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2023.04.04

ダイレクトビジネスのさらなる拡大をめざす、メディアプラン3選

ダイレクトビジネスで効率よく売上を伸ばすためには、メディアプランが重要です。
一般的にいうメディアプランは、簡単にいうと、目的達成のためにどのメディアを使えばいいか?を計画すること。
たとえば、「まずは商品を知ってもらおう」、「名前を覚えてもらおう」、「じっくり理解してもらおう」といった目標を設定し、効果的なメディアを使って情報を与えていくわけです。

ただダイレクトビジネスにおけるメディアプランはちょっと特殊。とにかく「商品を買ってもらう」ことに注力してメディアプランを立てるべきだと言われています。
今回のコラムではダイレクトビジネスで有用なメディアプランを3つ、紹介します。

大事なのは、顧客のセグメンテーション

広告に使えるメディアは世の中にたくさんあります。テレビCM、新聞・雑誌、SNS、インターネット、駅や街中の看板、ダイレクトメール…など。多種多様なメディアの中からどれを選べば効果的なのか、迷ってしまう広告担当者も少なくありません。
 
メディアプランを考える際には、まずKPIの設計を念頭に置いておきましょう。
KPIとは「キー・パフォーマンス・インディケーター」の略で、目標達成のために行う活動の具体的な行動指標のこと。貴重なお金を投資するのですから、ダイレクトビジネスにおいては、顧客に商品を購入してもらうために行動指標を細かく設計することが重要です。
 
たとえば、
自社ブランドの認知を向上させたい→動画の視聴回数がKPI
自社ブランドを理解させたい→ホームページへのアクセス、滞在時間、訪問回数などしてもらうことがKPI
商品を購入してもらいたい→商品を購入してもらうことがKPI
 
ダイレクトビジネスでは、1番下の「商品を購入してもらう」という行動を起こさせるために効率の良いメディアプランを考えればいいわけです。
 
その一方で、メディア活用には費用がかかることも忘れてはいけません。
 
不特定多数の人にやみくもにアピールするのではなく、その商品を買ってくれそうな人をセグメンテーション(細分化)してターゲットを見定め、メディア戦略を立てるのが効率的です。
 
これを“漁”にたとえると、魚影がたくさん密集しているところに網を投げてつかまえるイメージに。
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網のサイズは「広告に投資できる費用」で、魚は「商品を買ってくれる顧客」。
 
魚がいるかどうかわからないところに大きな網を入れるよりも、魚影がたくさん見えている場所に狙いを定めて小さな網ですくったほうが、無駄がないのは明白です。
 
だからこそ、ダイレクトビジネスのメディアプランは、商品を買ってくれる顧客をセグメントすることが何よりも大切なのです。
 

ダイレクトビジネスにおすすめ!3つのメディアプラン

ダイレクトビジネスのメディアプランニングには、下記の3つの方法があります。
 
① 基本の「レーション型」
② 拡大期の「LTV型」
③ さらなる拡大期の「XM型」
 
事業規模や事業の拡大ステップに合わせてメディアプランを変えていくことで、利益総額をどんどん上げていくことが可能です。
 
前述の“漁”のたとえで説明すると、たとえば網が小さい(広告にかけられる費用が少ない)ときは、魚影が多いところ(濃い顧客)を狙っていく。事業拡大にともない網のサイズが大きくなったら、魚影が少ないところもガバッと広くすくっていくというイメージです。

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大きな網ですくう方法は利益率が悪く思えますが、この場合の目的は利益率ではなく利益総額なので網を広げてたっぷりすくえば大丈夫だと考えましょう。

では、それぞれのメディアプランニングの「型」について詳しく解説していきます。

◆基本はレーション型メディアプランニング

レーション型は、小さな網で魚影がたくさん見えるところをすくっていくメディアプランニング。
 
限られた費用でできるだけ多くの売上を上げるために、商品への関心が非常に高い顧客=購入の可能性が高い顧客が集まる場所を一撃するという考え方です。
 
 
レーションとはMR(メディアレーション)のことで、広告メディアに投資した金額をきちんと商品の売上で回収できたか?を測定する指標のこと。
 
[商品の売り上げ金額÷広告メディアに投資した金額=1.0]
 
上記の計算式で「1.0」以上になることをめざすのが、レーション型のメディアプランニングです。
たとえば、100万円をメディア費用に使って、売り上げが90万円しかなければ、メディアレーションは1.0以下となってしまいます。費用対効果がすぐわかるのも特長です。
 
レーション型は多くの企業が採用している方法で、事業規模が小さい場合や、売り上げを早く回収したい場合にも適しています。
 
このレーション型メディアプランの実例として、旅行のパッケージツアーの広告を紹介しましょう。
 
『ヨーロッパ周遊20万円』のパッケージツアーを売りたい時、顧客をざっくりセグメントすると、下記のようになります。
□ 旅行が好きな人
□ お金をある程度持っている人
□ 旅行に行く時間がある人
 
購入可能性の高い顧客=旅行が好きな人は、どこから情報を得ているのか?どこに集まっているのか?
 
まず考えられるのは、テレビの旅番組です。世界の鉄道旅や風景などを紹介する番組は、旅行に興味のあるコアなターゲットが見ています。こうした番組は視聴率が低く、費用はそれほど高くないこともあり、非常に費用対効果に優れています。
 
また、旅行の予約サイトも、旅に関心の高い顧客が集まってくるメディアなので、タイアップ記事などを出すことで効率良く顧客にアプローチすることが可能でしょう。
 
つまり番組視聴率やサイトの閲覧率が低くても、一定のファンや濃い顧客がついているメディアは強い。そこを狙っていくということです。
 
さらに、このツアー商品を買うであろう顧客はお金を持っていて旅行に行く時間がある人…という角度から見ると、より多くの方にアプローチできるメディア選定も有効になってきます。例えば、有料コンテンツである新聞への広告出稿は、可処分所得が比較的高い高齢者に効率良くアプローチできるため、有効だと考えられます。
 
「買ってもらう」ために、どの顧客を狙うべきか。そして、その人たちがどのメディアに集まっているかを見極めていきましょう。これがレーション型メディアプランを成功させる重要なポイントです。
 

◆拡大期には、LTV型メディアプランニング

LTVとは「Life Time Value」の略で、1人の顧客が生涯のうちにその商品にどれだけの利益をもたらすのかを算出した数値のことです。
 
“生涯”だと計算しづらいので、ダイレクトビジネスでは12カ月間や24カ月間で区切り、その期間内に投資した費用を回収することをめざしてメディアプランを計画します。これがLTV型です。
 
1回の広告費をすぐ回収するレーション型とは違い、LTV型は12カ月や24カ月で回収できればいいので、メディア費用をかけることができます。つまり、“漁”のたとえでいうと、大きい網(費用)を使えるようになったので魚影が薄いところ(関心度の低い顧客)も広くすくって、より多くの魚(顧客)を獲得できる。効率が悪いようですが、トータルでは利益を増やせるというわけです。
 
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では、『3カ月分・36,000円の基礎化粧品』を売る場合のメディアプランを考えてみましょう。
この化粧品を継続購入してもらえると、1人の顧客が1年間で144,000円払ってくれる計算になります。1人から年間144,000円の利益が得られるなら、新規顧客を1人獲得するのに144,000円までは効率が悪くなってもいい。つまり1人につき144,000円まで広告費を使ってもいい。こんな発想をするのがLTV型のメディアプランです。
 
テレビCMなら、視聴率が低くて安い旅番組にしか出稿できなかったのが、お昼の超人気バラエティ番組に出稿できるようになるイメージでしょうか。
 
企業や事業の規模がある一定期間投資回収できなくても耐えられるのであれば、レーション型からLTV型に移行したほうが利益総額を大きくしやすくなるといえます。小さな網より大きな網を使った方が、たくさんの魚を捕まえられるのと同じことです。
 

◆さらなる事業拡大をめざす、XM型メディアプランニング

クロスメディア型のメディアプランニングには2つの目的があります。
 
□【認知】より広く、より多くの顧客に接触したい
□【獲得】利益効率を上げたい(魚影の濃いところを狙いたい)
 
この相反する2つの目的を達成することで、より多くの利益を獲得することをめざすのがクロスメディア型です。
 
何をクロスさせるのかというと、
認知のためのスポットCM × 獲得のためにセグメントしたメディア
 
“漁”でたとえていうと、魚影のあるなしに関わらず、広大な範囲に撒き餌を撒いて魚の総量を増やす。そしてたくさんの網を投げ、ひとつひとつの網の収穫量を増やす…というイメージです。
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まず、いまの日本で最もリーチ効率の高いメディアであるスポットCMを使って、多くの人にメッセージを伝えます。
 
ダイレクトビジネスは実店舗がなく、売り手の顔も商品もわからないまま販売しますが、テレビでスポットCMを流すことで、信頼感が飛躍的にアップ。顧客側の「実物も知らない商品にお金を払って大丈夫なのかな」という不安感が軽減されます。
 
スポットCMのあとは、買ってもらうためのメディアに誘導していきます。
 
誘導先のメディアにはいろいろありますが、獲得したい顧客にあわせて使うメディアを徹底的にセグメントしていくことが大事です。たとえば、
□ 60代以上の女性→折込チラシ
□ 20代の若い男性→ABEMA(ワールドカップで視聴者が増えた)
□ お金を持っているビジネスマン→DAZN(有料登録のメディア)
 
このようにクロスメディア型のメディアプランでは、メディアの役割を【認知】と【獲得】に分けて多くの顧客を獲得していきます。
 
クロスメディア型をうまく活用している例としては、自動車保険や損保などの保険商品があげられるでしょう。
 
保険商品は日ごろからスポットCMで認知度を高め、顧客が保険を必要とするタイミングで圧倒的なナンバーワンとして想起されるよう狙っています。顧客は車を購入した際などにその保険会社の名前を思い出し、ネットで検索して契約する…というストーリーです。
 
ちなみに検索エンジンは、顧客が自分の欲しいモノ・情報を直接キーワードとして入力するので、非常にシャープなターゲティングを行ったのと同様の結果になります。検索後の当該サイトの画面を開いてもらえれば、アクイジションの可能性はきわめて高いと言えます。 この検索エンジンに自社商品の名前をどうやって入力させるか?という視点で施策を行う発想がクロスメディア型なのです。  
 
(ネットでよく見る『保険会社の10社見積もり』サイトなどはただアクセスされるのを待っているだけなので、クロスメディア型ではありません。)
 
現在、ダイレクトビジネスにおいてクロスメディア型を実践している企業はそう多くはありません。
 
ただ、ビジネスの成長が頭打ちになってなかなか拡大しない…というのは、どの企業もそのうち直面する課題です。よく「50億の壁」「100億の壁」などと言われますが、一定の規模から伸び悩む企業はいくらでも上げられます。そんな踊り場に直面した時にクロスメディア型に移行して、ものすごい伸び率をたたき出した…という実例はあります。スポットCMは多額の費用がかかりますが、それくらい衝撃的な波及力があるのです。

まとめ

ダイレクトビジネスのメディアプランはレーション型から始めて、投資した費用を確実に回収していくことが基本です。ただどんな業界でもビジネスの成長において何段階かの壁があります。
 
もし事業規模を一定以上に拡大したいと考えるなら、レーション型からLTV型やクロスメディア型に移行することも検討してみてください。レーション型のまま、獲得効率の最適化だけを追いかけていると、出稿場所を拡大できないため、どれだけ地道にやっても飛躍的な商品の売り上げにはつながりません。
誠実に効率だけを追い求めていても、必ずしも結果につながらないのがダイレクトビジネスの特徴です。
 
また、デジタルの時代となったいま、顧客のセグメンテーションやKPIの設計は以前よりはるかに精緻にできるようになりました。ぜひ今回紹介した3種のメディアプランを活用して効率よくビジネスをステップアップさせていきましょう。
 

この記事の著者

COCAMPダイレクトマーケティング部

(株)大広が培ってきたダイレクト・マーケティングの知見やノウハウを発信するチーム。 通販の初期から今に至るまで、変化する時代と顧客を見続けてきた第一線のプロデューサーやスタッフをメンバーに、ダイレクトビジネスの問題や課題を、顧客価値の視点から解いていきます。