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2026.08.06

AIに相談して買う時代、商品カテゴリーによって異なるAIOソリューション ~ 5つの購買類型から紐解く、AI時代に「選ばれるブランド」の情報設計~

これまで生活者は検索エンジン、比較サイト、広告、口コミ、店頭接点などを通じて商品・サービスを検討してきました。しかし、近年、ChatGPTやGeminiなどの生成AI、またGoogleのAI OverviewsをはじめとしたAI検索サービスの普及により、AIが要約、比較、推薦、注意点の提示を行うことで、Webサイト訪問前に購買前情報が形成される場面が増えています。この変化により、企業にとっては、従来のSEO対策や広告接点だけでなく、AIを介した購買前接点をどう設計するかが重要になってきました。AIが生活者の比較・確認・相談相手になる時代においては、ブランドや商品情報を「人に伝わる」だけでなく、「AIにも正しく理解される」形で設計することが求められるからです。購買プロセスにおけるAI活用の実態を把握するため、大広および大広WEDOでは全国5,025人を対象とした生活者調査を実施しました。このコラムではその調査の結果とAIに正しく理解されるための情報設計のヒントをお届けします。


大広WEDO_鷲北写真鷲北 雄介
株式会社 大広WEDO アカウントプランニング局 局長

1996年大広入社。営業職としてブランド戦略、コミュニケーション・クリエイティブ開発に携わる。顧客育成局でCRMプランナーとして活躍の後、現職で生成AIを活用したツール・ソリューション開発やマーケティング支援に従事。書籍『顧客価値を劇的に高める生成AIマーケティング』著

購買プロセスにおけるAI活用の実態調査とその結果

調査は、2026年5月に、全国20歳~69歳男女で以下の20の商品カテゴリー購入経験者を対象に実施しました。

【調査概要】
調査対象:全国20歳~69歳男女、20カテゴリーの商品購入経験者
サンプル数:5,025人/有効回答:4,034人
対象カテゴリー: 1:加工食品・調味料 2:菓子(スイーツ) 3:飲料 4:酒類 5:洗濯・掃除用品 6:スキンケア用品 7:メイクアップ用品 8:ヘアケア・ボディケア用品 9:オーラルケア用品 10:OTC医薬品 11:健康食品・サプリメント 12:ペット用品 13:生活・キッチン家電 14:デジタル・モバイル機器 15:通信・インターネットサービス 16:保険 17:投資・証券サービス 18:旅行・交通 19:動画・音楽配信サービス 20:ゲーム

調査の結果、生活者はAIを単なる検索代替としてではなく、比較・確認・相談相手として活用していて、その使い方は商品カテゴリ毎に構造的に異なることが判明。購買プロセスにAIがどう介在するかを、「5つの類型(購買行動パターン)」として整理・分類しました。

購買類型 対象カテゴリー AI活用率 AIの役割 生活者の質問例

ライトチェック購買型
加工食品・調味料/菓子/飲料/酒類/洗濯・掃除用品/ヘアケア・ボディケア用品/オーラルケア用品 34.8% 軽い確認相手 「この洗剤、ドラム式でも使える?」

ディープリサーチ購買型
デジタル・モバイル機器/健康食品・サプリ/投資・証券/生活・キッチン家電 51.4% 比較・精査の参謀 「予算〇万円以内で〇〇機能の家電を比較して」

ロングユース伴走購買型
通信・インターネットサービス/動画・音楽配信サービス 52.5% 長く付き合う伴走者 「家族で乗り換えたら年間いくら得する?」

リスクヘッジ
購買型
OTC医薬品/保険/ペット用品/ゲーム 43.6% 不安解消の
専門家
「この薬、授乳中でも飲める?」

コンテキスト探索購買型
スキンケア用品/メイクアップ用品/旅行・交通 43.0% 相談しながら探す相手 「30代乾燥肌に合うベースメイクを教えて」

次の章からは、この調査で分類された5つの購買類型の特性と企業に求められる情報設計戦略を解説します。

「ライトチェック購買型」

「ライトチェック購買型」とは、加工食品や飲料、洗濯用品など普段づかいの日用品を購入する際に、AIを“軽い確認相手”として気軽に使う購買行動のことです。「加工食品・調味料」「菓子」「飲料」「酒類」「洗濯・掃除用品」「ヘアケア・ボディケア用品」「オーラルケア用品」などの商品カテゴリーでこの行動が見られ、AI活用率は34.8%と、他の商品カテゴリーに比べると最も低い水準です。普段、習慣的に購入する日常品において、AIは気になる新商品や不慣れな選択肢に出会った際に「このお菓子のアレルギーは?」「この洗剤はドラム式でも使えるか」「この歯磨き粉のフッ素濃度」など、サクッと疑問を解消して納得感を得ることを期待して使われています。

AI活用率が低い食品・生活用品でもAIO対策は必要?

AIが生活者の日常的な問いに即座に答えられるよう、商品スペックだけでなく生活文脈や用途を整備する必要があります。このカテゴリーはとにかく「商品そのもののこと」を調べるケースは少ないでしょう。「商品そのもの」よりむしろ、「時短で晩御飯を作りたいがおススメは?」や「会社の手土産に持っていくお菓子で良いのない?」「墨汁のシミ抜きのよい方法は?」など、生活の中での様々な疑問(生活文脈)を調べることの方が圧倒的に多く、こうした問いをAIに行った際にブランドサイトの情報が取り上げられることを目指し、情報を整備することをおすすめします。

AI利用率が高かった「ディープリサーチ購買型」と「ロングユース伴走購買型」

全5類型の中でAI活用率が50%を超え、極めて高い介在度を見せたのがこの2つの類型です。利用率はどちらも同等に高いものの、生活者がAIに寄せる期待と、企業が講ずべき対策の方向性には明確な差異があります。

「ディープリサーチ購買型」は、デジタル・モバイル機器 / 健康食品・サプリ / 投資・証券 / 生活・キッチン家電など比較検討要素の多い商品で、AIをスペックや条件の比較・精査に使う購買行動のことです。これらの購入で、消費者がAIに期待していることは、比較軸や判断材料が多い中で、スペック、条件、口コミ、選び方を深く比較・分析し、客観的で合理的な判断を下すためのサポートです。「予算〇万円内で〇〇機能がついた家電の比較」など、条件を満たす最適解の抽出を求めています。

一方「ロングユース伴走購買型」とは、通信・インターネットサービス / 動画・音楽配信サービスなど継続利用が前提のサービスで、契約比較から乗り換え・継続判断までAIに伴走してもらう購買行動のことです。これらの商品は、継続利用・月額課金を前提とするサービスのため、AIには「ディープリサーチ購買型」に求められた比較・分析に加えて、長期的・総合的な損益判断や、乗り換え判断のアシストを求めて相談します。「家族で乗り換えた場合の年間費用シミュレーション」「観たいコンテンツが揃うサブスクの組み合わせ」など、長期契約に伴うメリット・デメリットの整理を期待されています。

家電・デジタル機器業界はAIにどう対策すればいい?

デジタル・モバイル機器 / 健康食品・サプリ / 投資・証券 / 生活・キッチン家電 など、「ディープリサーチ購買型」の商品では、AIが誤解なくデータを抽出・比較できるように、定量的なデータ構造化が最も重要です。価格、寸法、性能数値、成分量、手数料などのスペック情報の明確なテーブル化・構造化データ(JSON-LD等/AIや検索エンジンが情報の意味を正確に読み取れるようにするデータ形式)化、比較軸ごとの優位性、根拠となるレビュー、専門情報の整理が必要です。

通信・サブスクサービス業界のAIO対策で重要なことは?

これに対して、通信・インターネットサービス / 動画・音楽配信サービスなど「ロングユース伴走購買型」においては、単発の製品比較だけではなく、継続価値に焦点を当てた動的な情報構造が必要です。複雑な料金プラン、セット割条件、解約金・乗り換えキャンペーンのロジック化、継続利用によって得られる特典やサポート体制、他社比較時の優位性の言語化を行い、情報提供をする必要があります。

「リスクヘッジ購買型」

「リスクヘッジ購買型」とは、OTC医薬品や保険、ペット用品など失敗や不安を避けたいカテゴリーで、AIを購入前のリスクチェック役として使う購買行動のことです。
これらの商品を選ぶ際のAI活用率は43.6%となっていて、消費者はAIに対して「不安を解消してくれる専門家」として期待しており、リスクヘッジとしての相談を行っています。たとえば、OTC医薬品なら、主な効能だけでなく「授乳中に飲めるか」「アレルギーのある人に使って問題ないか」など副作用、飲み合わせ、使用上の注意点、成分の安全性などを客観的に確認・照合するために相談します。また、保険なら契約時の注意点、複雑な契約条件、適用範囲、免責事項、自分や家族の条件に合ったリスクカバーができているかなど、不安や失敗を避けるための詳細な条件確認にAIを利用しています。 身体への影響、高額な契約損失、購入後の不具合など、各カテゴリー特有の失敗や不安を回避して購入前にリスク要因を完全網羅することを目的にAIに相談します。

医薬品・保険業界がAIに正しく・安全に理解されるためには?

リスク回避目的で利用する生活者に対して、AIが客観的な安心・安全の根拠として提示できるよう、情報の正確性と信頼性(E-E-A-T:専門性・経験・権威性・信頼性を示すGoogleの評価基準)の厳格な整理が求められます。副作用、禁忌事項、注意点、成分、解約条件などのリスク情報、注意事項、詳細な成分表示、契約条件、免責事項。そしてそれらの根拠となる専門家(医師・獣医師等)の監修データ、公的機関の認証、根拠論文などの正確な紐づけが大切です。また、情報の曖昧さを排除し、AIが誤解(ハルシネーション:AIが事実と異なる内容を生成してしまう現象)を起こさないよう、事実に基づいたデータ構造を整えることが最優先課題となります。

「コンテキスト探索購買型」

「コンテキスト探索購買型」とは、スキンケアや旅行など好みや条件がまだ曖昧な段階から、AIに相談しながら選択肢を絞り込んでいく購買行動のことです。
スキンケア用品 / メイクアップ用品 / 旅行・交通、の3つの商品カテゴリーが含まれます。AIに相談する率は43.0%。これらのカテゴリーの商品に関しては、消費者は「自分に合うものが分からない」「条件がまだ曖昧」という段階から、AIを“決めるための相談相手”として利用します。「30代乾燥肌に合うベースメイク」「2泊3日・車なし・子連れで行ける温泉旅行」のように、自分の気分・好み・状況(文脈)を投げかけ、選択肢を整理・提案してもらうことを期待しています。

化粧品・旅行業界のAIO対策で押さえるべきポイントは?

スペック数値だけでなく、条件設定に使用する様々なキーワードと商品情報の意味的な接続が不可欠です。「イエベ秋」「時短」「子連れ」「自分へのご褒美」「ストレス解消」などの利用シーンやちょうど合う気分などの情報を商品情報に対して紐づけるわけですが、そこには納得感のある理由を付け、構造的に表現することが大切です。

企業の情報設計をする際に大広・大広WEDOが支援できること

購買プロセスへのAI介在が当たり前となった今、企業が目指すべきは「SEOによる検索上位表示」だけでなく、「AIに正しく理解され、比較され、言及されるブランド構築(AIO対策)」です。
大広・大広WEDOでは、今回の調査をもとに、購買プロセスへのAI介在に対応したブランドコミュニケーション支援「AIO(AI Optimization)対策」を提供しています。従来のSEO対策では、検索エンジンに情報を見つけてもらうことが主な目的でした。一方、AI時代には、AIがブランドや商品の意味を正しく理解し、生活者の問いに対して適切に参照・要約・回答できる状態をつくることが重要になります。
大広・大広WEDOが取り組むAIO対策では、ブランドらしさを「オントロジー(ブランドの特徴や価値を要素同士のつながりとして整理する意味構造)」という形で整理し、AIに正しく認知・理解させる基盤を作ることで、真に打つべき施策を設計します。この手法は、SEOの延長線上のAIOとは一線を画する、独自の視点に立った手法です。

【大広・大広WEDOのAIOソリューション 3ステップ】

• ステップ1:表層分析(AI認知診断)
ChatGPT、Gemini、AI Overviews等において、自社ブランドが現状どのように言及・引用されているかを分析・可視化。
• ステップ2:深層設計(AI理解診断・オントロジー構築)
自社ブランドの価値を明確化し「AIに理解させる正解」を定めた上で、Webサイトや商品情報のオントロジー(意味構造)を評価。AIに正しく伝わっていない概念や、欠落している接続関係を特定。打つべき施策を設計。
• ステップ3:施策実施
自社サイト構造化、テキスト充実、コンテンツ補強などの内部対策や、第三者メディアやクチコミへのPR等外部施策を推進。

また、「AIの回答内容の最適化」だけではなく、自社商品がどの「購買類型」に属するかを見極め、ターゲットとなる生活者のAI利用パターンに即したコミュニケーションプラン設計を行うことが、これからのマーケティングの勝ち筋となります。「AI時代の中でブランドコミュニケーションを見直したい」「カテゴリー特性に合わせたAIO対策・オントロジー構築について興味がある」という方は、どうぞお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。


まとめ

◇大広・大広WEDOは全国5,025人(有効回答4,034人)を対象に、20の商品カテゴリーにおける「購買時のAI活用実態」を調査しました。
◇AI活用率は購買類型によって34.8%〜52.5%まで幅があり、生活者は商品カテゴリーごとにAIの使い方を明確に使い分けています。
◇AIとの関わり方の違いから「5つの購買類型」を導出。自社商品がどの類型に属するかを見極めることが、AIに選ばれるための情報設計の第一歩です。


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この記事の著者

鷲北 雄介

株式会社 大広WEDO アカウントプランニング局 局長

1996年大広入社。営業職としてブランド戦略、コミュニケーション・クリエイティブ開発に携わる。顧客育成局でCRMプランナーとして活躍の後、現職で生成AIを活用したツール・ソリューション開発やマーケティング支援に従事。書籍『顧客価値を劇的に高める生成AIマーケティング』著