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2025.07.02

カスタマージャーニー・マップで顧客心理が見える!サプリメント通販【第1回】お試し商品広告は”7つの訴求”で新規顧客を獲得する

サプリメント通販において、お試し商品広告での購入、定期コースへの引き上げ、さらに定期購入後の定期の回数ごとに継続・離脱の顧客の心理を可視化し、「サプリメント・カスタマージャーニー・マップ」 として、1枚のイラストで表現しました。

サプリメントの定期通販という領域を絞ることによって、顧客インサイトがよりクリアになっています。

この連載では、サプリメント通販での顧客インサイトを解説していきます。
第1回目は、お試し商品広告での表現について、「7つの訴求から生まれる12の心理」を解説します。これにより、有効な訴求要素を使ったクリエイティブ開発 が可能になります。

「薬館」から「栄養素館」へ――サプリメントカスタマージャーニーマップの全貌 

 カスタマージャーニーマップとは? 

 カスタマージャーニーとは、顧客が商品と出会い、購入、リピートしていく道筋のことです。見込み顧客や顧客との接点を洗い出し、フェーズごとにどんな顧客インサイトがあるのかを書き出し、どんなアプローチを行なうべきかを考えるために活用します。 ただ、テキスト情報が並んだものになりがちで、直観的に理解しにくく、面白くないのが欠点です。 

そこで、カスタマージャーニーを1枚のイラストで描ききることで、直観的にも分かりやすく、ひと目見てインパクトがあり、そこにストーリーが見え、知りたくなるものを作りたました。同時に、定性・定量調査の分析結果を効果的に示すことを目指して、メタファーを使って細部まで作り込んでいます。 

それが、このサプリメント・カスタマージャーニー・マップです。 

 広告によってサプリメント通販の新規顧客を獲得していく段階、いわゆるアクイジションの領域があります。ここで顧客を一度獲得し、定期コースへ誘導していくわけですが、定期コースに入会してすぐ離脱してしまっては意味がありません。そのため、いかに離脱を防ぎ、継続的に購入していただくかについてもお話します。   

 

サプリメント・カスタマージャーニーマップの概要 

サプリメント通販の定期顧客の継続や離脱の心理を、定性調査と定量調査を用いて、インサイトを見える化しました。これは、25商品以上のサプリメント購入者を対象に調査を実施したものです。    

サプリメントでも、いわゆる「お守り系サプリメント」を取り上げています。これは特定部位にベネフィットがあるというものではなく、抗酸化成分やリコピン、酵素、ポリフェノール、ローヤルゼリー、酢、ニンニクなど、成分を摂取することで安心感を得たり、予防のために飲用されるようなサプリメントを対象にしました。 

マップをご覧ください。 

 サプリカスタマージャーニーM

まず右下がスタート地点です。 

スタートは「お試商品広告」との接触です。広告でお悩みを抱えるお客様を対象に、どのような広告表現がどのような反応を生むのかということを、「7つの訴求から生まれる12の心理」として明らかにしています。   

構造的には、「薬館」「栄養素館」という2つの建物になぞらえたゾーンから成り立っています。定期継続していく中で、この「薬館」から「栄養素館」にどうやって進んでいただくのかが最重要ポイントになります。 

「薬館」は、効果がある/ないの二元論のゾーンです。二元論なので、黒と白の世界です。
ここではまずお試し商品を購入します。その後、本商品の定期コースを購入していきます。 

この「薬館」は、定期購入3回目までの期間に該当します。この時期は、効果を感じられるかどうかがもっとも重要で、お客様は「効くか、効かないか」という意識にフォーカスしています。ですから、「効くか、効かないか」が離脱するか継続するかの分かれ道となります。 

そして、この離脱のピークが、定期3回目あたりにくるのが一般的な傾向です。 

実際に顧客の購買履歴データを分析すると、定期購入の3回目で累積離脱率が最も高くなります。そのため、定期購入に申し込んだお客様の多くが3回目までに離脱し、ここを底に継続率が安定していく、いわば“底打ち”のタイミングとなります。この3回目以降も継続するお客様は、一定の割合で定着する傾向があります。 


離脱

マップでは、離脱者は、出口を出てエレベーターで下へ降りてしまいます。

 

エスカレーター継続者や継続意向者は上りのエスカレーターに乗り、自動的に上の階(回)に到達します。

フロアを回遊している方は、継続か離脱かを迷っている状態です。 

価値転換そして、このマップの最重要ポイントである”価値の転換”が定期購入3回目から4回目にかけて起こります。

それまでの「薬的な商品」、すなわち体調不良を改善したいといった目的で摂取していたサプリメントが、「健康維持のための、日常に必要な栄養素」として認識を変え、習慣化されるポイントです。この“価値の転換”が起こったお客様は、その後も継続的に購入いただけることになります。   
 その象徴的な顧客インサイトが「健康でいたいし、現状を維持していきたいので、体に必要な栄養素だから飲み続けていこう」です。こうした価値転換がなされると、「薬」としての不調の改善を期待するものから、「毎日の健康維持を支える必需品」のように、意識が変わっていきます。   

そして、定期4回目以降の継続顧客は「栄養素館」ゾーンに入ります。これは、「薬館」の“効くか効かないか”という二元論を抜け出し、色彩豊かな肯定的なイメージ、つまり前向きに健康維持のためにサプリメントを続けるというインサイトが中心になる「栄養素館」に入るわけです。サプリメントの継続利用においては、この「薬館」から「栄養素感」への価値転換(いわば“渡り廊下”)が非常に重要になります。この価値転換をどう生み出すかが、サプリメント定期継続の課題となります。 

 以上が全体の概観となります。   

サプリメント「お試し商品広告」の成果を最大化する法則 

お試し商品の広告表現とインサイト 

マップの起点、見込み顧客との最初の接点である「お試し商品広告」について見てみましょう。
サプリメント通販のビジネスモデルは、安価なお試し商品を広告で訴求し、お試し商品から定期コースに引き上げ、継続購入していただき、利益を出すというものが多いです。
 

まずはハードルを低くして、手軽にお試し商品を購入いただくことが戦略となります。例えば、本商品が1ヶ月あたり3,000〜5,000円の価格帯であれば、お試し商品は1週間分や2週間分などを500円~1,000円程度の手軽な価格で提供し、「まずは試してみよう」と思っていただきます。その後、お試し商品で、商品を使ってもらって、定期コースへ進んでいただく、という流れです。   

この「お試し商品広告」の表現において有効な訴求要素を、調査結果から抽出し、七つの訴求ポイントとして整理しました。 

お試商品広告

7つの訴求ポイントは、 「客観的な裏付け」、「原材料・成分のメカニズム」 、「研究・開発秘話」、「体験談」    、「摂取のしやすさ」  、「ノリと勢い」、「価格の魅力」   です。

これらの訴求要素から生まれてくる「12の心理」も、調査で明らかになっています。この12の心理が1~3つ組み合わさって、「お試商品」購入の後押しとなります。 

広告では、これら7つの訴求ポイントをバランスよく表現することが非常に重要となります。   

サプリメントに関心を持つ方は、多くの場合、ご自身の悩みや不安の改善を目的としています。たとえば、体調不良や体力の低下を感じて「何か良いものはないか」と情報を探している段階です。広告に触れた際、「悩みの改善にぴったりだ」と感じて“ぜひ試してみたい”という前向きな心理が生まれます。 

 

7つの訴求ポイントから生じる「12の心理」 

まず、「原材料・成分のメカニズム」訴求ですが、お客様には「納得」と「期待」という2つの心理が生まれます。「成分が効果につながる」というロジックに納得感を感じたり、「効果のもとになる成分が何由来なのかが明確 」だと、期待を感じるのです。     
例えば、自然由来の成分や希少な原材料を用いているので、「よく効きそう」「若々しさを保てそうだ」と感じます。このような納得や期待が、購入への一歩を後押しします。   

次に、「体験談」の訴求です。これは「共感」と「憧れ」の心理を生み出します。     
例えば、「100万人が飲んでいる」という訴求は、「多くの人が健康のために利用している」と共感が広がります。また、著名人や有名タレントの体験談では「あの人のように生き生きとした生活を送りたい」という憧れも喚起されます。   

「客観的な裏付け」による訴求は「信用」と「信頼」の心理を生みます。数値データがあれば、「商品の信頼性が高い」と感じますし、メディアで紹介されている情報があると、「本当に効果がありそう」と試しやすくなります。   

「摂取のしやすさ」の訴求は、「便利さ」と「飲みやすさ」の心理を生みます。たとえば「自然界の良い成分を手軽に摂取できる」から便利だと感じます。サプリメントなので、「飲みやすくて続けやすい」なら、試してもいいかも、と感じます。   

 「研究・開発秘話」訴求は、「安心」という心理につながります。専門メーカーや技術力の高い企業による研究開発の裏付けがあることが伝わることで、「企業自体や研究内容等が安心できると、商品も安心できる」と感じるのです。 

また、少し性質が異なりますが、「ノリと勢い」のある表現も一定の効果があります。これは「半信半疑」という心理状態を生みますが、「とりあえず騙されたと思って試してみよう」と思わせる要素です。明確な根拠がなくても、広告全体の雰囲気や演出が“背中を押す”こともあります。   

最後に、「価格の魅力」による訴求が挙げられます。価格面では、「定期購入が安い」と「お試し商品が安い」といった2つの心理が生まれます。それぞれ、「定期を見据えているので、定期が続けやすいのが条件」、「お試しが安いので、広告が本当かどうか確かめてやろうと思う 」等感じます。高額であれば躊躇する方も多いですが、手頃な価格設定によって購買アクションにつながります。   

 

 “刺さる” サプリメント「お試し商品広告」の作り方  

お試し商品広告訴求要素 

お試し商品広告の訴求要素についてまとめました。 

お客様を獲得するためには、これらのお試し商品広告の訴求要素を組み合わせて用いることが重要です。   
広告の中で表現要素を抜け漏れなく提示するための、いわゆるチェックシートとしてご活用いただけます。 

お試商品広告訴求要素

「原材料や成分のメカニズム」に関しては、「成分のストーリー」や、「成分の量や多さ」、「原材料」などの訴求をすると有効です。 

「成分のストーリー」に関しては、成分が効果に繋がる納得感のあるストーリーやロジックが必要です。また、成分が由来する食材の量やクオリティが一目で分かる画像を提示することで、安心感や効果への期待、さらには差別化に繋がります。   
具体的には「〇〇種類入っています」や「○○倍の仕組みです」といった具体的な数値や、棒グラフによる効果比較、製造方法の丁寧な紹介などが、商品の印象を高めます。   

「成分の量や多さ」は、含有されている成分量や栄養成分の種類の多さ訴求することがポイントです。   

「原材料」についても、成分の抽出元となる素材、たとえば自然由来であるとか動植物由来であるといった点や、産地情報も重要です。その地域でどのように収穫されているかといった説明や、「シズルカット」ビジュアルも効果的です。
具体的には、野菜などをカットして断面で見せて、「美味しそう」と感じさせるビジュアルだったり、豊富な量や鮮やかな色彩などの表現も非常に有効です。また、国産や無農薬といったポイントもアピール材料となります。   

次に「体験談」です。体験談は、一般の愛用者と愛飲タレントという二つのカテゴリに分けられます。一般の愛用者については、サプリメントを飲んで元気に生活しているアクティブな姿や、コメントをしっかりと伝えることが必要です。効果が一目で分かる利用者の変化や、笑顔の写真なども効果的です。アクティブに活動している様子を示すことで商品の価値を強く訴求できます。また、愛用者数の多さも注目を集めるポイントです。       

愛飲タレントの場合は、実際に飲んでいることが分かる描写や、タレント自身の生き生きとした様子を伝えることで、「このタレントが元気なのはこのサプリメントのおかげかもしれない」といった憧れの気持ちを喚起できます。”憧れの存在”が使っている商品は魅力的に見えます。   

「摂取のしやすさ」には、「手軽に良い成分を摂れる」という訴求と、「飲みやすさ」という2つの側面があります。「摂取のしやすさ」については、自然から抽出した良質な成分を簡単に摂取できる手軽さを訴求します。たとえば、原材料そのままから十分な成分を摂取するのは難しいですが、サプリメントであれば簡単に取り入れられるという点を強調します。   

次に「飲みやすさ」ですが、これは継続性にも大きく関わります。使用時の簡単さを示すワードやビジュアル―例えば「一日一粒でOK」や「粒が小さいので飲みやすい」、「のどごしが良い」など―が重要です。こうした飲みやすさの理由を具体的に伝えることです。   

「客観的な裏付け」では、成分データやグラフなどの客観的な「データ」を用いた訴求が非常に有効です。視覚的に分かりやすいグラフを示すことで、商品の信頼性を伝えることができます。また、「実績や受賞歴」も強力な裏付けとなります。たとえば、特許取得や「市場シェアNo.1」、「モンドセレクション受賞」や、「〇〇大臣賞」といったものも訴求力があります。   

 「研究開発秘話」については、研究や開発にどのような工夫や努力があったか、製造工程や企業の理念・考え方、働いているスタッフなども合わせて紹介することで、その企業自体への信頼感や安心感につながります。アンケートでも「この会社なら安心」といった声がよく挙げられますが、企業規模や実績を伝えることも効果的です。   

そして、「価格の魅力」です。お得感のあるキーワードは強い牽引力があります。例えば「お試し無料」や「送料無料」など、「無料」は強い牽引力があります。また、「ワンコイン(500円)」「1000円」といった表現や、通常価格よりも大幅に安いという点を訴求するのも効果的です。  定期コースは毎月継続して買うことになるので、「続けやすい定期価格」というのも訴求力があります。「本来5000円ですが、定期購入なら10%オフ」といったように、続けやすさを前面に出した価格設定の魅力を伝えることもポイントです。   

ここに、「ノリと勢い」も加えて行動促進させます。広告的な魅力付けや色使いなどを工夫することで、効果を発揮します。   

最後に、「その他」の要素として、“悩みのシーン”の想起があります。例えば、鏡を見て「顔色が悪いのでは」や「肌荒れしている」といった不安を感じる瞬間、あるいは友人に何かを指摘された過去の体験を思い起こさせるようなシーンを描写することで、見込み客の共感を引き出すことができます。こういった具体的な悩みのシーンを想起させる訴求も非常に有効です。問題提起として、ふとした瞬間に自分の体調や見た目に不安を感じる場面や、鏡を見て「あれ?」と思うような情景を提示することで、多くの人が共感しやすくなります。また、友人や知人から指摘された経験なども引き合いに出すことで、「自分にも当てはまる」と思わせ、商品への興味を高める効果があります。   

このように、「原材料や成分のメカニズム」、「体験談」、「摂取のしやすさ」、「客観的な裏付け」、「研究・開発秘話」、「価格の魅力」、さらには具体的な「悩みのシーン」といった複数の要素を組み合わせ、広告や訴求内容を設計していくことが、サプリメント商品においては重要です。 

 

お試し商品広告の効果的な訴求要素例   

アンケート調査の声から、お試し商品広告の効果的な訴求要素についてさらに見てみましょう。 

「原材料や成分のメカニズム」については、何が入っているのかを分かりやすく示すことが重要です。アンケート等の回答からも、原材料の記載や、安心できる材料、効能がありそうだと感じさせる材料であることが重要という声が挙がっています。また、野菜や果物のビジュアルを用いて「ビタミンが摂れそう」「体が健康になりそう」と印象付けることも有効です。   

「体験談」については、多くの方が購入のきっかけになったと回答しています。肌が綺麗な写真には強いインパクトがあるため、一般の方やタレントの方いずれの場合でも、綺麗な肌のビジュアルを活用すると効果的です。 

「摂取のしやすさ」についても、どのように摂取しやすいのかを具体的に表現することで、「摂取しやすそう」「これなら継続して飲めそう」と感じてもらえる効果があります。   

「お得感」に関しては、割引率が高いと「お買い得だから購入しよう」とストレートに感じていただけます。また、無料サンプルを提供する場合も、「申し込んだ方が得だ」と感じるきっかけとなります。   

「研究開発」については、開発の様子や技術力の高さ、真剣に研究開発に取り組んでいる点を伝えることで好感を持っていただけます。年月をかけて最新技術や機能性の高さを証明していることも、心を動かす要素となります。   

「製造過程」については、丁寧に作っている印象を持たせると、「飲んでも悪くなさそうだ」といった安心感につながります。   

このように調査によって、サプリメント通販広告において、”刺さる”訴求要素とその心理が明らかになっていますので、広告制作に活かすことが可能です。 

次回は、お試し商品の購入後、定期引き上げ、定期1回目、2回目までのインサイトを見ていきます。サプリメントカスタマージャーニーマップの「薬館」になります。 

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まとめ

・サプリメント通販顧客のインサイトを、お試し商品購入から定期購入各回で離脱・継続のポイントに着目して、1枚のイラストで直感的に表現。 

・サプリメント通販の「お試し商品広告」は7つの訴求要素で購入心理を喚起し定期購買へ導く。 

・効果的なサプリメント「お試し商品広告」のつくり方は、原材料や体験談など複数の訴求要素を組み合わせた設計が重要。 


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この記事の著者

折橋 雄一

メディアバイイング、TV通販会社の営業担当を経て、ダイレクトマーケティング業務に従事。TVインフォマーシャルを中心にしたアクイジション領域から、CRM戦略立案や顧客育成プログラム立案等のクライアントサポートを推進。調査と分析を核としたPDCAと、得られた知見を統合しオジリナルメソッドを開発することに力を注いでおり、通販の顧客インサイトを可視化した「カスタマージャーニーマップ」や口コミ循環のマーケティングモデルである「アンバサダーハリケーンモデル」、顧客育成のプロセス全体を描いた「CRMサクセスマップ」を開発。