顧客価値を計測し評価するために大広が研究・開発した「顧客価値指標」がビジネスにどう役立つのか。ブランドを設定しシミュレーションしていくシリーズの第1回。大きくするべき顧客価値は何か?そのために必要な顧客体験は何か?を探ります。
顧客価値指標について、「AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議」で紹介されました。
顧客に価値あるブランド体験を提供する「顧客価値マーケティング」とは? | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
https://www.advertimes.com/20240130/article443832/
顧客価値をビジネスの指標にすることが、なぜ大切なのか
こんな話があります。ある器を作っている工房がありました。WEBサイトやSNSに美しい器の写真を掲載していました。たくさんの人が見てくれて「いいね!」と思ってくれているようでした。商品に自信もありました。価格もリーズナブルでした。ですが、誰も買ってくれないのです。どうしてなのでしょう?
工房のスタッフも悩みました。そこで、器を買うのはどういう人か?なぜ買うのか?を調べてみたのです。そうしたら、実際に器を買う人は、料理を作るのが好きな人でした。器が美しいことよりも、料理を盛りつけたときにおいしそうに見えることを重視していました。器を買ってくれる本当の顧客は「器の美しさ」ではなく「料理が映える」ことを価値と感じていたのに、WEBサイトやSNSに掲載していたのは器を美しく見せる写真ばかりで、料理を盛りつけた写真はひとつもなかった。写真を見てくれていた人、「いいね!」と思ってくれていた人は、ただ単にきれいなものを見たいだけの人、写真を見るだけで満足してしまう人だったのです。これでは売れるはずもありません。
商品を買ってくれる顧客が、どういう価値を感じているのか?これを間違っては、どんな活動を積み重ねても効果が出るはずがないのです。企業、商品やサービスに顧客が感じている価値=顧客価値を指標にビジネスの活動を設計する必要があるのです。では、顧客価値をどうやって指標化すればいいのか?これまでは、都度、調査・推測するしかなかった顧客価値を計測し、評価するために指標化しようと大広が研究・開発したのが「顧客価値指標」です。
顧客価値指標は、顧客の中にある価値の質と大きさを計測・評価
顧客は、そのブランドにどのような質の価値を感じていて、どれくらいの大きさで賛同しているのか。これを数値で表したものが顧客価値指標です。価値の大きさを、マインドロイヤルティ度(Mind Loyalty Score、MLS)、継続度(Repeat Score、RS)、推奨度(Promote Score、PS)の3つの合成値をVoV(Volume of Value)としてアウトプット。価値の質を、品質感、価格面、効率性、審美性、娯楽性、新規性、好印象、利他性の8要素で計測しQoV(Quality of Value)としてアウトプット。顧客が感じている価値の大きさ(VoV)を上げるのに有効な価値(QoV)は何かを見るために「星取り表」としてまとめます。
※顧客価値指標について詳しい資料がダウンロードできます。
https://cocamp.daiko.co.jp/download/indicator
顧客価値を大きくするための顧客体験は何か?「顧客価値指標」でわかる!
顧客価値指標で何がわかるのか。いったい何の役に立つのか。今回は、ビールブランドでシミュレーションしてみます。
ブランドA=ロングセラーブランド、ブランドB=一世を風靡したブランド、ブランドC=シェアNo.1ブランド、ブランドD=新興プレミアムブランド、ブランドE=老舗プレミアムブランド、ブランドF=新製品ブランドの6ブランドを設定して顧客価値の大きさ(VoV)と質(QoV)を計測し「星取り表」にアウトプットしてみました。
ここでは、ブランドA=ロングセラーブランドについて、価値の大きさ(VoV)を上げるために有効な価値(QoV)をみていきます。
VoVを上げるQoVとして品質感 に3つ星がついていますが、他ブランドも同様です。マインドロイヤルティ、リピータースコア、プロモータースコアで見ても他ブランドも同様に3つ星です。品質感はビールカテゴリー共通の価値なので、価値は上がっても差別化は難しそうです 。VoVの価格面も3つ星がついていますが、酒税も大きく関わるので 価格政策(コストパフォーマンス)で価値を大きくするのは難しそうです。
ブランドAの価値の大きさ(VoV)を上げるためには審美性と娯楽性の2つの価値 の質に注目します。まず、審美性という価値の質を上げるとマインドロイヤルティとプロモータースコアが上がります。そうするとマインドロイヤルティと、リピータースコア、プロモータースコアの合成値であるVoV(顧客価値の大きさ)は大きくなります。デザイン性の高いグッズをプレゼントするキャンペーンでマインドロイヤルティの審美性をあげ、さらに友人にプレゼントもできる仕掛けをつくってプロモータースコアの審美性も上げる、そんな顧客体験を設計するのが効果的であることが見えてきます。
娯楽性という価値の質を上げると、マインドロイヤルティ、リピータースコア、プロモータースコアの3つ全部が上がります。そうすると3つの合成値であるVoV(顧客価値の大きさ)は大きくなります。そのために、どのような顧客体験を考えればいいか。マインドロイヤルティを上げるには、ビール×コンテンツ(映像、音楽、音声)、ビール×非日常感(アウトドア、ライブ、旅)などの楽しんで飲める特別なシーンを提案することが効果的です。購入回数に応じて当選確率が上がる、友人も招待できるなど、リピータースコアとプロモータースコアに貢献する仕組みも考えたいところです。
顧客価値指標で、これまでのブランド活動で育まれた顧客価値とこれからのブランド活動の進むべき方向が見えてくる
このように顧客価値指標は、企業や商品、サービスの、これまでのブランド活動による現在の顧客価値の大きさと価値の質を見える化すると同時に、次のブランド活動をどうしていくべきか、どのような顧客体験をつくればいいのか、その指針を得ることが出来るものです。
冒頭の話を顧客価値指標で計測、評価したとしたら、上げるべき価値の質は「審美性」ではなく「娯楽性」や「新規性」であり、マインドロイヤルティ、プロモータースコアを上げるために、料理がおいしそうに盛りつけられた写真など料理好きな人が良いなと思う顧客体験をつくるべきという指針を得ることができたはずです。
顧客価値を育むブランド活動は、商品、パッケージ、店頭、広告、キャンペーン、WEBサイト、SNS投稿、口コミ、さらには人事、組織改編、業績、新製品発表などのニュースまで、多岐にわたります。顧客価値は業界や競合社の活動の影響も受けます。そんな中で、何に注力して、どのような顧客体験をつくればブランドに対する顧客価値を大きくすることができるのか。継続して計測することで、向上すべき価値の質を見つけ、ブランド活動を改善し続けることを可能にするのが顧客価値指標です。
顧客価値指標は、理解するためにコツみたいなものが必要かもしれません。いくつかのシミュレーションを見ていただければ、より理解が深まるはずです。次回はアウトドアブランドで、顧客価値指標シミュレーションをやってみたいと思います。お楽しみに。
◎顧客価値指標について詳しい資料がダウンロードできます。
https://cocamp.daiko.co.jp/download/indicator
顧客価値指標について、「AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議」で紹介されました。
顧客に価値あるブランド体験を提供する「顧客価値マーケティング」とは? | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
https://www.advertimes.com/20240130/article443832/