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2024.03.07

顧客体験をつくるように採用活動をつくる~「選ぶ」から「向き合う」へ、大広の採用活動改革~

新卒採用活動は企業の未来をつくる上でとても大切です。しかし、少子高齢化が進行し労働人口も減少局面を迎え、企業は激しい人材獲得競争を強いられる状況です。また、「働く」ことへの価値観も多様化し、特に新卒採用で向き合う学生(いわゆる、Z世代)の就職に対する意識や価値観は複雑化してきています。「どんな人材であれば、自社の成長にも寄与し、その人自身の成長や自己実現につながるのか?」この点を紐解くことが採用力強化や自社のブランディングにつながります。この記事では、従来の採用活動に違和感を抱き、大規模な改革を行った大広の事例をご紹介します。

※大広は自社での取り組みで得た知見をベースに採用活動改革の支援を行っています。
下記にダウンロード資料をご用意していますのでご覧ください。
https://cocamp.daiko.co.jp/download/recruitment 

現場の声から始まった採用改革


2021年の春。大広は、新卒採用活動を大幅に刷新した結果、エントリー数が前年度比で18%増加し、内定受諾率も前年度の60%から84%に向上しました。これは、採用活動に対する新たなアプローチとして、学生との対話を重視した選考プロセスを導入したことが大きな要因となっています。

大広の採用改革は、現場主導で進められました。そのきっかけは、2名の社員が採用活動に違和感を抱き、新卒採用活動を見直そうと提案したことから始まりました。提案は「成長活動ファンド」という大広独自の制度を通じて行われ、結果的に社内プロジェクトとして「採用改革プロジェクト」が立ち上がったのです。彼らは、日本の就職活動の常識や、企業と学生の関係性に問題があると感じていました。企業主導の新卒採用活動に対して、学生は自分をよく見せたいとさまざまなテクニックを駆使します。短時間の面接ではお互いに本当のところがわからない。だからミスマッチという不幸が起こる。そもそも採用の現場で主役は学生ではないのか。僕たちは彼らともっと話し合わなければならないのではないか。こういった問題を解消するため、大広の採用活動を根本から見直そうということになりました。採用コンセプト、学生とのコミュニケーション方法、選考プロセスから既存社員へ向けた広報活動にいたるまで、すべてを見直しました。

活動の指針となった採用コンセプト

新たな採用コンセプトは「CAMP」にしました。これは、大広らしい働き方を体言する言葉であり、キャンプのように上下間の風通しが良く、楽しく真剣に議論することを意味します。

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この「CAMP」というコンセプトが新卒採用活動の指針となりました。選考プロセスにおいては、「対話(DIALOGUE)」を重視することにしました。エントリーシートは対話をするためのシートということで「DIALOGUE SHEET(ダイアログシート)」に変更しました。学生だけではなく面談を担当する社員も自分がどういう人物なのかシートを用意し、学生に事前に共有します。面接も「TABLE DIALOGUE(テーブルダイアログ)」に変更。企業側が一方的に話を聞くのではなくテーブルを囲むように「対話」する場へ。これは、企業と学生がフラットな関係で向き合うことを目指すものでした。

学生との接点の持ち方も見直しました。採用ホームページや就職活動用のマイページでのコミュニケーションだけでなく、学生が日常的に使っているSNSを活用。社員の日常や活動スケジュールをInstagramやX(旧Twitter)で発信し、双方向のコミュニケーションを図りました。一時、Instagramのフォロワー数は2,000名を超え、学生からの質問に対する回答や個別のダイレクトメールに返信するなど、SNSを通しても双方向の対話が実現しました。当時、新型コロナウイルスの影響でリアルな説明会の開催が難しい中、InstagramやYouTubeのLIVE配信で「手のひら会社説明会」を採用期間中何度も配信。学生からの質問に対して社員がリアルタイムで回答するなど、工夫を凝らしました。

画像2また、選考の結果連絡についてもやり方を刷新しました。残念ながら不通過となってしまった学生も大広に関心を寄せてくれた大切な人材です。書類選考に関してはメールでの連絡に加え、人事からの想いを動画で発信。連絡を送る日程を事前にInstagramで告知し、エントリー数や通過率などの数字まで公開しました。

採用活動に関わる社員も変わっていく

この採用改革の成果は、冒頭に記した通りです。エントリー数は前年度比で18%増加し、内定受諾率は前年度の60%から84%へ改善。新入社員に対して協力してくれる社員数も前年度の80名から167名へ大きく増えました。これは、採用の進捗報告を全社へ向けて行い、活動に込めた想いを伝えるなどトライ&エラーを共有し続けた成果と言えます。

また、2020年に東洋経済が発表した「就活生2.4万人が選んだ就職人気ランキング」では83位にランクインし、前年度の304位から大幅に上昇しました。こうした活動が評価され、OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」が開催した「OB/OG AWARD」にて企業部門カルチャー賞準グランプリ受賞にも至りました。

大広の採用活動は他の企業にとっても参考となる事例として、書籍「だから僕たちは、組織を変えていける」(株式会社クロスメディア・パブリッシング出版・2021年11月29日発売)に掲載されました。この書籍には、社員と深い絆を築くための「最新の組織論」が紹介されており、大広の採用活動は現場社員の意志ある発案から始まった全社の活動の好事例として紹介されました。

採用活動の改革は、それに関わる社員たちも変化させています。採用活動を通じて社員が新たな視点を持ち、自社の仕事に対する視野が広がり、新たな発見や気づきを得ることができています。学生との直接的な対話を通じて、社員自身の自己理解や今後のキャリア志向にも影響する。そんな成果も見え始めているのです。

大広は今でも「CAMP」というコンセプトを大切に、企業と学生がフラットに向き合う採用活動を改善しながら続けています。新卒採用市場の早期化、長期化にともない、学生との接点の持ち方やSNSの活用の仕方など試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ形を変えていっていますが、採用活動は企業と学生が共に同じ方向を見つめ、成長し、社会全体が豊かになるための大切なステップだと考えています。これからも、企業と学生がフラットな関係で向き合うことで、双方が新たな視点を持ち、互いの成長につながる可能性を追求していきたい。そう思っています。

※大広は自社での取り組みで得た知見をベースに採用活動改革の支援を行っています。
下記にダウンロード資料をご用意していますのでご覧ください。
https://cocamp.daiko.co.jp/download/recruitment

まとめ

・採用のあり方を「選ぶ」から「向き合う」へと転換し、採用コンセプトを「CAMP」に設定。これは、大広の働き方を表し、上下間の風通しが良く、楽しく真剣に議論して仕事に取り組む、キャンプのような活動を意味する。


・選考では、「対話」を大切にする意思を込めてエントリーシートと面接の名称をそれぞれ「DIALOGUE SHEET(ダイアログシート)」、「TABLE DIALOGUE(テーブルダイアログ)」に変更。企業と学生がフラットな関係で向き合うことを目指した。


・SNSを活用し、学生との双方向のコミュニケーションを図り、質問への回答や要望の多いコンテンツの投稿などを積極的に行った。


・採用活動改革の結果、エントリー数は前年度比で18%増加し、内定受諾率は前年度の60%から84%へ改善した。

この記事の著者

COCAMP編集室

「ビジネスは、顧客価値でおもしろくなる」をコンセプトに、ビジネスにおける旬のキーワードや課題をテーマに情報発信しています。企業の大切な資産である「顧客」にとっての価値を起点に、社会への視点もとり入れた、事業やブランド活動の研究とコンテンツの開発に努めています。