一緒につくろう、顧客価値のビジネス。

メルマガ登録 相談する
メルマガ登録 相談する

AI時代に「欲しい人材」から「選ばれる企業」になるために ~採用における2つの対策と、学生の深いインサイトに応える情報発信~

商品を買う前に相談したり、悩みを打ち明けてアドバイスをうけたり・・・。AIネイティブ世代は、知りたいことをまず生成AIに聞き、AIの回答を参考にして行動します。それは、就職活動においても例外ではありません。AIは、あなたの会社の価値や特徴を正しく理解し、魅力的に語ってくれているでしょうか? もし、AIが自社の情報を正しく認識していなかったり、AIの回答に自社名が出てこなかったりした場合、学生の「就職先の選択肢」にすら入らず、貴重な母集団を失っている可能性があります。このコラムでは、学生が「自社サイトを訪問する前」と「訪問したとき」にできる、企業の2つの対策について、そして確度の高い「就活生と企業のマッチング」を生み出すための戦略について、オーダーメイド型AI開発「カスタムAI」を展開する株式会社 Laboro.AIの菅原耕平氏と株式会社 大広WEDOの鷲北 雄介氏にお話しいただきました。

菅原さん_プロフィール写真-1菅原 耕平(すがわら こうへい) 
株式会社 Laboro.AI エージェントトランスフォーメーション部シニアAXプロデューサー
商社(日本〜アメリカ)での11年間に亘る事業開発経験を経て、株式会社ドリームインキュベータ(DI)に参画し、新事業開発や組織・人材変革のプロジェクトに従事。その後、DIからのカーブアウトにより株式会社HCプロデュース(HCPro)を創業し、人的資本経営・開示の支援に従事。現在は、ヒト・組織・AIエージェントの最適な共創やイノベーションの創出を促す戦略構想からAIカスタム開発・実装までを一気通貫で支援中。日本人初のISO 30414(人的資本開示の国際標準規格)コンサルタント/アセッサー。

鷲北プロフィール写真

鷲北 雄介(わしきた ゆうすけ)
株式会社 大広WEDO アカウントプランニング局 局長
1996年大広入社。営業職としてブランド戦略、コミュニケーション・クリエイティブ開発に携わる。顧客育成局でCRMプランナーとして活躍の後、現職で生成AIを活用したツール・ソリューション開発やマーケティング支援に従事。著書に『顧客価値を劇的に高める生成AIマーケティング』

学生の就職活動におけるAIの利用実態

何かを買う前も、悩みを打ち明けるときも、まずAIに聞いてみる。いまやそれが当たり前の時代であり、就職活動も例外ではありません。エントリーシートの作成や面接対策だけでなく、業界研究や企業比較、さらには「A社とB社、自分に合っているのはどちらか」といった意思決定の相談にまでAIに尋ねています。
学生がGeminiやChatGPTにどういう質問をどれくらいの量を投げているかというのは、公開されていないためにわかりませんが、弊社が実施したGoogleの検索のクエリの分析結果からは、「業界研究のやり方」「〇〇業界 志望動機」「〇〇業界 ランキング」「A社 〇〇大学」などが投げられていることが分かっています。特定の業界で受ける志望動機を聞いてエントリーシートに反映したり、自分の通っている大学はこの会社に採用される可能性があるのか、 そんなことを調べているようです。また、これからは、より個別的かつ文脈的な質問(例:「自分は○○の強みがあるのですが、その強みが最大限に活かせそうな企業は?」、「○○や△△のような夢やキャリアアップを成し遂げていきたいと考えているのですが、おすすめの会社とその理由を教えて」)が増えていくことが予想されています。この時、Google AI OverviewsやChatGPTなどが、自社の情報を正しく伝えてくれなかったり、そもそも自社名を挙げてくれない場合、「応募者の母集団を失う」「他社との比較で負ける」「内定辞退」などの深刻な問題を引き起こします。

1791969316217-ec3e8ba8-94d0-423a-8f6a-eab779eb30be_1

AIO(AI検索最適化)で応募者の母集団を増やす

学生の検索パターンは、大きく2つに分かれます。 
特定の企業名を入れて検索する「指名クエリ」と企業名は入れずに、こんな仕事をしたい、こういう業界で働きたいといった希望を入れる「非指名クエリ」です。この2つのパターンで対策すべきことが変わってきます。
① 指名クエリへの対応 
「A社 採用」のように社名を直接指定する検索では、AIも企業の公式サイトや採用サイトを見に行きます。しかし、AIはWeb上のあらゆるデータを学習するため、過去の古い情報や信頼性の低い口コミを強く拾ってしまうケースが少なくありません。「社長名が旧情報のままになっている」「ネガティブな口コミばかり強調される」といったギャップを防ぐためにも、まずは自社でコントロール可能なWebサイトの情報を正しく改修・強化しておくことが大前提となります。
② 非指名クエリへの対応 
「自分はこういう仕事がしたい」という非指名かつ文脈や背景が求められる問いかけに対してはAIに自社を推奨させるための対策は、①よりやや難易度があがります。①同様にサイト情報を正確な状態に改修・維持することに加えて、「自身の価値観、キャリア感、強みが活かせる企業はあるのか」という求職者の個別的・深層的なニーズと、企業が求職者に提供できるキャリア的な価値をAIが辿り、繋げることができる状態を、自社のサイトに作っておく必要があります。

重要なポイントは、AIに文脈を正しく理解させること

自社のWebサイトには必要な情報をしっかり掲載しているのに、AIがその内容を意図通りに理解してくれないケースは多々あります。 例えば、「企業の強みや実績は企業サイトに書かれているが、採用サイトには募集要項しか載っていない」というケースです。人間であれば2つのサイトを行き来して「この会社の強みはこれで、だからこういう人を求めているんだな」と理解できますが、AIから見ると企業サイトの「強み」と採用サイトの「求める人物像」の関係性が分断され、対求職者向けのAI回答に自社の強みが反映されないという事態が発生します。また、「企業サイトにおいて、掲載されている各パートや表現のつながりが可視化/構造化されていない」ケースにおいては、求職者の個別的・深層的なニーズと企業の提供価値をAIが正しく繋げることができない、という問題が発生してしまいます。
DSC02376ここがうまくマッチする形の文脈を描きましょう、というのが我々の提案です。そのための手段が、オントロジーという文脈を見える化する技術です。オントロジーを通して、情報と情報の関係性を可視化することができる技術です。オントロジーを使えば、人間では処理できない莫大な情報量やWeb上の書き込みデータをAIが理解できる関係図として整理することができます。
更にその関係図に対して、こちらの意図を伝えて自社サイト内外の情報構造をAI分析することで、「どこに問題があり、どの情報と情報が繋がっていないのか」を特定できます。AIが、求職者の個別的・深層的なニーズを踏まえて、自社の魅力を正しく読み解けるように、文脈を繋ぐコンテンツを補強することで、AIの誤回答を減らし、他社との比較検討の場でも「正しく語られやすい状態」をつくることができるのです。

すべての出発点は「自社企業ブランドの言語化」 

AI対策とは単なるテクニカルなWeb改修ではありません。オントロジー解析やAIO対策を行う大前提として、「自社の本当の強みとは何か」「理想とする社員像とはどんな人物か」が明確になっていることが必要です。つまりそれは自社ブランドの構築です。
大広では、調査や企業の社員様を巻き込んだワークショップを行って、まずは企業のブランド価値や理念、求める人物像を明確に言語化するステップからサポートを行っています。自社の軸を正しく定義して初めて、AIが読み取れる形で自社サイトに載せていく「本質的な採用ブランディング」が可能になるのです。

1791969482109-436fcc22-45be-4103-8dae-6b32f8d89c83_1※AI引用率:用意したキーワード・プロンプトに対してAIが対象サイトを引用した割合
※AI言及率: 同AIがブランドについて言及した割合
※AI理解率:AI回答でブランド言及のあるもののうちブランド価値まで言及した回答の割合)

自社サイト内のAIでエンゲージメントを高め、学生のインサイトをつかむ

就職先の候補として、具体的な企業名が絞られてくると、学生たちは企業サイトを訪れます。しかし、ここからの体験設計(採用CX)を怠ると、せっかく獲得した候補者を離脱させてしまうことになります。

説明会や面接では聞けない「就活生の本音」の壁

採用サイトを訪れた学生が直面する最大のストレスは「欲しい情報がどこにあるか分からず、探すのに手間がかかること」です。日頃からChatGPT等のAIに尋ねて答えを出してもらうことに慣れ親しんでいる世代にとって、自らWebサイト内を迷いながら探す行動自体が大きな心理的負荷となっています。 
そして、それ以上に深刻なのが「本音の疑問を解消できない」という問題です。 
採用説明会やインターンシップ、面接などのリアルな場において、学生は「変な質問をして人事からの評価を下げたくない」「こんな質問をしたら採用に不利にならないか」という強い不安を抱えています。学生のジレンマ企業側としては「うちは配属の希望も聞くし、無理な付き合いもない」と思っていても、学生が直接聞けないために不安が解消されず、志望度が上がらないまま離脱してしまうケースが後を絶ちません。

1to1で寄り添う「リクルートナビゲーションAI」

AIO対策に加えて、この「探すストレス」を取り除き、評価の目を気にせず本音の質問ができる環境を提供するために、専用の AI を置きませんかという提案をしています。自社採用サイト専用に最適化された対話型AI「リクルートナビゲーションAI」です。 大広とLaboro.AI社が共同開発した「ブランドダイアログAI」の仕組みを応用したこのツールは、単に質問に答えるだけの従来のFAQチャットボットとは一線を画します。 ChatGPTをベースにその企業の情報や人格を与えることで、その企業らしいキャラクターで訪問してきた学生の質問に答えることができるのです。AI相手であれば、人事や現場社員の評価を気にせず、本音でずけずけと質問することができます。AIが企業らしさを備えた適切なトーン(ブランド人格)で1to1で即座に回答することで、学生は不安を解消し、企業に対する親近感と納得感を深めていきます。

効率化だけじゃない。「リクルートナビゲーションAI」の役割

DSC02349AIを自社サイトに置くことで学生は気兼ねなく質問ができ、一方、人事担当者も仕事が減って、効率化につながります。でも「リクルートナビゲーションAI」の役割はこれだけではありません。「リクルートナビゲーションAI」は学生からの質問に答えて終わりではなく、AI側からも「どんな働き方をしたいですか?それはなぜ?」「どうして営業をやってみたいの?」などと問い返して、学生の質問の背景にある仕事やキャリアに対するインサイトを深堀します。まるでOB訪問のような場を、自社サイトに作って学生と1to1で対話して、その記録を残していくのです。学生の本当に聞きたい疑問を解消しておもてなしをすると同時に、学生の「生のインサイト」の収集を可能にするのです。

対話データから「学生の深いインサイト」を捉え、情報発信へ還元する

ここまで、自社サイト来訪前の「AIO(オントロジー)対策」と、サイト来訪後の「リクルートナビゲーションAI」という2つの対策を紹介してきました。しかし、これらは単に応募者の母集団を増やしたり、質問への回答などの採用業務を効率化するだけではありません。
本質的なゴールは、「学生の就業における深いインサイト(潜在ニーズ・キャリア観)を把握し、自社が本当に求める人材に刺さるメッセージを発信すること」にあります。

表面的な条件比較から「深い文脈のマッチング」へ

企業側が「自社の強み」だけを一方的に発信していても、本当に優秀で自社に合う人材を引き寄せることはできません。重要なのは、給与や福利厚生といった表面的な条件の比較ではなく、「学生がどんな想い(Will)を持って社会に出ようとしているのか」という文脈的なマッチングです。 たとえば「広告を通じて世界を良くしたい」「最新の技術で人を幸せにする街をつくりたい」といった学生の価値観や人生観に対し、自社の事業や働き方がどう接続するのかを言語化しておく必要があります。

対話データが解き明かす「学生の心の裏側」

自社サイトに設置したAIとの対話ログは、氏名など個人を特定する情報とは紐付けない形で蓄積し、統計的に分析します。 「どんな悩みを抱えた学生が、どのページを閲覧しているのか」「AIに対してどのような本音の質問を投げかけているのか」といった対話データとサイト内行動データを掛け合わせることで、これまでブラックボックスだったChatGPTのフィルターの裏側にある「就活者・学生のリアルな声」とその背景にあるインサイトを可視化できます。

得られたインサイトを「情報発信」に還元する

抽出されたインサイトは、自社が発信する情報をブラッシュアップするための極めて貴重な資産となります。 学生が求めている文脈に合わせて採用サイトのストーリーを改修したり、AIO対策としてAIが読み取りやすい形で「自社の強みと求める人物像」の関係性を再構築したりすることで、自社が求める理想の候補者に対して、情報が正しく届く好循環が生まれることが期待できます。

大広、大広WEDO及びLaboro.AIでは、企業の魅力を掘り起こすワークショップや理念の言語化から、オントロジーを活用した構造分析、さらには「リクルートナビゲーションAI」の実装まで、AI時代の採用ブランディングをトータルでサポートしています。 単なる「応募者の集客」を超えて、自社にとって理想の候補者と出会い、最適なマッチングを生み出すために——。まずは、自社の情報がAIにどう語られているかを知ることから、新しい採用ブランディングを始めてみませんか。
【お問合せ・ご相談はコチラからどうぞ】

ダウンロード資料もご用意しています。 AI時代の採用、2つの対策

【オントロジーについて、詳しく知りたい方はこちらのコラムもご覧ください】
■AIはあなたのブランドを「誤解」しているかもしれない─生成AI時代のブランド戦略に必要な「情報の構造化」とは【前編】 
■AIにブランドの「らしさ」を伝える─オントロジーの実践アプローチとAIエージェント活用法【後編】


最後まで、お読みいただきありがとうございました。大広COCAMPでは、これからも事業支援・事業開発に関するコラムを掲載してまいります。まだメルマガ未登録の方は、これを機会にぜひ、下記よりご登録ください。

またCOCAMP編集部では、みなさんからの「このコラムのここが良かった」というご感想や「こんなコンテンツがあれば役立つ」などのご意見をお待ちしています。こちら相談フォームから、ぜひご連絡ください。

 

おすすめの関連コラム

このコラムの著者

鷲北 雄介

1996年大広入社。営業職としてブランド戦略、コミュニケーション・クリエイティブ開発に携わる。顧客育成局でCRMプランナーとして活躍の後、現職で生成AIを活用したツール・ソリューション開発やマーケティング支援に従事。書籍『顧客価値を劇的に高める生成AIマーケティング』著