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2024.07.03

ミラスト「イノベーションのタネ」① 「リセット」から生まれる新たなビジネスチャンス

社会環境が変化する中で、過去の延長線上では未来を語れない今。未来への“意志”をもって先行している企業の事例を紐解いて、そこに学んでみようという大広「ミラスト」チームによるトークセッション、それが「イノベーションのタネ」です。ミラストに日本能率協会総合研究所の菊池健司氏を迎えて、未来がどうなるかではなく、未来をどう描くかのヒントを探ります。
第1回のキーワードは「リセット」です。


kikuchi菊池健司 
(株)日本能率協会総合研究所 MDB事業本部エグゼクティブフェロー
1990年日本能率協会総合研究所入社、外資系金融機関での勤務を経て、現在に至る。MDBは、20245月現在、約2,000社の会員企業を有する日本最大級のビジネス情報提供機関。現在は、リサーチ力を基盤とした企業の未来戦略・新規事業策定の伴走支援、そして、情報収集・活用手法研修、未来洞察研修等を日々実施している。20216月より、ラジオNIKKEIソウミラ~相対的未来情報発信番組」(毎週木曜昼12:00~)レギュラー出演中。

 

k_masuda増田 浩一 
(株)大広 第1マーケティングデザイン局  第3PG 部長 ミラスト主宰
早稲田大学理工学術院建築学研究科を修了の後、株式会社大広入社。一貫して、ストラテジックプランナーとして事業会社の広告戦略、商品戦略立案を支援。2020年からは、経済産業大臣登録中小企業診断士として中小企業の経営戦略を中心としたコンサルティング活動を継続。 主な顧客は、食品製造業、機械製造業、飲料メーカー、学校法人ほか、ゴーストレストランといった次代のユニコーン企業までと、幅広い。東京都中小企業診断士協会会長賞ほか表彰歴・セミナー等対外活動実績多数。


ここのところ、新しい動きをしている事業会社が目につきます。0→1で新規事業を生み出している企業も増えていますよね。

新たな仕掛け人みたいな企業もあれば、N=1から始めるっていう会社も結構増えていて、1人1人を見つめた先に新規事業が生まれていますよね。

それってどういう着眼点を大切にしているのかと。菊池さんは経営者の方とお話される機会も多いですよね。未来を見つめて、今を判断しなきゃいけない経営者が会社の事業とは違う世界に目を向けられている方も多いと聞きました。これってなぜなのか、何か見立てがあったりします?

この1〜2年の流れを見ていますと、これまでコロナで閉じ込められた3年という年月もあって、今リセットしていろいろ発想ができる素地を会社に作ってあげたい、そんなことを考えている社長が増えてきているかもしれませんね。

コロナによるリセット、ビジネスの現場でもいろいろ変わっていきそうですよね。

これからって生成AIの影響で人間の「可処分時間」が増えていくと言われていますよね。経営者という見立てでいくと、今の社員の幸せとか、足りないことってなんだろうと見直されているのかもしれません。経営者自身もそうですが、会社の次世代リーダーの方々に違う世界観を感じてほしいとか、ちょっと違う視点でたまには自分をリセットしてほしいみたいなことを感じているんじゃないでしょうか。

いま「越境学習」ってめちゃくちゃ人気あるみたいじゃないですか。ただ、どっかの寺に1週間籠もって、とかそんな修行みたいな感じではなくて。

「越境学習」なんかはわかりやすいですよね。要するに、自分の思考を1回リセットしようと。それを経営者の方が自分でやるってことではなく、これから会社を支えてくれる人材、若い世代にやってもらおうと。会社としても、そういうことにお金を使い始めていることはありますよね。

「可処分時間」が増えていく、それで思い出したんですけど。スノーピークさんのビジネスってまさに「あ、そこにニーズってあったんだな」ってところをうまくビジネスコンセプトにできたところなのかなと思うんですよね。

スノーピークは以前から“広告0円企業”としていろんなメディアに取り上げられているわけですけど。大人の余暇だったりとか、「お金あまり」「時間あまり」みたいなところにどういうふうに市場を作っていくかっていうことにトライした会社として私も注目しています。


3001

ミラストカード No.3001

※ミラストでは、未来へのビジョンのガイドラインとなる未来予測データ集「ミラストカード」を独自に収集しています。

 

なんかキャンプってこれまで一部の人や親子でするものみたいな、そういうポジショニングだったと思うんですけど、ある程度お金や時間に余裕のある方が自然の中で何か刺激を得て、活力を生み出したりとかあるいは何か独創性を育むみたいなそういうカルチャーを作っていったっていうところは、すごく魅力的ですよね。

私が出演しているラジオ番組でもキャンプ業界の方、2回ぐらいお招きしているんですけれど。もう何て言うんですかね、キャンプ業界の方の最大のポイントって、生きざまがキャンプなんですよ!

生きざまがキャンプですか!

もう見た雰囲気からして(笑)。初対面で名刺交換する前から、キャンプを愛して山を愛してこの仕事を愛して自分たちのウェアを愛して、っていう何かそのにじみ出てくる、隠せない色気みたいなものがあるんです。これ、キャンプ業界の会社に共通なんです。

なるほどー

キャンプとは縁遠い私でさえ、こういうふうになれるんだったら確かにちょっとやってみたくなるかも、みたいに考えさせられましたし(笑)。本気でそう思ってないと出てこない空気感を持っているんですよね。すごく楽しそうなんです。この会社で働いている人たちには、世の中に「自由な時間」を持つ人が増えてきたら自分たちは何ができるだろう、みたいな気持ちが芽生えているような気がしたんですね。言い換えれば会社が従業員に、そんな機会を与えていたのかなと。

それって、さっきの「リセット」に通じますね。

今の時代いろんなリセットを迫られるわけですが、経営もリセットを迫られるわけです。そんななかで、働いている人たちのなかにも、自分は何ができるかみたいな気持ちが生まれている。そのときに会社もそういう社員の生きざまみたいなものをちょっとフォローしてあげようと。やっぱりうまくいっている会社とか愛されている会社っていう のは、そういう機会を社員に提供するんですよね。会社のお金の使い方という観点でも、未来のニューマーケティングという観点でも、この業界の方を見ておくってのは非常に面白いですね。

菊池さんがおっしゃる通り、コロナってすごくなんか社会を変えたっていうけどポジティブな方にもネガティブなポイントで捉えることもできるのかなと。で、ポジティブに捉えて「会社だけではない時間」だったりとか、「家だけではない時間」をいくつか持って多軸で楽しむみたいなことってこれからのトレンドのような気もしていて。おそらく経営者の方もそこを理解して、従業員にそれを推奨できるかどうかっていうのも、今のタイミングで会社の覚悟として、捉え直されているのかなっていうふうに思ったりもします。

経営者の方々と会ってお話しするときも、普通の経営の話とかあんまり喜ばれないんです。そんなとき、いままで経営の視点に取り入れていなかった要素とか、会社の原点でもないのに原点回帰みたいな価値観を考えるとか、ちょっと違うような軸で話をぶつけてあげると喜ばれること、けっこうあるんです。

なるほど。

さきほどのスノーピークのお話の流れでいえば、たとえば「自然」とか。キャンプに行かない人がキャンプ本買って勉強したり、家の中でキャンプグッズ使うみたいなことはなぜでしょうとか。

キャンプ飯みたいなインスタもけっこう多いですよね。

いずれにしても考えを一度リセットして世の流れを新しい視点で捉え直すことや、従業員が幸せになる働く環境を作っていくことに向き合い始めている経営者の方が増えていますね。このことはこれからの企業のあり方としてありなんだろうなと思うんですが、みなさんは、どうお感じになりますか?

 

ミラストについて

変化の時代において、新しいことを始めよりよい社会を目指していくためには、人の意志が大切だと考えます。そうした意志を明確化し、言語化し、共にものごとをつくっていくプロジェクトがミラストです。

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2030年、2040年の日本・世界の未来を見渡す情報をカードとして集め、これをもとに、プロジェクトメンバーがディスカッションする中で、未来に向けた意志を固め、今やるべきことを俯瞰するバックキャスティングアプローチを支援します。ミラストとは、そうした未来に向けた、あるいは、未来からのストーリーを語ります。

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この記事の著者

COCAMP編集室

「ビジネスは、顧客価値でおもしろくなる」をコンセプトに、ビジネスにおける旬のキーワードや課題をテーマに情報発信しています。企業の大切な資産である「顧客」にとっての価値を起点に、社会への視点もとり入れた、事業やブランド活動の研究とコンテンツの開発に努めています。