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2023.12.28

インフルエンサーとの共創が、強固なブランディングを可能にする〈前編〉

女性たちが製品開発ミーティングを行っている画像

多くのフォロワーと強力な発信力を持つインフルエンサーは、企業にとって、自社の製品を宣伝してくれる大切な協力者です。その拡散力に着目したインフルエンサーマーケティングは、しかし、大きな転換点を迎えているようです。独自の分析でインフルエンサーと企業をマッチングする株式会社インフレクトと、顧客との対話から新たな価値を見出す株式会社大広がタッグを組み、企業・インフルエンサー・生活者がwin-win-winの関係を築ける新しいマーケティング手法を提案します。

(株)大広 増田浩一×(株)インフレクト 赤谷翔太郎

インタビュイー(左から)
増田 浩一
株式会社大広 顧客価値開発本部 顧客発掘局 増田チーム チームリーダー
ミラスト主宰
経済産業大臣登録 中小企業診断士
早稲田大学理工学術院建築学研究科を修了の後、株式会社大広入社。一貫して、ストラテジックプランナーとして事業会社の広告戦略、商品戦略立案を支援。2020年からは、経済産業大臣登録中小企業診断士として中小企業の経営戦略を中心としたコンサルティング活動を継続。主な顧客は、食品製造業、機械製造業、飲料メーカー、学校法人ほか、ベンチャー企業までと、幅広い。

赤谷 翔太郎
株式会社インフレクト 代表取締役
2017年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、アクセンチュア戦略コンサルティング本部に新卒入社。アクセンチュア時代には大手通信事業者を対象に中期経営戦略の立案やB2B/B2C問わず通信×クロスボーダーでの新規事業立案に20案件以上携わる。B2C領域における消費者の意見を捉えた事業創出の難しさを解決する為、2020年9月INFRECTを創業する。

インフルエンサーマーケティングに見えてきた課題

――インフルエンサーを通じて自社の商品やサービスをプロモートする「インフルエンサーマーケティング」はすっかり定着しましたが、いま、新たな課題も見えてきているとのことですね。

赤谷
企業がインフルエンサーの登用にあたって重視するのは、どうしてもフォロワー数やエンゲージメント率の高さといったデータです。商品・サービスが持つ世界観との一致も考慮されてはいますが、そのマッチングは必ずしもうまくいっているとはいえません。インフルエンサーがその企業の製品・サービスに詳しくなかったり、企業から提供されて初めてその商品やサービスを使ったりする場合も多く、情報をうまく届けられないという状況が起きてきます。

――すると、どうなるのでしょうか。

赤谷
インフルエンサー自身に、その製品・サービスに対する熱量がなければ、それは情報を受け取る生活者に伝わります。「#PR」「プロモーションを含みます」というような表示を見ただけで読む・見るのをやめる、という人も多いのです。こうした状況を企業は「インフルエンサーマーケティングは期待したほど効果が出ない」と判断しますが、それは誤解だと思います。課題は、インフルエンサーが熱量を持って情報を伝えられる環境をつくれていないことにあるのだと、私たちは考えています。

(株)インフレクト 赤谷翔太郎増田
その根底には、インフルエンサーマーケティングにおけるインフルエンサーを、「情報を拡散するための単なるメディア」ととらえてきたことがあると思います。一方で、企業の側にも、インフルエンサーとより深く協力することで新しいものを生み出したい、という思いがある。そのギャップを埋めれば、もっと効果的なソリューションを生み出せると考えています。

インフルエンサーは企業と生活者をつなぐ「Co-sumer

――どのようにすれば、効果的なプロモーションが可能になるのでしょうか。

増田
インフルエンサーの人たちに企業のパートナーになっていただき、製品・サービスの開発段階からジョインしていただく、ということです。企業とインフルエンサーの人たちとの「共創」ですね。

私たち大広は、顧客との対話は企業活動に大きな価値をもたらすと考えてきましたし、顧客の声を聞くことの重要性は多くの企業が認識されるようになっています。インフルエンサーの人たちは、いわば生活感度・情報感度の高い生活者=顧客の代表ですから、彼らの視点を掛け合わせることは、プロジェクトに様々な気づきをもたらし、市場に受け入れられる商品づくりの大きな力になります。さらに、その情報発信力がプロモーションを大きく広げてくれます。

(株)大広 増田浩一

赤谷
インフルエンサーを、メディアではなく、深い商品知識と発信ノウハウのある生活者――企業と消費者(コンシューマー)の間に位置する「Co-Sumer(コ・シューマー)」としてとらえる、ということですね。

増田
はい。重要なのは、自社の事業分野に精通していたり、自社に興味を持っていたりする…できれば自社のファンだと表明しているインフルエンサーに協力していただく、ということ。その点、インフレクトさんは、単にフォロワー数やエンゲージメント率だけではない、インフルエンサーの人たちの本質的な価値を見極めてアサインする知見と技術を持っておられますよね。

赤谷
そこが、私たちが大切にしているポイントです。私たちは、インフルエンサーの本質的な価値は、インフルエンサーがインフルエンサーになるにあたって獲得してきた、その領域での知見やノウハウ、市場のトレンド感やフォロワーへの理解などにあると考えています。また、様々な人たちのペインやニーズをわかった上で情報発信をできているからこそ、多くの生活者に支持されているという側面もあります。そうした彼らの本質的な価値を企業活動の中で活かせるように、大広さんと一緒に取り組みをスタートしています

プロセスに関わることで熱量は生まれ、共感の好循環を呼び起こす

――情報発信の手法にも、変化が必要なのでしょうか。

増田
そうですね。膨大な情報があふれる現在の市場環境では、いい商品・いいサービスをつくるだけでは差別化が難しくなっています。事業やブランドの独自性を打ち出すためには、最終成果物だけではなく、企業のパーパス、商品やサービスを生み出す志やこだわり、そして開発・製造、提供に至るプロセスを伝えていくことが非常に重要です。

インフルエンサーにジョインいただいて、同じ志で商品を作ったりプロモーションの方法をともに考えたりすることは、最終成果物の質を高めると同時に、彼らを通じてその過程を発信できることでもある。企業は、開発のプロセスを発信する前提で体制を整える必要はありますが、インフルエンサーが自ら関わった商品・サービスに愛着を感じ、熱量をもってそれを発信することが、非常に効果的なプロモーションになることは実際の事例からもわかっています。具体的な内容は次回お話ししたいと思いますが、その点で、インフレクトさんのアサインのされかたがとてもフィットしていると感じています。

――どのようにしてアサインされているのでしょうか。

赤谷
インフレクトでは、インスタグラムやX、YouTubeTikTokといったSNSから情報を収集し、フォロワー5000人以上のインフルエンサーの膨大なデータを集積しています。発信内容を細かく把握できているので、かなりニッチな分野でも対応できます。マッチングに際しては商品・サービスに関するマーケティングリサーチから始めますし、商品・サービスの特性をAIが分析し、その特性にマッチするインフルエンサーを選出できるツールも開発しており、さまざまなチャネルを組み合わせて最適なインフルエンサーの登用をご提案できると思います。

増田
インフレクトさんは、非常に多くのインフルエンサーとつながりを持っておられて、たとえば、フォロワー数はまだそれほど多くないが、その分野で深い知識を持っている、これから影響力を増すであろう人たちもアサインすることができるところに独自性と強みを感じています。

企業と本当にマッチするインフルエンサーの人たちと共創すること、そして、製品・サービスが生まれる過程に関わっていただくことで、企業も、インフルエンサーも、生活者も、それぞれに得るものがある、win-win-winの関係を築いていけると考えています。

赤谷
インフルエンサーの人たちが熱量を持って発信できる環境をつくることができれば、ファンがファンを生み出していく好循環が生まれていくと思います。大広さんの幅広い分野のクライアントに、私たちのノウハウをお届けしたいですね。

 

次回は、実際にインフルエンサーの方たちと共創した事例を紹介いただきながら、これからのインフルエンサーマーケティングの可能性についてお話いただきます。

インフルエンサーとの共創が、強固なブランディングを可能にする〈後編〉

まとめ

・インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーの「本来の価値」を活かすことで成功する

・プロセスへの参加によって、発信する情報はより熱く、濃くなり、多くの共感を呼び起こす

この記事の著者

COCAMP編集室

「ビジネスは、顧客価値でおもしろくなる」をコンセプトに、ビジネスにおける旬のキーワードや課題をテーマに情報発信しています。企業の大切な資産である「顧客」にとっての価値を起点に、社会への視点もとり入れた、事業やブランド活動の研究とコンテンツの開発に努めています。