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2024.01.25

「ブランドをインフルエンサーと共に作る時代」の正攻法とは? 変わる!インフルエンサーマーケティング②

ドローンを見ながら微笑んでいる女性

企業・インフルエンサー・生活者がwin-win-winの関係を築ける新しいマーケティング手法についてのシリーズ第2回。企業にマッチするインフルエンサーとともに製品・サービスを作り上げると、どういう成果がもたらされるのか?具体的な事例に基づき、新しいインフルエンサーマーケティングの可能性について解説します。対談は、独自の分析でインフルエンサーと企業をマッチングする株式会社インフレクトと、顧客との対話から新たな価値を見出している株式会社大広。価値共創の時代の新しい提案です。

前回の記事はこちら
インフルエンサー×企業は、共創のフェーズへ。 変わる!インフルエンサーマーケティング①

(株)大広 増田浩一×(株)インフレクト 赤谷翔太郎

インタビュイー(左から)
増田 浩一
株式会社大広 顧客価値開発本部 顧客発掘局 増田チーム チームリーダー
ミラスト主宰
経済産業大臣登録 中小企業診断士
早稲田大学理工学術院建築学研究科を修了の後、株式会社大広入社。一貫して、ストラテジックプランナーとして事業会社の広告戦略、商品戦略立案を支援。2020年からは、経済産業大臣登録中小企業診断士として中小企業の経営戦略を中心としたコンサルティング活動を継続。主な顧客は、食品製造業、機械製造業、飲料メーカー、学校法人ほか、ベンチャー企業までと、幅広い。

赤谷 翔太郎
株式会社インフレクト 代表取締役
2017年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、アクセンチュア戦略コンサルティング本部に新卒入社。アクセンチュア時代には大手通信事業者を対象に中期経営戦略の立案やB2B/B2C問わず通信×クロスボーダーでの新規事業立案に20案件以上携わる。B2C領域における消費者の意見を捉えた事業創出の難しさを解決する為、2020年9月INFRECTを創業する。

熱量あるファンがインフルエンサーとなり、老舗企業に新たなブームを巻き起こした

――前回は、インフルエンサーの本質的な価値をとらえなおし、企業とインフルエンサーが共創することで、インフルエンサーマーケティングはもっと効果的な手法になることをお話いただきました。
その具体的な事例について教えてください。

増田
はい。大阪の牛乳石鹸共進社が発売している「カウブランド赤箱」、通称「赤箱」の事例をご紹介します。

赤箱は90年以上続く固形石鹸ブランドですが、近年はユーザーの高齢化もあって市場がシュリンクする傾向にありました。リブランドの方向性を探って調査をする中で、実は、この赤箱にはコアなファンがいることがわかりました。赤箱で、体だけでなく顔も洗っていること。さらにはコスメの口コミサイトで、赤箱がどんなにいいかということについて、まさにインフルエンサーがフォロワーに伝えるように熱い書き込みをしていたんです。「肌悩みがあって色々試している中で赤箱がフィットした」とか「皮膚科で薦められた商品だから使ってください」とか。

――クライアント企業にとっても思いがけない発見だったわけですね。

増田
はい。このようなコアなファンの存在は企業にとっての大切な資産です。そこを起点にリブランドすることがプロジェクトのポイントになりました。

コアなファンの方々を「赤箱女子」と名付け、彼女たちのライフスタイル――赤箱を取り入れながら感度高く暮らしている姿そのものを発信しました。ファンの発想に寄り添うことで、これまでにない缶のパッケージや、赤箱から派生したスキンケア商品などが生まれました。期間限定で開設したポップアップストアは、赤箱の使用体験や限定グッズの販売などを行って大盛況に。

akabako

――たくさんの人に支持されたのですね。

増田
はい。赤箱女子を通じて開発した商品は、いまも好評を得ています。なによりよかったのは、赤箱女子の方たちがインフルエンサーとなり、赤箱のブランド価値がフォロワーの方に伝わったことだと考えています。フォロワーの方たちも自発的に投稿を始めてくださり、赤箱の認知は大きく広がりました。その動きは小売店やメディアにも伝わり、売り場や情報環境にもいい変化が見られています。

振り返ってみると、熱量のあるファンに参加いただけたことで、商品開発やプロモーションに貴重な意見や視点が得られたこと、熱量あるファン=インフルエンサーだったことで熱い情報発信が広がったこと、そこからブランドの価値を再構築できたことが、成功のポイントだったのだと考えています。

――赤谷さんからご覧になっていかがですか。

赤谷
商品・サービスに対する熱量を持っている人を起用し、彼らがフォロワーや一般の生活者に発信することでその熱量がしっかりと届き、共感する好循環が生まれた成功事例だと思います。企業は業績が好転し、インフルエンサーも新たな体験をしながら自分が本当に好きなものについての発信ができた。生活者は、情熱をこめて生み出されたいい商品・サービスや情報を受け取ることができた。まさに、win-win-winの関係が実現した事例だと思います。

インフルエンサーも、自分が関わって生み出した商品・サービスには自然に愛着がわき、熱量も高くなる。プロモーションとして引き受けた「#PR」とは、発信力に歴然とした差が生まれると思います。

増田浩一×赤谷翔太郎(COCAMPインフルエンサーマーケティング対談)

インフルエンサーの参画で、新商品・新サービスにもファンの土台が形成される

――赤箱女子は、既存のファンがいた事例でした。新規開発の場合はどうでしょうか。

赤谷
たしかに新商品には「既存のファン」はいませんが、商品とともにファンを育てることはできます。新たな商品・サービスの領域の知見やノウハウを持ったインフルエンサーは必ず存在しますから、商品開発の段階から彼らに参画してもらうことはできる。インフルエンサーと共創し、いいものを創りあげれば、そのインフルエンサーがまずコアなファンになってくれます。商品・サービスが世の中に出るときには、彼らを中心にファンのコミュニティが生まれる土台ができている、という理想の状態をつくることも可能です

増田
通常、インフルエンサーのアサインは、キャスティング会社を通じて登録されている人から選ぶというケースが多いんです。でも、前回もお話に出ましたが、インフレクトさんはSNS上にあまたいるフォロワー数5000以上の人たちの情報を集積しておられて、まだ有名ではないけれど、今後大きな影響力を持つであろうと思われる人も含めてお声掛けできる。PRに慣れていない方たちの場合、限りなく生活者に近いスタンスで、生の声を聞かせていただけたり、非常に熱量高くジョインしていただけたりする可能性もある。これは大きな魅力です。

その企業に対して熱量を持ってくださる見込みのあるインフルエンサーをアサインできることがインフレクトさんの大きな強みのひとつであり、マーケティングノウハウだと思っています。

赤谷
ありがとうございます。私たちは共通の価値観を持っている集団のことを「トライブ」と呼んでいるのですが、 前回お話ししたようなAIシステムなどを使って様々なトライブを見つけ、そのトライブの中で活躍されているインフルエンサーを数多く発掘しています。だからこそ、商品・サービスに本当にふさわしいインフルエンサーをアサインすることができると自負しています。

企業のパーパスを共有すれば、マーケットはまだまだ広がる

――インフルエンサーマーケティングの効果と広がりが見えてきました。

赤谷
この新しいインフルエンサーマーケティングは、大企業にもスタートアップ企業にも汎用的に利用していただけるマーケティングメソッドだと考えています。大広さんとともに、一歩ずつ進めていきたいですね。

増田
現在、いくつかのプロジェクトが進行中ですが、より多くの企業にご提案できればいいですね。

2回にわたって、共創による新しいインフルエンサーマーケティングのお話をしてきましたが、それを成功させるために重要なのは、つきつめれば企業のパーパスなのだと考えています。企業やそのブランドの存在意義とは何なのか――視点を変えれば、どんな社会をつくりたいか、どんな生き方を可能にしたいか、というビジョンと言えるかもしれません。それらをしっかり定めて言語化すること、それを顧客と共有することは、今後ますます重要になってくると思っています。

インフルエンサーマーケティングでも、言語化されたパーパスを共有することによって、より熱量は増し、共感の好循環を生み出す環境をつくれるのだと考えています。パーパスの顕在化・言語化や、それを顧客と共有していくお手伝いは、私たち大広の得意分野のひとつ。インフルエンサーとの共創を入り口として、事業の成長につながる幅広いご提案をしたいと考えています。

増田浩一(COCAMPインフルエンサーマーケティング)

――ありがとうございました。

まとめ

・インフルエンサーの参画は、既存の製品・サービスに新たな価値を見いだしたり、新たな製品・サービスにファンの土台を生み出したりする可能性がある

・プロセスの共有、パーパスの共有で、インフルエンサーマーケティングの可能性はまだまだ広がる

この記事の著者

COCAMP編集室

「ビジネスは、顧客価値でおもしろくなる」をコンセプトに、ビジネスにおける旬のキーワードや課題をテーマに情報発信しています。企業の大切な資産である「顧客」にとっての価値を起点に、社会への視点もとり入れた、事業やブランド活動の研究とコンテンツの開発に努めています。