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2025.07.08

カスタマージャーニー・マップで顧客心理が見える!サプリメント通販【第2回】お試し・定期1回目・定期2回目のインサイトと対策

サプリメント通販において、お試し商品広告での購入、定期コースへの引き上げ、さらに定期購入後の定期の回数ごとに継続・離脱の顧客の心理を可視化し、「サプリメント・カスタマージャーニー・マップ」 として、1枚のイラストで表現しました。

サプリメントの定期通販という領域を絞ることによって、顧客インサイトがよりクリアになっています。

第2回目では、お試し商品の購入後、定期コースへの引き上げ、定期コース2回目までの顧客インサイトを解説します。

定期引き上げは、「お試しだけでは分からないから、継続してみよう」に導く 

 お試し:定期が前提

 サプリメントの「お試し商品広告」により、お試し商品を購入していただくと、「薬館」の入口、いわば第一階層に入った状態となります。この段階では、お試し商品を飲んだ後に定期コースを購入するかどうかが問われます。このプロセスを「定期引き上げ」と呼んでいます。  

マップの「お試し」フロアをご覧ください。 

お試し

顧客のインサイトについて見ていきましょう。まず、お試し商品広告で商品を購入した方は、「いつでもやめられるなら、定期コースを申し込もう」というインサイトを持っています。お試し商品を購入したときから、「定期コースに申し込もう」と考えている方は一定数存在するのです。   

また、お試し商品を一定期間飲んでみる中で、「効いてきた気がする」「いろいろ(同梱物などの情報ツール)読んでみると、これなら安心だわ」「(価格が)安いから定期に申し込もう!」と感じて、段々と定期コースへの意向が強まる方もいます。    

さらに、「お試しで効果は分かるはずがないので、続けてみよう」と考え、まずは定期コースを試してみようと思う層もいます。   

こういった方々は、あたかも「エスカレーターに乗っている」状態で、定期コースに進む可能性が高い層になります。   

そして、もう一歩踏み出せていない方は「何か安心できる材料が欲しいなぁ」と感じています。 
こういう方には、お試し期間中にさまざまな情報、特に安心材料となる情報を提供できれば、定期コースへ進む可能性が高まります。   

一方で、お試し商品を利用したものの「お試しでは効果がなかった!」と失望し、早々にやめてしまう方も見受けられます。マップでは、「お試し」フロアから出て、薬館の外に出てしまっています。いわゆる離脱ということになります。 

「まだ1回しか飲んでいないので効果が分からない」といった声もありますが、特に、お守り系のサプリメントでは、短期間では効果を実感できないことが多いです。それでも、即効性を期待するあまり、効果が感じられないとすぐにやめてしまう方が一定数いらっしゃいます。   

定期コースへの移行につなげるためには、「お試しだけでは分からないから、継続してみよう」と思う気持ちをいかに持っていただくかが重要になります。    

 

定期申し込み時のインサイト 

定期申し込み時のインサイトをさらに詳しくお話しします。  

定期申し込み時のインサイト

まず「お試し申し込み時に定期コースへの加入を考えている方」のインサイトを挙げます。 

定期が前提:「定期コースが前提で、お試し商品で効果は分かるはずがないから、しばらく続けてみる」 
今がお得:「今申し込むと安いから、どうせ申し込むつもりだったので、即定期コースに申し込みしようで 
いつでも止められる:「いつ止めてもいいなら、継続するつもりだったし、定期を申し込もう」 
詳細情報で納得:「もう少し知りたかった詳しい情報で、安心して定期コースを申し込み」 


次に、「お試し商品を利用した後で定期コースに進む方」のインサイトです。 

効果を感じる:「明確な体の変化というより効果の兆しを感じた」 
継続が重要だと納得:「やっぱり続けることが重要で、続けていれば効果が出るかもと思ったので定期を申込み」 
背中を押す安心:「定期はお金がかかるし、申し込むときには、何か安心材料が欲しい」 
いつでも止められる:「いつ止めてもいいなら、縛られることがないので、定期を申し込もう」 
今がお得:「お試しが終わりそうな頃に、お得情報があったので、それならと定期申込み」 

 定期コースの申込には不安を感じる方が多いため、「いつでも解約可能」などの安心材料を提示することが有効ですし、定期コースがお得になるという情報や限定特典は、プロモーション施策として有効だということが分かります。   
   

一方、お試し後に定期コースへ進まなかった方のインサイトです。 

効果を感じず失望:「効果が出ると思ったのに、お試しでは効果が出なかった」 
効果があり終了:「お試しで効果があったため、飲むのをやめた」 
まずい :「お試し商品がまずく、飲みづらい」 
冷やかし :「お試しは安かったので冷やかしただけ」 

効果については、まったく感じないと離脱してしまう方もいれば、逆に、効果を感じたから満足してやめてしまう方もいます。 

また、サプリメントは、毎日飲むべきものですから、「飲みにくい」「まずい」ということは致命傷になりかねません。 

そもそも割安だったからという理由だけでお試し商品を購入する方もやめてしまうことがありますので、広告で安さばかりを訴求してはいけないと考えます。   
  
このようなインサイトが存在する中、定期コースへの引き上げ施策を検討する際には、「継続することに対する不安をいかに取り除けるか」が重要です。プロモーションの観点からは、継続の大切さや不安解消につながる情報の発信が不可欠です。特に、定期コースに至らない方は、お試しだけで急激な効果を求めがちだという特徴がありますので、「継続利用が大切である」というメッセージをしっかり伝えることがポイントです。   
   

顧客インサイトを踏まえた「定期引き上げ施策」の具体例

顧客インサイトを踏まえた「定期引き上げ施策」の具体としては、 

定期コースに進みやすい価格設定:定期1回目の割引率を高め、定期へ進みやすくする設定 
いつでも休止・解約可能などの案内:一時休止や配達日変更が可能なことをアピール 
期間限定の特典オファー:「今なら定期〇%OFF」など 
定期コースの詳細な説明 
企業の信頼性や愛用者のコメントの紹介:安心を増幅させる情報を提供 
継続利用の重要性を訴えるコンテンツの発信:当初は効果を感じなかった愛用者の声などで、長く付き合う重要性を説明 

などが挙げられます。 

また、定期コースに進まない方に対しては、ダイレクトメール等で他商品を提案することも最終手段として有効です。

とはいえ、まずはお試し商品の定期引き上げに注力し、これらの施策を積極的に活用していく必要があります。 

 

期待で前向きな定期1回目 では、「続けることの大切さ」を訴求  

定期1回目:まだ期待で前向き  

次に、定期購入の一回目について説明します。

定期1回目

定期一回目のインサイトとして、象徴的なのは「まだ期待で前向き」という点です。「しばらく続けていれば、そのうち効果が現れるだろう」という前向きな気持ちが強い段階です。これは、次の定期二回目へ続く“エスカレーター”に乗っている方々の特徴でもあります。
「最近なんだか効いてきた気がする」といったインサイトも見られます。  
 

 一方で、少し躊躇している方もおり、「飲みやすいのは良い」といったポジティブな理由はあるものの、まだ完全にこのエスカレーターに乗れていないという状況も見受けられます。   

 定期1回目で、出口から離脱する方は、「効果がないのでやめよう」と判断して継続をやめてしまう傾向にあります。やはり、ここでも「効果がない」と判断した方が離脱するため、第一回目での離脱防止には、不安を払拭し、継続の重要性を訴求することが大切です。   

 

定期1回目のインサイト 

定期一回目のインサイトを詳しく見ていきます。 

定期1回目のインサイト

 

まず定期1回目で継続意思がある方のインサイトです。 

〇効果を感じる:広告等で訴求されており購入者が興味を抱いていた改善効果に関して、具体的な効果が少し見え始める 
まだ期待で前向き:「効果はまだ感じないが、まだ1回目だし、しばらく続けていればそのうち効果が出るだろう」と、今後に期待し、しばらく続けようと前向きに考える方もいらっしゃいます。 
飲みやすく好感:「飲みやすく感じたので、効果はまだわからないが、商品に好意を持っている」と、飲みやすいなどの商品の好意的な印象が、効果以上に継続を後押ししています。   
    
一方で、定期1回目で離脱してしまう方のインサイトも見てみましょう。 
効果を感じず失望:「1回目で効果があると思っていたが効果がないのでやめよう」と、効果が感じられず失望したと非常に短期的かつ短絡的な傾向が見受けられます。 
興味を感じない:「電話で言われるがまま、何となく定期を始めたが、やっぱり興味がないので中止」と、最初にあまり興味を持たないまま始めたこと、その気持ちが変わらなかったことが理由で中止される場合もあります。 
体に合わない:「体にブツブツがでたり、胸やけがする」という体に合わなかったという理由でやむを得ず継続を断念される場合もあります。   

施策実施の視点としては、定期一回目で継続意思のある方はまだまだポジティブな状態にあるため、この気持ちを維持・強化する情報発信が重要です。定期1回目で離脱意思がある人は、「効果がない」→「失望」→「止める」といった短気で短絡的な傾向があります。 

定期一回目での離脱を防ぐためには、「長く続けることの大切さ」をしっかりと理解してもらうための情報発信が重要となります。 


顧客インサイトを踏まえた定期1回目の施策の具体例

顧客インサイトを踏まえた定期1回目の施策の具体例としては、 

☆体のために継続という発信:定期1回目同梱チラシで「1日分たったの○円だから体のために長く続けよう」と、メッセージを発信する 
飲みやすさの理由を具体的に伝える:定期1回目同梱チラシで「飲みやすく開発していますが、いかがでしょうか?」と、効果以外の利点を見つけてもらうためのメッセージを発信する 
継続の重要性を繰り返し伝えていく:定期1回目同梱チラシで「効果が出るには少し時間がかかるので、体のために長く続けよう」と、長期利用で効果を感じた愛用者の体験談を発信 する 
興味のリマインドをする:アウトバウンドコールで、どんな興味を持って始めたのかをお客様自身の口で言っていただきリマインドさせて、継続へのモチベーションを高める 

などの施策が効果的です。 

 期待と疑問の交錯する定期2回目は、効果以外の価値訴求が必要  

定期2回目:期待半分・疑問半分 

定期購入の二回目について説明します。こちらもインサイトを見ていきますが、象徴的なのは「期待半分、疑問半分」という点です。   

定期2回目定期購入一回目の段階では、まだ期待や前向きさが強い状態ですが、二回目になると期待と同時に疑問も出てきます。効果を実感している方は継続の意思が強いものの、「よくわからないが、もう少し続けてみよう」と半信半疑で続けている方も多いです。これが「期待半分、疑問半分」という心理状態を表しています。   

一方、やめてしまう方については、「効果が感じられない」「余ってしまった」といった理由で離脱する傾向があります。飲むことを忘れてしまったり、継続のモチベーションが続かず、しびれを切らしてやめてしまうといったケースです。この時期からは、「効果訴求」だけでなく、情報提供の内容を転換していく必要があります。   

具体的に定期二回目のインサイトをマップで見ると、継続意思のある方は何らかの効果や改善を実感している方が多いです。一方で「期待半分、疑問半分」の方は、まだ実感はないが、「よくわからないけど、もうちょっと続けるかな」という心理状態です。       

また、定期二回目で離脱する方は、「効果がないのでシビレが切れた」「効果がないし、ダブついちゃった」と、やはり効果を感じられないことが離脱のインサイトになっています。 
 

定期2回目のインサイト  

定期2回目のインサイトを詳しく見ていきます。 

定期2回目のインサイト
まず定期2回目で継続意思がある方のインサイトです。 

効果を感じる:広告等で訴求されており、購入者が興味を抱いていた改善効果に関して、なんらかのプラス面を実感しています。 
期待半分、疑問半分:「まだ特に効果は感じていないが、効果を感じたいので我慢してしばらく継続。でも効果がなければ止めるだろう」 

定期1回目で離脱してしまう方のインサイトも見てみましょう。 

シビレが切れた:「2回目くらいで効果がないと、続けないと効果はないと思っていても、そろそろシビレが切れた」と、効果感が出てこないことに我慢ができなくなっています。 
億劫になりダブつき:「効果がないから飲むのが億劫になり、ダブついてきたので、やっぱり止めよう」 
お金のムダ:「効果が無いのに、こんな値段はお金のムダ」 

いずれも、続ければ効果が出るかもしれないという思いもありながら、これ以上は我慢できない、と感じています。 

前にも述べましたが、薬館では、「効くか、効かないか」という二元論に支配されているのです。 

このように、定期2回目で継続意思がある人で、効果が出ていない人は、疑問がわき始めます。
また、定期2回目で離脱する人は、ある程度我慢して離脱するため、単なる失望以外の感情が出ています。 

 定期二回目の施策実施の視点としては、定期1回目の施策のように「長く続けることの重要性」を訴えるだけでは、なかなか響きません。なにしろ、効果感がないことに我慢ができない人が多くなってきています。 
従って、ここからは「効果」以外の価値訴求へと情報発信の内容を切り替えていくことが重要になります。   
  

顧客インサイトを踏まえた定期2回目の施策の具体例

顧客インサイトを踏まえた定期2回目の施策の具体例です。 

体に必要な生活必需の栄養素であることの発信:定期2回目同梱チラシで、体に必要だが摂りにくい栄養があるというメッセージを強く発信して、効果が出なくても止めないような布石を打つ 

毎日必要な栄養素であることの発信:パッケージに毎日必要な栄養素だから毎日飲もうと書いてある等、ダブつきを防ぐ工夫 をする 

素材等の効果以外の価値を伝える:こんな素材で作っている、こんなに丁寧に作っていると、価格に見合う価値があることを効果以外で訴求する 

効果が感じられなくても続けていただけるようなきっかけを作ること、「毎日必要な栄養素である」「毎日の習慣として継続することが大切」といったメッセージを意識して伝えることで、飲み忘れや余らせてしまうことを防ぐことが重要です。 

また、素材や製法に関する価値を伝える必要もあります。 

 


次回は、定期3回目、4回目、5回目以降のインサイトを見ていきます。サプリメントカスタマージャーニーマップの「薬館」から「価値の転換」の渡り廊下を進んで、「栄養素館」に入ります。   

 

「サプリメント・カスタマージャーニー・マップ」の資料ダウンロードはこちら

 


まとめ 

・定期引き上げには、不安解消や特典提示、継続メリットの訴求が効果的。 

・定期1回目は前向きな期待が多い反面、効果がなければ短期離脱も目立つ傾向がある。長く続けることの重要性を伝えることが重要。 

・期待半分・疑問半分の定期2回目は、効果以外の価値の訴求が継続へのカギとなる。 


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この記事の著者

折橋 雄一

メディアバイイング、TV通販会社の営業担当を経て、ダイレクトマーケティング業務に従事。TVインフォマーシャルを中心にしたアクイジション領域から、CRM戦略立案や顧客育成プログラム立案等のクライアントサポートを推進。調査と分析を核としたPDCAと、得られた知見を統合しオジリナルメソッドを開発することに力を注いでおり、通販の顧客インサイトを可視化した「カスタマージャーニーマップ」や口コミ循環のマーケティングモデルである「アンバサダーハリケーンモデル」、顧客育成のプロセス全体を描いた「CRMサクセスマップ」を開発。