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2025.02.27

ダイレクトマーケティング成功の極意 〜顧客離脱を防ぎ、ロイヤル顧客を育てる体験づくり〜

消費者と直接コミュニケーションするダイレクトマーケティングでは、新規顧客の獲得に注力しがちですが、一方で顧客の離脱も避けられません。どんどん入れて、どんどん出ていく。まるで、穴の開いたバケツに水を入れ続けるようなものではありませんか!顧客が離脱する大きな原因の一つに、「効果実感を得られない」ことがあります。病気を治す薬と違い、特に化粧品や健康食品のような商品は効果がゆるやかであるため、いかに効果を実感して使い続けてもらうか、各企業が知恵を絞っています。この課題を解決するべく、長年ダイレクトマーケティングに取り組んできた大広からヒントをお届けしましょう。

なぜ、顧客の離脱を防がなくてはならないのか

新規顧客の獲得難易度が非常に上がっている

「なぜ、顧客の離脱を防ぐ必要があるかって?そんなの、売上が減るからに決まってるじゃないか」と思われるかもしれませんが、これには「今の時代だからこそ」の理由がいくつかあります。昔ながらのダイレクトマーケティングでは、新規顧客の大量獲得、大量離脱の繰り返しが通例でした。その中で、一定数の顧客が残れば何とかやっていけました。しかし今、このやり方は通用しなくなってきています。
その要因として、まず押さえておきたいのが、少子高齢化や人口減少による市場の縮小です。そもそも、新規顧客となるべき母数が減っているのです。
また、モノがあふれ、似たような商品が多いため、機能訴求だけでは選ばれにくくなっていることも挙げられます。今までなかった機能の商品を出せれば話は別ですが、そういう新機能の商品を生み出すことは難しいのが現実です。
これらの理由から、いったん顧客となった人の離脱を防ぐことに注力するほうが得策といえます。 

顧客の離脱防止には、売上キープ以上の長期的なメリットが。

「顧客の離脱を防ぐ=商品を長く使い続けていただく」。これによって、顧客は商品やブランドに対して特別な思いをもつ「ロイヤル顧客」となり、「この商品いいよ!」と自ら発信してくれるようになります。今の時代、SNSで一人のつぶやきも一瞬にして拡散されますから、クチコミの効果は計り知れません。加えて、ロイヤル顧客は同じ企業の他商品の購入にも積極的な傾向が見られます。さらに「この商品でなければ」と考えるロイヤル顧客が増えるほど、商品は長く存続するロングセラーとなり、ブランドの認知度、好感度、信頼性が高まっていきます。だからこそ、顧客の離脱を防ぐ必要があるのです。

これまでの顧客離脱防止策の多くに限界がある理由

 日本では1970年代に通信販売が広まって以来、さまざまな企業が顧客の離脱防止策を試行錯誤してきました。「パーソナライズされたメッセージで、定期的なフォローアップを行う」というのはその代表例です。顧客の属性や購入履歴から、関連情報を提供したり、新商品をおすすめしたりする施策です。他にもパターン化された施策がいくつかあるものの、それぞれが課題を抱え、いまひとつ決定打にはなっていません。
 たとえば、「特別オファーや割引の提供」。最も多いのは、一度お試しで商品を購入した人を定期購入へと引き上げるために初回金額を大幅に安くするというキャンペーンです。しかし、顧客にとっては安さが一番の魅力になっているため、お試しから定期購入へのシフトには成功しても、それ以上はつなぎ止められないのがほとんどです。こうした特典や割引で釣る施策の問題点は、離脱防止というより、新規獲得の考え方になってしまっているということです。目先の売上に直結する人数ばかりをいくら追いかけても、長い目で見て顧客を育て、離脱を防ぐことにはつながりません。CRM(顧客関係管理)戦略のつもりだったのに、実はセールスプロモーションでしかなかった…というのはよくあるケースです。※1
 また離脱防止策としては、商品の使い方や特長を理解させ、顧客にとっての商品価値を高める「教育的コンテンツの提供」も考えられますが、これは薬事法などのからみで効果効能を伝えきれないケースが多々あります。これが言えたら…と、歯がゆい思いをされている企業も多いことでしょう。
 それならばと、「体験談」として他の顧客の口から効果効能を語ってもらう手法も昔から存在します。ただし、読み手にとってはどこまでも「他人の実感」であるため、続ける動機としては弱くなります。では、今の時代に有効な離脱防止策とは一体何でしょうか?

重要なのは、「効果」を「自分の体験」として感じてもらうこと

 大広が長年、ダイレクトマーケティングを手がけてきた肌感として「商品を半年以上継続して使った人は、それ以降も続ける」ということがあります。さらに、1年続けばロイヤル顧客に成長。これは多くの商品に共通して見られた傾向です。商品によってこのスパンは異なるでしょうが、それぞれの時期に合わせて離脱防止⇒ロイヤル顧客への育成、という視点で施策を打っていきます。どのタイミングにおいても重要なポイントは、「効果」を「自分の体験」として感じてもらうこと。美容アイテムなら、「化粧ノリが良くなった」「実年齢より若く見られることが増えた」。健康食品なら「ちょっと長く歩いたのに膝が痛くならなかった」「朝の目覚めがスッキリ」といったことが挙げられます。

 とはいえ化粧品や健康食品は、効果がゆるやかに表れることが多く、顧客自身が変化を自覚しにくいのも事実。そのため、想像できる限りの場面をあれこれと提示しながら、「こんなことありませんでしたか?」というメッセージで効果に気づいてもらうのがコツです。簡単なチェックリストなどを作り、「あてはまることがいくつ増えた?」と確認してもらうのも一案です。そして「あなたは半年の間で、ちゃんと変わっていますよ」「あなたの頑張りが功を奏したからですよ」と応援することも、最初の半年間で大切なコミュニケーションです。

 さらに半年続けられた顧客に対して、次のステップでは「もっと続ければ、もっと良くなる」と思ってもらえるような体験を考えて提案します。たとえばダイエットサプリだと、体型が理由で今まで避けてきたファッションにチャレンジしてみませんか?という提案。マンネリ化していたコーディネートが変われば、行動もちょっとアクティブになるなど、新しい自分の発見にもつながります。顧客はどんな人たちかを掘り下げることで、さまざまな施策が考えられますが、どんな施策であれ「楽しさと発見があること」は外せない要素です。

 そして、もうひとつ。いま続けている顧客だけでなく、定期購入後に離脱してしまった人に対して、しばらく経ってから「最近どうですか?」とアプローチすることも大切です。続けていた時には気づかなかった効果に、やめたことで気付くことも少なくないからです。アプローチによって購入を再開した顧客はその後、長く買い続けてくれるという傾向もあります。やめたことで効果に気づく、これも「効果の体験」の一つですから。

リアルイベントという体験の場には、さらなるメリットが!

 「効果の体験」の発展形として、顧客が参加できるリアルイベントの開催があります。イベントは大変…というイメージがあるかもしれませんが、運営ノウハウを有するパートナーと組めばコストや労力を超える意義が生まれます。たとえば、体調を整えるサプリの顧客にはヨガのイベント。プロテインや持久力を上げるサプリの顧客には、トライアスロンのイベント。高齢者の足・腰を強化するサプリではウオーキングイベント、ダイエットサプリならプロのカメラマンに写真を撮ってもらうイベント……など、商品の効果を実感できることはもちろん、顧客同士がつながる楽しい機会となり、その後も継続して使う励みになります。同じ志をもつ人たちのコミュニティがそこに誕生するわけです。

 また、リアルイベントには他にもこんなメリットがあります。

① 企業が顧客の姿を知ることができる
企業の担当者がイベントに参加する顧客に会って、商品に対する意見や感想を直接聞くことができます。また、「ウチの商品を使ってくれているのはこういう人たちなんだ」とユーザー像が明確になることで、より的確な商品開発やコミュニケーションが可能になります。

② 顧客が企業のファンになる
「自分が使っている商品を作っているのはこういう人たちなんだ」と、企業の「人」について知ることで親しみや安心感がわきます。また、「こういうイベントをやってくれる会社っていいよね」と、企業に対する愛着も生まれ、ロイヤル顧客へと成長。ロイヤル顧客は自発的にアンバサダーとなって、商品を周囲の人にお勧めしてくれるようになります。※2

③ 新規顧客獲得にも寄与
たとえば、お友達と一緒に参加できるイベントにすると、顧客が連れてきたお友達が商品やそれを提供する企業の人を知ることで、新規顧客になるきっかけが作れます。この場合、知り合いが使っているという安心感から、購入のハードルが下がり新規顧客になりやすいという利点があります。

 このように商品特性と相性のいいイベントは、顧客の離脱を防ぐことに加えて、顧客育成や新規顧客の獲得にも貢献することがわかっています。お客さんとしっかりつながり、その声に耳を傾けながら「商品の効果を実感できる体験」を提供し続けて、ロイヤル顧客になるように育成していく。それが一番の顧客離脱防止策だと大広は考えます。

 


まとめ

■ダイレクトマーケティングにおいて、新規顧客の獲得難易度が非常に上がっている。いったん顧客となった人の離脱を防ぐことに注力することは重要。

■顧客の離脱を防ぐためには、「効果を実感できる体験」が必要。そのために、気づきを与えるメッセージや、楽しくできる体験、イベントなどを提供する。

■イベントには「企業が顧客の姿を知ることができる」「顧客が企業の人を知ることで企業のファンになる」「新規顧客獲得の機会を創出」というメリットもある。

■顧客の離脱を防ぐことには、単純に売上をキープするためだけでない、長期的なメリットがある。

(参考)
※1:ダイレクトマーケティングで陥りやすい問題「CRM(顧客関係管理)戦略のつもりが売り上げ拡大作業にしかなっていない」に関してはこちらのコラムをご覧ください。

※2:顧客がアンバサダーに育っていくための条件について、詳しく知りたい方はこちらの資料をご覧ください。

※リピート購入に関するヒントは、こちらのウエビナーのアーカイブをご覧ください。

 

最後まで、お読みいただきありがとうございました。大広COCAMPでは、これからもダイレクトマーケティング・D2C事業に関するコラムを掲載してまいります。まだメルマガ未登録の方は、これを機会にぜひ、下記よりご登録ください。

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この記事の著者

COCAMPダイレクトマーケティング部

(株)大広が培ってきたダイレクト・マーケティングの知見やノウハウを発信するチーム。 通販の初期から今に至るまで、変化する時代と顧客を見続けてきた第一線のプロデューサーやスタッフをメンバーに、ダイレクトビジネスの問題や課題を、顧客価値の視点から解いていきます。