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2024.03.22

五感による「リアルな体験」が生み出す顧客とのつながり、大阪ガス「hu+g MEUSIUM」リニューアル・プロジェクト

大幅なリニューアルを経て生まれ変わった大阪ガスのショールーム「hu+g MEUSIUM」(ハグミュージアム)。リニューアルの舞台となった3・4階フロアには、アトラクションのようなコンテンツが多彩に導入され、家族で一日じゅう楽しめると人気上々です。新しい試みは、どのようにして生まれたのでしょうか。現在も継続中のプロジェクトを担うおふたりに、その道のりをうかがいました。

インタビュイー
楠本 悠太
株式会社大広 D2C局伊藤チーム 

野瀬 明子
株式会社大広WEDO プロモーション力DIVICIONチーム原

オープン8年目、基幹ショールームの大幅リニューアル

――リニューアルしたhug MEUSIUM(以下、ハグミュージアム)、賑わっているようですね。

楠本
はい、小さなお子さんも楽しめるコンテンツが多いので、家族で遊びに来る場所として認知していただいていると感じます。

ひみつの料理学園

――リニューアルにあたっては、どのような課題があったのでしょうか。

楠本
ハグミュージアムは、ガス機器やサービスのショールームであり、企業PRの場としての機能も担う大阪ガス様の基幹ショールームです。しかし、2015年のオープンから約8年の間に、商品は進化し、社会のニーズもお客様のニーズも変わってきている。そうした変化に対応することは課題のひとつでした。一方で、ガス機器の買い替えなど明確な目的があるわけではない来場者を増やすことも、潜在顧客の開拓、事業やガス機器への認知度アップにとって不可欠なことですし、デジタル技術の進化にともなった新しい訴求方法にも検討が必要でした。

――コロナ禍を経たことで、変化もあったのでしょうか。

野瀬
コロナ期間中はすべてのショールームが事前予約制になり、「思い立ったときに気軽に立ち寄る」といったことができませんでした。もちろん、ウェブショールームなどオンラインでの対応は充実していますが、一方で、実際にガス機器の使用感を確かめたり、手ざわりや温もりを感じたり、といった「実感」に対するニーズはかえって高まったと思います。リニューアルしたショールームは、よりリアルな体験が得られる場所にするべきだ、というのは大阪ガス様の要望でもあり、私たちの提案のポイントでもありました。

五感で体感できることこそが、価値

――どのような方向性を打ち出したのでしょうか。

楠本
機器を見たりスタッフから説明を受けたりするだけではなく、お客様が五感を使ってリアルで楽しい体験ができる場所――「五感で体感できるミュージアム」というのが、私たちの打ち出したコンセプトでした。

――具体的にはどのようなことでしょうか。

野瀬
「見る」「聞く」「嗅ぐ」「味わう」「触る」という五感を使って、最先端のガス機器や大阪ガス様のサービスを感じていただく、ということです。ガスコンロなら、展示を見るだけでなく実際に調理してみる。ガスファンヒーターの温風や、ガス衣類乾燥機の仕上がりを体感する。お子さんが楽しく遊びながら、自然にガス機器やエネルギーについての知識に触れられることも大切なポイントです。

実際にガス機器を体験して調理野瀬
そこで、ショールームのテーマは「LIFEをLIVEに。」としました。「こんなガス機器があったら便利だ」とか「自分の家に導入されたらこんな暮らしが実現できそうだ」など、ハグミュージアムでのLIVEな体験が、お客様のご自宅でのリアルな暮らし、より豊かな暮らしにつながることを目指しました。

楠本
もちろん、その大前提として、来場者にとっての楽しさと営業支援をバランスよく両立する必要があります。クライアントである大阪ガス様にとっての価値、さらにその先の来場者にとっての価値、その両方を実現することが重要ですから。その上で、ガス機器の買い換えやリフォームといった目的がなくても楽しさに惹かれて訪れたくなるような、楽しく体験しているうちにガス機器のことや大阪ガスという企業を知っていただけるような場所になるようにと考えました。

子どもも大人も夢中になれる、リアルとデジタルが融合した多彩なコンテンツ

――冒頭にもありましたが、ハグミュージアムにはお子さんを連れた来場者が多いようですね。

野瀬
提案に先だって実施したアンケート調査でも、ショールームに求めるものとして、「子どもと一緒に参加して楽しめる展示やイベント」への要望が高い値を示しました。親子で楽しく過ごせる場所――中でも、天候に左右されず、しかもお金をかけずに快適に過ごせる場所には、高いニーズがあるのだと思います。大阪ガス様にとっても、お子さんのうちから接点が生まれることは、長期的な視点での「企業のファンづくり」につながるメリットがあります。

――代表的なコンテンツをいくつかご紹介いただけますか。

野瀬
はい。たとえば、「うごくお絵描き体験」は、子どもさんたちが描いた絵をデジタルデータにして取り込み巨大スクリーンに映し出す、世界でハグミュージアムにしかないコンテンツです。自分でデザインしたTシャツが空を飛んだり、描いたクルマでレースをしたり、ワクワクする時間が過ごせます。

うごくお絵描き体験

また、「ひみつのキッチンキャンパス」では、日本初のバーチャルコンロを使った料理体験ができます。実際の火は使わないので、小さなお子様でも安全。楽しみながらガスコンロを使った料理の楽しさ、便利さに触れていただくことができます。

バーチャルコンロ

人気絵本作家の谷口智則さんには、ハグミュージアムのオリジナル絵本「ハリネズミのケーキ屋さん」を書き下ろしていただきました。物語の中には様々なガス機器が登場するんですよ。絵本自体も館内で販売していますが、3階フロアの一角に絵本の世界を再現したフォトスポットをつくりました。お話の中に出てくるケーキ屋さんも立体でリアルに再現しており、物語の中に入り込んで写真が撮れるほか、巨大マグネットパズルも人気です。

ハリネズミのケーキやさん

楠本
そのほかにも、最新のガスコンロを使った料理体験ができるメニューや、家族や友人と楽しめるレンタルキッチンもあります。床暖房「ヌック」のあたたかさが体験できるスペースには、中に入って遊べる「ヌックトンネル」も設置。ガス機器の性能や便利さ、快適さをストレートに体験できるコンテンツも充実しています。

レンタルキッチン

楽しい体験価値を、さらに広く、確かなものに――プロジェクトは続く

――新たなフロアが完成して、大阪ガス様からはどのような評価だったのでしょうか。

楠本
大規模なリニューアルでしたし、長期間にわたるプロジェクトだったので、解決すべき課題は日々発生しましたが、野瀬さんはじめチームが結束してそのひとつひとつにしっかり向き合ったことを高く評価いただいたと思います。その結果、とてもいいショールームができた、と言っていただけました。現在は2階のリニューアルのプロジェクトも進行中なんですよ。

――新たなプロジェクトにつながったのですね。来場者の様子はいかがですか。

野瀬
今も打ち合わせなどでしばしば訪問していますが、親子で楽しそうに遊んでおられる方が多くて嬉しいですね。先日も、床暖房の「ヌックトンネル」でお子さんを遊ばせているお母さんがおられましたが、寒い時期に、床暖房の心地よさを実感していただいているようで、見ていても幸せな気持ちになりました。来場された方によるSNSでの発信も増えていて、ハグミュージアムの楽しさが徐々に浸透しているのを感じます。

楠本
2階のリニューアルが進めば、平日の昼間などに、気軽に遊びに来ていただけるようなコンテンツがさらに充実していく予定です。楽しい体験を通して来場者に商品やサービスを理解していただくこと、大阪ガスのファンになっていただくことは、ハグミュージアムの重要な役割。効果につながるまで地道な対応が必要な部分でもありますが、クライアントと一緒に新たな価値をつくっていく、という姿勢で、今後も取り組んでいきたいと思います。

まとめ

■ショールームを家族で過ごせる体験の場にすることで、来場者の裾野は広がる

■デジタル技術とリアルな実感のハイブリッドで、コロナ後のニーズをキャッチ

■来場者の楽しさと企業の営業支援のバランスに配慮して、息の長い価値づくりを

この記事の著者

COCAMP編集室

「ビジネスは、顧客価値でおもしろくなる」をコンセプトに、ビジネスにおける旬のキーワードや課題をテーマに情報発信しています。企業の大切な資産である「顧客」にとっての価値を起点に、社会への視点もとり入れた、事業やブランド活動の研究とコンテンツの開発に努めています。