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2024.10.25

データの民主化を進めるダッシュボードと、 テレビCM×デジタルのトライアルソリューション。

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企業のさまざまなレイヤーでDX化が進む中、マーケティング領域も例外ではありません。施策ごとのデータを統合し「見える化」することで効果検証のスピードが上がる。
このことは経営判断に直結します。事業成長のためにテレビCMを投下してみたいけれど、その効果をどう判断するのか。そのようなお悩みを抱える企業も多いのではないでしょうか。今回は大広でクライアントのDX化に向き合い、マーケティングダッシュボードの開発に携わってきた藤井氏にお話を伺いました。

 

ダッシュボードでデータを総合的に眺めると、意思決定が変わる


藤井さんは現在マーケティングダッシュボード導入の推進に力を入れていらっしゃいますが、どんな経緯でデータと向き合うことになったんですか?


(藤井)
そうですね、最初にデータに取り組んだきっかけは、2017年に上級ウェブ解析士の資格を取りまして、Googleアナリティクスのデータを日常的に分析していました。
転機となったのは、2021年にデータマネジメントを手がけるグループ会社に出向したことで、Googleアナリティクスの専門性を自分なりに高めていきました。分析結果を得意先ごとにPowerPoint に分かりやすく資料化するなどカスタマイズしてご報告するっていうのがメインの業務だったんですけど、それをもっとリッチに見える化できないだろうかっていう想いがありましたね。クライアントに説明したり理解をしてもらう上で、もっと説得力があってシンプルにデータを「見える化」する工夫ができないかなっていう中でダッシュボード化に取り組み始めたっていう感じです。 なので、もともとGoogleアナリティクスをどう分かりやすく「見える化」するかっていうのがきっかけではありました。


上級ウェブ解析士の資格をもっていらしゃるんですね。これまでデータと得意先と両方に向き合ってこられて、感じていることなどはありますか?

(藤井)
私は2017年まで営業職だったんですけど、営業視点で言うとデータって無機質なものなので、丁寧に説明してもクライアントからは捉えづらいとか、どう分析したらいいのかという反応が多いんです。データを企画に活かしたいスタッフにとっても同じで、やはりまず、データはわかりやすくなければいけないと思っています。
クライアント課題でいくと部署ごとに持っているデータがバラバラだったりとか、 調査結果はマーケが持っているんだけど広告部は結果を理解していないとか。そんなセクショナリズムの課題も目にしてきました。
なので、部署を横断して見れるデータがあったほうがいいんじゃないか、我々とクライアントも目線を合わせられる共通のツールがあるべきじゃないか、作りたいなっていうのは当初から思っていましたね。

DX化を進めるダッシュボードと聞くと、予算策定や経営分析など様々な機能イメージがあります。マーケティングダッシュボードの活用にはどんな広がりがありますか?

(藤井)
ツールとしてさまざまな粒度のデータを活用する可能性が広がっていくと思います。サイトアクセスデータを見える化するようなライトなものから、より個人データを統合し分析するためのCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)との連携など、扱うデータ自体の範囲が今後より広がっていくと考えています。今後の進化の可能性という意味合いで考えると、経営者や事業責任者の意思決定に使いやすいものであるといいな、と私は考えています。例えば流通業であれば、各店舗の販売状況をリアルタイムに把握したい とか、売れ行きの良い商品を把握したいとか。今までであれば各店舗のデータをエクセルでまとめて睨めっこしながら…判断していたと思うんですが、リアルタイムに直感的に判断できるツールであって欲しいなと。ダッシュボードは先ほどのCDPの活用などを通じて、さまざまな格納データを「見える化」する機能としての側面も強いですが、私がこだわりたいことは、あらゆるデータを「見える化」することがゴールではなく、BI(ビジネス・インテリジェンス)として「見える化」されたデータが直感的に経営者が意思決定するためのアウトプットになればいいな、ということなんです。その上で、我々がその意思決定のサポートをし、課題解決のための施策においても連携させていただく。そういった活動につながることを目指しています。

テレビだけでCMの効果が測れない時代には、新しい指標の見える化が必要

少し話題が変わるのですが、ダッシュボードによるデータマーケティングが進むなか、テレビCMをどんな視線で見つめられていますか?

(藤井)
私は、直近ではデジタル部門でデータ分析をしていますが、入社以来しばらくテレビスポットのセールス担当をしていました。そんな私のところに最近多い相談が、テレビメディアの価値をどう説明するのが良いか、という内容です。テレビってオワコンとか言われたりもするのですが(私はそうは思っていませんが。)、そのテレビの価値を改めてクライアントに認識いただきたいということですね。あるとき、Google アナリティクスでテレビCMのオンエアとウェブサイトのデータを比較するとびっくりするぐらい相関があったんです。割と年齢層高めのユーザーをターゲットにした商材でしたが、実際にテレビCMを流したタイミングでサイトのアクセスが増えたっていう相関がかなり顕著にデータに現れていたんです。
改めてデータ分析によってテレビの価値は見直すことができるんじゃないか、という発見がありました。そこからもっと細かく、オンエアタイミングと検索の相関をGoogle アナリティクスのデータで分析すると、本当にオンエアしたタイミングで検索数が実際に上がっているんです。
テレビの効果はCMだけではありません。パブリシティとかテレビ番組での取り上げとか、ペイドメディアじゃなくてもたまたま取材で取り上げられたPRとか。そんなテレビメディアの活用もやっぱり検索行動を生み出して、ウェブサイトのアクセスが急増することが、Google アナリティクスのデータを見ると顕著なんです。 私はデータ分析側からの実感として、テレビってまだ効くんだな、またWEBコンテンツを楽しむテレビデバイスという観点でも、果たせる役割があるんだっていう確信みたいなものを持っています。


業種やブランドによってもテレビCMの役割は変わるように思えますか?

(藤井)
例えば、名前を聞けば誰でも知っている企業があるとします。その企業のビジネスドメインは通信事業ということも知られている。そんな環境下で、その企業が通信事業とは全く別次元の新しく開発したRPA(パソコンで行う事務作業を自動化できるソフトウェアロボット技術)ソリューションを売り出したいとします。が、そのサービスの名前は誰も知らない、と。こういう認知がない状況では、テレビCMはやはり効果があります。もちろん費用対効果の観点での検証も必要ですが、デジタルの施策のみでは潜在層の指名検索が伸び悩み、獲得ボリュームが限られる課題も出てきます。テレビCMの役割は、その指名検索を増やすとかターゲットのニーズ自体を醸成していくことや、ひいては獲得ボリュームを増やすための需要創造なんだと。話が戻りますが、データを使って紐解くと、テレビの価値はまたユニークな捉え方ができる。テレビの再価値化ができる。このことがテレビ×デジタルの新しい指標、テレビを見直すきっかけになるかなと思うんです。


藤井さんから見て、データの利活用における企業が抱える課題感には、どんなことがありますか?

(藤井)
クライアントが抱える課題にはいろんなレイヤーがあると思いますね。大企業になれば、部署間のセクショナリズムもあるかと思います。
セールスの現場からすると広告宣伝が進めているテレビCMはどこまで効果があるのかが分からない、そんなケースです。データによる「見える化」は、そんな旧来型のギャップを埋めて部署間をつなげる指標になります。一方で、最近感じるのはトップダウンで意思決定するレイヤーでの課題感ですね。経営層の手元データがよりシンプルで分かりやすいものであることが求められているかなと。
販売などの実績データは理解できるけれど、広告宣伝にどれだけ投資をしてどういう効果があったのか、エクセルデータで説明されても経営者側があまり理解できていないケースもあったりするんです。なので、広告宣伝の投資対効果がわかりやすく「見える化」されて経営層が正確に状況を把握できることが、最近は求められているように感じます。

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Google アナリティクスはGA4に移行しました。このことも影響ありますか?

(藤井)
そうですね、Googleが提供する現在のアクセス解析ツールがいわゆるGA4(Googleアナリティクスの最新バージョン)と呼ばれるものですが、これまでのバージョンと比べるとわかりにくく、以前のUIに慣れていた方は特に扱いにくくなったと言われることも多いです。これまでは時系列の基本レポート等では画面のキャプチャーを取ってわかりやすくレポートできていたのですが、GA4になった瞬間に得意先のちょっと詳しい方でも項目が変わったり、操作に苦戦されているというお話も聞くようになりました。ただ、計測データ自体はよりカスタマイズして細かく見れるようになり、「人」ベースの分析を行う上では機能も進化しています。なので、GA4でわかるアクセス状況やユーザーの行動を単体で「見える化」するっていうことだけでも結構ニーズがあるっていう現実もありますね。

(注)
2023年7月1日にこれまでのGoogleアナリティクスのバージョン(UA:ユニバーサルアナリティクス)がサービスを終了。現在、Googleが提供する新しいアクセス解析ツールはGA4と呼ばれるバージョンに移行。GA4はCookieのみに依存しないトラッキングの仕組みを用いて計測します。

データドリブンなテレビ×デジタル施策のための「テレビルド」


大広では、企業のデータ利活用サポートとしてどんな取り組みが進んでいますか?

(藤井)
現在、大広では様々な取り組みを行っていますが、私の方ではテレビ×デジタルで事業課題に向き合うソリューションパッケージ、「テレビルド」を推進させていただいています。「テレビルド」は、わかりやすい言い方すると、テレビCM制作とメディアプランニングとバイイング、WEB広告の制作とメディアプランニングとバイイング、そしてGA4単体まで含めたデータ分析をトライアルで実施いただけるパッケージというイメージです。主にこれまでテレビCMをやったことがない新規クライアントなどを想定し、事業成果を築くためにまずはスモールバジェットで大広やグループのソリューションをお試しいただけます。

テレビCM制作まで含めたソリューションのお試しパッケージ、のようなイメージなんですね。

そうですね、テレビCM制作のトライアルが比較的安価にできることがポイントにはなります。テレビとデジタルでどう事業成果を上げていくか、施策全体をパッケージでご一緒するっていうのが本来の「テレビルド」の思想ではあるんです。ただ、サービスの中にある得意先ごとにカスタムしたダッシュボード、先ほどもお話に出ましたがGA4のアクセス解析データを「見える化」しましょう、ということでまずはそこだけをピンポイントで伴走していくケースも増えてきました。パッケージとして「テレビルド」をご案内していく中で、分析パートであるダッシュボード・ソリューションが先行して一人歩きしているようなことですけれど、むしろ、そこに社内外のニーズがあるということも発見ではありました。

テレビとデジタルで事業成果を上げるソリューション「テレビルド」ですが、開発にあたってこだわったことはありますか?

(藤井)
まず、開発にあたって考えたことは、クライアント目線のクライアントの言葉で解決できるものにしたいなということでした。ソリューションとして汎用化はしていくんですけど、「テレビルド」とはクライアントと向き合うその伴走の体制そのもの、という考え方なんです。ですので、御社にフィットするものをお持ちしましたっていう文脈で語れるものを作りたかった。ですので、大広のスタッフで得意先向けに割とライトにカスタマイズしやすいことも、拘ったポイントですね。
ノーコードで使えるツールもうまく組み込むみたいなことも含めて。「テレビルド」はソリューションのパッケージとしてご案内はしているものの、なにか決まった売り物ではなく、クライアントに合わせて活用いただけるソリューションと言えるものとして開発したことは大事にしてきたことでした。

テレビルドはデータの民主化を実現する

「テレビルド」によって、どんなことが実現できると良いと感じていますか?

(藤井)
一つ目指したいなと思っているのは、データの民主化みたいなことでしょうか。
格好つけるつもりはないんですが(笑)、みんなが同じものを見て効果を体感できたらいいなと思っていて。今でもPRイベントしましたとか テレビCM打ちましたっていう時に 、Googleトレンド見ながら「なんかめっちゃ跳ねてますね」って話って、 営業とクライアントの中で行われたりすると思うんですね。
なんかその感覚って大事だと思っていて。広告を実施した時に 「いい結果が出ていますね」っていう。関係者全員でプロセスを見ながら効果を実感できる、そんなデータを民主化していくようなソリューションや取り組みを提供していきたいなっていうのがあります。
Google アナリスティクスの管理画面開いて、Excelで事業実績データと組み合わせて集計して・・・とかだと時間や作業ハードルが高くなってしまうので。また、それらをワンストップで自動で管理するシステムとかだとどうしても費用もかさんでしまう。
まずは直感的に効果をみんなが実感できること、それがデータの「見える化」であり一種の「民主化」かなと思います。

telebuild_image※画面設計・数値はイメージとなります。


最後になりますが、経営判断にデータの利活用がこれからますます必要とされる時代になると感じているのですが、その辺についはどうお感じでしょうか?

(藤井)
我々にとっては、スピーディーな意思決定を求められるクライアントの経営者にデータをわかりやすく理解してもらうってことがビジネスにはすごく重要だと思うんですね。だけど、目指すべきところはデータ自体が意思決定を行うマネージャーや経営者のものだけではなく、日々顧客と向き合う担当の方々含めて浸透しているってことだと思うんです。これだけソーシャルメディアで世の中の反応が分かる時代なので、顧客と向き合う事業会社の方々が顧客の変化を日々理解していくことっていうのは必須なんだろうなっていうことだと思いますし。そういった意味では、我々サポートする側もクライアントが見ているデータをきちんとリアルタイムで見て、目利きのプロとしてサポートできる状態がスタンダードになるべきですし、双方が正しく顧客を理解している状況を作ることを目指したいと考えています。

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まとめ

ビジネスに関わる全員が効果を実感する「データの民主化」により、スピィーディな意思決定を可能にすることが昨今のビジネスでは重要です。テレビCMの成果を迅速に判断し部署間のギャップを埋めるための、データの「見える化」ツールとして「テレビルド」は開発されました。テレビとデジタルのメディアプランニングとデータ分析を統合し、カスタマイズされたダッシュボードを提供します。テレビCMとウェブ解析データの相関を示すことで視聴率だけでは見えないテレビメディアの価値を再評価することができれば、テレビCMを活かした新しいコミュニケーション活動が展開できるはずです。

この記事の著者

藤井 耕平

2009年株式会社大広入社。営業部門でTV、ラジオ、雑誌等のマス媒体からデジタルメディアまで幅広く経験。その後統合プロデュース部門で大手食品会社のブランド・統合プロモーション企画の推進、大手通信会社のデジタルプロモーション推進を担当。2021年からは、データマネジメント領域に特化したグループ会社「株式会社澤田設計事務所」で広告領域にとどまらないデータ分析領域を経験。2024年〜現在、ウェブ解析を強みとしたデータ分析と活用、データドリブンでの施策コンサルティングに従事。自社のソリューション開発としてAaaSやGA4、その他Googleソリューションを組み合わせた大広オリジナルの「テレビルド」や得意先カスタマイズでのダッシュボード開発、提供。