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2024.02.05

SDGsのその先へ~GX(グリーントランスフォーメーション)とリジェネラティブ

企業にとって「サステナビリティ」「SDGs」への取り組みは選択肢ではなく必須となりました。そんな中、グリーントランスフォーメーション(GX)とリジェネラティブという二つの新しい言葉がビジネスの現場で注目を集めています。この2つの言葉は、サステナブルで持続可能な社会を目指す上での新しい視点です。これらは、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)と深い関連があります。SDGsは、経済、社会、環境の三つの側面をバランス良く進めることで、持続可能な世界を目指すもので、GXとリジェネラティブはその思想を具現化したものと言えます。

GX(Green Transformation)とは何か

GXとはグリーン・トランスフォーメーションの略。「温室効果ガス排出削減を目指す取り組みを、社会全体の変革につなげようとする活動」を指す言葉です。簡単に言うと、化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のことです。これは、従来の環境配慮活動を単なる「追加的な取り組み」とするのではなく、経営そのものを緑色(環境に優しい)に変革するという考え方です。化石燃料に頼らず、太陽光や水素など自然環境に負荷の少ないエネルギーの活用を進めることで二酸化炭素の排出量を減らそう、その活動を経済成長の機会にするために世の中全体を変革していこうという取り組みです。

ビジネスという視点で、もう少しかみ砕いて説明すると、企業が経済活動を行う上で、環境負荷を最小限に抑え、さらには環境改善に貢献する方向へとビジネスモデルそのものを転換することです。サステナブルな社会を目指すSDGs(持続可能な開発目標)の考え方の延長上の活動で、"クリーンエネルギーをみんなに""産業と技術の革新"といったSDGsの目標への取り組みを通じて企業はGXを進めることができます。

GXとリジェネラティブはビジネスに直結する

地球環境の悪化や社会問題の増大に対する関心の高まりが、GXとリジェネラティブを後押ししています。特に若い世代では、企業の社会的責任(CSR)や環境、社会、ガバナンス(ESG)への配慮を重視する傾向が強く、これが企業のブランド価値や収益に直結するとされています。また、気候変動の進行に伴い、環境配慮型のビジネスモデルが求められるようになってきたことも、GXとリジェネラティブが注目される背景で、その取り組みは、ビジネスに大きな影響を及ぼします。

1.環境への配慮が企業評価を向上
ヨーロッパを中心に、環境への配慮がビジネスの持続可能性や競争力を高める事例が増えています。再生可能エネルギーへの投資に積極的な企業はブランド力が向上し投資家にも評価されるようになってきています。

2.顧客の期待とブランド価値の向上
環境への意識の高まりはZ世代やミレニアル世代だけのものではなくなりました。顧客はよりサステナビリティを重視する企業を好む傾向が強まっています。企業がその期待に応えることは、顧客からの信頼獲得やロイヤルティ向上につながります。

GXに取り組む企業として、石油大手のシェルがあります。同社は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げ、そのための戦略としてエネルギー供給のグリーン化を進めています。これは、企業の社会的責任(CSR)だけでなく、企業の持続可能性にも直結する取り組みです。また、Googleは、2030年までに全事業をカーボンフリーにすると宣言し、再生可能エネルギーの利用を推進しています。再エネの供給者から直接電力を購入し2017年に100%再エネ電力使用を実現しています。

リジェネラティブに取り組む企業としては、アパレルブランドのパタゴニアがあります。同社は、製品の製造から廃棄までのライフサイクル全体において環境負荷を最小限に抑えるだけでなく、再生可能な資源を使用することで、自然環境を積極的に回復・再生する試みを行っています。アディダスもリジェネラティブに取り組んでいます。2024年までに全製品をリサイクル可能な素材で製造するという目標を掲げており、その一環として、海洋プラスチックを再利用したシューズを販売しています。また、リジェネラティブ・オーガニック農法から生まれたコットンを製品に採用し、製品購入が多様な生物からなる農地や土壌を健康にするリジェネラティブ農業を支援することにつながるという取り組みも行っています。

企業の経営戦略を大きく変える可能性

GXとリジェネラティブは、企業が取るべき経営戦略を大きく変える可能性があります。これらの考え方を取り入れることで、企業は社会的な価値を創造しながら、新たなビジネスチャンスを捉えることも可能となります。また、これらの取り組みは、消費者や投資家からの評価を高め、企業価値を向上させる効果も期待できます。

企業経営における新たな価値観の形成、企業イメージの向上、新たなビジネスチャンスの創出など、多方面に影響を及ぼすGXとリジェネラティブですが、一方で、これらの取り組みは、新たな投資や技術開発など、初期コストがかかりますし、失敗するリスクも伴います。

しかし、これらの取り組みが進むことで、企業は社会的な信頼を獲得し、長期的な経営の安定性を確保することが可能になるかもしれません。また、環境問題への対応は、企業に求められる社会的責任の一部であり、その適切な対応は経営の信頼性を高め、企業価値の向上につながっていきます。ヨーロッパを中心に、環境配慮そのものがビジネスの持続可能性や競争力を高める事例も増えています。

日本でも、環境への意識の高まりはZ世代やミレニアル世代だけのものではなくなり、顧客はより一層サステナビリティを重視する企業を好む傾向が強まっています。企業がその期待に取り組むことは、信頼の獲得やロイヤルティの向上を通し「ブランド価値を高める」ことにつながっていくでしょう。

環境に対する取り組みが未来を豊かにする

環境に対する企業の活動は、その企業だけでなく、その製品やサービスを利用する消費者、さらには地球全体に影響を及ぼします。GXとリジェネラティブの視点を持つことで、私たちは地球の未来を守り、次世代に豊かな自然環境を残すことが可能になります。

さらに、これらの取り組みは、新たなビジネスのチャンスを生み出す可能性もあります。例えば、リジェネラティブ農業は、環境に配慮した高品質な農産物を生産することが可能であり、それは新たな市場を切り開く可能性を秘めています。同様に、GXに基づいた新たなビジネスモデルや技術開発は、新しい産業を生み出すきっかけとなるかもしれません。

最後に、GXとリジェネラティブへの取り組みは、短期的な利益を追求するのではなく、長期的な視点でみんなで考るべき内容です。企業経営だけではなく、私たち一人一人の生活にもこの視点が反映されることで、真のサステナビリティの実現につながると考えています。

まとめ

① GX(Green Transformation)とリジェネラティブは、サステナブルで持続可能な社会を目指す新しい視点。
② GXは、環境負荷を最小限に抑え、さらには環境改善に貢献する方向へとビジネスモデルそのものを転換し社会を変革する活動。
③ リジェネラティブは、単に環境負荷を減らすだけでなく、積極的に自然環境を回復・再生する動き。
④ GXとリジェネラティブは、新たな価値観の形成、企業イメージの向上、新たなビジネスチャンスの創出など、多方面に影響。。
⑤ これらの取り組みを進めることで、企業は社会的な信頼を獲得し、長期的な経営の安定性を確保することが可能に。

この記事の著者

平野 陽子

「大広フェムテック・フェムケアラボ」チーフプロジェクトマネージャー。 PMI「Project Management Professional」保有。 IT企業、事業会社でのWebマスター、商品企画開発、新規事業開発やプロジェクトマネジメント等を経て2019年より大広所属。「大広フェムテック・フェムケアラボ」では、女性のウェルネスやヘルスケアに取り組む企業の事業開発・コミュニケーション支援、ワークショップでの社内浸透支援、リサーチ等に携わっている。
※所属等は2023年1月現在