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2023.03.09

ドネーションADに結実した、企業の想いと顧客の想い -広告を通じて社会貢献する-

 近年、よく耳にするようになったパーパス経営。自社の存在意義を明確にして、どのように社会に貢献していけばいいのかを問い直す企業が増えています。同じく、いかにSDGs目標に応えていくのかも課題となっており、企業としては、社会とどう向き合うかが、いよいよ重要視されています。

しかしながら、どれだけ立派な存在意義を持っていても、顧客との距離が埋められない悩みをもっている企業は多いのではないでしょうか。企業広告を行ったとしても、自らの想いを述べるだけでは、顧客は耳を貸してくれません。顧客にとって本当に価値のあることと重なっていなければ、その想いは伝わらないのです。私ども大広では、これを「顧客価値」と呼び、企業と顧客と社会がしっかり結びつく文脈づくりを常に考えています。おそらく、存在意義のない企業などありません。存在意義が納得のいくように伝わっていないだけなのです。今回ご紹介するのは、まさに企業・顧客・社会がぴったりと重なった幸せな広告事例です。

沢井製薬の、創業からすでに始まっていたジェンダー平等の精神

 沢井製薬は「何よりも患者さんのために」という企業理念のもと、ジェネリック医薬品の製造・供給を通し、社会に貢献しています。またサスティナビリティの取り組みにも力をいれている企業でもあります。2022年3月8日、国際女性デーの日には企業広告キャンペーンを展開。新聞広告とWEBムービーで「ジェンダーギャップのない社会づくりに貢献する」という広告メッセージを発信しました。このメッセージは、沢井製薬の原点である澤井薬局の創業者「澤井乃よ」という女性の活躍から着想を得たもの。約100年前、農家の娘は進学せず、結婚して家庭に入るのが当たり前だと考えられた時代。乃よさんは上京し、ひたすら勉学に励み、当時はまだ珍しかった女性薬剤師になり、澤井薬局を開業しました。彼女には、「病気で困っている人が必要としている薬を必要としているときに提供する」という強い信念がありました。夜遅くに薬を求めて訪れる客にも当然のように対応したというエピソードが残っています。乃よさんの社会の役に立ちたいという信念こそが「なによりも患者さんのために」という企業理念の原点になっています。乃よさんが女性だからと諦めることなく、自分の道を進んだことで生まれた沢井製薬。すべての人が性別に関係なく輝ける世の中になれば、これまでになかった新しいものが生まれるはずとの想いを込めて、この企業広告で、ジェンダー平等への想いを発信しました。

 さらに広告をアクションにつなげたいという考えで、ジェンダー平等の社会に向けた想いを「サワイジェンダーアクション」と名付け、その方策の検討に入りました。

 

沢井製薬が実施した女性のエンパワーメント支援

 広告で、ジェンダー平等の大切さを訴えることはもちろんできます。しかし、そのメッセージを受けた生活者は、いったいどうすればいいのでしょう。その理念に共鳴したとしても、その先に具体的な行動するための選択肢がないと、一方通行のコミュニケーションで終わってしまいます。「サワイジェンダーアクション」は、この社会課題に対して生活者が能動的にアクションを起こせること、しかもアクションしたことで実際に社会貢献したことが実感できることを目指しました。

 そのときに選択肢として挙がったものが、新しい広告の仕組みである「Good-Loop」のドネーションADです。ドネーションADは、生活者が動画広告を視聴すると、広告主企業が特定の団体へ寄付をすることができ、生活者と広告主企業、寄付先の団体をつなぐことができるものです。生活者は広告を視聴するだけで簡単に社会へ貢献することができ、広告主企業は、通常の広告出稿をしながら自分たちが決めた団体への寄付が可能になります。

 まさに沢井製薬の想いと、その想いに賛同した生活者が具体的にアクションできるという枠組みに、うまく当てはまっていました。こうして、アジア初の「Good-Loop」ドネーションADが実施されることとなり、女性のエンパワーメント支援が実現したのです。

COCAMP_column_沢井製薬_02-2<広告表示画面:このムービーを見てクリックし、団体を選ぶと寄付ができます>

 

デジタル広告が社会貢献の入り口になる

 今回のドネーションADの寄付先に選んだのは、いずれも女性のエンパワーメントを推進する団体や女性の健康や生活を支援する団体です。生活者はYouTubeやインスタグラムなどの画面を通して「サワイジェンダーアクション」のムービー広告を視聴するだけで、ジェンダー平等に向けて活動している以下の4団体に寄付ができる仕組みです。
COCAMP_column_沢井製薬_03-2 ハッピーウーマンはジェンダー平等と女性のエンパワーメントを推進し、活力ある社会の実現を目指すプロジェクトです。国際女性デーの普及や、すべての人が豊かな人生を送るための学びや行動につなげる場を提供しています。

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 公益財団法人ジョイセフは、世界のどこにいても女性が自分の人生を自分の意思で選択できる社会をめざし、主に、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利:SRHR)を推進する、日本生まれの国際協力NGOです。国連、国際機関、現地のNGOや地域住民と連携し、アジアやアフリカ、そして日本でSRHRの啓発や保健分野の活動を通して、女性の命と健康を守る支援活動を実施しています。

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 ジェンダーイコールはジェンダー平等の取り組みを推進し、多様性社会の実現を目指す団体です。

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国際NGOプラン・インターナショナルは、女の子が本来持つ力を引き出すことで地域社会に前向きな変化をもたらし、世界が直面する課題解決に取り組んでいます。

 

 生活者にとって寄付先の団体は、普段意識することがないものばかりかもしれません。しかし、この動画を視聴し、ジェンダー不平等という社会問題を認識したとき、これらを解決するためにさまざまな団体が活動しているということも、新たなニュースとなってきます。生活者は、「では、私たちに何ができるのか」「どの団体を支援すれば、どのような貢献ができるのか」ということを自発的に考え、寄付先を選ぶという、具体的なアクションへとつながっていきます。つまり、生活者は、沢井製薬のブランド体験を通じて、その顧客という立場で企業と一緒に社会貢献するといういままでに経験したことのない「顧客体験」をすることになったのです。

COCAMP_column_沢井製薬_07-2

 

社会貢献からつくる顧客の価値と企業の活動

 今回、沢井製薬ではドネーションADを通じて557万円の寄付を団体へ行うことができました。企業の一方的な発信や社内の活動だけに終わることなく、生活者自身が社会貢献に参加するところまでつなげることができたのは、このドネーションADの資するところが大きいです。一見、ハードルの高い寄付という行動に、生活者が動画を視聴するだけで、ジェンダー平等のメッセージに共感してアクションする、という負担のない形で参加していただけたことも、大きなメリットです。また、ドネーションADを実施したことで企業は通常のブランディングよりも一歩踏み込んだ形でブランドの価値を伝えることができたと考えています。

 今後もドネーションADは、メッセージを発信するだけにとどまらない、広告主企業と生活者の接点を生み、企業が社会と関わるための新たなコミュニケーション戦略として、さらに活用の場を増やしていくと考えられます。

※ドネーションADという仕組みを開発、提供しているGood-Loop社は、慈善事業のために資金を集めながらブランドの広告を出している、イギリスのオンライン広告会社です。ヨーロッパや北米ではすでに活動の範囲を広げ、数多くの広告主企業に利用され、日本では、博報堂DYメディアパートナーズが独占提供を行なっています。

 

この記事の著者

サワイジェンダーアクションチーム

株式会社大広 大阪ブランドアクティベーションプロデュース本部
第1プロデュース局  奥村祐貴 プロデュース担当 第3プロデュース局 田中美沙樹 デジタル担当
企株式会社大広WEDO 大阪クリエイティブ力Division
クリエイティブディレクター 中牟田佳苗 
コピーライター/プランナー 上野妃都美、松田恵美子、渋谷健奨
企画立案、制作、クリエイティブ領域を担当
22年3月8日に出稿した企業広告が第71回日経広告賞において「日経ウーマンエンパワーメント広告特別賞」を受賞
※所属などは2023年2月現在