています。
これらの取り組みにより、熱中症予防や紫外線対策としての日傘の価値を最大化し、今以上に幅広い層に受け入れられる日傘市場が生まれそうです。